著者
岡 隆一 西村 拓一 伊原 正典 張 建新 赤坂 貴志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.155, pp.29-35, 2001-06-21
被引用文献数
1

音声やテキストの検索方式を音素記号の系列表現に基づいて構成することを提案する。検索対象のデータである音声波形の各分析フレーム特徴は音素記号に変換される。検索対象のテキストはその読みをひらかなで記述され、さらに音素系列へと展開される。このとき、この各音素表記については平均継続時間長を前もって定めておき、各音素記号について平均時間長のフレーム区間に同一音素記号を配置し音素記号系列とする。クエリーを音声とする場合、このクエリー音声をフレーム単位に音素認識を実行する。音素系列表現の検索対象の音声やテキストと、クエリー音声の音素記号列との間では連続DPによるスポッテイングを行い、データベース中の一致する部分を検索結果とする。
著者
遠藤 徹 井原 正昭
出版者
日本育種学会
雑誌
育種學雜誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.340-345, 1985-09-01

ゲルを用いるアイソザイム検出に際し,緑葉に対して用いる抽出剤の組成としての緩衝液(0.5M トリスー酢酸 PH7.5),中性洗剤(10% トリトン X-100),塩(0.5M 食塩),酸化防止剤(0.2M アスコルビン酸)およびフェノール吸収剤(ポリビニールポリピロリドン)について,その単独および複合効果を調査した.用いた材料はシダ植物(イノモトソウ)裸子植物(ソテツ,イチョウ,クロマツ,コウヤマキ,ヒノキ,イヌマキ,カヤ),双子葉植物(ツクバネガシ,ヤブニッケイ,ヒメカンアオイ,ツバキ,オオシマザクラ,フジ,マサキ,アオキ,キョウチクトウ)および単子葉植物(ミヤマエンレイソウ, ニホソイネ, ケンチャヤシ)の生葉100mgで,ザイモグラムとして検出した酵素種はパーオキシターゼとリンゴ酸脱水率酵素である. パーオキシターゼの場合,6種の抽出剤に対して少なくとも4群に分類できる.第1群はコウヤマキなどどの抽出剤でも同じようたザイモグラムが得られるもの,第2群は抽出剤成分の種類の増加につれてアイソザイムバンド数が増加するもの,第3群は逆にバンド数が減少するもの,第4群はアオキで6種の抽出剤のいずれを用いても抽出が極めて困難なものなどである.リンゴ酸脱水素酵素の場合は6群に分類できる.第1群はカヤとイネの2種である.第2群はイチョウ1種だが緩衝液を含む抽出剤を用いれば同じようなザイモグラムが得られる.第3群はクロマツなどで中性洗剤を含む緩衝液の抽出剤では同じようたザイモグラムが得られる.第4群は中性洗剤と酸化防止剤を含む緩衝液の抽出剤で同じようなザイモグラムが得られる.第5群は抽出剤の成分数の増加に応じて一般にバンドが増加するもの,第6群はパーオキシターゼの場合と同じくアオキで,用いた抽出剤の組成ではほとんど抽出困難な場合である. 以上の結果から,生体内におけるアイソザイムの存在様式ないし保持機構は植物種ごとに多かれ少なかれ異なり,例えば水でほとんど全部を抽出し得る場合から上記のすべての薬剤を投入しても抽出困難な場合まである.すなわち,アイソザイムにおける分化と同様,その保持機構もまた分化していると推論できる.
著者
原 正幸
出版者
広島大学大学院総合科学研究科
雑誌
人間科学研究 (ISSN:18817688)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.65-86, 2006

Caput III (Summa)Candidato Ainuusy, qui tres menses in Schola ista laborabat, formaliter permittitur fieri ibi discipulus; coepit <musicae inaudibili> studere, legens Platonis TIMAEUM in linguam latinam traductum, cum modum clamandi doceatur a discipulo seniore Enysorpho ad echoem redire faciendam. Post annum, cum directore Oxecnarf de constructione in illo dialogo animae mundanae colloquto, comprehendit <harmoniam mundi> et suspicatur quaestionem: quid enim sit <revolutio animae humanae>? Cujus explicationi auxilio director commodat ei libros quinque chinense scriptos qui XIANG-WU-QIONG (i.e. Resonat ut numquam exhauriatur) nominantur.第三章(摘要)三箇月在那箇學院作為候補生工作的埃奴虛正式得到入學許可。為了鑽研〈不可聽的音樂musica inaudibilis〉, 他開始學習柏拉圖〈尊子TIMAIOS〉的拉丁文譯, 同時接受由師哥艾女簑兒夥Enysorphos綀習發聲的指導。一年之后, 通過圍繞宇宙靈魂的構成跟院長沃色納爾夫Oxecnarf問答, 他理解〈宇宙之和諧harmonia mundi〉和認識到一箇難題: 〈人的靈魂的回轉運動〉就是什麼意思? 因此院長討他思索貸出以〈響無窮〉為題的無名氏所著的文章。
著者
原 正之 石川 裕一 古市 幸生
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.1-7, 2003-02-05
被引用文献数
4

副資材無添加豚ぷん堆肥をエキストルーダーを用いて直径5mmのペレットに成型するための最適成型条件と品質劣化防止のための乾燥条件を検討し,合わせて製品ペレットの物理性およびハンドリング改善効果について明らかにした。1)エキストルーダーによる成型では,原料堆肥の水分条件および機械の軸回転速度条件が処理速度およびペレット強度に大きく影響する.直径5mmのペレット作成のための最適成型条件は,原料堆肥の水分がO.38〜0.40kgkg^<-1>,機械の軸回転速度条件については,混練軸15rpm,押出軸14rpmであった。この条件での処理速度は1.9kgmin^<-1>であり,成型時のバレル内平均温度は63℃であった。2)最適水分条件で成型されたペレットは,,袋詰め保管時に糸状菌の増殖による外観品質の著しい低下が認められた。こうした微生物の増殖による品質の劣化は,、ペレットの水分を15kg kg^<-1>以下にまで乾燥することで防止できる。直径5mmペレットを50℃で乾燥する場合の乾燥速度は0.0021kg kg^<-1>min^<-1>であり,製品水分を長期保管が可能な0.15kg kg^<-1>にするためにはおよそ2時間の通風乾燥が必要である。3)乾燥した直径5mmの製品ペレットの切断強度は4.3kg cm^<-2>,耐久性指数は0.98であり,流通および保管に耐える十分な強度を有する。製品ペレットの乾物1t当たりの容量は,長さ1cmのペレット.で原料堆肥の68%となり,成型による容量の圧縮効果が認められた。また,製品ペレット散布時の粉塵発生量は原料堆肥の1/10程度であり,成型化による防塵効果が認められた。
著者
辰巳 浩隆 黒田 洋生 竹本 靖子 小川 歓 福島 久典 佐川 寛典 植野 茂 白数 力也 神原 正樹 大東 道治 毛利 学
出版者
大阪歯科学会
雑誌
歯科医学
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.403-407, 1994
被引用文献数
14

臨床の場から分離した methicillin-resistant staphylococci (MRS) 8株と標準株4株に対するアクア酸化水の殺菌効果を検索するために, アクア酸化水と対照の消毒剤 (グルタルアルデヒド, 次亜塩素酸ナトリウムおよび塩化ベンザルコニウム) の最小殺菌濃度を測定し, 比較検討した.<br> その結果, 4倍希釈したアクア酸化水では, 標準株の <i>Staphylococcus aureus</i> Oxford 209P と <i>Candida albicans</i> ATCC 10259 の発育が, また2倍希釈液では <i>Staphlococcus aureus</i> Oxford 209P の発育が認められた. しかし, 原液のアクア酸化水では, すべての供試菌株に対して全接触時間とも菌の発育が抑制された. 一方, 対照の消毒剤では, MRS 1株に対する 0.01% 次亜塩素酸ナトリウムの場合を除いて, すべて有効であった.<br> このことから, 原液のアクア酸化水は, 対照の消毒剤と同等あるいはそれ以上の優れた殺菌力を有すると考えられる.
著者
柿原 正幸
出版者
佐賀大学
雑誌
佐賀医科大学一般教育紀要 (ISSN:02880865)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.63-70, 1987-12

「覚書」の中でハイネは,ゲーテ観の違いをもとに,「感覚主義的ヘレネ人」である自分を,「精神主義的ナザレ人」であるベルネと対比して二人の資質の違いを強調している。しかしこの二元的対立は,ハイネの言葉通りに受け取るわけにはいかない。ハイネがゲーテを受入れてきた過程を見ると,決して肯定的評価一辺倒ではない。政治的現象に冷淡なゲーテに対する反発と,その作品の芸術性に対する高い評価が同時にあったと思われる。「覚書」で自分のゲーテ観の否定的な面を,ベルネという対立を用いて自分の内面の矛盾を語っている。「覚書」を歴史として批判的に読むには,ハイネが用いているこうした仮構性を考慮に入れておかねばならない。
著者
福岡 健太 浅原 正幸 松本 裕治
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.69-77, 2007 (Released:2007-01-05)
参考文献数
15

Linear-chain conditional random fields are a state-of-the-art machine learner for sequential labeling tasks. Altun investigated various loss functions for linear-chain conditional random fields. Tsuboi introduced smoothing method between point-wise loss function and sequential loss function. Sarawagi proposed semi-markov conditional random fields in which variable length of observed tokens are regarded as one node in lattice function. We propose a smoothing method among several loss functions for semi-markov conditional random fields. We draw a comparison among the loss functions and smoothing rate settings in base phrase chunking and named entity recognition tasks.
著者
柳原 正 岩井 将行 徳田 英幸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.60, pp.157-162, 2002-06-27

近年、P2P ネットワークに関する研究が増加しているにも関わらず、実験を行うための手法が統一的に確立されていない。理由の一つとして既存のシミュレータがP2P ネットワークの特徴であるアプリケーションレベル・ルーティングとTCP/IP レベル・ルーティングをサポートしていないため、シミュレーションによる実験が行えないことがある。本論文ではP2P ネットワークのアプリケーションレベルルーティングをサポートしたシミュレーションが行えるシミュレータを提案する。また、P2P ネットワークシミュレータのプロトタイプとしてN3 Simulator を開発した。N3 Simulator を用いることで、P2P ネットワークの開発者は容易にP2P ネットワーク用のアルゴリズム及びシステムのシミュレーションが行える。Despite the increase of research on P2P network, the methods to commit tests for evaluation is insufficient.Existing network simulators do not support application level routing, making simulations based on various param-eters difficult. We present a simulation model with support for application level routing, and have implemented a prototype, the "N3 Simulator". With the N3 Simulator, users can simulate P2P networks using approximate values and obtain values similar to those obtained in real world experiments. Also, users can easily perform tuning with algorithms and systems built for P2P networks.
著者
石原 正仁 藤吉 康志 新井 健一郎 吉本 直弘 小西 啓之
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.727-742, 2009-09-30

1998年8月7日にメソスケール降雨帯が大阪湾上を南下し,その中で特に発達した積乱雲が関西国際空港(「関西空港」という)に近づいた.同空港において低層ウィンドシアーを監視している空港気象ドップラーレーダー(DRAW)は,この積乱雲が同空港に到達するまでの間にマイクロバーストを延べ24回自動検出した.このとき低層ウィンドシアーに関する共同調査を実施中であった関西航空地方気象台と北海道大学低温科学研究所は,この積乱雲を対象としてDRAWと同研究所の可搬型ドップラーレーダーによるデュアル観測を行った.この積乱雲は少なくとも4つのマイクロバースト(MB)を,7〜9分間隔で発生させていたことがわかった.このうちの2つのMBについて,その振舞いと内部・周辺の風の3次元分布を詳細に解析した.2つめのMBについては,DRAWの自動検出では水平距離4kmで17m/sの風の水平シアーが測定され,デュアル解析によると高度3kmで7m/sの下降流,及び高度500mで14m/sの水平風が形成されていた.またMB 3が到達した関西空港では21m/sの瞬間風速が記録された.これらのことから,DRAWの自動検出はMBの位置,形状,風の水平シアーの強さを精度よく算出していることがわかった.同時に,MBの非軸対称性が水平シアーの測定に誤差を生じさせる可能性のあることも分かった.MBの微細構造として,1つめのMBにともなう地上付近の発散流は非軸対称的な分布を示し,MBの移動方向の右前方に強く吹き出していた.このMBにともなう発散流の先端のガストフロントでは上昇流が作られ,その上昇流によって上空に形成された降水コアが着地するとともに,2つめのMBが発生した.MBの生成には,降水粒子の蒸発による下降流内の空気の冷却,及び落下する降水粒子が空気を引きずり下ろす力の両者が作用していたと推測された.航空機がこのMBに進入した場合,飛行経路に沿った風の水平シアーにともなう揚力減少の効果は,下降流が航空機を直接降下させる効果より2.7倍以上であったと見積もられた.
著者
楠 浩一 勅使川原 正臣
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
vol.68, no.569, pp.119-126, 2003
被引用文献数
5 17

In order to reduce further destruction of buildings and to reduce the number of homeless people caused by the aftershocks, a quick inspection of the damaged buildings ought to be carried out. This research aims at developing an integration method by computing the response displacement from the measured acceleration. This new method provides an automatic and a quick inspection system performed by few cheap accelerometers. The errors included in the measured acceleration data can be accumulated during the double integral. The new integral method, which is based on Iwan's method and a band-pass-filter, is proposed in this paper.
著者
福原 正大
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.54, no.10, pp.631-636, 2009-10-01

100年に1度ともいわれる今回の金融危機の一因として,ヘッジ・ファンドが挙げられている.本稿は,この「ヘッジ・ファンドと金融危機」について考察することを目的とし,そのためにヘッジ・ファンドとは何か,どのような発展を辿ってきたか,なぜ発展できたのかを明らかにし,その後ヘッジ・ファンドが金融危機に与えた影響を探ることとする.この際,金融工学がヘッジ・ファンドに果たした役割についても簡単にふれる.最後に,金融危機後のヘッジ・ファンド業界の展望を述べることとしたい.
著者
佐々木 正輝 菅原 正和 SASAKI Masaki SUGAWARA Masakazu
出版者
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13472216)
巻号頁・発行日
no.8, pp.107-117, 2009

文部科学省のアンケート調査(2008)では,いじめられたことを親や教師にいう児童は約3割弱,いじめられた児童が在籍する学級の担任教師の約4割が「自分の学級にいじめはない」と答えている現状を指摘している。教師が日常の教育実践の中で行う児童理解は,日常観察や言葉かけなどの面接法が主となっており、児童の表面的な行動や態度だけを見て「自分の学級にいじめはない」などと判断するのは危険である。いじめや不登校等の問題が生じてからから対応する後追い型の指導-ではなく,児童同士のふれあいを深め,問題を起こさない予防的指導の重要性が指摘されている。囲分.・中野(2000),図分.・図分(2004)の「育てるカウンセリング」は,いじめや不登校の予防を意識して考案されたカウンセリング技法である。学級における望ましい人間関係づくりに有効と思われる構成的グループ.・エンカウンター(SGE)のねらいは,エンカウンターの具体的な体験である自己知覚,感情表現,自己主張,他者受容,宿頼感,そして役割遂行をとおして,参加者間の人間関係をつくり,参加者の自己発見を促進し,人間関係を援助することである。本研究は,SGEの継続的な実施によって,小学生の学校生活満足度や,学校生活意欲度に及ぼす影響を検証し,学校心理士やスクールカウンセラー(SC)の介入法の一助になることを目指している。 SGEの実施効果を検証した報告は多数あるが<例えば,石隈,1999 ; 四杉・加藤,2003 ; 田上,2003a,2003b>,本研究の特徴は,(i)学級担任以外のリーダーが学級のアセスメントを行い,SGE実施後の学級担任-のコンサルテーションの有効性を検証していることと,(ii)学校現場は,即効性.・実効性をどうしても求めるので,吹の3点を注視しながら,SGEが学校生活満足度,学校生活意欲度の向上にどの程度影響を及ぼすかを分析した点にある。 (1) 3校10クラスにおいてSGEエクササイズを学級活動や道徳活動に盛り込み,約1か月程度の短期集中プログラムとした。 (2) 実施前(Pre),実施後(Post),フォローアップ(For)データを取り,各クラスの担任の先生方とコンサルテーションを行い,効果を確認しながら実施した。 (3) 担任以外の外部講師(学校心理士:筆者)が仝10クラスを3時間ずつ(45×3)sGEを実施。これによりスクールカウンセラー(SC)等の学級への介入の方法を探った。
著者
陰原 聞天 荘司 輝昭 高木 徹也 岡田 健夫 拍手 宏允 渡邉 貞一 須藤 孝子 梶原 正弘 佐藤 喜宣
出版者
杏林医学会
雑誌
杏林医学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.245-249, 1994

1987年7月から1991年12月までの間に当法医学教室で取り扱った248件の解剖例のうち,自動車を運転中に交通事故を起こして死亡したとみられたが,解剖の結果,内因性の急死であると判明した4例について報告する。4例の平均年齢は49.5歳で,男性3例,女性1例であった。死因は心臓疾患2例,脳血管障害1例,慢性アルコール性疾患1例であった。これまでの報告では,運転中の内因性急死例は,基礎疾患を持つ高齢の男性に多い傾向があると指摘されていたが,自験例においても,3例が中高年男性であった。基礎疾患が明かであった者は1例のみで,4例中3例は生前に医療をほとんど受けていなかった。運転中の急死の予防は困難であるが,中高年者が自動車を運転する場合には定期検診の義務づけを徹底するなど,疾患の早期発見を行い,疾患があれば,適切な医療を受け死亡事故を予防をする事が重要と考えられた。
著者
石井 譲治 小川 保 内藤 健晴 宮田 昌 石原 正健 馬場 錬 妹尾 淑郎 岩田 重信 横山 尚樹
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.46, no.12, pp.1251-1257, 1997
被引用文献数
3

スギ花粉主要抗原の一つであるCry j Iをラット腹腔内注射にて感作し, さらにCry j Iを点鼻, その6時間後の鼻腔, 喉頭, 気管粘膜に浸潤している好酸球およびリンパ球を観察し比較検討した。ラットはBrown Norwayのオス13匹を用いた。5匹をコントロール群, 8匹にCry j I 10μgとアルミニウムゲル4.5mgを0.4ml蒸留水に溶解し, 12日の間隔をあけ2回腹腔内注射を行った。血清Cry j I特異IgE 抗体価はIgE-capture ELISA法にて測定した。鼻粘膜, 喉頭, 気管はCry j I溶液点鼻6時間後に採取した。血清Cry j I特異IgE抗体価は感作群307.1±185.3任意U/ml, コントロール群0.0±0.0任意U/mlで感作群において有意の上昇 (p<0.01) を認めた。浸潤細胞について鼻粘膜では好酸球 (p<0.01), リンパ球 (p<0.05) ともに感作群に有意に多く浸潤していた。喉頭では感作群で好酸球浸潤が有意に多かった (p<0.01) が, リンパ球は両群で有意差は見られなかった。気管では両群とも好酸球, リンパ球ともにほとんど見られなかった。Cry j I腹腔感作ラットは鼻腔及び喉頭においてアレルギー性病変を起し得るものと考えた。