著者
春原 浩樹 水山 高久 武田 文男
出版者
GRIPS Policy Research Center
雑誌
GRIPS Discussion Papers
巻号頁・発行日
vol.16-32, 2017-03

災害危険区域は昭和25(1950)年の建築基準法制定時に創設された制度で,これまでに22千箇所以上が指定され,区域外への移転を支援する制度も用意されているが,区域内にはまだ多数の住宅・建築物が存在する.本研究は,災害危険区域について,国会会議録に基づくこれまでの議論の整理,国土交通省の調査に基づくこれまでの指定状況の整理,関係県・市町村の条例に基づく現在の建築禁止・建築制限の内容の複数の指定理由にまたがる横断的な調査・分析を行うとともに,区域内の建築物の安全性向上のための改修支援策の事例を調査することにより,災害危険区域における今後の対応の可能性を検討しようとするものである.The disaster risk area designation was created when the Building Standard Law was enacted in 1950, and so far more than 22, 000 areas have received the designation. Assistance programs for reloca-tion to a non-designated area are available, but a large number of buildings, residential or otherwise, still remain in designated areas. This study aims to explore possible future policies for disaster risk areas by conducting a systematic review of past debates on the issue using the Diet records; an overview of past designations based on the survey conducted by the Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism; and a cross-sectional analysis of present prohibitions and restrictions on buildings imposed by the respective municipal and/or prefectural ordinances relative to the type of hazard identified for the designation. The study also includes a survey of the actual measures to promote renovation in disaster risk areas with the objective of upgrading the safety of buildings therein.
著者
佐々原 浩幸
出版者
公益財団法人 日本醸造協会・日本醸造学会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.106, no.2, pp.90-96, 2011 (Released:2016-06-14)
参考文献数
27

近年食物アレルギーは増加しており,醤油の原料である小麦は表示義務があり,醤油と味噌の原料である大豆は表示推奨であり,これらを使用しないアレルギー患者用の醤油・味噌様調味料が開発されているが,特に原料の蛋白質含量が少ないために,得られる製品のアミノ酸含量が少なく,旨味が弱い問題があった。そこで,著者は各種原料から,蛋白質・炭水化物の含量が醤油・味噌の原料に近似している「そら豆」を選択して,香味共に良好な醤油・味噌様調味料を開発しているので,解説していただいた。そら豆醤油は商品化され,そら豆味噌は発売予定であり,新商品開発のプロセスが分かるのでご一読願いたい。
著者
安原 浩
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.12-15, 2012-10

刑事裁判実務に長年携わった経験からは、取調べの科学化、あるいは高度化がいかに困難かを指摘せざるを得ない。日本では密室の取調べが定着し、裁判所もこれまでその結果を尊重してきたからである。しかし裁判員裁判をきっかけに、これまでのような供述調書依存の刑事裁判が構造的に変化しつつあり、可視化が進展する素地が生まれつつある。
著者
田中 創大 田儀 和浩 藤原 健 高橋 浩之 上坂 充 草野 譲一 中村 直樹 山本 昌志 菅原 浩一郎 田辺 英二
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2013, 2013

腫瘍追尾型X線がん治療に用いることを想定して、ビームの線量、位置と形状をリアルタイムに計測できるガス検出器とデータ処理システムを開発した。GlassGEMで電離した電子を増幅し、二次電子の電流を測定することで線量を、電子雪崩の際のシンチレーション光をCCDカメラでとらえることで位置と形状の情報をリアルタイムで統合的に取得可能なシステムを開発した。
著者
成田 徹男 榊原 浩之
出版者
名古屋市立大学
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.41-55, 2004-01-10

現代日本語の表記原則では、およそ次の3つの規則がある。規則1:漢語は「漢字」で書け。規則2:和語は「漢字」または「びらがな」または「両者の交ぜ書き」で書け。規則3:外来語は「カタカナ」で書け。つまり、当該語の、語種の認定が前提となっているのである。 しかし、最近ではこの規則に合致しない、和語や漢語のカタカナ表記例が多くなっている。それをインターネット上の新聞・雑誌などのサイトに見られる実例について調査して、延べで2119語、異なりで855語の例を得た。そのような表記がさかんになされる背景には、語種以外の、語の分類を、表記文字の使い分けの基準とするような意識があると考えられる。そこで、上記のような規則とは別に、次のような表記戦略を仮説として提示する。語種を基準にしてカタカナを使うのは明らかな外来語についてだけ。それ以外については、たとえば動物名かどうか、などの語の分類が基準として優先される。日本語の、文字の使い分けの習慣は、この方向へ変化しつつあると思われる。
著者
栞原 浩平 谷 地誠 窪田 英樹 濱田 靖弘 中村 真人 長野 克則
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間-生活環境系シンポジウム報告集
巻号頁・発行日
vol.36, pp.229-232, 2012-11-21

100%綿Tシャツ,100%ポリエステルTシャツ,40%ポリエステル/60%綿混紡ズボンの近赤外光および可視光の透過率と反射率を屋外日射環境下にて実測した。近赤外光域(800~2800nm)の透過率・反射率はIRフィルターで日射計を覆うことにより測定した。3つの生地の平均近赤外光反射率は0.61,平均近赤外光透過率は0.28,平均近赤外光吸収率は0.11であり,近赤外光の透過率,反射率,吸収率は色に依存せず素材によりほぼ一定値を取ることが示された。衣服,皮膚表面の正味の近赤外光,可視光吸収率を考慮した日射作用温度の式を提案した。
著者
大澤 義明 鈴木 勉 秋山 英三 吉瀬 章子 宮川 雅至 小市 俊悟 渡辺 俊 堤 盛人 藤井 さやか 竹原 浩太 有田 智一 田中 健一 小林 佑輔 櫻井 一宏
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究課題は,老朽化する都市インフラ整備の選択集中に関して,独自にデータ収集し,実証分析を実行し,同時に理論的知見を導くことを通じ,施設整備に関する具体の政策を提言することを目的としている.最初に研究基盤を構築した上で,逐次廃止手法の効率性評価,リスク分析における効率性と冗長性とのトレードオフ構造等に関する理論研究・実証研究を展開した.様々な自治体と意見交換・情報収集することから,実装対象を北海道網走郡津別町,茨城県土浦市,茨城県常総市に絞り,研究・理論の自治体への実装を進めた.
著者
神原 浩平 光山 和彦 中川 孝之 池田 哲臣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.164, pp.79-84, 2009-07-27
被引用文献数
1

800MHz帯FPU(Field Pick-up Unit)システムは,マラソン中継などの移動映像伝送に用いられている.現在,筆者らはより高画質で途切れにくい次世代システムを目指してMIMO伝送技術および誤り訂正技術の研究を行っている.直列連接LDGM(SCLDGM:Serially-Concatenated Low-Density Generator Matrix)符号はLDPC(Low-density Parity-check)符号の短所である符号化演算量とエラーフロアの両方を低減可能な符号としてFPU用の誤り訂正符号として着目しており,これまでに連接に適したLDGM構造の提案などを行い,シミュレーションによる評価を行ってきた.今回,野外移動伝送実験によりSCLDGM符号の特性を現行システムの畳込み+RS(Reed-Solomon)連接符号などと比較した評価を行った.さらに,FPUシステムへのLDGM符号の導入に向けた観点から符号についての考察を行った.
著者
笠原 浩
出版者
日本歯科医師会
雑誌
日本歯科医師会雑誌 (ISSN:00471763)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.p119-125, 1992-05
被引用文献数
7
著者
宋 鎮祐 笠原 浩三 金山 紀久
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.142-150, 1996-08-15
被引用文献数
3

農業経営計画問題は、農業経営の実態調査→係数整理→計画策定→実践評価という経営管理の全体に関わるものであり、経営改善のための重要な役割を担っている。しかし、今までの科学的、数学的方法においては、意思決定者の主観に係わるあいまいさを取り扱う手段がなかった。したがって、得られた結果が理屈の上では確かに正しいにもかかわらず、実体にそぐわなかったり、実感に合わなかったりということが少なくなかった。本研究では、農業経営者の意思決定のための環境条件には多くのあいまい性が存在すると考え、ファジィ理論におけるあいまいさが農業経営設計のどのよな側面で有効な意味を持ちうるかを畑肉牛複合生産農家を通じて考察する。また、ファジィ理論を適用した一分野であるファジィ可能性計画問題をどのような形式で農業経営計画の手法としてモデル化すべきかを検討する。まず、ファジィ計画問題は、意思決定者の目標や制約に対する希求水準のあいまいさを扱うものと、目的関数や制約条件の係数のあいまいさを扱うものに区分し、実際の畑肉複合経営の策定を試みる。次に、具体的な分析対象として、鳥取県の気高町における畑肉複合経営農家を取り上げ、この分析を通じて、ファジィ理論が農業経営計画の意思決定過程の多くのあいまい性を有効に取り扱うことができることを実証的に検討するものである。
著者
高原 浩 高原 聡
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.22-27, 2013 (Released:2013-01-31)
参考文献数
22

症例は31歳の女性.昼食でサバの刺身を食べ,その翌朝4時頃より腹痛,悪心を認め来院した.超音波検査で,骨盤腔に腹水があり,小腸壁の肥厚が認められた.上部消化管内視鏡で異常はなく,経口的消化管造影で,回腸の異常拡張と,それに続く肛門側回腸の狭窄,拇指圧痕所見をみとめた.経肛門的ダブルバルーン内視鏡で,大腸には異常がなかったが,回腸粘膜は終末部より著しい浮腫状を呈し,深部回腸にアニサキス虫体を発見し,生検鉗子により摘出した.腹痛は急速に消失し,腹水も二日後にはほとんど消失した.本症例は小腸アニサキスを小腸内視鏡で発見し摘出し得た初めての報告例であると考えられた.
著者
三井 利幸 榊原 浩之
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 = Japan analyst (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.48, no.8, pp.777-782, 1999-08
被引用文献数
1 1

非破壊で印影中の朱肉を顕微分光分析計で測定し,日本で製造されている13種類の市販の事務用朱肉の異同識別を行った.方法は次のとおりである.試料を50倍に拡大後,顕微分光分析計を用いて380から760nmまでの間を5nm間隔で各波長に対する吸光度を測定した.得られた76の吸光度値を380nmの吸光度値で除した.1試料から得られた76の数値を用いて多変量解析法の一種であるクラスター分析,主成分分析,KNN,SIMCAで検討した.その結果,主成分分析以外は,いずれの3方法を用いても13種類の事務用朱肉間の異同識別が可能であった.更に,印影は押印されてからかなり長期間放置されている場合があることから,放置時間についても検討したところ,1日10時間蛍光灯を照射する方法で,24か月間放置しても異同識別には全く影響が認められなかった.
著者
持田 徹 垣鍔 直 堀越 哲美 桑原 浩平 窪田 英樹 松原 斎樹 くわ原 浩平
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

世界の二大指標であるISO-7730のPMV指標と,ASHRAE(米国暖冷房空調学会)の基準であるSET^*指標の長所・短所を整理した。そして,平均皮膚温およびぬれ面積率と心理量の関係を,熱伝達論および人体の温熱生理特性から検討し,椅座の被験者実験の結果から,新しい温冷感の評価法を提案した(持田・桑原・窪田・長野)。また,屋外における夏服と冬服の着用実験から,著者らが提案した日射の影響を組み込んだSET^*が屋外においても適用可能であることを確認すると共に,屋外熱環境評価のための新しい温熱指標として予想温冷感ETSを開発した。札幌・名古屋での温冷感・快適感申告データから,SET^*の温冷感中立域・快適域を決定した(桑原・堀越・持田)。汗による水分吸収により着衣の電気抵抗が変化すると考え,着衣面の電気抵抗を測定することにより吸汗量を推定する方法を実験により検討した。また同方法を用い,軽装時において,冬期と夏期に40℃に曝露したときの胸部,上腕部,大腿部の局所の放熱過程を測定した結果,皮膚面の受熱量は着衣の表面温度が低下し始めてから,冬期の実測では約10分,夏期の実測では約6分遅れて低下することを確かめた。(垣鍔)。さらに,人体と環境との対流熱交換量を正確に算定するために,椅座・立位時の対流に関与しない面積(非対流伝熱面積)の実測を行った。姿勢による部位別の対流伝熱面積の違いを明確にし,対流伝熱面積を考慮した立位と椅座時の平均皮膚温算出用の重み係数を提案した。全体表面積に比し,対流伝熱面積が小さいほどHardy-DuBoisの平均皮膚温との差が大きいという姿勢に依存する特性を示した(松原)。
著者
栗原 浩英 石井 明 白石 昌也 加藤 弘之 竹内 郁雄
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

2004年にベトナム・中国両国政府間で合意された越境共同開発プロジェクトが今日に至るまで進展をみないままになっている状況について調査研究を行い,双方の観点にずれがあることを究明した。ベトナムではこのプロジェクトが中国との国境地帯に限定された開発事業と理解されているのに対し,中国ではベトナム一国の枠を越え, ASEAN諸国全体を視野に入れた事業と位置づけられ,両国は妥協点を見出せないままとなっている。