著者
鑓水 秀和 河原 純一郎
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.314-324, 2014-09-01 (Released:2015-05-12)
参考文献数
24

Extant studies have examined factors contributing to perception of attractiveness of individual human faces. Because those studies primarily focused on ratings of at-tractiveness of a single target face, it was unclear whether observers could perceive attractiveness of a group of people as a whole. The present study examined whether observers could compare the group-wide attractiveness between two groups consisted of multiple members. We predicted that observers should be able to discriminate which of the two groups was higher attractiveness. Observers were briefly (1500 ms) exposed with two frames of images each of which consisted of four faces and determined the one that they believed more attractive as a whole. The results indicated that discrimination accuracy was above chance level. Virtually identical pattern of the results was obtained when each group consisted of eight faces in Experiment 3 and when exposure duration was 500 ms or 100 ms in Experiment 4. These results suggest that observers could per-ceive attractiveness of a group of people as a whole when discriminating attractiveness of two groups of people.
著者
斎藤 寿樹 川原 純 吉仲 亮 鈴木 拡 湊 真一
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告アルゴリズム(AL) (ISSN:21862583)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.17, pp.1-6, 2011-02-28
被引用文献数
1

与えられたグラフ中のパスを列挙する問題は古典的な問題である.これまで,解を列挙するアルゴリズムや解の数を数えるアルゴリズムがいくつか提案されているが,一般に解の数は極めて多く,解の数を求める問題は #P-完全であるため,満足のいく高速な列挙アルゴリズムの実現は難しい.近年 Knuth は,ZDD (Zero-suppressed Binary Decision Diagram) を用いた任意のグラフの任意の 2 点間を端点とするパスを列挙するアルゴリズムを提案した.ZDD とは集合族を圧縮して表現できるデータ構造である.グラフの経路を辺の集合と同一視することによって,経路の集合は ZDD で表現することができる.提案されたアルゴリズムは,出力結果がパス集合の ZDD による圧縮表現であり,従来手法に比べ高速に動作する.本発表では,まず Knuth のアルゴリズムを紹介し,次に Knuth のアルゴリズムを基にした筆者らによる多項式回の ZDD の基本演算でパスの列挙を行うアルゴリズムを提案する.これらの手法と既存手法との比較実験を行い,ZDD によるパスの列挙手法の利を論ずる.The listing of all paths in a given graph is a classical problem. Although there are known algorithms for the problem, the number of the solutions tends to be huge and the counting problem is #P-hard. Recently, Knuth has proposed an algorithm for enumerating paths by using the ZDD (zero-suppressed binary decision diagram). The ZDD is a condensed representation of a family of sets. By identifying a path in a graph as a set of edges, the sets of paths can be represented by ZDD. His algorithm outputs a ZDD representing a set of paths. In this paper, we first introduce Knuth's algorithm, and propose an algorithm where ZDD operations implemented polynomial many times by extending Knuth's algorithm. We experiment with these algorithms and a known enumeration algorithm, and discuss the advantage of the algorithms using ZDD from the experimental result.
著者
大杉 尚之 河原 純一郎
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.95.22336, (Released:2023-12-25)
参考文献数
29

Bowing is a common practice in Japan, believed to greatly affect first impressions. As such, it is emphasized upon in school instruction and post-employment training seminars for new employees. Recently, the influence of bowing on attractiveness was investigated, and it was reported that a bowing motion enhances perceptions of attractiveness. However, previous studies primarily examined this effect via laboratory-based experiments for Japanese university students, which limits the generalizability and reproducibility of the results. Therefore, the present study examined whether this effect can be observed in a web-based experiment and for crowdsourcing service workers. The results showed that bowing increases the facial attractiveness of the 3D computer graphics human models compared to the models standing still (control condition). Further, it was established that prolonged exposure to the bent posture produced a significant bowing effect. These results were extended to the workers, suggesting that the bowing effect can be replicated in web-based experiments for Japanese participants with a broader range of demographics (age and gender, and the view of self).
著者
一政 祐輔 岡田 重文 東郷 正美 上野 陽里 松原 純子 石田 政弘
出版者
茨城大学
雑誌
エネルギー特別研究(核融合)
巻号頁・発行日
1986

本年度の研究成果を以下に述べる。1.トリチウムガス・トリチウム水の生体内代謝・排泄促進の解明研究では、(1)トリチウムガスのラットへの取り込みは、雰囲気の水蒸気濃度や軽水素濃度には殆んど影響されない。(2)トリチウムガスの酸化はラット腸内の嫌気性菌によるところが多いので、サルおよびヒトの糞便でも調べたところ、サルおよびヒトの糞便もトリチウムガスをラットと同程度に酸化することを見出した。(3)トリチウムガスをラットに投与する前に、嫌気性菌に作用スペクトラムを持つ抗菌剤や抗生物質を前もってラットに投与しておくと、トリチウムガスの体内酸化が顕著に抑制されることを見出した。(4)体内に取り込まれたトリチウムを排出促進するには、リンゲル液,グルコース液,KN補液の静脈内投与、およびリンゲル液と利尿剤の同時投与が効果的であり、組織結合型トリチウム濃度を著しく低下させることを明らかにした(以上、一政・秋田)。2.食物連鎖によるトリチウムの体内取り込み研究では、(1)トリチウムで標識したアミノ酸をラットに投与して組織の細胞核内および核外の蛋白質当りのトリチウムの比放射能を測定すると、両者とも略1に近い値である。(2)経口投与実験で確認する必要があるが、食品中のトリチウムで標識されたアミノ酸成分に関する限り、体内に取り込まれたトリチウムによる細胞内の線量は組織の平均トリチウム濃度に略比例することを明らかにした(以上、石田・斉藤)。3.ヒトのトリチウム代謝研究では、(1)人体および動物の組織を200〜300g焼却し組織中のトリチウム濃度を測定し得る前処理装置が完成した。(2)40献体の脳,肺,肝,腎,脾臓がサンプリングされ、その内の20献体の臓器の平均トリチウム濃度は76.6±78.9pC/l,2.83±2.92Bq/lであることを明らかにした(以上、上野)。飲料水のトリチウム濃度の測定用に約300サンプルが準備された(東郷)。
著者
隈部 俊宏 柳澤 隆昭 西川 亮 原 純一 岡田 恵子 瀧本 哲也 JCCG(日本小児がん研究グループ)脳腫瘍委員会
出版者
一般社団法人 日本小児神経外科学会
雑誌
小児の脳神経 (ISSN:03878023)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.279-296, 2022 (Released:2022-09-23)
参考文献数
18

JCCG/AMED原班により2009~2013年に治療された99症例の15歳未満DIPGを対象とした後方視的検討を行った.その結果,1)約20%に対して組織診断が行われた,2)照射はほぼ全例で行われた,3)3/4の症例に対してテモゾロミドが使用された,4)再発に対してさまざまな化学療法追加・部分摘出等が行われた,5)生存中央値は11か月であり,照射方法・化学療法併用・化学療法内容による生存期間延長効果は認められなかった.本邦における最多症例のDIPGの治療実態と成績結果が得られた.
著者
河原 純子 兵藤 透 太田 昌邦 平良 隆保 日台 英雄 石井 大輔 吉田 一成 馬場 志郎
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.44, no.8, pp.695-698, 2011-08-28 (Released:2011-09-28)
参考文献数
13

蛍光眼底造影剤は,眼科領域では網脈絡膜疾患の診断,治療効果の判定に不可欠な検査である.今回,糖尿病性腎症にて血液透析中の44歳女性に対し眼底出血の疑いのため蛍光造影剤(フルオレサイト®静注500mg,以下一般名フルオレセインと記す)を使用した.造影後に透析を行った際,透析液排液ラインに造影剤の蛍光色が視認できたため,独自に作製したカラースケールを用いて廃液ラインの排液色の変化による造影剤除去動態を1週間経過観察した.結果,カラースケール値では,1日目開始時90,1日目終了時50,3日目開始時20,3日目終了時10,5日目開始時0,5日目終了時0であったが,5日目終了時500mL程度排液を集めると,僅かに色を確認することができた.
著者
大西 香代子 中原 純 箕輪 千佳 有江 文栄
出版者
日本看護倫理学会
雑誌
日本看護倫理学会誌 (ISSN:24347361)
巻号頁・発行日
pp.20220425b, (Released:2022-06-24)
参考文献数
16

目的:倫理審査を受けた看護学研究者の倫理審査に対する評価とその特性との関連及び望ましいあり方を明らかにする。方法:全国の看護系大学90校の看護学研究者900名に質問紙調査を実施した。個人属性、組織変数のほか、倫理審査の評価18項目、望ましいあり方11項目について5段階で回答を求めた。重回帰分析により尺度としての妥当性を確認し、特性との関連を検討した。結果・考察:審査結果が妥当だった等の肯定的評価の一方、手続きの大変さも感じていた。審査の肯定的評価には、審査基準の公表や結果を1カ月以内に出すこと、審査へのサポート体制があることなどが関連していた。また、科学的妥当性への言及や同意取得の手続き等について、研究者の理解不足も示唆されたが、委員になるための研修制度や資格が整備されることを望んでいた。結論:看護学研究者に対する研修だけではなく、倫理審査に対する組織の取組みの改善が重要である。
著者
犬飼 朋恵 河原 純一郎
出版者
神戸親和女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では,注意制御機能を中心とした認知機能の男女差にテストステロンが及ぼす影響について調べた。テストステロンの分泌量は,人差し指と薬指の長さ比及び唾液から測定した。認知課題には,男性優位とされる非標的に紛れた標的を報告する時間的探索課題と心的回転課題,実際の動きと反転してディスプレイに呈示されるマウスの軌跡を見ながら指定された英数字を辿るマウス反転課題の3つを用いた。実験の結果,指の長さ比と心的回転課題の成績との間に相関が認められた。唾液中のテストステロンの分泌量と3つ課題の成績には相関が認められなかった。このことから,テストステロンが認知機能に及ぼす影響は限定的であることが示唆された。
著者
前澤 知輝 河原 純一郎
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PI-010, 2021 (Released:2022-03-30)

ブランド名など,その製品を象徴する情報は,消費者の印象を変化させ,購買行動に影響を与える。例えば,製品ラベルの時間方向(例:新製品)が,製品写真が示す時間方向(未来方向を示す右向き)と一致する場合に,消費者は製品を高く評価する。この時間的一致の効果は,製品広告に限定的ではなく,飲食店広告に対しても一般化できるかもしれない。そこで本研究では,過去情報の表示が,飲食店への消費者態度を向上させるかを検討した。5つの実験で,参加者は創業年が記載された飲食店広告を観察し,その後に品質期待,味への期待,訪問意欲の主観的態度を7件法で測定した。その結果,創業年表示が古い広告(寛政,大正)は,ラベルがない広告や創業年が新しい(令和)広告に比べて,特に品質に対する評価が向上した。また,創業年を縦書き表記で呈示した広告は,横書きで表示する場合よりも品質に対する評価が向上した。したがって,創業年表示の効果は,ラベルの単一呈示だけでなく,過去へ時間的焦点の存在や,縦書き表示による伝統的側面の補強によって消費者態度を高める。品質の良い製品は生存するという,適者生存バイアスが関係していることが考えられる。
著者
前澤 知輝 宮崎 由樹 松長 芳織 若杉 慶 柴田 彰 河原 純一郎
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.29-33, 2020-02-15 (Released:2021-02-18)
参考文献数
7

本研究では,花粉症対策に衛生マスクを持続的に着用する日常生活場面において,鼻の不快感に対するマスクへの着香効果を経時的に測定した.花粉症をもつ40名の被験者が2種の衛生マスク(ミント着香,または統制として無香マスク)をそれぞれ6時間着用し,携帯機器を通じて鼻の不快感について定期的に回答した.実験の結果,着香マスクは無香マスクに比べて装着直後に鼻の不快感の低減が強く生じた.しかし,香りの有無にかかわらず,マスク着用後,30分程度で不快感の低減効果は飽和状態となった.このことは,着香マスクの着用が鼻の不快感を低減させる効果は,着用を始めてから30分までの香りの印象が大きく影響することを示している.