著者
笠原 正治 笹部 昌弘 川原 純 張 元玉
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

仮想通貨の基盤技術であるブロック・チェーンには,分散性・安全性・拡張性の三要素を同時に満たすことができないトリレンマ関係が存在し,そのため不特定多数の参加ノードからなる分散システム上で,高度なセキュリティを保証しかつ高速なトランザクション承認を提供するブロック・チェーンの実現が不可能と言われている.本研究課題では,ブロック・チェーンのトリレンマを克服するための方法論を情報学横断的に探求する.本研究で得られる成果はブロック・チェーン・ トリレンマの解決という意義に加え,IoTやフィンテック,ヘルスケア,行政・物流とい った幅広い分野での応用が期待される.
著者
佐藤 稔久 河原 純一郎 熊田 孝恒 赤松 幹之
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.1451-1458, 2013 (Released:2018-01-25)
参考文献数
14
被引用文献数
3

長時間運転して疲労を感じている際に,その疲労がさらに大きくなる要因を検討した.ドライバー100名にアンケート調査を行い,高速道路や高速道路走行後の一般道での交通状況等で疲労の蓄積に影響を与える要因を分析した.その結果,5つの因子が抽出された.この因子を基に,ドライバーの感じる疲労のタイプ分類を試みた.
著者
鎌谷 美希 伊藤 資浩 宮崎 由樹 河原 純一郎
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第18回大会
巻号頁・発行日
pp.75, 2021-03-15 (Released:2021-03-15)

衛生マスクを着用することで,着用者の顔の魅力が総じて低下することが報告されている (衛生マスク効果: Miyazaki & Kawahara, 2016)。これは,マスクによって顔の一部が遮蔽されることと,マスクから想起される不健康さの2要因によって生じるとされていた。しかし,COVID-19流行でマスクの着用が常態化したことにより,マスクから想起される不健康さがその色にかかわらず低減している可能性がある。本研究では,白・黒マスク着用者に対する信念の調査 (研究1),および素顔と白・黒マスク着用顔の魅力評定実験をおこなった (研究2, 3)。その結果,COVID-19流行前よりも流行後において,マスクの色にかかわらず,その着用者に対して不健康だと回答する人が減少した。また,マスク着用者に対する不健康さの知覚の低減に伴い,衛生マスク効果のうち,遮蔽の効果のみが魅力評定値に影響を与えていた。衛生マスク効果の変容は,不健康だと考えられていた黒色マスク着用顔に対してもみられた。
著者
清武 貴子 吉國 謙一郎 原 純 大木 浩
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血細胞治療学会誌 (ISSN:18813011)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.13-18, 2020
被引用文献数
3

<p>はじめに 鹿児島県立大島病院はドクターヘリを保有する救命救急センター(以下,救命センター)を併設している.日本赤十字社鹿児島県赤十字血液センター(以下,鹿児島日赤)と委託契約していた民間の血液製剤備蓄所が2018年3月末に血液製剤取扱い業務から撤退した.以後,当院では血液製剤の院内在庫を置き輸血医療に対応している.危機的出血を伴い鹿児島日赤から血液搬送が間に合わない際に,院内血輸血を実施している.対象と方法 救命センター開設後の2014年から2018年までの期間に実施した18症例の後方視的カルテ調査を行い院内血に至る要因を検討した.結果 院内血輸血実施理由の51%が,血小板減少症や血小板製剤が届かない等の血小板に関係する問題であった.院内血輸血の結果,血小板数及びフィブリノゲン濃度が有意に上昇した.考察 奄美大島地区緊急時供血者制度連絡協議会が作成した登録者名簿に記載されている島民の協力の下,院内血が実施される.安全面や供血者への負担も考慮が必要である.結語 院内血輸血によりフィブリノゲン濃度が止血可能域まで上昇した.クリオプレシピテートやフィブリノゲン濃縮製剤の有用性が待望される.</p>
著者
前田 敏樹 田中 明 小河 靖昌 武田 亮二 片岡 正人 向原 純雄
出版者
南江堂
巻号頁・発行日
pp.1234-1237, 2008-11-01

48歳女性。患者は悪心、嘔吐、食欲不振、体重減少、間欠的腹痛を主訴に、はじめ著者らの施設にある内科を受診、腹部単純X線にて腸閉塞を指摘され、精査加療目的で外科へ救急入院となった。立位単純X線では多発する鏡面像と小腸の著明な拡張が認められ、更に腹部造影CTでは小腸の著明な拡張、管腔内の液体貯留、左卵巣の嚢胞がみられた。一方、イレウスチューブ造影では小腸に多発する狭窄を認め、狭窄部ではチューブ先端が翻転し、先進しなかった。保存的治療では限界があったため、イレウス解除術を施行する方針とし、これを行なった結果、手術所見では腸管子宮内膜症による腸閉塞が確認され、狭窄の強い部分のみ切除し、凍結骨盤となっていた子宮内膜症に対しては手術操作を加えなかった。
著者
竹中 一平 河原 純一郎 熊田 孝恒
出版者
日本基礎心理学会
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.42-56, 2012-09-30 (Released:2016-12-01)

In cognitive psychology, increasing task load impairs effortful processing such as selective attention and working memory operations (accessing/updating). However, it is unclear whether stress, which is assumed to be a factor that consumes cognitive resources, has a similar effect as task load on selective attention and working memory. Herein a literature review reveals that the apparently mixed findings with regard to working memory can be interpreted based on task load; the effect of stress emerges only with high task loads. In contrast, psycho-social stress tends to impair selective attention, but physical stress may improve it. Moreover, some recent studies have found that psycho-social stress interacts with perceptual load, suggesting that load and stress manipulations consume common cognitive resources.
著者
有賀 敦紀 河原 純一郎 渡邊 克巳
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第6回大会
巻号頁・発行日
pp.8, 2008 (Released:2008-11-10)

高速逐次視覚呈示した文字系列中に1000msの時間的な空白(中断)を挿入すると,中断直後で標的同定率が低下する(有賀・河原・渡邊,2007).この結果は,高速呈示状態に対して一旦調節された注意が,系列の中断によって初期状態に戻されたためであると考えられる.有賀らは,中断を挟む文字系列を一連のランダムドット系列に重ねて呈示すると,中断後も注意が維持されることを示した.本研究は,高速逐次系列の連続性の有無を操作し,注意の維持が系列の連続性に依存するのかを調べた.まず,文字系列とそれに重ねて呈示されるランダムドット系列が完全に同期していなくても,注意が維持されることを示した.しかし,中断期間のみにランダムドット系列を呈示すると,中断後の標的同定率は低下した.これらの結果は,注意を維持するためには中断の前後の系列が連続している必要があることを示唆している.
著者
井所 拓哉 山鹿 隆義 栗原 秀行 篠原 純史 秋山 淳二 石黒 幸司
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 第30回関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
pp.272, 2011 (Released:2011-08-03)

【目的】 National Institute of Health Stroke Scale(NIHSS)はt-PAの適応判断に用いられ,また在院日数や転帰,ADLとの関連性が報告されており急性期脳卒中リハビリテーションにおいて有用な包括的評価尺度である.しかし,ADL予後予測への応用を検討した報告は少なく,NIHSSからどのように判断するかは定かではない.本研究の目的はNIHSSを用いた急性期評価からADLの中でも重要な歩行自立の予後予測精度,判別基準について検討することである.【方法】 対象は2010年1月から10月に入院した脳卒中患者69例(平均年齢69.9±12.1歳,男性45例,女性24例,脳梗塞39例,脳出血30例).脳卒中病変がテント上以外,病前ADLがmodified Rankin Scale≧3,リハビリテーション治療継続に影響を与える重篤な合併症を有する者は対象から除外した.発症3日以内のNIHSSと急性期または回復期病院の最終退院時のFunctional Independence Measure(FIM)移動項目(歩行)の得点を後方視的に調査した.データの取り扱いについては,当院における個人情報管理の指針を遵守した. 統計学的解析として,歩行自立度はFIM歩行6点以上を自立群,5点以下を非自立群に分け,これら2群を従属変数,NIHSSおよび属性データ(年齢,性別,脳卒中病型,麻痺側)を独立変数としてロジスティック回帰分析(強制投入法)を行った.またNIHSSによる歩行自立の予測能を調べるためにROC曲線(Receiver Operating Characteristic Curve)を作成し,予測精度の指標であるROC曲線下面積(Area Under the Curve:AUC),カットオフ値を求めた.【結果】 対象者の急性期,回復期病院を合わせた入院期間は平均71.9±50.8日,NIHSSは中央値5(範囲1-39),歩行自立群は46例(66.7%)であった.ロジスティック回帰分析の結果,NIHSSのみが歩行自立の可否に関連する有意な独立変数であった(P = 0.0001).ROC曲線から求められたAUCは0.854(P = 0.009),Youden indexで算出した歩行自立のNIHSSカットオフ値は≦9(感度91.3%,特異度78.3%)であった.【結論】 脳卒中患者における発症早期NIHSSからの歩行能力の予後予測について検討した.ROC曲線解析より得られたカットオフ値から歩行自立可否を判別することで,概ね良好な予測精度を有することが示された.NIHSSは発症早期からの予後予測として歩行自立を判断するための評価尺度として有用と考えられた.