著者
吉田 伊津美 杉原 隆 森 司朗
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は、幼稚園における幼児の運動経験の内容およびその実態を明らかにし、運動指導の内容を運動能力との関連で検討することであった。43園を対象とした質問紙調査からは以下のことが明らかとなった。1.多くの幼稚園で子どもの健康・体力に対する意識を高くもっていた。2.約6割の園に体育専門の指導者がおり、保育者は運動を特別なものとして捉えその活動を専門の指導者にまかせる傾向がみられた。3.運動指導の内容は、体操やサッカーなどのスポーツなど特定の活動が中心であり、これらの活動は好きな遊びの時間などでは活発に行われておらず、指導時間限定の活動であることが示唆された。4.運動会は、半数の園は普段の遊びの延長として行なわれ、残りの半数の園では特別な出し物を披露する行事として行われており、保育時間にそのための練習が行われていた。一方、4園を対象に行なった保育場面の観察により以下のことが明らかとなった。1.一斉保育を中心としている園では、全体的に子どもの活動に対する選択の自由度が低く、動きのバリエーションも少ないという保育形態の違いによる子どもの運動経験の違いが示唆された。このことが運動能力の低いことと関連しているものと思われる。2.一斉活動における保育者の運動指導はどの子にも画一的に一様の指導が行われていた。3.運動能力の高低によらず幼児の活動の中には高い運動強度のものはほとんどみられなかった。このことから幼児期には高い運動強度の活動は必要なく、からだを多様に動かすことが運動発達に影響していることが示唆された。保育者は遊びの重要性を意識し、遊びを通しての教育を実践していく必要がある。また、活動を中心とするのではなく、子どもの経験を重視した保育内容を計画していくことが大切である。
著者
菅沼 雅美 葛原 隆
出版者
埼玉県立がんセンター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

ピロリ菌が分泌する発がん因子Tipαの受容体としてヌクレオリンを同定した。ヌクレオリンは本来核小体に局在するタンパク質であるが、胃がん細胞では異常に細胞表面に局在したヌクレオリンがTipαの受容体・輸送体として機能し、TipαによるTNF-α遺伝子発現亢進に関与することを明らかにした。胃がんの発症過程でヌクレオリンが細胞表面に異常に局在した細胞にTipαが作用してがん化を促進すると解釈する。ヌクレオリンとTipαとの相互作用は新しい胃がん発症機構である。
著者
菅原 隆
出版者
八戸工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

苛酷環境下におけるコンクリートの耐久性を向上させる事はコンクリートの研究者にとって至上命題となっている。寒冷地における歩車道ブロックは凍結融解の作用や凍結防止剤の散布により表面剥離や崩壊などの被害が急増している。ここでは、コンクリート製品の一つである歩車道ブロックを対象として、コンクリートの耐久性を向上させる要因を明らかにすることを研究目的として、申請計画書に基づいて各種実験・研究を行った。3年間に亘って研究を行った結果をまとめると次のようなことがいえる。(1)コンクリート工場製品に透水型枠工法が適用できるかどうかについて検討した。試作した透水型枠と透水性シートを組み合わせることでコンクリートの表層部を強化でき、品質の良いコンクリートを製作できることがわかった。(2)透水型枠工法によって製作した歩車道ブロックの表面は透水性シートを使用した事により綺麗さが格段に向上した。また、水セメント比の低下や表層部の緻密化によってコンクリート表層部が強化され、凍害に対する劣化が抑制されることを明らかにした。(3)塩化物の浸入によるスケーリング抵抗性も透水型枠工法を用いることで向上し、歩車道ブロックの上面・側面ともにスケーリング量は大きく減少することを明らかにした。(4)コンクリート工場製品にかかわらず、コンクリート構造物の高耐久性、高機能性を考慮した時には透水型枠工法が有効な工法の一つである事を明らかにした。以上のように、凍害や塩害などを受けやすい苛酷な環境下にあるコンクリートはその表層部を強化してやることで劣化を抑え、かつ耐久性を向上させる事ができる事を明らかにした。また、透水型枠工法はコンクリート工場製品やコンクリート構造物などの表層部を強化できる有効な手法の一つであることも明らかにした。
著者
戸波 江二 古野 豊秋 畑尻 剛 小山 剛 栗城 壽夫 近藤 敦 實原 隆志 光田 督良 鈴木 秀美 小山 剛 藤井 康博 上村 都 丸山 敦裕 浮田 徹 古野 豊秋 押久保 倫夫 門田 孝 大森 貴弘 有澤 知子 赤坂 正浩 嶋崎 健太郎 渡辺 康行 根森 健 畑尻 剛 石村 修 中西 優美子 工藤 達朗
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

憲法および憲法学が現実の政治や社会に対して、また、他の法学・社会科学の分野に対してどのような規範的な力を発揮しているか、発揮すべきかについて、他分野の研究との交流、憲法の歴史的発展、外国との比較研究を通じて解明した。日本国憲法は、戦後の政治・社会において基本法としての規範力を発揮し、戦後日本の展開を支えてきたこと、民事法、刑事法の分野でも憲法が浸透し、憲法ないし憲法学との相互交流の動きがでてきている。
著者
前川 卓也 原 隆浩 西尾 章治郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.114, pp.1-7, 2004-11-11
被引用文献数
1

筆者らはこれまでに,複数のモバイルユーザのための協調Webブラウジングシステムを開発している.協調Webブラウジングシステムは,筆者らが提案したコンテンツ記述方式で記述されたメタデータをもつWebページを分割し,分割したページを互いに近くにいる複数のモバイルユーザに割り当てる.これにより,ユーザは1つのモバイル端末だけでは閲覧できない情報量の多いページを,協調して閲覧できる.本稿では,これまでに開発したシステムにおいて,通常のHTML形式のWebページからメタデータを自動的に生成し,ページを分割する機構を実現する.またこれまでのシステムでは,ユーザが分割前のページの構造を把握するために,ページのオーバービューをテキストベースで提供していた.本稿では,元のページのスクリーンショット画像を用いてイメージベースのオーバービューを提供する機構を実現する.In our previous work, we have developed a collaborative web browsing system for multiple mobile users. The collaborative web browsing system divides a web page in which the metadata are written by our proposed content description method and allocates the divided partial pages to multiple mobile users. By doing so, users can collaboratively browse web pages of large volume, e.g., those designed for desktop PC. In this paper, we enhance the developed system by implementing a mechanism to automatically generate the metadata from conventional HTML pages. In addition, the enhanced system provides image-based overviews made from snapshots of the original web page while the previous system provides only text-based overviews for users to grasp the structure of the page.
著者
北島 信哉 原 隆浩 寺田 努 義久 智樹 西尾 章治郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.88, pp.103-108, 2008-09-14

近年,サーバが PDA やスマートフォンなどのモバイル端末にデータベースの内容を周期的に放送する放送型データベースシステムが注目されている.放送型データベースシステムにおける問合せ処理手法としては,オンデマンド型方式,クライアント型方式,協調型方式の 3 方式が考えられる.これらの方式は電力消費に差があり,また,モバイル端末では利用できる電力に限りがある.そこで本稿では,モバイル端末を用いた実機評価により消費電力の特性を明らかにする.さらに,モバイル端末の電力残量を考慮し, 3 方式の中から動的に処理方式を選択する手法を提案する.In recent years, there has been an increasing interest in a broadcast database system where the server periodically broadcasts contents of a database to mobile clients such as PDAs and smartphones. There are three query processing methods in the broadcast database system. Generally, mobile clients have limits in power consumption, i.e., battery, and each of the three methods consumes different amount of power for query processing. In this paper, we reveal the characteristics of power consumption by conducting a preliminary experiment on the implemented prototype, then propose a new query processing method which dynamically chooses a query processing method among the three query processing methods considering energy consumption.
著者
飛田 健次 小西 哲之 西尾 敏 小迫 和明 田原 隆志
出版者
社団法人プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.77, no.10, pp.1035-1039, 2001-10-25
被引用文献数
4

A new concept of fusion reactor design is proposed to minimize the radioactive waste of the reactor. The main point of the concept is to clear massive structural components located outside the neutron shield from regulatory control. The concept requires some reinforcement of shielding with an advanced shield material such as a metal hydride, detriation, and tailoring of a detrimental element from the superconductor. Our assessment confirmed a large impact of the concept on radwaste reduction, in that it reduces the radwaste fraction of a fusion reactor A-SSTR2 from 92wt.% to 17wt.%.
著者
伊藤 雅弘 中山 浩太郎 原 隆浩 西尾 章治郎
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.24, 2010

近年,Wikipediaが知識抽出のためのコーパスとして注目を集めている.一方で,記事によっては誤った記述や虚偽の記述がなされており,記事の信頼性が問題となっている.そこでWikipediaのコンテンツの信頼性向上が必要とされている.本研究では,Wikipediaの記述の言語解析とWeb検索エンジンによってWeb上の情報を用いることで,Wikipediaの記述の信頼性を評価する手法を検討する.
著者
Loh YinHuei 原 隆浩 塚本 昌彦 西尾 章治郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.203, pp.61-66, 1999-07-23

近年, 無線通信技術の急速な発展により, 移動体計算環境が普及しつつある。移動体計算環境では, 無線の通信範囲の制限や移動体の省電力などのために, サイト間の断線が頻繁に発生する。断線した複数のサイトにおいて, 同一データの複製を更新するトランザクションが同時に実行されると, そのデータの一貫性が損なわれてしまう。そこで本稿では, サイトの断線時に, トランザクションの発生確率とホスト間の断線時間により, データベースの更新制御法をトークン手法と楽観手法のいずれかから動的に選択する手法を提案する。トークン手法では, 断線時に, トランザクションの実行権利を唯一のサイトに与えることで複製間の一貫性を保証する。一方, 楽観手法では, 複数の断線したサイトで同時にトランザクションを実行でき, 再接続時に更新操作の衝突を検出すれば, 一部のトランザクションをロールバックする。
著者
水谷 郷一 幕内 博康 町村 貴郎 島田 英雄 菅野 公司 森屋 秀樹 堀江 修 宋 吉男 杉原 隆 花上 仁 佐々木 哲二 田島 知郎 三富 利夫
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.82-86, 1993-01-01
被引用文献数
12

われわれは4例の特発性食道破裂を経験しその臨床的検討を加えたので報告する.年齢は40〜63歳ですべて男性であり,4例ともに飲酒後の嘔吐を契機にして発症した.初診時に診断できたものは4例中1例のみであり,他の3例は正診できなかった.治療は1例が保存的に他の3例は手術を施行した.手術を施行した1例が敗血症で死亡したが他の3例は軽快退院となった.診断に際しては本疾患の認識が最も重要であり,胸部X線写真,胸部computed tomography(以下:胸部CTと略す),ガストログラフィンを用いた食道造影を早期に行うことが大切である.また治療は,1)破裂孔が比較的小さい.2)破裂が縦隔内にとどまっている.3)縦隔内の汚染が軽度である.4.胃内容が持続的に逆流しない4つを満たすものは保存的治療とし,それ以外の症例は手術により穿孔部の閉鎖,胸腔および縦隔内の洗浄,確実なドレナージを行うことが原則と考えられた.
著者
坂元 英知 市原 隆洋 原田 理恵 太田 隆介 小川 和久 瀬々 良介 香川 豊宏 田代 陽美子 三輪 邦弘 和田 忠子 湯浅 賢治
出版者
福岡歯科大学学会
雑誌
福岡歯科大学学会雑誌 (ISSN:03850064)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, 2001-12-30

【目的】CT検査において,照射するX線量は検査部位を基準に決定され,被写体の大きさは考慮されていないのが一般的である。しかし,被写体の大きさに画質は影響をうけると考えられる。そこで,検査部位のみならず,被写体の体厚を考慮した線量の適正化とその有用性について検討を行った。【対象・方法】CT(GE横河社製:Lemage Supreme)を使用し,胸・腹部用ファントム(京都科学標本社製)の厚みと線量を変化させてCT撮影を行いそれを指標とした。患者(2001年6〜9月:160人)は,腹部領域の画像を使用,それぞれの体厚とCT値の標準偏差を計測,そのデータより患者の至適線量,体厚における線量比を推測した。またその線量の変化におけるX線管球冷却時間の計測を行った。【結果】1, 両者の体厚における標準偏差値の差は0.5で平行な右上がりの直線を示した。2, 体厚が28cm以下の患者撮影線量は20〜35%減少した。3, 線量の減少に伴い,X線管球冷却時間は短縮した。【まとめ】以上の結果1, 画質の均一化2, 患者の照射線量の減少3, 管球冷却時間の減少(患者待ち時間の短縮)4, 管球の長寿命化5,病院収益の向上が考えられる。
著者
實原 隆志
出版者
長崎国際大学
雑誌
長崎国際大学論叢 (ISSN:13464094)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.143-153, 2007

雇用状況の変化に対応する社会保障制度にはいくつかのものがあるが、基本所得制度はそのうちの一つである。基本所得制度については活発な議論が続いているが、その根拠の問題についてはあまり検討されていない。基本所得制度の前提問題として法律的な問題と基礎理論的な問題を解決する必要がある。