著者
佐古 和恵 米沢 祥子 古川 潤
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.410-416, 2006-04-15

セキュリティのために本人確認がいたるところで行われているが,これは誰がどこで何をしていたかという情報が管理されてしまうことになり,プライバシの問題を引き起こしかねない.そこで,本稿では,セキュリティとプライバシの両立を考慮した匿名認証技術について,グループ署名と呼ばれる暗号プロトコルを中心に紹介する.
著者
佐々木 香苗 今田 拓磨 伊藤 和枝 古賀 里利子 坂田 利家 曲田 清彦 浦田 宏二
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.227-234, 2004-08-01 (Released:2010-02-09)
参考文献数
24

The intake of dietary fat, especially saturated fatty acid, has noticably increased in Japan as a result of the Westernization of eating habits. Itoh et al. have shown that the postprandial insulin release in healthy young women was stimulated by meals rich in saturated fatty acids (SFA). Vanadium is known to be a trace element that mimics the biological effect of insulin. The objective of this present study was to evaluate the effect of mineral water containing vanadium on the insulin insensitivity induced by a diet rich in SFA.Twenty healthy young women participated in this crossover study. We used two kinds of mineral water containing approximately 60μg/l of vanadium (water A and B). The subjects were assigned to two groups of 10 subjects each forrespectively ingesting water A and water B. Vanadium-free mineral water was used as a control. Each subject ingested each type of water and a diet rich in SFA for 8 days. Fat constituted 30% of the total energy in the ratio of saturated fatty acid (S): monounsaturated fatty acid (M): polyunsaturated fatty acid (P)=5:4:1. On the last day, the plasma glucose level and serum insulin, triglyceride, and free fatty acid levels were measured at 0, 30, 60 and 120min after the evening meal.Water A reduced the serum insulin level in comparison with the control value 120min after the meal. A similar effect was observed with water B. The postprandial plasma glucose level showed no significant difference between the control and mineral water containing vanadium.Our results suggested that mineral water containing vanadium had a beneficial effect on the insulin insensitivity induced by a diet rich in SFA.
著者
角田 孝彦 山本 雅章 三橋 善比古 野村 和夫
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.81-86, 1981 (Released:2010-06-04)
参考文献数
23
被引用文献数
1

青森県のシソ栽培農民において手指を中心とする皮膚炎を経験し, 患者6例, 対照10例にシソの葉とその抽出液, 使用農薬, 無農薬の葉などのパッチテストを施行した。患者では, 農薬使用のシソの葉で6例中5例陽性, シソの葉のアルコール抽出液は6例全て陰性, 使用農薬では被検5例全て陽性, 無農薬のシソの葉とアオジソの葉は被検5例全例陰性であった。今回の皮膚炎の原因は, 葉に残留した農薬の可能性が最も高いと推定した。
著者
増田 研 深井 明比古
出版者
長崎大学多文化社会学部
雑誌
多文化社会研究 = Journal of Global Humanities and Social Sciences, Nagasaki University (ISSN:21891486)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.29-53, 2019-03-18

日本と東アフリカのあいだのヒト、モノ、情報の交流は、いわゆる「日本-アフリカ交流史」として1960年代から少しずつその実態が明らかにされてきた。なかでも近代の人的交流については多くのことが判明しており、九州北部地域出身の人々がすでに明治時代から東アフリカに居住していたことが分かっている。本研究は日本-アフリカ交流史の探求において手薄であった「モノの交流」を明らかにする取り組みの一環として、日本製タイルの流通に着目するものである。筆者らは2017年から2018年にかけてタンザニアのウングジャ島(ザンジバル)にて日本製タイルが墓地やホテルにおいて使用され、かつ、骨董品として流通している状況を確認し記録した。こうした日本製タイルの多くは大正時代から昭和初期にかけて淡路島や名古屋、岐阜で生産されたものである。本論文ではそうしたタイルの「身元」を、考古学的手法を用いて同定し、その使用実態を記述することを通して、20世紀前半に日本製タイルが東アフリカにまで流通していたことを主張する。
著者
増田 研 深井 明比古
出版者
長崎大学多文化社会学部
雑誌
多文化社会研究 = Journal of Global Humanities and Social Sciences, Nagasaki University (ISSN:21891486)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.305-317, 2021-03-23

長崎市南山手の旧レスナー邸は明治中期に建築された、長崎洋館群の一画をなす建物である。この建物の玄関部ポーチに敷かれたタイルについてはいくつかの文献において紹介されているが、その由来については不明なままであった。本稿はこの玄関部ポーチで用いられたタイルを詳細に記述し、長崎における洋館建築史への一助としたい。また、玄関ポーチのタイルについては損傷が著しく、保存や修復のためにもその現況を詳細に記していくことが必要である。“Sigmund Lessner’s House” is a western-style building constructed in the Meiji era (late 19 c). While its floor tiles used at the entrance porch were introduced in several publications, no details were mentioned. This is a brief report of our preliminary research conducted in February 2020 to record a detailed description. We found four types of ceramic tiles used, among which several types are made in Belgium and others are made in Japan. The made-in-Japan tiles are products of Awaji-seito factory of Awajishima (Hyogo prefecture) that are not well-known even among the study of industrial history of ceramic tiles. Our research also discovered the floor tiles are so damaged that an engineering assistance to preserve the historical heritage is recommended.
著者
古歌[作詞]
出版者
ビクター
巻号頁・発行日
1942-04
著者
中芝 健太 橋本 英樹 古井 祐司
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.155-164, 2021-07-08 (Released:2021-07-13)
参考文献数
20

企業活動において従業員の健康への投資のあり方を模索する「健康経営」が注目を集めている。しかし,その目的や意義について健康経営の取り組みを行うステークホルダー間で共通見解・統一的定義が存在するわけではない。本研究では,健康経営という概念の背景として,産業保健における健康管理の発展,企業に対する投資の環境整備,保険者による医療費適正化という少なくとも三つの流れがあることを確認したうえで,「健康経営」を巡り行政・民間それぞれのステークホルダーが目指すものと,「健康経営」活動を評価するため提案された既存尺度の測定項目との整合性について考察した。主要な政策的ステークホルダーとして,経済産業省ヘルスケア産業課,厚生労働省保険局ならびに厚生労働省労働基準局を挙げ,それぞれの政策意図と「健康経営」の捉え方を既存資料から解釈した。また,「健康経営」の取り組みを実際に展開する民間・準民間ステークホルダーを政策的ステークホルダーに対応する形で整理し,それぞれの取り組みの性質や目的の違いを描出した。そのうえで,健康経営に関わる主要な評価指標として三つの尺度を取り上げ,測定される項目の異同や解釈について比較検討した。以上の作業を通じて,「健康経営」のコンセプトを意義ある実践につなげるためには,実施主体の目指す価値に応じて「健康経営」の目的を明示的に設定したうえで,評価尺度や評価項目を戦略的に選択・測定・解釈することが必要であると考えられた。
著者
木幡 義彰 宮原 健夫 清水 直樹 渡辺 浩一 内山 和郎 井川 守仁 篠原 靖 白鳥 泰正 窪田 良彦 竹下 俊隆 宮岡 正明 斉藤 利彦 古畑 総一郎 木下 剛 福武 勝秀
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:03899403)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.211-214, 1993-12-01 (Released:2015-07-15)
参考文献数
10
被引用文献数
1

症例1は51歳男性。腹痛を主訴に入院した。腹部X線検査にて横行結腸と思われる部位に針様陰影を認め,停滞したため大腸内視鏡検査を施行し,生検鉗子を用いて横行結腸より縫い針を摘出した。症例2は61歳女性。義歯誤飲にて受診した。腹部X線検査にて上行結腸に異物を認め,大腸内視鏡検査を施行し,生検鉗子およびポリペクトミー用スネアを用いて義歯を摘出した。症例3は59歳男性。自慰行為にて肛門から挿入したバイブレーターが抜去困難となり受診した。大腸内視鏡検査を施行し,スネアを用いて摘出した。3例とも摘出による合併症の出現はなかった。異物は時に消化管穿孔や出血などをひき起こし,外科的処置が必要となる場合がある。内視鏡的異物摘出は上部消化管においては普及しているが,下部消化管ではまれである。大腸異物の内視鏡的摘出は安全かつ有用な手技であると考えられた。
著者
髙村 正造 鈴木 勇己 荻原 真我 古市 生 渡邊 千夏子
出版者
一般社団法人 水産海洋学会
雑誌
水産海洋研究 (ISSN:09161562)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.79-88, 2020-05-25 (Released:2022-03-17)
参考文献数
30

相模湾および相模灘海域で漁獲されたマアジについて,雌雄の生殖腺の組織学的観察や生殖腺重量指数(GSI)に基づいて,性成熟や産卵期などを調べた.GSIの月別変化から,雌雄ともに3–9月にGSIの高い個体が出現し,雄は5月,雌は6月にGSI平均値が最大となった.生殖腺の組織学的観察結果から,雄では精子で充たされた精巣を持つ個体が3–7月に,雌では胚胞(核)移動期および成熟(吸水)期の卵を持つ個体が4–7月にそれぞれ出現した.当該海域における最小成熟年齢は,雄では0歳,雌では1歳であるとともに,雄では11歳,雌では23歳の成熟個体も認められた.半数成熟尾叉長は雄では188.2 mm,雌では230.6 mmであり,雄は雌よりも小型・若齢で成熟することが示唆された.年齢とGSIの関係から,高齢魚ではGSIが低下する傾向が認められたが,当該海域の本種は初回成熟・産卵後から10年以上に渡って産卵に寄与し続けていると考えられた.
著者
和田 久泰 藤井 秀比古 清島 満 斉藤 邦明 山田 泰弘 関川 賢二 和田 久泰
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

動脈硬化病巣にはコレステロールの蓄積を中心として,マクロファージ,平滑筋細胞,Tリンパ球などが存在しており,これらの細胞群は種々のサイトカインを分泌している.従って,これらのサイトカイン,とりわけproinflammatory cytokineであるTNF-α(tumor necrosis factor-α)は動脈硬化の発症,進展に深く関与していると想定される.しかし,現在までのところ動脈硬化に対するTNF-αの関与を直接的に証明した成績は認められない.本研究では,TNF-αノックアウトマウス(TNF-αKO)とアポリポ蛋白E(ApoE)ノックアウトマウス(ApoE KO)を交配させることによって樹立したダブルノックアウトマウス(TNF-α/ApoE KO)を用い,動脈硬化発症におけるTNF-α.の役割を直接的に証明した.ApoE KOとTNF-α/ApoE KOの血清コレステロール値はWild-type(C57BL/6J)に比べて著明に上昇し,超低比重リポ蛋白(VLDL)コレステロールがその主体を占めていた.しかし,ApoE KOとTNF-α/ApoE KOとの間に有意な差を認めなかった.一方,大動脈基部における動脈硬化病変の大きさを比較すると,TNF-α/ApoE KOはApoE KOに比して動脈硬化病変が有意に減少していた.さらに,大動脈におけるRT-PCR分析および免疫染色により,接着因子(ICAM-1,VCAM-1)やケモカイン(MCP-1)の発現が,ApoE KOに比べTNF-α/ApoE KOにおいて有意に少ないことを認めた.以上の成績より,TNF-αは接着因子やケモカインの発現を誘導してマクロファージの接着・遊走を促進し,動脈硬化病変の形成に促進的に働いていることが示された.
著者
古川 力丈 奥村 恭男 渡辺 一郎 園田 和正 佐々木 直子 磯 一貴 高橋 啓子 大久保 公恵 中井 俊子 國本 聡 平山 篤志
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.47, no.SUPPL.2, pp.S2_93-S2_100, 2015 (Released:2016-12-16)
参考文献数
8

症例1 : 74歳男性. 繰り返す上室頻拍のため, 心臓電気生理学的検査 (EPS) を行い, slow-intermediate型の房室結節回帰性頻拍 (AVNRT) が誘発された. 解剖学的遅伝導路 (SP) 部位に対して焼灼を行ったが, その後もAVNRTが誘発されるため, 冠状静脈洞 (CS) 内およびSPの左房側より通電したところ誘発不能となった. 症例2 : 77歳女性. 動悸のため来院. 動悸時の心電図ではRR間隔が交互に変化する上室頻拍を認めた. EPS上, 室房伝導はなく, 洞調律1拍に対してAH間隔の異なる心室応答が2拍出現したことにより, 房室二重伝導路によるdouble ventricular response (DVR) と診断した. 右房側より解剖学的SP部位を焼灼したが無効であり, CS内, 左房側より通電しDVRは消失した. 後日再発したため, 再度EPSを行った. 解剖学的SP, CS内, 左房側より通電したが, DVRの消失には至らなかった. 通電により, 一時的にWenckebach型房室ブロックとなったため, それ以上の通電を行わず終了した. 通電は不十分であったが, 現在は頻拍の再発なく経過している.