著者
向井 務 村田 英一 吉田 進
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers. B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.85, no.12, pp.2080-2086, 2002-12-01
被引用文献数
25

近年,ユニバーサルアドホックネットワークや,無線アドホックネットワークとして研究されているマルチホップ自律分散無線ネットワークは,インフラを必要とせず自律的にネットワークを形成する技術である.マルチホップ無線ネットワークでは端末間で通信を行うため,送受信端末間の通信距離を短くすることが可能である.そのため,端末が自律的に適切な中継端末と通信チャネルを選択することができれば,周波数繰返し距離が短くなるため周波数利用効率が高いシステムとなりうる.本論文では多数の端末が存在する環境を仮定し,チャネル選択アルゴリズムの提案を行い,マルチホップ無線ネットワークの周波数利用効率と送信電力の検討が行われている.その結果,簡易に算出したセルラネットワークの周波数利用効率,総送信電力特性との比較では大幅な劣化は見られず,マルチホップ自律分散ネットワークの可能性が示されている.
著者
瀬戸 和明 吉田 茂二郎 今永 正明
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学農学部演習林報告 (ISSN:03899454)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.1-10, 1995-10-20

近年日本でも,地理情報システム(GIS)が森林経営に応用されるようになってきている。この研究の目的は,GISを鹿児島大学佐多演習林に応用することとこのGISの有効性を評価することにある。この研究では,テラソフト(ビジュアルサイエンス社)が利用された。各小班ごとの森林情報を基礎にデータベースが構築され,森林基本図,林分表,地形,および道路がこのデータベースに納められている。この研究では,地図に関する問題,すなわち現行の森林基本図はGISの精度に耐えるものではないことが指摘された。現在,各県の林務課はこのGISを県の森林経営管理に応用することを計画しているが,筆者らは完全な地図の整備を行うことが先決であると考える。
著者
吉田 武義 大口 健志 阿部 智彦
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.44, pp.263-308, 1995-11-30
被引用文献数
22

新生代東北本州弧における火山岩組成の時間的・空間的変遷を検討した結果, それらを供給した島弧下マントルウェッジには3種の起源マントル物質, (1) エンリッチした大陸性マントルリンスフェア, (2) 島弧性最上部マントルリソスフェア, (3) 枯渇した島弧性アセノスフェアが存在していたことが確認された。東北本州弧, 陸弧活動期(〜21 Ma)には, 大陸性マントルリンスフェアが特に背弧側マグマ起源マントルを構成しており, その上部の最上部マントルに地球化学的不均質性の著しい(島弧性)最上部マントルリンスフェアが分布していた。背弧海盆拡大に関連して, 背弧側深部に島弧性の枯渇したアセノスフェアが侵入し, 背弧側のマントル内温度が上昇した結果, 背弧側最上部マントルを構成していた島弧性マントルリソスフェアが溶融して, 火山弧を火山フロント側から背弧側へと横切る広域組成変化傾向が不明瞭となった。その後, 背弧側マントルの温度低下と, 火山フロント側最上部マントルの温度上昇が続き, 背弧側ではより深部に位置していた, 枯渇した島弧性スピネルカンラン岩質アセノスフェアに由来するマグマが分離上昇を始め, 火山フロント側ではよりエンリッチした斜長石を含むカンラン岩からなる, 最上部マントルリンスフェア由来の低アルカリソレアイトが分離上昇して, 第四紀火山活動を特徴づける組成の広域変化が形成された。第四紀における火山フロント側および背弧側マグマ起源マントルはそれぞれ, マントルウェッジ内で地震学的に認められる火山フロント側低速度域と背弧側低速度域に対応している。両者の間には組成不均質性があり, 中期中新世以降, 少なくとも同位体組成的には均質化していない。
著者
鶴丸 弘昭 城戸 健雄 日高 達 吉田 将
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション
巻号頁・発行日
vol.95, no.429, pp.47-54, 1995-12-15
被引用文献数
1

本稿は国語辞典の語義文に現れる機能表現について調査・整理したものである。機能表現は,語義文の末尾に現れ,語義文から定義語,および,定義語と見出し語との間の階層関係を求める際に意味情報(ρ_<FE>)を与えるものである。調査対象は主として新明解国語辞典^<(1)>の語義文であるが,他の同様な辞典(旺文社^<(2)>,岩波^<(3)>,角川^<(4)>)も参考にしている。約一万の語義文^<(1)>のなかて,機能表現を含んでいる語義文は約1,500文であった。調査結果は,表1,表2,表3にまとめて示している。
著者
岡田 光正 吉田 勝行 柏原 士郎
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
no.169, pp.79-86, 95, 1970-03-30
被引用文献数
1

In this paper, we report such results of time studies about hospitals, parking places and railway stations as follows. 1. a. At Osaka Univ. Hospital, the number of patients entering this hospital is 1, 929. The peak of arrival is between 9 : 30 and 9 : 35 and the ratio of concentration in 30min. is about 20%. Here, the ratio of concentration is proportion of number of persons entering in 30min. to total accumulation in one day. b. At Osaka City Univ. Hospital, the number of patients entering this hospital is 658. The ratio of concentration in 30min. is about 26%. 2. a. At Nagahori parking place in Osaka, the number of cars entering this parking place is about 1, 500. The ratio of concentration in 60min. is about 13%. b. At Azuchimachi parking place in Osaka, the number of cars entering this parking place is about 500. The ratio of concentration in 60min. is about 14%. 3. a. At. Osaka City underground railway stations, the ratio of concentration in 60min. is about 25%. b. At Japan national railway stations, the ratio of concentration in 60% is about 17%.
著者
古山 富士弥 吉田 俊秀 熊崎 路子 大原 孝吉
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.415-423, 1988-04-15

Wistar系ラットの体温調節能力について系統差を,とくに温熱性唾液分泌と体水分利用効率との関連において検討したので報告する. 8系統のWistar系ラットを,42.5℃-40%RHの人工気候室においたところ,体温調節能は比較的すぐれた系統と,高温非耐性の系統があったが,Crj: Wistarが最もすぐれていた. 小型ですぐれた高温耐性の系統もあり,高温耐性に特異的に貢献する機構の存在が示唆され,その一つは温熱性唾液分泌であった. 温熱性唾液分泌は,顎下腺の大きさには依存しなかった. 体温調節能の高い系統が温熱性唾液分泌および唾液塗布をおこなっているときには,体水分利用効率は高く,体温調節機構と水-浸透圧調節系の協調による高体温抑制が示唆された.
著者
細谷 好志 若林 真一 小出 哲士 吉田 典可
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.47, pp.89-90, 1993-09-27

ネットワーク管理における重要な問題の1つに最短経路木更新問題がある.特に各通信リンクの負荷晴報をコストと考えた場合に最短経路木更新問題を解くことは,メッセージを送る経路を決定する際に混雑した経路を避けるという意味で有用である.オンラインシステムではネットワークのトポロジが頻繁に変化するため,その都度最短経跨を更新する必要がある.動的ネットワークにおける最短経路木更新問題はこれまでにも多くの研究がなされてきた.特に,アルゴリズムの実行中でもトポロジの変化を許す場合,いつかはネットワークのトポロジ変化が安定するという仮定のもとでいくつかのアルゴリズムが提案されている.一般にメッセージ複雑度と空間計算量はトレードオフの関係にあり,さらにメッセージに持たせる情報を少なくすれば,一時的に経路木中にサイクルが生じるなどして各プロセスが正しい情報を保持するまでに時間がかかったり,ネットワークが非連結になった場合に正しい更新が保証されない.文献では,静的ネットワークのアルゴリズムを動的ネットワークに適用する手法として,トポロジの変化ごとにアルゴリズムをリセットして再起動させているが,その手法だとそれまでに集められた情報が無駄になってしまう.本稿では,少ない局所情報及びメッセージ情報によって,分散最短経路木更新問題を効率良く解くイベントドリプンアルゴリズムを提案する.
著者
吉田 育弘 山本 洋一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EID, 電子ディスプレイ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.312, pp.13-18, 2001-09-10

液晶ディスプレイの高階調化について検討した。ディスプレイは、一般にR:G:B=8:8:8bitsの階調性があれば一定の画質レベルが得られるとされているが、高画質を得るためにはより高い階調性が必要とのレポートもある。ここではR:G:B=10:10:10bitsの液晶ディスプレイを試作し、疑似輪郭の見えについて実験を行いつつ、実験結果を視覚特性の観点から考察した。R:G:B=8:8:8bitsのシステムでは、SN比の高いなめらかな面に明らかな疑似輪郭を感ずる。R:G:B=10:10:10bitsのシステムでは、同様の輝度傾斜を持つ面では疑似輪郭を感じなくなるが、よりなだらかな面では未だわずかな疑似輪郭が残る。これら疑似輪郭の見えには、視覚の空間周波数特性や差感度特性、さらに、順応効果などが関連していると思われる。今後高画質のディスプレイシステムを検討するには、少なくともこれらの視覚特性に関連する条件を定義する必要があると考えられる。
著者
多賀 光彦 田中 俊逸 吉田 仁志
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.400-405, 1980-06-05
被引用文献数
3

つり下げ式水銀滴電極中に電解された銅が2.5×10^<-5>mol dm^<-3>のヨウ化物イオンを含む溶液中に溶出されるとき,銅の溶出波は約4倍に増大し,ヨウ化物イオンによる増感効果が認められた.波高は電位掃引速度によって影響を受け2mVs^<-1>のとき最大値を示した.検量線は前電解時間を5minとしたとき(5×10^<-8>〜7×10^<-7>)mol dm^<-3>の範囲で直線となり,1×10^<-7>mol dm^<-3>のときの5回の測定による相対標準偏差値は約3%であった.検出限界は前電解時間を10minとしたとき0.2ppbであった.ヨウ化物イオンによる増感効果を利用する本法は,塩化物イオン中の銅の定量を容易にした.銅の溶出波は1×10^<-2>mol dm^<-3>の塩化物イオンの共存により不明りょうとなり,波高と濃度との比例性も悪くなるが,ヨウ化物イオンの添加によって溶出波は明りょうとなり,比例性も回復した.
著者
吉田 光広
出版者
地学団体研究会
雑誌
地学教育と科学運動 (ISSN:03893766)
巻号頁・発行日
no.4, pp.18-19, 1975-07-04

丹波団研の中の一専門別グループとして,コノドントグループが発足したのは,今から5年前のことである.最初,層状チャートの内部堆積構造の研究の際,堆積物の一要素としてしか認められなかったコノドント化石は現在,主に化石に乏しい日本各地において,有力な示準化石として研究が進められている.丹波団研でも,丹波帯の地質構造が徐々に解明されるにつれ,その地質年代決定の必要性が内部からあがり,今日のグループ発足をみたのである.以下,コノドントグループの5年間の活動を4つの時期に分けて述べる.