著者
秋山 由美 齋藤 悦子 榎本 美貴 辻 英髙 近平 雅嗣 吉田 昌史
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.87, no.6, pp.721-725, 2013-11-20 (Released:2015-02-18)
参考文献数
13

3種のBordetella 属菌(B. pertussis,B. parapertussis,B. holmesii)の同時検出をコンベンショナルPCR 法で試みた.4 種の挿入配列遺伝子(IS481,IS1001,IS1002 およびhIS1001)を増幅ターゲットとする 4 組のプライマーを混合したマルチプレックス法で,選択的な検出が可能となった.検出限界は 3 種の Bordetella 属菌の各 DNA 濃度として 5fg/μL であった.なお,低濃度のB. pertussis とB. holmesii の確認には,LAMP 法も併用した. 本法を 2012 年度に感染症発生動向調査の定点医療機関から百日咳疑いで搬入された病原体検査の 42 検体(咽頭ぬぐい液 23 件,鼻腔ぬぐい液 19 件)に適用し,12 検体から B. pertussis を検出した.このうち 8 検体は,保育所を中心とする集団発生事例のものである.病原体サーベイランスにおいて,本法は 3 種の Bordetella 属菌の検査を同時にかつ低コストで行うことができた.
著者
斎藤 飛鳥 森 一華 吉田 俊久
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.75-78, 1998
被引用文献数
1

大学、教員養成学部における安全教育には、一般論として (1) 災害に対処するため、(2) 学生が教諭になった時、児童・生徒の安全を確保するため、そして科学教育に関して学生が (3) 講義、演習、観察・実験の履修のため、 (4) 教諭になった時、児童・生徒に観察・実験を指導できるため、のものがある。本報告では主に、化学系実験教育について (3) と (4) をまとめる。学生が実験を実体験できるならば、それに勝るものはないが、教員養成学部はスタッフ、スペース、予算、ともに学生数に較べて少ない。多数の学生への化学実験実施で安全教育を行うことは困難なので、講義の中で簡単な安全実験教育を試みた。
著者
寺田 忠史 藤本 勝彦 野村 誠 山下 純一 / 小武内 尚 武田 節夫 南 慶典 吉田 健一郎 山口 秀夫 山田 雄次 Yuji YAMADA
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.907-912, 1993-05-15 (Released:2008-03-31)
参考文献数
58
被引用文献数
6 10

1-β-Alkyl derivatives of 1-desoxypodophyllotoxin were synthesized, and their cytotoxicity and inhibitory effects on DNA topoisomerase II (Topo-II) and tubulin polymerization were examined.The reaction of epipodophyllotoxin derivatives (1a-c) with trimethylallylsilane in the presence of boron trifluoride etherate gave 1-β-allylated compounds (2a-c). The regiochemistry and the β-stereochemistry of the 1-allyl group were confirmed by comparison of the 13C-NMR spectra and NOE's (%) of 2c, podophyllotoxin (POD) and epipodophyllotoxin (1b). 1-β-Alkyl-1-desoxypodophyllotoxin derivatives (3-8) were prepared from 2b.None of the tested compounds (3-8) showed any inhibitory effect on Topo-II. 1-β-Propyl compound (3) and its 4'-demethyl compound (4) inhibited tubulin polymerization and the cytotoxicities of these compounds were equal to that of VP-16. 1-β-(2, 3-Dihydroxypropyl) compounds (5 and 8) and 1-β-(2, 3-diacetoxypropyl) compounds (6 and 7)showed no inhibitory effect on tubulin polymerization. Although 5 did not inhibit either Topo-II activity or tubulin polymerization, it showed a high cytotoxicity against sarcoma 180.
著者
宮崎 和光 吉田 望 森 利枝
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌) (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.142, no.2, pp.117-128, 2022-02-01 (Released:2022-02-01)
参考文献数
32

In 2017, it became mandatory for universities in Japan to disclose their policies in degree granting (Diploma Policy: DP, hereafter) that state standards to confer degrees. Meanwhile, since 1991, nomenclature of major fields that appear in diplomas has been the responsibility of individual universities, instead of the national regulation. This study examines whether the former reasonably evokes the latter, given that both of them are deemed to represent the learning outcomes that the graduate has obtained. In order to do so, we compared the ability of humans and that of a deep-learning system (which is based on the Character-level CNN), to match DPs and major fields that are randomly given. In the examination of human ability, which was implemented with a large enough number of participants to obtain statistically significant results, we found there were a certain number of DPs that the majority of people failed to match with major fields. Given this fact, we analyzed such DPs to demonstrate that the deep learning system shows a high success rate in sorting out the DPs that poorly evoke major fields.
著者
内山 慎太郎 吉田 光男 梅村 恭司
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.45092, (Released:2022-02-01)
参考文献数
26

教師から学習者に対して動画にアノテーションをつける機能「ステアリング・マーク」を,反転授業の事前学習動画視聴システムに実装し,その有用性を評価した.ステアリング・マークは,教師による丹念な設計という観点から着想を得て,学習者の個性に合わせた指導・支援を目的とし,学習者の立場に応じて動画の提示方法を変更する手段を提供する.印象評価実験によって,ステアリング・マークは学習者にとって受け入れられるものであることが示された.また,ステアリング・マークが提供する学習の個性化を支援する方策が学習者らにとって望ましいものであるとわかった.さらに,視聴行動ログの分析による有用性の検証から,ステアリング・マークが学習者の動画視聴行動に対して,自身の理解が足りていない場所の反復視聴を補助していることが示された.
著者
高橋 裕史 梶 光一 吉田 光男 釣賀 一二三 車田 利夫 鈴木 正嗣 大沼 学
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.45-51, 2002 (Released:2008-07-23)
参考文献数
13
被引用文献数
8

洞爺湖中島において移動式シカ用囲いワナの一種であるアルパインキャプチャーシステム(Alpine Deer Group Ltd., Dunedin, New Zealand)を用いたエゾシカ Cervus nippon yesoensis の生体捕獲を行った.1992年3月から2000年2月までに,59日間,49回の捕獲試行において143頭を捕獲した.この間,アルパインキャプチャーの作動を,1ヶ所のトリガーに直接結びつけたワイヤーを操作者が引く方法から,電動式のトリガーを2ヶ所に増設して遠隔操作する方法に改造した.その結果,シカの警戒心の低減およびワナの作動時間の短縮によってシカの逃走を防止し,捕獲効率(捕獲数/試行数)を約1.1頭/回から3.5頭/回に向上させることができた.
著者
角野 浩史 ウォリス サイモン 纐纈 佑衣 遠藤 俊祐 水上 知行 吉田 健太 小林 真大 平島 崇男 バージェス レイ バレンティン クリス
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.64, 2017

<p>四国中央部・三波川変成帯に産する変泥質岩、エクロジャイト、蛇紋岩、かんらん岩のハロゲン・希ガス組成は一様に、深海底堆積物中の間隙水と非常によく似た組成を示す。同様の組成は島弧火山岩中のマントルかんらん岩捕獲岩や深海底蛇紋岩でも見られることから、沈み込み前に屈曲したプレートの断層沿いにプレート深部に侵入した間隙水がスラブマントルを蛇紋岩化する際に、ハロゲンと希ガスが組成を保ったまま蛇紋岩に捕獲されて沈み込み、水とともにウェッジマントルへと放出されている過程が示唆される。</p>
著者
吉田 宗弘
出版者
食生活研究会
雑誌
食生活研究 (ISSN:02880806)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.261-272, 2018
著者
安陪 等思 淡河 喜雄 上野 隆登 堀田 まり子 林 明宏 吉田 一郎 早渕 尚文 佐田 通夫
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.193-199, 2002-06-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
9
被引用文献数
1

【目的】医師となる過程に医療人としての自覚を認識するための明確な通過儀式がなかったので, これを白衣授与式として行った. 学生に対するアンケート調査を元に評価したので報告する.【方法】臨床研修として患者に初めて直に接する直前の2001年1月11日に第4学年112人を対象に白衣授与式を行った. 白衣授与式は学長, 医学部長, 病院長の出席を得て, 臨床の場にこれから第一歩を踏み出す学生に白衣と顔写真付きの名札を授与し, 医師を目指す医学生としての心構えを新らたにする目的で行われた. 式の翌日にアンケート調査を行い, 学生の意識調査を行った. 調査項目は医療に携わる責任感, 患者さんへの優しさ, 愛校心, 白衣に対する愛着, プロフェッショナルとしての意識, 医師としての使命感, 勉学する意欲, 厳粛な気持ち, 倫理的・道徳的生活を実行する意欲の9項目である. また, 教職員, 学生の聞き取り調査を加えた.【結果】アンケート調査のすべての項目において意識の向上が認められた (P<.0001). 約8割の学生が来年も引き続き行うことに賛意を示した. 確立した儀式の様式がないことに多少の問題もあったが, 意義深い試みであったとの評価を得た. 一方, 進級の決定と異なった時期であったので違和感をもった学生が多かった.【結論】不慣れな点もあったが教職員, 医学生ともに意義深い通過儀式としておおむね肯定的な意見が得られた. 医師としての専門職意識を育成するひとつの方法として有効な手段であると思われた. 今後は効果の継続性の有無, 意義, 利点や欠点について教職員と学生を含めた検討, 考察を行い, バランス感覚の取れた通過儀式として修正を加えたい.
著者
飯田 智哉 宮川 麻希 那須野 正尚 田中 浩紀 吉田 雄一朗 蔵原 晃一 朝倉 謙輔 梁井 俊一 松本 主之 仲瀬 裕志
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.526-531, 2019-04-25

要旨●家族性地中海熱(FMF)は,腹部,胸部などに漿膜炎による疼痛を伴う周期性発熱を特徴とする遺伝性自己炎症疾患である.FMFで消化管粘膜障害を呈することはまれとされてきたが,近年,炎症性腸疾患に類似した消化管病変を合併した症例の報告が散見される.一方で,FMFの小腸病変についての報告はいまだ限られている.本稿では,FMFの小腸病変に関する報告例をまとめ,その内視鏡像について論じる.FMF患者に認められた小腸病変は,アフタ,びらん,潰瘍,浮腫などが多くを占めていたが,FMFの小腸病変の内視鏡的特徴を明らかするためには,さらなる症例の集積が必要である.
著者
吉田 俊秀
出版者
札幌博物學會
雑誌
札幌博物学会会報
巻号頁・発行日
vol.18, no.1-2, pp.43-48, 1949-07-31
著者
松本 健二 小向 潤 笠井 幸 森河内 麻美 吉田 英樹 廣田 理 甲田 伸一 寺川 和彦 下内 昭
出版者
一般社団法人 日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.88, no.9, pp.659-665, 2013 (Released:2016-09-16)
参考文献数
19

〔目的〕ホームレス結核患者の治療成績に関連する要因と服薬支援の状況について検討した。〔方法〕平成19~21年の大阪市におけるホームレスの結核新登録患者433例を対象とした。治療成績に関連する要因として,入院期間,外来治療予定期間,DOTSの型等を検討した。対照として大阪市における平成19~21年のホームレス以外の肺結核新登録患者3047例を用いた。〔結果〕①治療成功と失敗中断における服薬支援等の状況:治療成功は311例で219例(70.4%)が院内DOTSにて入院のまま治療を終了した。失敗中断は48例で35例(72.9%)は自己退院であった。肺結核患者における失敗中断率はホームレス結核患者が11.0%であり,ホームレス以外の結核患者の6.5%に比べて有意に高かった(P<0.001)。②地域DOTSと治療成績:地域DOTS実施は102例で,週5日以上の服薬確認は66例(64.7%)と最も多くを占めたが,失敗中断は10例(9.8%)であった。入院および外来治療予定期間と治療成績では,入院期間は脱落中断が2.0±1.6カ月,治療成功が4.4±2.5カ月であり,外来治療予定期間は脱落中断が7.9±2.7カ月,治療成功が3.6±2.1カ月であり,入院期間の短い例と外来治療予定期間の長い例で脱落中断が有意に多かった(P<0.01)。〔結論〕ホームレス結核患者の失敗中断率は高く,自己退院によるものが多かった。治療成功例では入院のまま治療を完遂することが多く,地域DOTSにつながった例では週5日以上の服薬確認を行っても失敗中断率は高く,特に入院期間の短い例と外来治療予定期間の長い例では十分な支援が必要と考えられた。
著者
藤通 有希 小佐古 敏荘 吉田 和生 浜田 信行
出版者
日本保健物理学会
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.97-103, 2013 (Released:2014-03-06)
参考文献数
25
被引用文献数
2 1 1

Radiation cataract has been classified as tissue reactions (formerly known as deterministic effects or non-stochastic effects) with a threshold dose. In 1984, the International Commission on Radiological Protection (ICRP) suggested the threshold dose of >8 Sv for vision-impairing cataracts in highly fractionated or protracted exposures. Such a threshold was used to recommend an occupational dose limit for the lens of 150 mSv/year in 1990 and 2007, but was reduced to 0.5 Sv in 2011 for all exposure scenarios irrespective of the rate of dose delivery. New threshold was determined on the basis of the limited human evidence, with various hypotheses not supported by the present knowledge of biological mechanisms. Examples of untested hypotheses include: (a) radiation cataract is a tissue reaction; (b) radiation damage to the large number of cells acts as a triggering event for radiation cataract; (c) detectable minor opacities progress into vision-impairing cataracts with time; and (d) the lower the dose, the longer the latency. This paper discusses the issues behind the scientific basis for the new threshold, and provides directions for future epidemiological and biological studies to establish the reasonably modeled dose-response relationship for radiation cataract.