著者
鷹﨑 和義 和田 敏裕 森下 大悟 佐藤 利幸 佐久間 徹 鈴木 俊二 川田 暁
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.41-51, 2018 (Released:2019-03-20)
参考文献数
30

2015年5月~2016年11月に,福島県内の阿武隈川水系の13定点においてさし網や延縄などを用いた調査を行い,716個体(体長9.9~65.0 cm)のチャネルキャットフィッシュが採集された。本種は阿武隈川の本流で採集され,特に発電用ダム(信夫ダム,蓬莱ダム)の貯水域やその下流域で多く採集された。信夫ダムでは,2008年に比べて CPUE が著しく増加していることや,GSI の高い成熟個体や未成熟の小型個体が多く採集されたことから,近年,ダム周辺の水域を中心に,再生産により本種の個体数が急激に増大している可能性が考えられた。雌の GSI の季節変化より,本水系における産卵期は5~6月ごろと推定された。信夫ダムにおいて,さし網および延縄により採集された魚類のうち,本種が占める割合は非常に高く(各64.2%および100%),本水系における適切な駆除手法の確立が急務であると考えられた。
著者
和田 正平 鈴木 健太郎 李 仁子 岡田 浩樹
出版者
甲子園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

本研究の目的は、在日朝鮮韓国人の民俗宗教の中で、特に死後結婚を取り上げ、その実態を明らかにすることにあった。同時に第二の目的は、日本社会への定住化が進む在日朝鮮韓国人の宗教観念と死生観にせまることである。この目的に沿って、大阪生駒の在日朝鮮寺と兵庫県宝塚市周辺の在日朝鮮寺における儀礼と僧侶、シャーマンに関する調査、愛知県春日井市在住の在日朝鮮韓国人のシャーマンに関する調査をおこなった。死後結婚の儀礼自体の観察、調査は事例の特殊性もあり実施できなかったものの、東アジア社会に広く見いだされる死後結婚が在日朝鮮韓国人の間でも行われていること、その儀礼や宗教意識が変化しつつあり、日本的な要素が変容し、混入しつつあることを確認できた。一方で、朝鮮寺において在日朝鮮韓国人のシャーマンから、ニューカマーの韓国人シャーマンや僧侶へ代替わりしつつあることを見いだした。そうした宗教職能者は、韓国の宗教伝統を持ちつつも、クライアントである在日朝鮮韓国人の要求に応えるために、本国では見られない儀礼の形式や占いの方法を生み出しつつある。そして在日朝鮮韓国人の宗教観と死生観は、本国の宗教文化、日本の宗教文化、そして彼らが生み出してきた「在日朝鮮韓国人文化」のせめぎあいの中で揺れ動いている状況が明らかになった。この状況は、大阪府生野区、高槻市、東京都荒川区の在日朝鮮韓国人についてのインタビューの分析からも明らかになった。
著者
橋本 洋一郎 和田 邦泰
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.56, no.8, pp.715-719, 2020 (Released:2020-08-01)
参考文献数
18

能動喫煙は脳卒中の危険因子となり、脳卒中発症の相対危険度はその用量に依存して増加し、中年層で最大の相対危険度を示す。脳梗塞(約2倍)とくも膜下出血(約3倍)では、喫煙は明らかな危険因子となっている。脳出血が喫煙で増加するとの報告もあるが、まだ危険因子としては確立されていない。45歳未満の女性では、経口避妊薬使用や前兆のある片頭痛などの危険因子をもつ場合は喫煙による脳卒中の危険性はさらに高くなる。受動喫煙も脳卒中の危険因子(1.25倍)となり、受動喫煙に安全なレベルは存在しない。禁煙により脳卒中の危険度は低下する。
著者
射場 敏明 和田 英夫
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.177-184, 2012-04-01 (Released:2012-10-01)
参考文献数
37

ICUにおける静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism, VTE)予防を目的とした抗凝固療法は,海外では標準治療とされている。しかし本邦では,未だ十分に普及しているとはいえない。普及を妨げている要因の一つは,使用される未分画ヘパリンやワルファリンの出血リスクや調節性の問題であるが,現在はこれらの欠点を改善した薬剤が開発されている。低分子量ヘパリンであるエノキサパリンと活性化凝固第X因子(Xa)阻害薬であるフォンダパリヌクスは,ともに血中濃度が安定し個体差が少なく,半減期が長いために1~2回/dayの皮下投与が可能である。しかし半減期が長い点については,一旦出血した場合には対応に苦慮することにもなる。これらのアンチトロンビンを介する間接的Xa阻害に加えて,直接Xaを阻害する新薬の開発が精力的に進められており,これまでのところ良好な成績が報告されている。これらの新薬を加えて,ICUにおけるVTE予防は新時代を迎えようとしている。
著者
古市 賢吾 和田 隆志
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.5, pp.841-847, 2018-05-10 (Released:2019-05-10)
参考文献数
15

糖尿病性腎症は,腎不全の主要な原疾患であり,腎臓への保護作用が期待できる薬剤の開発が求められる.これまでレニン・アンジオテンシン系阻害薬やスタチン系薬剤が腎保護作用を有することが示されてきた.近年,DPP-4(dipeptidyl peptidase-4)阻害薬,インクレチン作動薬あるいはSGLT2(sodium glucose cotransporter 2)阻害薬が腎障害進展を軽減するうえでも有用であることが注目されてきている.
著者
小島 定吉 山下 靖 阿原 一志 和田 昌昭 高沢 光彦
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究は,トポロジーにおける実験数学の研究形態のプロトタイプを提案することを主眼として,この1年間企画調査を行った.当初の予定通り,夏にイギリスを訪問し,Experimental Mathematics誌の初代編集長であったD.Epstein教授,および実験数学を代表する書物Indra's Pearlsの著者のであるC.Series教授,D.Wright教授とトポロジーにおける実験数学の現状について意見交換し,米国および英国の情報を収集した.その結果,実験数学の裾野が拡がる過程では,実装するアルゴリズムに話を絞るのが数学上の問題と計算上の問題を同じ土俵で議論するのに有効であり,さらに協調的な実験数学の研究につながる例が多かったことを知った.そこで12月に予定していた研究集会「トポロジーとコンピュータ」は,このことを念頭においてプログラムを組み東工大で開催した.とくに,多項式解法プログラムの作成者と基本群の表現の研究者の共同研究の発表では,当初は違う問題を解く目的で設計されたアルゴリズムがこの場合に妥当であるかどうかを,実験成果だけからでなくより実証的に示せないかなどの,数学と計算の双方で新たな課題が出るという討論の展開があった.確かにアルゴリズムは,論証を重んじる数学と技術を重視する計算を結びつけるスポットであり,それを主役に置くことにが実験数学の研究およびその発表形態のプロトタイプになり得ることが確認できた.今後はこの企画調査の成果を,サマースクール形式でのプログラミング技術講習会,およびアルゴリズム指向の新しい研究集会の企画につなげ,平成17年度に実行に移す予定である.
著者
福田 豊 中村 豊 佐藤 彰洋 和田 数字郎
出版者
情報処理学会
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.636-656, 2020-07-15

本学では2014年9月に全学ネットワークの更新を行い,IEEE802.11acに対応した機材の導入を行った.導入直後のAP(Access Point)数は253台であったが,建屋改修時や他部局リプレース時に講義室等を中心に増設し,2019年度までに368台となった.しかしこの5年間で無線LANの運用環境は大きく変化しており,次の更新に向けて無線LAN環境の増強策を検討するためには,既存無線LANの利用動向調査が必要である.そこで本稿では2014年9月から2018年度末までの無線LAN利用動向について調査し,更新に向けた知見を得たので報告する.
著者
太和田 勝久
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.264-269, 2003 (Released:2003-11-23)

A single processive and tightly-coupled molecular motor such as kinesin performs mechanical work by using the heat absorbed by the motor from the surroundings upon catalyzing spontaneously occurring ATP hydrolysis. This is a conclusion derived from a thermodynamic analysis of the mechano-chemical cycle of such single molecular motors together with an equation that relates work done by single molecular motors to the thermodynamics of ATP hydrolysis catalyzed by the motors. Analysis of motor models based on the thermodynamic approach leads to a general equation depicting the stepping motion of such molecular motors as a biased random walk.
著者
朴 ソラ 増田 知尋 村越 琢磨 川﨑 弥生 内海 建 木村 敦 小山 慎一 日比野 治雄 日野 明寛 和田 有史
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.100-110, 2014 (Released:2015-01-13)
参考文献数
15

目的:残留農薬に関する知識が十分でない消費者に,適切な残留農薬量の理解を促すためのイラスト表記を開発し,その理解度を検討することを目的とした.方法:大学生および大学院生80人を対象に横断研究を行った.文章のみ,累積正規分布関数のグラフと文章,農薬量を一次元で示したイラストと文章の3種類の説明表記のうちどれか1種類を添付した質問紙を配布した.回答は,無毒性量,一日摂取許容量,残留農薬基準の3段階の残留農薬条件以下の農薬が残留している架空の農産物について,安全性に関わる3つの質問項目にビジュアルアナログスケールを用いて評定させた.安全性評価の相対的な大きさが残留農薬量の順序と一致した場合を正答として条件ごとに正答率を算出し,χ2 検定を行った.結果:すべての質問項目で正答率に有意な偏りがみられた(p<0.05).残差分析の結果,「文章+イラスト」条件では正答率が期待値よりも一貫して高かった(59.3~70.4%).一方で,「文章のみ」では正答率は期待値との差はなかった(41.4~55.2%).また,「文章+グラフ」では,どの程度安全であると感じるか,自分が食べようと思うかの質問で期待値よりも正答率が低かった(16.7~33.3%).結論:グラフは残留農薬量の適切な理解を促進しないが,一次元で表したイラストは促進することが示唆された.
著者
山城 美琴 瀬古 千佳子 小谷 清子 和田 小依里 吉本 優子 東 あかね
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.78, no.3, pp.102-111, 2020-06-01 (Released:2020-07-17)
参考文献数
34
被引用文献数
1

【目的】学童期からの循環器病予防のために,小学6年生を対象に果物摂取の増加をめざしたクラスター割付比較対照試験を実施し,果物の摂取に関する自記式質問調査(以下,果物調査)と尿中ナトリウム/カリウム(以下,尿中Na/K)比で評価すること。【方法】地域の保健,教育担当者と大学が連携して食育プログラムを企画した。2017年7月に京都府船井郡京丹波町の小学校全5校の6年生104人(介入群:男子21人,女子27人 対照群:男子31人,女子25人)を,食育を行う介入群2校(48人)と対照群3校(56人)に割り付けた。介入群には45分の食育を各校1回実施した。果物調査は,食育前後,尿中Na/K比測定は食育2か月後に実施した。【結果】食育前の介入群と対照群の比較では,男子の行動変容段階の分布以外は有意差を認めなかった。食育後の介入群と対照群の比較では,果物摂取の週4日以上が,男子31.6%,11.8%(p<0.001),女子26.9%,0.0%(p=0.018),行動変容段階の維持期が,男子20.0%,6.3%(p=0.012),女子7.7%,0.0%であった(p=0.031)。尿中Na/K比は男女とも群間差がなかった。【結論】影響評価の果物摂取頻度と行動変容段階は改善したが,成果評価の尿中Na/K比には差を認めなかった。今後,食育内容の充実が望まれる。
著者
露口 小百合 明神 千穂 村上 恵 和田 珠子 伊藤 知子 今義 潤 江口 智美 久保 加織 高村 仁知 中平 真由巳 原 知子 水野 千恵
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.24, 2012

<b>【目的】</b>揚げる・炒める分科会ではこれまで揚げ種重量の10倍程度の油を用いた一般的な揚げ方法での様々な研究を行なってきた。しかし、最近では環境問題や健康への配慮から少量の油で揚げる「シャロウフライ」と呼ばれる方法が注目されている。そこで今回は揚げ種が浸る程度の少ない油量で揚げた場合の揚がり具合について検討した。<br>&nbsp;<b>【方法】</b>試料として豚カツ(業務用冷凍豚一口カツ)およびサツマイモ、揚げ油はキャノーラ油を用いた。油の量は「ディープ」(油の深さが揚げ種の厚さの2倍)、「シャロウ1」(同1倍)、「シャロウ1/2」(同1/2倍)とした。温度調節付きガスコンロと26cm径のフライパンを用い、豚カツは180℃、5分間、サツマイモは160℃、6分間揚げた。揚げ操作中に揚げ種の中心温度と油温の変化を測定し、揚げ操作後の重量変化より吸油率と脱水率を算出した。官能評価はパネル6~8名で、評点法(外観、油臭さ、におい、味、揚がり具合、テクスチャー、総合)と順位法で行った。<br>&nbsp;<b>【結果】</b>脱水率は、豚カツ、サツマイモともに「シャロウ1/2」で低かった。吸油率は、豚カツでは油量による差はみられなかった。中心温度は「シャロウ1/2」では温度上昇が遅かった。官能評価の評点法は、豚カツ、サツマイモともに外観、におい、揚がり具合、テクスチャーおよび総合において「シャロウ1/2」が有意に低い評価であった。順位法では、豚カツは、「ディープ」、「シャロウ1」、「シャロウ1/2」の順に好まれた。サツマイモの「シャロウ1/2」では仕上がりが不均一で水っぽく感じられ、脱水率の結果と一致していた。以上の結果から、油量の違いは揚がり具合に影響を及ぼすことが明らかになった。
著者
中平 真由巳 水野 千恵 明神 千穂 村上 恵 和田 珠子 安藤 真美 伊藤 知子 今義 潤 江口 智美 久保 加織 高村 仁知 露口 小百合 原 知子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.26, 2014

<b>【目的】</b>近年、簡便な揚げ調理として、少量の油で揚げる「シャロウフライ」が注目されている。前回、「シャロウフライ」は通常の揚げ調理に比べて、官能評価が低いことを報告した。しかし、これは官能評価に影響を及ぼす要因である脱水率が統一されていない条件下であった。そこで今回は、脱水率を統一して「シャロウフライ」の再評価を実施した。<br><b>【方法】</b>試料は豚カツ(業務用冷凍豚一口カツ)、揚げ油はキャノーラ油を用いた。油量は、通常の揚げ調理である揚げ種の厚さの2倍の深さ(D)、厚さの1倍(S1)、および厚さの1/2倍(S1/2)とした。温度調節付ガスコンロを用いて180℃で揚げ調理を行い、揚げ種の中心温度と油温の変化を測定した。揚げ油の物理化学的性状値として、酸価、カルボニル価、粘度、極性化合物量、および色を測定した。揚げ種について脱水率を算出し、分科会のメンバーをパネル(n=18)として官能評価を評点法(外観、油臭さ、におい、味、揚がり具合、テクスチャー、および総合)により実施した。<br><b>【結果】</b>通常調理(D、揚げ時間5分)と同じ脱水率を得るために、S1は6分、S1/2は8分を要した。官能評価の評点(外観、におい、揚がり具合、テクスチャーおよび総合)において、S1とS1/2は揚げ時間の延長により、有意に高い評価が得られた。揚げ油の化学的性状値は、カルボニル価、極性化合物量、および色においてS1/2では揚げ時間の延長とともに上昇した。以上の結果から、シャロウフライは的確な揚げ時間の延長と揚げ作業の継続により、Dと同等の風味評価を確保できることが明らかとなった。一方、シャロウフライでは、使用油の劣化は大で、油の劣化に繋がることが明確になった。
著者
和田 一範 村瀬 勝彦 冨澤 洋介
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
水工学論文集 (ISSN:09167374)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.493-498, 2005-02-01 (Released:2011-06-27)
参考文献数
7
被引用文献数
4 4

The influence of global warming on hazard risk is estimated from the results of the regional climate model by Japan Meteorological Agency and Meteorological Research Institute. The horizontal resolution of the model is about 20km and the model outputs are expected to be useful for the risk assessment of the future. Before beginning the risk assessment, the model output values during 1981-2000 were verified by comparing with observed precipitation data. The verification shows that the precision of the models are generally well in representation of the precipitation, the normal value of the monthly precipitation and the annual maximum daily precipitation in each region. According to the analysis from the model outputs, the extreme daily precipitation in 100-yr time period will increase in some parts of western Hokkaido, northern Tohoku region, Hokuriku region and Nansei islands during 2081-2100. While, the result of the seasonal variation of precipitation shows that the precipitation will decrease especially in many areas in Japan except Hokkaido region from winter to spring, and the drought risk will increase there.