著者
和田 順雄
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.65, no.11, pp.1125-1130, 1996-11-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
30
被引用文献数
2

薄膜の屈折率や膜厚を光学的に求める方法は,これまで多数提案されてきた.本解説ではこの中から非破壊,非接触の測定法として,顕微分光測光装置を用いて試料の分光反射率や透過率から屈折率や膜厚を求める方法と,エりプソメトリーこよる方法について,それぞれの原理や装置の説明と実際の測定に際しての留意点を述べる.
著者
松本 雅子 田端 和代 黒木 邦子 杉村 恵美子 畑中 京子 和田 富雄
出版者
日本乳癌検診学会
雑誌
日本乳癌検診学会誌 (ISSN:09180729)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.315-321, 1997

近年, 高齢女性の肥満化傾向が指摘され, そのため高齢者乳癌が増加しているといわれている。当施設での検診受診者に対して, マンツーマン方式の乳房自己検診 (以下, BSE) 指導を行う中で, 肥満気味で乳房の大きい人はBSEに消極的である印象を受けてきた。そこで今後のBSE指導の課題とするため, 肥満および乳房カップサイズとBSEとの関連について, 精密検診受診者中, 資料の得られた1,013名について調査した。その結果, 50歳代以上の肥満者の割合が多く, 肥満者にはカップサイズの大きな人が多いことがわかった。BSE実施状況は, 実施率が非肥満群72.9%に比して肥満群65.8%と低率で, 中でも肥満群Dカップは57.7%と最も低率であった。BSE実施による3cm以下の「しこり」自覚率についても, 非肥満群84.2%に比して肥満群42.9%とかなり低率であったが, カップサイズ別にみるとサイズの大きな人でも, 小さな「しこり」を自覚できていた。<BR>以上のことより, 高齢肥満者でカップサイズの大きな人には, BSE指導が特に重要と考える。たとえ肥満気味で乳房が大きくとも, 意識の持ち方と正しいBSE実施により「しこり」の発見は可能であると考えられ, 今後の指導に生かして行きたい。
著者
今井 茂夫 和田 充弘 和田 丈晴 岩﨑 圭 片桐 律子 美濃部 安史 石井 聡子
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.72, no.11, pp.1243-1250, 2018 (Released:2019-02-01)
参考文献数
29

衛生ナプキンや使い捨ておむつのような衛生用品は,皮膚との長期間の接触で使用されるため,これらの製品に含まれる化学物質が人体に悪影響を及ぼすかどうかを確認することが重要である。衛生用品の主要材料であるパルプは,その白さを増すためにアルカリ薬剤による漂白が行われるが,製造メーカーの環境配慮の高まりによって二酸化塩素に基づくECF漂白が広く採用され,これまでの漂白方法に比べてクロロホルムおよびクロロフェノールの生成は大幅に減少した。しかも,ECF漂白プロセスにおける塩素化合物の発生および持続性に関する知識が蓄積されている。一方,衛生用品に塩素化合物が含まれていると,汗などの体液に溶けて皮膚に吸収される可能性があり,人的影響を把握するためにはその含有量を定量的に測定する必要がある。但し,塩素化合物の悪影響は化学種によって大きく異なるため,塩素の総量のみを計算することでは不十分であり,溶出液中の化学形態を特定することが重要となる。当社では,生理用ナプキンに使用されるパルプ中のダイオキシン類を分析し,たとえ毎日40年間使用されても大丈夫なよう,衛生用品の消費者の健康への影響を評価している。筆者らは,生理用品への漂白パルプの使用可否を決定すべく,皮膚暴露を想定した溶出試験を実施し,溶出された化合物の定量を含む化学形態ベースの定量分析フローを作成,安全性に関する評価方法を確立した。これにより,ECF漂白パルプに含まれる塩素化合物の量的な把握,及び化学的形態の解明に至り,当社製品が安全であることを確認した。本レビューでは,これらの研究成果を紹介する。
著者
望月 隆弘 衣笠 えり子 草野 英二 大和田 滋 久野 勉 兒島 憲一郎 小林 修三 佐藤 稔 島田 憲明 中尾 一志 中澤 了一 西村 英樹 野入 英世 重松 隆 友 雅司 佐中 孜 前田 貞亮
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.45, no.9, pp.853-862, 2012-09-28 (Released:2012-10-05)
参考文献数
23

【目的】ビタミンE固定化ポリスルフォン膜ダイアライザ(VPS-HA)が,血液透析患者の貧血や,貧血治療薬(ESA)の投与量に影響を与えるか否かを検討した.【方法】主要なエントリー基準は,機能分類IV型ポリスルフォン(PS)膜を3か月以上使用し,直近3か月はTSAT 20%以上で,ESA製剤の変更がなく,ヘモグロビン(Hb)値は10.0g/dL以上12.0g/dL未満を満たす患者とした.研究参加は48施設で,305症例がエントリーされた.エントリー患者を,VPS-HAに変更する群(151名)と,従来のIV型PS膜を継続する群(154名)の2群に分け(中央登録方式),研究開始時のHb値を維持(10.0≦Hb<11.0g/dLおよび11.0≦Hb<12.0g/dL)するESA投与量を主要評価項目とした.その評価指標としてエリスロポエチン抵抗性指数(erythropoietic resistance index:ERI)を用いた.【結果】研究は1年間実施された.目標Hb値10.0≦Hb<11.0g/dLの範囲では差はなかったが,目標Hb値11.0≦Hb<12.0g/dLの範囲で,VPS-HA群はIV型PS膜群に比して良好なESA反応性を示した.とくにVPS-HA群のDarbepoetin alfa(DA)投与例では,8か月以降で開始時と比較して統計的有意差をもってERIが減少していた.またIV型PS膜群のrHuEPO投与症例では,統計的に5,7,10か月で,開始時と比較してERIが増加していた.VPS-HAとIV型PS膜の群間比較では,11か月目でVPS-HA群のDA投与例でIV型PS膜群に比して,ERIが有意に減少していた.【結語】目標Hb値11.0≦Hb<12.0g/dLの範囲で,ビタミンE固定化膜は,IV型PS膜に比べてDA投与量が減少しており,ESA投与量軽減効果が期待できる(UMIN試験ID:UMIN000001285).
著者
増田 周太 水谷 信夫 和田 節
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.215-218, 2001-11-25
被引用文献数
2 22

We investigated the attractiveness of the synthetic male aggregation pheromone of Riptortus clavatus for conspecific adults and its parasitic wasp, Ooencyrtus nezarae, using traps placed in fields. The number of R.clavatus adults caught in the pheromone traps increased with increasing amounts of the pheromone lure up to 100 mg. This amount of the synthetic aggregation pheromone seemed to have attractiveness equivalent to ten caged R.clavatus males in summer. However the pheromone traps caught many more adult bugs than the male trap in autumn, suggesting that the amounts of pheromone released from the male bugs change greatly depending on the temperature. Five miligram of (E)-2-hexenyl(Z)-3-hexenoate (E2HZ3H), a component of the synthetic aggregation pheromone, showed the highest attractiveness to O.nezarae. Ten to 50 mg of the synthetic aggregation pheromone which contained 1.4 to 7 mg of E2HZ3H exhibited a peak in O.nezarae catches. Thus, the attractiveness of the synthetic aggregation pheromone to O.nezarae may be simply attributed to the presence of E2HZ3H in the pheromone.
著者
和田 節 水谷 信夫 樋口 博也
出版者
The Association for Plant Protection of Kyushu
雑誌
九州病害虫研究会報 (ISSN:03856410)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.82-85, 1997
被引用文献数
5

We compared the activity of mating behavior in male adults of the bean bug, Rip-tortus clavatus THUNBERG, of various ages, reared under different photoperiodic conditions in the laboratory, and also investigated the pheromone releasing activity of males using male-baited sticky traps set in the field. Most males kept under long-day photoperiod in the laboratory reached sexual maturation and were able to successfully copulate with mature females within several days after eclosion. Pheromone release by males kept in the laboratory under long-day photoperiod appeared to be initiated simul-taneously or a bit later than sexual maturity, according to the daily-catch records by the traps baited with young male adults. Male adults kept under short-day photoperiod in the laboratory did not show mating behavior, indicating that both males and females were induced to enter reproductive diapause by short-day length. On the other hand, when adults were reared under short-day photoperiod, the males enclosed in the trap cages attracted significant numbers of adults in field, indicating that the short-day males released an aggregation pheromone. These results imply that the function of the pheromone is not directly related to mating behavior, and thus, another function should be investigated in future.
著者
水谷 信夫 和田 節 樋口 博也 小野 幹夫 Leal Walter Soares
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.195-202, 1999-11-25
被引用文献数
3 16

天敵卵寄生蜂カメムシタマゴトビコバチを特異的に誘引するホソヘリカメムシ集合フェロモンの1成分,(<i>E</i>)-2-hexenyl(<i>Z</i>)-3-hexenoate(以下E2HZ3H)をダイズ圃場に処理し,カメムシタマゴトビコバチの密度と寄生率に与える影響を,集合フェロモン(3成分の混合物)処理および無処理の圃場と比較し,以下の点を明らかにした.<br>E2HZ3Hを処理したダイズ圃場では,カメムシタマゴトビコバチが通常の飛来時期より早く圃場に侵入する傾向が認められ,密度が高くなった.ホソヘリカメムシは誘引されなかった.一方,集合フェロモンを処理した圃場でもカメムシタマゴトビコバチが誘引されたが,同時にホソヘリカメムシも通常より早い時期から誘引され,密度も高かった.E2HZ3Hを処理したダイズ圃場のカメムシタマゴトビコバチのカメムシ卵に対する寄生率は,無処理圃場と有意な差がなかった.しかし,圃場内の雌蜂の密度が高くなった1997年の9月にE2HZ3Hを処理した秋ダイズ圃場で本寄生蜂の寄生率が高まる傾向が認められた.カメムシタマゴトビコバチのホソヘリカメムシ卵に対する寄生率は,フェロモンまたはE2HZ3Hを設置した株で高くなる傾向がみられず,ダイズ圃場内ではE2HZ3Hが雌蜂の寄主探索の手がかりとして機能していないことが示唆された.
著者
田中 麗子 和田 康夫
出版者
協和企画
巻号頁・発行日
pp.44-47, 2020-01-01

・ヘッドホン「え~パンダ」による接触皮膚炎を経験した.・イヤーパッドによるアレルギー性接触皮膚炎が疑われた.・ヘッドホンの1時間着用にて,紅斑が生じるようになった.(「症例のポイント」より)
著者
和田 新平 ウィーラクン ソンポ 倉田 修 畑井 喜司雄 松崎 章平 柳澤 牧央 内田 詮三 大城 真理子
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
Japanese journal of zoo and wildlife medicine (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.39-43, 2008-03
被引用文献数
1

2004年に沖縄美ら海水族館で飼育中の希少魚種であるリュウキュウアユ(Plecoglossus altivelis ryukyuensis)に死亡するものが認められた。病魚は回転しながら遊泳,あるいは力なく遊泳し,体表に微細な出血点が散在していた。病魚の肝臓には様々な大きさの白色結節が認められ,数尾の魚では腎臓の顕著な腫大も観察された。最も顕著な病理組織学的所見は,体腎,脾臓,肝臓,心臓,鰓および脳膜にみられた肉芽腫性病変であった。これら肉芽腫性病変はマクロファージ様細胞が敷石状に配列する構造を呈していた。肉芽腫内には抗酸性を示す長桿菌が多数観察され,病魚から分離された菌株はMycobacterium marinumと同定された。
著者
和田 健
出版者
千葉大学国際教養学部
雑誌
千葉大学国際教養学研究 = Chiba University journal of liberal arts and sciences (ISSN:24326291)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.65-79, 2019-03

[要旨] 本稿では地域振興施策として提唱される「二地域居住」や「移住」による新旧住民の関係を構築する民俗学的方法の可能性について検討したい。具体的には、転入する側(新住民)が、転入する場であるむら(村)における民俗慣行をどう捉えるべきかを検討する。また古くからそこに住む人たち(旧住民)が、今まで伝承してきたむらの運営を新住民にいかに理解してもらえるかについても考える。新住民にとって、旧来の民俗慣行で懸念となるのが、近隣のつきあいに関わる暗黙のルールである。特に草取りや水源の清掃などの共同作業を欠席する場合、どのような罰則(出不足金の金額など)があるのかなどは気になるといわれる。しかしそれぞれのむらで行われている罰則内容をデータとして考えるのではなく、そのむらの「村柄」を理解し有機的なつきあいの中でその意味を考えるべきである。村柄を理解する民俗学的方法の可能性について、千葉県鴨川市川代区を事例に若干の考察を試みたい。
著者
和田 弘
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.63-67, 1971-02-15
被引用文献数
1
著者
和田 弘
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.27, no.11, pp.1232-1233, 1986-11-15
著者
岡野 元哉 和田 年史
出版者
日本貝類学会
雑誌
Venus (Journal of the Malacological Society of Japan) (ISSN:13482955)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1-4, pp.58-62, 2012-07-31 (Released:2016-05-31)
参考文献数
21

We investigated size structure and reproduction of violet shell Janthina prolongata stranded on the coast of Iwami-cho in eastern part of Tottori Prefecture, southwestern Sea of Japan, on 27 September, 2010. Shell length (SL) exhibited a bimodal size distribution with a range of 6.08–40.36 mm. Our results also indicated that individuals of more than 27.4 mm SL laid egg capsules under their bubble raft. Moreover, there was a significant positive correlation between the length of egg capsules and SL. Larger individuals had shrunken and differently colored egg capsules on the forefront of bubble raft, suggesting that J. prolongata might lay egg capsules intermittently.
著者
加藤 裕朗 村山 裕佳 濱田 奈保子 和田 俊
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成23年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.32, 2011 (Released:2011-08-30)

【目的】浸透圧を利用して食品から水分を取り除くことができるシートとして開発された脱水シート(商品名:ピチットマイルドシート, オカモト社製)は2枚の食品用半透膜フィルムの間に,高濃度の食用糖類と食用糊料をはさんだ構造になっている.鮮魚の品質保持効果に関しては,サバ類,イワシ類,タラ類,ブリ及びサンマについて,VBN抑制効果とK値の上昇抑制効果があることを精査してきた(*濱田ら 2002,2003).本研究ではカツオを対象として,多角的角度から品質保持に及ぼす脱水シートの影響について検討を行った. 【方法】カツオを脱水シート,対照としてポリ塩化ビニリデンシート(サランラップ 旭化成製)で包装し,5℃の冷蔵室で0~4日間貯蔵した.脱水率,水分含量及びATP関連化合物量を経日的に測定した.色彩に関しては,血合肉と普通肉においてL*a*b*値を測定及びL*a*b*値とそれらの値から求められるΔEとΔEに彩度を加えたΔE00を求めた.また,におい識別装置(島津製作所 FF-2A)を用いた総合的なにおい分析の計測を貯蔵2日目と4日目に計測した. 【結果】脱水シート包装の脱水率は貯蔵1日目で6.2%,貯蔵4日目には14.4%であり,水分含量は貯蔵2日目から4%以上の差が見られた. ATP関連化合物量については有意差は見られなかった.色彩に関しては,ΔE及びΔE00ともに脱水シート包装において色彩の保持効果が観察された.また血合肉でより高い効果が見られた.においに関しては,貯蔵4日目において類似度と多変量解析の結果に差が見られた.以上の結果から,カツオの品質保持に関して色彩とにおいにおいて脱水シートによる優位性が示唆された. *日食科誌, 49, 781-785 (2002). 日調理科誌, 36, 354-359 (2003).
著者
多和田 真太良
雑誌
芸術研究:玉川大学芸術学部研究紀要 (ISSN:18816517)
巻号頁・発行日
no.8, pp.29-43, 2017-03-31

「ハラキリ」という単語はどこでどのように流布していったのか。19世紀末から20世紀初頭にかけて隆盛を極めたジャポニズムの舞台芸術の中で注目されたのは、キリスト教の下では禁じられた「名誉の自死」という概念だった。しかし舞台で再現されるのは、川上音二郎一座がアメリカで実際に切腹の場面を演じてからである。それまで理解不能であるがゆえに滑稽に描かれることさえあった「ハラキリ」が、音二郎や貞奴によって実に劇的で凄惨な描写として演じられた。「ハラキリ」は自然主義演劇に飽き足りず、新しい表現を模索する20世紀演劇の理論家たちに強い影響を与えた。ベラスコは『蝶々夫人』の結末を自殺に書き換え、続く『神々の寵児』では切腹する武士を描いた。音二郎一座の演技は強烈なイメージを与えた一方で、ジャポニズム演劇に潜む多様性の芽を摘むことになったともいえる。以後の作品は「ハラキリ」のイメージを払しょくすることが困難になった。「ハラキリ」はもはや不可解な日本の風習というより、ジャポニズム演劇にエキゾチックな効果を与える一つの重要な表現として定着していった。
著者
大久保 紀一朗 和田 裕一 窪 俊一 堀田 龍也
出版者
日本教育メディア学会
雑誌
教育メディア研究 (ISSN:13409352)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.13-29, 2020 (Released:2020-09-17)
参考文献数
29

本研究ではマンガの読解指導について検討するための基礎的知見を得るために,小学校高学年を対象に,(1)マンガを含むメディアへの接触頻度,(2)マンガの読み方,(3)マンガへの意識・態度に関する調査を行った。その結果,マンガの読み頻度は1990年に行われた調査と比較して低いことが示された。一方で,児童を取り巻くメディア環境が大きく変化した今日においても,小学校高学年児童の多くはマンガに対して肯定的な意識をもっていることが示された。マンガに対する意識を測る尺度得点について因子分析を行った結果,マンガの有用感,マンガの分かりやすさ,マンガの悪影響,マンガへの低評価という4因子構造が得られた。それらの下位尺度得点と,読み方の関係を検討するために相関分析を行った。その結果,マンガに対して肯定的な意識をもっている児童は,マンガを深く理解する読み方をしていることが示唆された。そこで,マンガの読み方を目的変数,マンガに対する意識を構成する4つの因子の下位尺度得点を説明変数として重回帰分析を行ったところ,マンガに対する有用感がマンガの読み方に影響を与えていることが示唆された。
著者
栗山 典子 石川 知美 長村 紀子 和田 博子 松井 淑江 石郷岡 均
出版者
JAPANESE ASSOCIATION OF CERTIFIED ORTHOPTISTS
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.127-130, 2002-08-25 (Released:2009-10-29)
参考文献数
9

黄斑剥離を伴う片眼性の網膜剥離に対し、観血的な網膜剥離手術を施行した症例を対象に術後の近見立体視機能について検討した。黄斑剥離を認める片眼性の網膜剥離眼中、術後の遠見矯正視力が0.8以上、左右の不同視差が3D以内のもの42例42眼を対象としTitmus stereo tests (TST)およびTNO stereo test (TNO)を用い近見立体視機能の検査をした。TSTでは良好群、中等度良好群、不良群に分類した結果23眼(54.8%)が良好群、17眼(40.5%)が中等度良好群、2眼(4.8%)が不良群となった。TNOでは良好群と不良群に分類した結果27眼(64.3%)が良好群、15眼(35.7%)が不良群となった。黄斑剥離を伴う網膜剥離眼では術前に中心視力が低下するものの、網膜復位後矯正視力が0.8以上の症例では良好な立体視が得られた。
著者
和田 春樹
出版者
岩波書店
雑誌
世界 (ISSN:05824532)
巻号頁・発行日
no.454, pp.p248-253, 1983-09