著者
坂本 穆彦
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.23-27, 2022 (Released:2022-05-24)
参考文献数
24

2011年3月の東日本大震災にひき続いて発生した東京電力第1発電所事故は,その後にいくつもの大きな問題を残した。その1つが小児甲状腺癌発生の危惧であった。これに対し,福島県は福島県「福島県民健康調査」の中で甲状腺検査を施行し,今日に至っている。本稿ではこれまでの甲状腺検査の病理診断(細胞診・組織診)について概略を示す。直近のデータでは,細胞診で“悪性”ないし“悪性の疑い”と判定された266例中,222例がすでに手術をうけた。手術検体の組織学的検索結果によれば,乳頭癌218例,濾胞癌1例などであった。高線量被曝のチェルノブイリ症例と比べるといくつかの相違点がみられている。この調査について“過剰診断”であると批判する立場がある。その意味はわれわれ病理診断に携わる者が用いる“過剰診断”とは異なっている。“過剰診断”という用語の定義と用い方に統一性がない。この解離への対応につき,疫学者とは異なる立場に立つわれわれの見解を示したい。
著者
尾田 十八 坂本 二郎 坂野 憲一
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.71, no.701, pp.89-94, 2005-01-25 (Released:2011-08-16)
参考文献数
6

A woodpecker strikes its beak toward a tree repeatedly. But, the damage of brain or the brain concussion doesn't occur by this action. Human cannot strike strongly the head without the damage of a brain. Therefore, It is predicted that the brain of a woodpecker is protected from the shock by some methods and that the woodpecker has the original mechanism to absorb a shock. In this study, the endoskeltal structure, especially head part structure of woodpecker is dissected and the impact-proof system is analyzed by FEM and model experiment. From the results, it is obvious that the woodpecker has the original impact-proof system as the unique states of hyoid bone, skull, tissue and brain. Moreover it is considered that woodpecker has the advanced impact-proof system relating with not only the head part but also with the whole body.
著者
坂本 治美 日野出 大輔 武川 香織 真杉 幸江 高橋 侑子 十川 悠香 森山 聡美 土井 登紀子 中江 弘美 横山 正明 玉谷 香奈子 吉岡 昌美 河野 文昭
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.322-327, 2016 (Released:2016-06-10)
参考文献数
25

近年,妊娠期の歯周病予防は周産期の重要な課題とされているが,日本における歯周病と低体重児出産や早産との関連性を示す報告は少ない.本研究の目的は観察研究により妊娠期の歯周状態と低体重児出産との関連性について調査することである.徳島大学病院の妊婦歯科健康診査受診者190名のうち,年齢バイアスの考慮から対象年齢を25~34歳とし,出産時の状況が確認できない者,多胎妊娠および喫煙中の者を除外した85名について,歯周状態と妊娠期の生活習慣や口腔保健に関する知識および低体重児出産との関連性について分析を行った.その結果,口腔内に気になる症状があると答えた者は61名(71.8%),CPI=3(4 mm以上の歯周ポケットを有する)の者は29名(34.1%),CPI=4の者は0名であった.また,対象者をCPI=3の群と,CPI=0, 1, 2の群とに分けてχ2 検定を行った結果,低体重児出産の項目,およびアンケート調査では,「歯周病に関する知識」,「食べ物の好みの変化」の項目について有意な関連性が認められた.さらに,ロジスティック回帰分析の結果,低体重児出産との有意な関連項目としてCPI=3(OR=6.62,95%CI=1.32–33.36,p=0.02)および口腔内の気になる症状(OR=5.67,95%CI=1.17–27.49,p=0.03)が認められた.以上の結果より,わが国においても,妊婦の歯周状態が低体重児出産のリスクとして関連することが確認できた.本研究結果は,歯科医療従事者による妊婦への歯科保健指導の際の要点として重要であると考えられる.

6 0 0 0 OA 亡友帖

著者
坂本龍馬
巻号頁・発行日
vol.新政府綱領八策, 1867-11
著者
坂本 美紀
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.117-125, 1993-11-10 (Released:2017-07-20)
被引用文献数
1

本研究は, 算数の文章題解決における誤りの原因を調査したものである。研究の目的は, lつの文章題の解決過程を下位過程に分け, 誤りが各過程のどの部分で生じるか, またそれに問題の種類による違いがあるか, という点を検討することである。課題は, 加減乗除のうち2種類を扱う文章題で, 過剰情報および単位変換の要因が操作された。調査対象は小学校4年生であった。実験1では, 問題は5つの下位過程に分けられ, 各過程ともパーソナルコンピュータによって, 教示・問題文・選択肢の提示および児童の反応の記録が行われた。その結果, 単位変換を含む問題では, 単位変換がつまずきの原因になることが多いことがわかった。また, 単位変換を含まない間題でのつまずきの原因は, 問題の状況を理解する過程にあると考えられた。実験2では紙筆検査によって, 過剰情報が, 問題状況を理解する過程での, 解決に必要な数値の選択に与える影響を中心に調べた。実験の結果, 通常問題では演算を選択する下位過程で正答数が減ったが, 過剰問題では問題文中の過剰な情報が数値を選択する下位過程を困難にし, 誤答の原因となっていた。これより, 文章題特有の難しさの原因の多くは問題理解過程にあり, 特に問題文から抽出した必要な数字の関係づけが, つまずきの要因になっていることがわかった。
著者
福田 有希子 高月 誠司 三田村 秀雄 大橋 成孝 家田 真樹 三好 俊一郎 小川 聡 坂本 宗久 茅野 眞男 鈴木 亮 佐藤 千恵 黒島 義明 菊野 隆明
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.36, no.Supplement3, pp.18-23, 2004-07-30 (Released:2013-05-24)
参考文献数
2

症例は35歳の男性.失神,突然死の家族歴はない.平成15年4月1日午前9時3分頃,通勤途中の電車内で,突然意識消失.駅員が午前9時7分救急隊を要請した.モニター上心室細動(VF)で,救急隊により午前9時15分電気ショックを施行,午前9時24分再度VFとなり,2回めの電気ショックを施行した.その後洞調律を維持し,午前9時45分他院救急救命センターに搬送された.到着時意識レベルは,昏睡状態,JCS300,血圧135/82mmHg,心拍数116/min,洞性頻脈で,瞳孔は3mm大,対光反射を認めず,脳保護のため低体温療法を開始した.復温とともに意識状態は回復し,神経学的にも後遺症を認めなかった.心臓超音波検査,冠動脈造影,アセチルコリン負荷検査を行ったが,異常所見は得られず,当院へ紹介入院した.トレッドミル運動負荷試験,pilsicainide負荷試験では異常所見を認めなかった.6月10日に行った心臓電気生理検査で,Baselineでは不整脈は誘発されなかったが,isoproterenol負荷後の右室期外刺激(400/200ms)で,VFが誘発され,特発性VFと診断し,ICD(植え込み型除細動器)を挿入した.本症例は,医師の指示なく,救急救命士の判断で行った電気的除細動によって一命をとりとめ,さらに社会復帰し得た本邦第1例目の症例であった.

6 0 0 0 OA 礼のこころ

著者
坂本貞 著
出版者
時代社
巻号頁・発行日
1942
著者
坂本 満 秋山 茂 萩尾 剛 大城 桂作
出版者
Japan Foundry Engineering Society
雑誌
鋳造工学 (ISSN:13420429)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.227-233, 1997-03-25 (Released:2011-02-01)
参考文献数
10
被引用文献数
13

The oxide films formed on the molten Mg-Ca alloy were investigated by using an optical microscope, scanning electron microscope (SEM), X-ray diffraction and X-ray photoelectron spectroscopy (XPS) in order to elucidate the effect of Ca addition on the suppression of ignition and burning of the molten metal. While the pure Mg almost always ignited and burnt before melting down, the Ca addition increased the ignition temperature by about 250K, at which a very thin and uniform oxide film was formed on the molten Mg-5mass%Ca alloy, X-ray diffraction and XPS revealed that the oxide film on the Mg-5mass%Ca alloy consisted of two layers ; most upper layer of CaO and mixed layer of MgO-CaO under the CaO layer. The former was very thin and its thickness was independent of the exposure time at 973K in air, but the latter gradually grew with the exposure time. It appeared that the CaO film first formed depressed the volatilization of Mg and the permeation of oxygen gas, which made the molten alloy incombustible and manipulatable in air.
著者
藤村 政樹 野村 将春 坂本 さゆり 上尾 友美恵 柴田 和彦 小川 晴彦 西 耕一 松田 保
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.105-112, 1990-01-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
14

若年健康女性にみられる深吸気の Vmax 増加効果と basal bronchomotor tone の関係にっいて, partial and maximum expiratory flow-volume curve を用いて検討した. 深吸気の Vmax 増加効果は, ipratropium bromide によるPEF25の増加率 (r=-0.81, p<0.0002) および salbutamol によるPEF25の増加率 (r=-0.62, p<0.01) と有意の相関を示した. 深吸気の Vmax 増加効果の日差変動は, PEF25の日差変動と有意 (r=0.68,p<0.005) に相関したが, MEF25の日差変動とは相関しなかった. 以上より, 若年健康女性における深吸気の Vmax 増加効果は, 迷走神経緊張による basal bronchomotor tone が亢進しているためにみられる現象と考えた.

6 0 0 0 OA 菌譜 2巻

著者
坂本浩然
出版者
巻号頁・発行日
vol.[1], 1835
著者
坂本 尚志
出版者
日本フランス語フランス文学会
雑誌
フランス語フランス文学研究 (ISSN:04254929)
巻号頁・発行日
no.104, pp.203-218, 2014-03-15

Les enquetes philosophico-historiques menees par Michel Foucault mettent sans cesse en question la raison totalisatrice et universelle, dont on peut trouver le modele chez Hegel. Si ce philosophe allemand annule ce qui est exterieur a la philosophie par la dialectique, Foucault cherche dans ce <<dehors>> la possibilite d'une nouvelle pensee philosophique. Nous tentons dans ce texte d'examiner cette pensee du <<dehors>>, en prenant comme point d'ancrage l'analyse foucaldienne du concept de la parresia, le dire-vrai de la Grece ancienne. En 1982, Foucault evoque pour la premiere fois ce concept, a savoir l'obligation ethique faite au maitre de dire avec la plus grande franchise la verite a son disciple. Toutefois, l'annee suivante, dans le cours intitule Le gouvernement de soi et des autres, Foucault modifie largement cette definition, et dans son commentaire sur Ion d'Euripide, il met l'accent sur l'origine politique de la parresia. La se pose une nouvelle question : comment la parresia politique s'installe-t-elle au coeur de la philosophie? Se referant a des textes platoniciens, Foucault decrit ce deplacement comme resultat d'une tension entre la parresia et la democratie. Cette <<genealogie>> de la parresia est une critique de la philosophie en general : si le lien entre la parole et la verite est extrinseque a la philosophie, a quel titre le discours philosophique est-il vrai? Ainsi apparait une ligne qui nous mene de la parresia antique a la question kantienne de l'Aufklarung, ligne dans laquelle se trouve egalement la pensee foucaldienne. Cette histoire de la parresia est donc un lieu ou se croisent le passe et le present, ou la philosophie et son dehors.
著者
坂本 博和 柴田 裕一郎 小栗 清
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.476, pp.83-88, 2004-11-25

再構成可能デバイスの普及に伴い,これを容易に利用するための環境が整いつつある.しかし依然としてハードウエア開発技術者の不足が懸念されており,技術者の育成が待たれている.そこで我々はこの技術者教育用の教材として,任天堂から1983年に発売されたファミリーコンピュータを教材として活用することを考え,FPGAへの実装を行った.実装にはXilinxのSpartan-2E300を搭載した市販の評価ボードを使用した.ハードウエア記述言語にはNTTで開発されたSFLを使用し,実装に1ケ月半を要した.実装したファミコンはインターフェースとしてROMカートリッジコネクタ,VGA,サウンド,パッドを搭載し,初期のROMカートリッジにおいて高い互換性を実現している.
著者
釜﨑 大志郎 大田尾 浩 八谷 瑞紀 久保 温子 大川 裕行 藤原 和彦 坂本 飛鳥 下木原 俊 韓 侊熙 丸田 道雄 田平 隆行
出版者
一般社団法人 日本老年療法学会
雑誌
日本老年療法学会誌 (ISSN:2436908X)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.1-8, 2023-01-06 (Released:2023-01-07)
参考文献数
31

【目的】本研究の目的は,プレフレイルからロバストへの改善に関連する基本チェックリスト(kihon checklist: KCL)の各領域の特徴を検討することとした。【方法】対象は,半年に1回の体力測定会に参加した地域在住中高年者とした。改訂日本版cardiovascular health study基準(改訂版J-CHS)でプレフレイルの有無を評価し,半年後に同様の評価を行った。ベースラインから半年後にプレフレイルからロバストに改善した群と変化がなかった非改善群の2群に分けた。また,KCLで生活に関連する機能の評価を行った。改善群と非改善群を従属変数,KCLの各領域の点数を独立変数とした2項ロジスティック回帰分析を行った。また,有意な関連を示したKCLの下位項目に回答した割合を比較し,特徴を検討した。【結果】分析対象者は,地域在住中高年者60名(71.9±7.8歳)であった。2項ロジスティック回帰分析の結果,プレフレイルからロバストへの改善の有無にはKCLの社会的孤立(OR: 0.04, 95%CI: 0.00-0.74, p=0.031)が関連することが明らかになった。また,ロバストに改善した群は,社会的孤立の中でも週に1回以上外出している者が有意に多かった。【結論】プレフレイルの地域在住中高年者へ外出を促すことで,ロバストへ改善する可能性が示唆された。