著者
椎葉 俊司 坂本 英治 仲西 修
出版者
九州歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

ラット坐骨神経を緩徐に縫合した疼痛モデル(CCI : chronic constriction injury)とcomplete Freund's adjubantを使用し神経炎症を誘発させたモデル(CFA)が神経因性疼痛を誘発することが明かにされた。これらのモデルは足底への熱輻射、冷刺激、ピンプリックテストに対し足底をなめたり逃避行動をとるなどの疼痛関連行動を起こす。これらの疼痛関連行動は免疫調整剤のサリドマイドや免疫抑制剤のサイクロスポリンSの投与によって抑制されることより炎症性の物質が神経因性疼痛に関与していることが予測される。そこで神経再生に深く関与しているインターロイキン-6(IL-6)に注目し、IL-6の抗体を前投与したところ全ての疼痛刺激に対する疼痛関連行動が抑制されることがわかった。免疫染色ではIL-6のがラット脊髄後根神経節(DRG : dorsal root gangrion)、脊髄後根および神経損傷部に神経障害直後より出現し障害後3日でピークとなり、障害後14まで継続した。これはラット疼痛関連行動の程度の経過と一致する。また、ラット坐骨神経を露出しIL-6溶液を浸したオキシセルで被覆したところCCIやCFAのように疼痛関連行動が出現した。以上のことより神経因性疼痛へのIL-6の関与が明らかになった。神経因性疼痛の治療法としてIL-6拮抗薬の神経損傷後早期に投与することが有効であると考えられる。
著者
飯塚 浩昭 坂本 秀樹 中村 納 南 敏
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.365-366, 1992-09-28

マルチメディア時代の到化を前に各種情報の標準化が進んでいる.なかでも静止画像の符号化方は,JPEG方式が標準となった.しかし,このJPEG方式は比軟的に緩やかな濃度変化をもつ写真画像を対象としたもので,エッジの強い文字画像を対象とした場合,再生画像に鈍りやブロック歪みなどを生じ良好な結果を得ることが困難である.この問題点を解決するために各種のパラメータ設定法をはじめとする軽減手法が提案されているが,多くのものは写真部と文字部が分離できることを前提としており本報告で対象とするような分離困難な画像について触れられていない.本報告では,文字と写真の混在する画像に対して双三次関数による近似と,可変サイズのブロックを導入することで,写真部と同等以上の符号化効率を得ることができる符号化方式について報告する.
著者
坂本 秀一 石田 宗弘 珍田 美月
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.850, pp.16-00575-16-00575, 2017 (Released:2017-06-25)
参考文献数
14

In this article, we examined several longitudinal-sectional sizes of a silencer whose volume was limited by the thickness and aperture ratio of the ventilation door. We report the results of improvement in the sound attenuation properties of these shapes. As an evaluation method for the silencer, we measured transmission losses using an impedance measurement tube and calculated them on the basis of a theoretical analysis. The following results were obtained from the evaluation of the silencer using the measurement and calculation results and from the verification of the improved shape of a silencer and silencer array. For a side branch tube silencer with a 1/3 aperture ratio, assuming that it is installed into the ventilation door, we observed a side branch tube with an linear expanded longitudinal-sectional shape by improving the shape using the theoretical analysis of transmission losses. In addition, as a result of the experiment with a sample on the basis of the theoretical analysis, both the experimental and the theoretical analysis were in good agreement. Furthermore, the expanded shape of the longitudinal-section of the side branch tube decreased the frequency of the sound attenuation peak. It was found that a silencer with a combination of four of these silencers can be arrayed side-by-side in a ventilation door; this results in a flat transmission loss of more than 5 dB over a broad band.
著者
鍵谷 龍樹 白川 由貴 土斐崎 龍一 渡邊 淳司 丸谷 和史 河邉 隆寛 坂本 真樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.237-245, 2015-01-06 (Released:2015-01-06)
参考文献数
25
被引用文献数
1

We feel some liquids such as honey or oil more viscous than others like water. Viscosity perception is frequently expressed by onomatopoeia, a set of words that are often used to express sensory experiences in Japanese. For example, we would say honey is “toro-toro” or oil is “doro-doro”. In this paper we investigated the associations between phonemes of Japanese onomatopoeia for expressing viscosity and subjective evaluations of viscosity. Specifically, we performed psychological experiments where participants watched some static images and dynamic images. Participants were asked to express the visual sensations by onomatopoeia and rate the degree to which they felt the objects viscous. This experiment was aimed at specifying the systematic association between phonemes of Japanese onomatopoeic words and viscous evaluations. Our results showed the existence of some associations between the phonemes of the words for expressing the sensation and the evaluations of viscosity and showed the possibility to construct a system to recommend viscosity animations by onomatopoeia. The system proposed in this paper recommends viscosity animations consistent with onomatopoetic expressions based on Japanese sound symbolism. Our system comprises a user interface module, an onomatopoeia parsing module, and a database. Our system can evaluate the subtle difference in viscosity feelings expressed by onomatopoeic words which are different in phonemes.
著者
間部 克裕 加藤 元嗣 坂本 直哉 浅香 正博
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.110, no.2, pp.218-224, 2013 (Released:2013-02-05)
参考文献数
26

ペプシノゲン(PG)は,胃底腺で産生されるPG Iと胃全体から産生されるPG IIからなり,約1%が血液中に漏出する.血清PGは胃粘膜の萎縮と相関し,PG I 70ng/ml以下かつPG I/II比3以下がPG法における胃がん高リスクである.胃がんの原因がH. pylori感染であることが明らかになり,PGに血清H. pylori抗体を組み合わせるABC分類が提唱され,胃がんリスク分類が可能となった.H. pylori除菌治療によりリスク例もA群に誤分類されてしまうことが課題である.Cut off値の見直しや除菌後PGなど,除菌治療後のPGについて検討がされている.
著者
小柴 篤史 坂本 龍一 並木 美太郎
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2017-OS-141, no.21, pp.1-7, 2017-07-19

オンチップアクセラレータを用いたパイプライン並列処理は,チップ間のデータ転送とタスク実行をオーバラップすることでアクセラレータの演算性能を活用できる.しかしアクセラレータや DMA の実行制御,同期制御を頻繁に行う必要があるため,従来のデバイスドライバを介したアクセラレータ制御ではユーザ / カーネル空間のコンテキストスイッチに起因するオーバヘッドを招き,処理性能が低減する課題がある.そこで本研究では新たな OS の資源管理手法として,パイプライン並列処理向けのアクセラレータの制御機構を提案する.提案手法は,本来ユーザプロセスが行う煩雑なハードウェア制御をカーネルプロセスが代行する.これによりユーザ / カーネルプロセス間の通信を抑制し,制御オーバヘッドを削減する.本研究ではその初期検討として提案する OS 機構を Linux に実装し,ヘテロジニアスマルチコアプロセッサのプロトタイプを用いて評価した.アルファブレンダのパイプライン並列プログラムに提案機構を適用した結果,提案機構はデバイスドライバを用いる場合と比較してソフトウェアの制御オーバヘッドを 86.2% 削減し,プログラムの実行速度を 1.66 倍高速化することを明らかにした.
著者
中野 知佳 柴 喜崇 坂本 美喜 佐藤 春彦 三原 直樹
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.21-28, 2007-02-20
被引用文献数
1

本研究の目的は,背臥位からの立ち上がり動作パターンの推移を縦断調査により明らかにすることである。健常な幼稚園児17名を対象とし,年少クラス時(平均年齢3歳9ヶ月±4ヶ月)から2年間継続し,計3回,背臥位からの立ち上がり動作をビデオに記録した。そして,立ち上がり動作中の上肢,頭部・体幹,下肢の3つの部位に着目し動作パターンを分類した。その結果,上肢,頭部・体幹の動作パターンの推移では一定の傾向を示し,下肢の動作パターンの推移では,上肢,頭部・体幹の動作パターンの推移に比べ一定の傾向を示さず多様な動作パターンの推移が観察された。そして,動作パターンの変化は年少クラス時から年中クラス時(平均年齢4歳9ヶ月±4ヶ月)の間に生じていた。上肢では年少クラス時から年中クラス時にかけて,17名中9名が左右どちらか一側の床を両手で押して立ち上がるパターンから,片手,あるいは両手を左右非対称的に使い立ち上がる動作に変化し,頭部・体幹では,17名中6名が同様の時期に回旋の少ない立ち上がり動作を獲得した。これらのことから,発達段階における立ち上がり動作の評価には,上肢,および頭部・体幹の運動に着目し観察することが重要になると思われた。
著者
桂 良寛 吉川 貴仁 上田 真也 臼井 達矢 外林 大輔 坂本 弘 高戸 浩志 砂山 友美 中雄 勇人 藤本 繁夫
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.505-512, 2010-10-01
参考文献数
43

The purpose of this study was to examine the effects of aquatic exercise training on the trunk muscles function and activities of daily living in abdominal obese women. Nineteen abdominal obese (abdominal circumference: 90 cm or more) and fifteen age-matched non-obese women were recruited as participants in this study. The aquatic exercise training (60 min/day, three days/week for 8 weeks) based on abdominal twists for activating the trunk muscle function. Physical parameters, biochemical characteristics, arteriosclerotic parameters and activities of daily living scores were assessed before and after the training period. In both groups showed abdominal circumference, percent of body fat, blood pressure and lower extremity muscle strength increased significantly after aquatic exercising training. In particular, endurance capacity of abdominal and back muscles increased significantly and activities of daily living scores were significantly improved in the obese group. Moreover, the improvement in the strength of lower extremities and improvement in the activities of daily living scores, such as climbing and descending stairs, in the obese group tended to be higher than non-obese women. Additionally, in abdominal obese group, the amount of the reduction of abdominal circumference was significantly associated with that of the increase in the strength of lower extremities. Taken together, these findings suggest the possibilities that the present aquatic exercise training based on trunk muscle exercise improving the function of trunk and lower extremity muscles with reduction in the abdominal obesity, contributing to improve activities of daily living in abdominal obese women.
著者
須藤 良太郎 坂本 貞 加藤 昌平
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.129-133,a1, 1981-02-01 (Released:2011-08-11)

概算的であっても一定精度を確保したうえで, 工事費を簡単に把握できれば次にとるべき手段, 方法の選択を容易にするなど工事費概算式はいろいろな分野で便利に利用され得るものである。現在一連の工種について概算式の作成作業を進めているが, 今回フィルダム工事費の概算式が一応実用の領域に入ったものと判断し, ここに報告し参考に供するものである。
著者
坂本 徳松
出版者
東邦経済社
雑誌
東邦経済
巻号頁・発行日
vol.25, no.8, pp.18-21, 1955-08
著者
眞田 誠 坂本 恭一
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.111-114, 2009-01

愛媛県立農業大学校の歴史は、明治43年に愛媛県立農事試験場に農業見習生制度を設置したことに始まりました。大正4年に愛媛県立農業技術員養成所と改称し、その後、時代の変遷に伴い、愛媛県高等農業講習所と名称を変更、また果樹、蚕業、畜産の各試験場にも同様の施設を併設し、技術者の養成にあたってきました。昭和46年に時代の進展に即応して農業指導者等の養成を一元化するため、講習所等を廃止し、農業大学校として新たに発足しました。昭和48年には、環境のよい愛媛県中部の松山市下伊台町へ新築移転し、教育や研修の体制強化を図りました。この後、国の要領改正や制度改正に伴う学科等の改変を行い、時代に対応した専門教育への体制を整えてきました。平成17、18年度には大学校の大幅な改革を行い、専修学校へ移行し、教授・助教授を配置するなど指導体制を拡充するとともに、従来の養成部門を自営農業者の育成だけでなく、地域農業および農村を担う幅広い人材を養成する総合農学科に再編するとともに、改良普及員の養成を目的とした専攻科を廃止し、高度な農業経営者や地域農業のリーダーを養成するアグリビジネス科を設置し、現在に至っています。
著者
川口 功 鎌江 伊三夫 宗圓 聰 坂本 長逸
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.289-302, 2014-10-31 (Released:2014-11-08)
参考文献数
37
被引用文献数
1

本分析では,慢性的な疼痛を伴う変形性関節症,関節リウマチ,腰痛症患者に対しセレコキシブを投与した場合の費用対効果を,ロキソプロフェンナトリウムの投与を比較対照とした場合について検討した。分析は,マルコフモデルを用いて,慢性的な疼痛を伴う変形性関節症,関節リウマチ,腰痛症患者の予後を,ロキソプロフェンナトリウム服用群とセレコキシブ服用群の各々について,分析対象者の生涯に渡り(分析対象者全員が死亡するまで)シミュレーションした。費用の算定は支払者の視点で行い,直接医療費を集計対象とした。効果の指標は質調整生存年(quality-adjusted life years,QALYs)とした。費用と効果はマルコフモデルにより3ヶ月ごとに推計し,年率2%で現在価値に割引換算した。その結果,セレコキシブ投与群はロキソプロフェンナトリウム群よりも0.024 QALY多く獲得されること,反面,総費用は73,496円増加すると算定された。すなわち,セレコキシブによる治療が,ロキソプロフェンナトリウムに比べ1QALY多く獲得するために必要となる追加費用(ICER)は3,126,463円/QALYと算定され,セレコキシブの費用対効果は良好であると結論された。
著者
坂本 亮
出版者
北海教育評論社
雑誌
北海教育評論
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.58-65, 1955-03
著者
丹羽 浩一郎 佐藤 浩一 杉本 起一 伊藤 智彰 折田 創 櫛田 知志 櫻田 睦 前川 博 坂本 一博
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.1005-1011, 2013-09-30 (Released:2014-01-10)
参考文献数
14

要旨:大腸穿孔の成因と治療成績,および予後予測因子について検討を行った。過去17年間に当院で緊急手術を施行した大腸穿孔182例を対象とした。死亡例は38例(死亡率:20.8%)であった。穿孔原因別に救命群と死亡群の2群に分けて検討した。大腸穿孔の原因として憩室(44.0%),大腸癌(30.2%),特発性(8.2%)の順に多かった。憩室,大腸癌を原因とする大腸穿孔では,多変量解析でAPACHIIscoreが独立した予後予測因子であった(それぞれp=0.002,p=0.038)。憩室を原因とする大腸穿孔では,APACHIIscoreが20点以上で死亡率85.7%と有意に高く(p<0.0001),また大腸癌を原因とする大腸穿孔では,APACHIIscoreが18点以上で死亡率75.0%と有意に高くなった(p<0.0001)。各症例の重症度を評価し,治療戦略を立てる際には,APACHEIIscoreが指標になる可能性が示唆された。
著者
太田 昭男 坂口 広憲 坂本 徹 浅野 恭一
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌A(基礎・材料・共通部門誌) (ISSN:03854205)
巻号頁・発行日
vol.123, no.7, pp.611-617, 2003 (Released:2003-10-01)
参考文献数
10
被引用文献数
1

Using a scanning Hall-sensor microscope with an active area 25µm×25µm, we measured the magnetic field distributions due to spontaneous magnetization on flat surfaces of low carbon steel SM400B with a yield point of 326N/mm2 and a pulling strength of 469N/mm2 under a static condition of terrestrial magnetism. Referring to the stress-strain curve, we applied a uniaxial stress to the sample and increased the stress level following the pre-scheduled experimental run, while measuring the magnetic profiles both for the stress state and after its release. The magnetic profile in the elastic stress nearly agrees with that after the release, and also agrees with that for the virgin state. However, as the stress level increases beyond the yield point and gives the residual strain after the stress release, there appear marked changes only in the results after the release compared to the others, which are attributed to the occurrence of Lüders bands. The positions with such changes in the magnetic profile move along a length direction of the sample, with extension of the Lüders bands to the whole part. The study shows the possibility to obtain information on a degree of strain progress in steels using magnetic images and to open up a practical way for non-destructive testing.