著者
南端 翔多 直江 祐樹 山口 和輝 谷 有紀子 岡嶋 正幸 野首 清矢 坂本 妙子 松原 孝夫(MD) 須藤 啓広(MD)
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌
巻号頁・発行日
vol.28, 2012

<b>【目的】 </b>高位脱臼股では脚短縮がみられ、人工股関節全置換術(THA)施行時、原臼蓋にカップが設置され、その結果脚長が延長される。脚延長により、中殿筋等の股関節周囲筋が伸張され、術後筋力の回復、可動域の改善が遅れ、歩行機能の低下を呈するため、理学療法に難渋する症例を経験することがある。今回、高位脱臼股に対して4㎝の脚延長を行なった右THAの1症例に対して、術前、術後の外転筋力、歩行機能を調査したため、若干の考察と共に報告する。<br><b>【症例】 </b>症例は高位脱臼股に対して後方アプローチによる右THAを施行した60歳代の女性である。術後は当院THAクリニカルパスに沿って理学療法を施行した。右THA施行により約4㎝脚長が延長された。右THA後は松葉杖歩行獲得し、22日目に転院となった。5カ月後にT字杖歩行獲得、独歩可能となった。症例には発表の主旨を説明し同意を得た。<br><b>【方法】 </b>右THAの術前、術後1, 4, 7, 14日目、退院時(21日目)、術後5カ月の股関節外転筋力、歩行様式を調査した。股関節外転筋力は、microFET2(HOGGAN社製)を使用し等尺性筋力を測定した。測定は3回行い、その平均値を測定値とし、回復率(術後測定値/術前測定値×100)を算出した。また筋力測定時の疼痛をvisual analogue scale(VAS)を用いて測定した。<br><b>【結果】 </b>右THA後の外転筋力回復率は、1日目12%、4日目36%、7日目36%、14日目99%、21日目117%、5カ月198%であった。VASは術前5㎜、術後1日目36㎜、4日目48㎜、7日目22㎜、14日目15㎜、退院時(21日目)8㎜、術後5カ月0㎜であった。歩行様式は、術前屋内は独歩、屋外長距離はT字杖使用、術後1, 4, 7, 14日目は歩行器、退院時(21日目)は松葉杖、術後5カ月はT字杖、独歩も100m程度可能であった。<br><b>【考察】 </b>当院MIS-THA後の股関節外転筋力回復率は7日目で114.3%、退院時(22.6日)には156.8%と第38回日本股関節学会にて報告した。本症例では当院の先行研究と比較すると筋力の回復が遅れる結果となった。三戸らは21㎜以上脚延長した群は、低い回復率を示したと報告しており本症例も、同様にTHA後の平均より低い回復率となった。術後股関節周囲筋が、伸張されたことにより疼痛が出現し、術後早期は筋力の発揮が不十分となったこと、また術前高位脱臼により股関節外転筋群が短縮位となり、筋萎縮を呈していたことが考えられる。その結果、股関節外転筋力が術前値より改善しても歩行時に骨盤を安定させることができず、松葉杖使用が必要な状態となった。術後5カ月には股関節外転筋力は、回復率が198%となり歩行時骨盤が安定し、独歩が可能となったが、股関節外転筋力が回復し骨盤が安定するには時間を要する結果となった。<br><b>【まとめ】 </b>高位脱臼股に対して脚延長を行ったTHAでは、股関節外転筋力、歩行機能の回復が遅れる傾向がみられた。外転筋力、歩行機能改善には、長期的な理学療法の介入が必要であるということが示唆された。
著者
稲垣 洋三 坂本 耕二 井上 泰宏 今西 順久 冨田 俊樹 新田 清一 小澤 宏之 藤井 良一 重冨 征爾 渡部 高久 山田 浩之 小川 郁
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.114, no.12, pp.912-916, 2011 (Released:2012-01-28)
参考文献数
15
被引用文献数
1 3

[背景] 甲状腺乳頭癌 (以下PTC) の頸部リンパ節転移の診断法としては画像検査や穿刺吸引細胞診 (以下FNAC) が一般的であるが, 原発巣が微細でかつ頸部リンパ節転移が単発嚢胞性の場合には診断に苦慮することがある. このような症例には穿刺液中サイログロブリン (以下FNA-Tg) 測定が有用といわれているが, PTC転移以外の嚢胞性病変も含めた検討は少ない. 今回われわれは, PTC転移およびそれ以外の頸部嚢胞性病変のFNA-Tgを測定し, PTC転移に対する補助診断としての有用性を検討した. [対象] 2006年7月~2009年2月に頸部嚢胞性病変またはPTCの嚢胞性頸部リンパ節転移を疑う病変に対し, 手術を施行し病理組織学的診断が確定した17例. [方法] 超音波ガイド下に (一部症例は術後検体より) 穿刺採取した嚢胞内容液のFNA-Tg値を測定し, FNACおよび病理診断との関係について検討した. [結果] FNA-TgはPTC転移例のみ異常高値を示したのに対し, 側頸嚢胞例では測定感度以下, 甲状舌管嚢胞例では血中基準値範囲ないし軽度高値であった. [結論] FNA-Tg高値はPTC転移を示唆する有力な所見で, 特にFNACで偽陰性を示すPTC嚢胞性リンパ節転移と側頸嚢胞との鑑別に有用であった. FNA-Tg測定の追加によりFNAC施行時に新たな侵襲を加えずに術前正診率を向上させられる可能性が示唆された.
著者
坂本 鷹彦 濱田 靖弘 本間 富士夫 高市 圭佑 佐藤 博紀 板野 愉朋 武田 清賢 熊本 功 佐藤 英男 相馬 英明 佐伯 英樹
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.77-80, 2016

<p>This study aims to develop the operation control method for residential CHP (Combined Heat and Power) systems with BD (Buffer Device) and PV (Photovoltaics). Simulation results of Smart House were evaluated by comparing PEFC to PEFC with Hybrid BD.</p>
著者
坂本 雄司 白井 良成 高田 敏弘 片桐 滋 大崎 美穂
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告
巻号頁・発行日
vol.36, pp.1-4, 2012

探索目標に関する映像中の位置情報を用いて録画データからインタラクティブに目標を探索する手法を提案する.手法の考え方は発掘作業になぞらえることができる.地層を掘り下げるように,利用者はスコップのような道具と目標位置に関する補助情報を用いて過去映像を掘り下げ,目標映像を探す.手法を実装したシステムの詳細とその評価実験の結果を紹介する.
著者
林 遼 高田 遼 坂本 龍一 近藤 正章 中村 宏 児玉 康弘 新 善文
雑誌
研究報告システムとLSIの設計技術(SLDM) (ISSN:21888639)
巻号頁・発行日
vol.2017-SLDM-179, no.27, pp.1-6, 2017-03-02

ネットワークルータにおいて,ルーティングやフィルタリングの処理を行うために,IP アドレスから該当する情報を検索する必要がある.その実装に現在広く用いられている TCAM ( 3 値連想メモリ) は高コストかつ高消費電力であり,今後ネットワークに接続されるデバイス数の増加が見込まれるなか,その消費電力削減は重要な課題である.ハッシュテーブルの利用などの代替手法もあるが,ハッシュ競合など解決すべき問題がある.本稿では,ニューラルネットワークを用いた IP ルックアップ方式を検討し,その性能と電力を評価する.
著者
坂本 延寛 鈴木 育男 山本 雅人 渡辺 美知子 古川 正志
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2009年度精密工学会春季大会
巻号頁・発行日
pp.539-540, 2009 (Released:2009-08-25)

Vehicle Routing Problem(VRP)とは,複数の車両が配送拠点から配送先の顧客に商品等を配送する際,制約条件を満たす範囲内で与えられた評価関数を最小とする経路を探索する問題である.本研究では,TSPの解法として有効である局所クラスタリング組織化法を用いたVRPの解法を提案する.そして,他の解法との比較のため数値計算実験を行ない,提案手法の有効性を示す.
著者
吉武 裕 安部 晃 村上 心 梶原 修平 古川 隼人 坂本 竜二郎
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.854, pp.17-00164-17-00164, 2017 (Released:2017-10-25)
参考文献数
9
被引用文献数
1

This paper deals with the vibration quenching problem of the one-degree-of-freedom system with a limited power supply. This system is forced by centrifugal force of rotating unbalance, and the system is quenched using a Hula-Hoop and a motor to assist the rotation of Hula-Hoop. The entrainment region, the amount of vibration quenching, and the energy consumptions of the system are studied from the approximate analysis using the averaging method, the numerical integration analysis, and the experiment. Following was made clear: (1) When the unbalance is large, the entrainment region of the voltage of the assistant motor is large. On the other hand, when the unbalance is small, the entrainment region becomes narrow. (2) When the unbalance is large, by setting the voltage of the assist motor to a value smaller than the optimum value for vibration control, within the range that satisfies the allowable vibration amplitude level, the increase amount of the energy consumption becomes low. (3) The approximate solutions obtained by the averaging method are in good agreement with those obtained by the numerical integration method, and the characteristics of these results coincide with those of the results obtained by experiment.
著者
宮本 敦史 井上 隆 坂本 義仁 一ノ瀬 雅之 齊藤 寛 長 圭一郎 坪井 悠馬
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.577-580, 2009

This paper presents actual performance of high-reflectivity panels by enviromental exposure test and cover performance of cloth. It was indicated that baking finishing and photocatalyst coating panels could maintain initial performance over a long period compared with conventional panels. On the other hand, spectral reflectivity and transmissivity of the clothes commercially available that influence on human thermal sensation of the exterior space. The spectral characteristic of solar shielding near infrared region is significant.
著者
土屋 律子 坂本 恵 鐘ヶ江 あゆ美 菊地 和美 木下 教子 坂本 佳菜子 佐藤 恵 菅原 久美子 田中 ゆかり 庭 亜子 畑井 朝子 藤本 真奈美 宮崎 早花 村上 知子 村田 まり子 山口 敦子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.26, 2014

【目的】日本調理科学会特別研究(平成24~25年度)「次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理」の先行研究・資料とすることを目的に昭和30~40年頃までに北海道に定着してきた家庭・郷土料理に関する書誌情報を収集した。地域を道央、道南、道北、道東に分け、北海道のみの記載、地域の特定のないものは、「北海道」としてまとめた。今回は、これらの資料に記載されている料理の地域性、主材料、調理操作について検討したので報告する。【方法】書誌収集は、平成25年3月~12月に実施した。収集された資料は62冊、料理数は1066件であった。料理の主材料を日本食品標準成分表2010年に基づき分類、調理操作は調理方法の記載、および明らかに推定できる操作を加え分類し検討した。【結果】料理数は、道東が多く全体の30.2%(322件)、道南23.5%、道央13.3%、道北10.2%であった。「北海道」は242件で、地域の記載がない28件を含めた。主材料を見ると、魚介類が37.9%と魚種、調理法も多く、中では鮭、鰊、いかの利用が多い。鯨、ごっこ、サメの利用もみられた。次いで野菜類(14.6%)、穀類(13.4%)、いも類(12.6%)と北海道の特産物の利用が多い。地域別では道南、道央は魚介類、道北は野菜類、道東はいも、野菜類の利用が多い。穀類は道央(29.6%)が多く道南、道北と続き、道東は6.4%と少ない。調理操作では、「煮る」が31.4%と最も多く、次いで「漬ける」(18.0%)、「焼く」(10.9%)、「和える」(7.2%)の順であった。「煮る」では、鰊の三平汁、鮭の石狩鍋、「漬ける」では、鰊、ほっけの飯ずし、いかの粕漬け、松前漬けなど、「焼く」では、いか焼きやいももち、ジンギスカンなどがあげられていた。地元の食材を多種多様に調理・加工し、利用している様子を窺い知ることができた。
著者
坂本 二郎 小林 佳介 北山 哲士 清水 信孝
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.854, pp.17-00212-17-00212, 2017 (Released:2017-10-25)
参考文献数
27

An optimum design method for determining the cross-sectional sizes of thin steel plate columns used for steel framed house was developed to maximize their buckling strength under a constraint of constant volume using evolutionary computing and cold forming. Buckling analysis was performed by finite strip method (FSM) that can analyze the buckling loads of local, torsional, and total buckling within less computational time. Differential evolution (DE) was used for the optimization algorithm because it is a fast and reliable method for non-linear, non-convex, and multimodal optimization problems. In this research, an optimum design method is proposed, which combines DE and FSM to achieve an efficient global optimum design considering comprehensive buckling modes. This method was applied to overcome the optimum design problems of the thin steel plate columns with a lip channel cross-section. Normal axial compression capacity (Nc) of the column under a constant volume was maximized by considering design variables such as web height, flange width, and lip length of the cross-section. The search performance of the optimization method was evaluated by obtaining an objective function (1/Nc), which was calculated at the lattice points of the design variables. The optimum design point obtained by the optimization method included a global minimum point of the objective function surface, hence ensuring the validity of the proposed method. Furthermore, the optimum design problem was solved under the deformation constraint by considering connection to the wall panels for the column length of 1000 mm, 2000 mm, and 3000 mm. Optimum designs with the open profile cross-section was obtained for all the abovementioned column length. The optimum designs obtained by the proposed method can be used for practical purposes because of their open profiled cross-section and can be produced by cold forming.
著者
北村 美穂子 下畑 さより 介弘 達哉 池野 篤司 坂本 仁 折原 幾夫 村田 稔樹
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.67(2008-NL-186), pp.97-102, 2008-07-10

近年インターネットの普及と価値観の多様性の拡大により,様々なサービスやコンテンツが提供される時代になっているが,多種多様化しているサービスやコンテンツは様々な言葉や形式で表現されているため,従来のキーワード型の検索サービスだけでは自分のニーズに合ったものを見つけることができない.我々は,対話システムにおいて,「対話の中で徐々に掘り下げた質問を繰り返すことにより,ユーザの真のニーズや価値観を引き出す」 ラダリング手法を用いることによりシステムがユーザに質問を投げかけ,ユーザが単独では表現できなかったキーワードや表現を引き出し,多種多様でかつ大量のサービスやコンテンツの中からそれとマッチするものを探し出す 「ラダリング型検索サービスシステム」 を構築した.本稿は,対話エンジン部を中心に本システムの全体概要を説明する.
著者
手代木 琢磨 山本 秀夫 坂本 宗仙 砺波 宏明
出版者
The Society of Fiber Science and Technology, Japan
雑誌
繊維学会誌 (ISSN:00379875)
巻号頁・発行日
vol.36, no.12, pp.T560-T563, 1980
被引用文献数
8

8種類のアミノデオキシセルロースと6-アミノ-6-デオキシデンプンをジメチルホルムアミドーSO<sub>3</sub>錯体で硫酸化して,抗血液凝固剤として有名なヘパリンに類似した構造をもつ,酸性ムコ多糖同族体を合成した。生成物のイオウ含有量は,原料の窒素含有量に無関係に10~12%で,これは硫酸基の置換度がほぼ1に該当する。ただし6-アミノ-6-デオキシセルロースは例外で,その硫酸化に対する反応性は非常に低く,イオウ含有量は約7%であった。またこの原料の選択的N-硫酸化をピリジンーSO<sub>3</sub>錯体で行うと,約半分のアミノ基が反応し,イオウ含有量は約4%であった。さらにこれらの生成物の赤外吸収スペクトルを測定し,比較険討した。
著者
坂本 達昭 細田 耕平
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.141-149, 2017 (Released:2017-11-10)
参考文献数
29

【目的】朝食の共食機会がほとんどない中学生の中で,QOL(Quality of Life)が良好な者の家族との食事のあり方の特徴を明らかにすること。【方法】2015年9月に福井県内中学校7校の中学2年生797名を対象に調査を実施し,762名より有効回答を得た。質問項目は,属性,家族との食事のあり方,家の食事の楽しさならびにQOLとした。家族との食事のあり方については,朝食および夕食の共食頻度,平日および休日の夕食の食事時間,食事中に家族が話を聞く程度,食事中に注意される頻度等をたずねた。QOLの測定には中学生用のQOL尺度(Kiddo-KINDLR)を用いた。朝食の共食機会が「ほとんどない」者を,対象者全員のQOL総得点の中央値でQOL高得点群およびQOL低得点群に2分し,両群の家族との食事のあり方を男女別に比較した。【結果】朝食の共食頻度がほとんどない者は300名であり,そのうちQOL高得点群は男子63名,女子56名であった。男女共にQOL高得点群はQOL低得点群と比べ,夕食の共食頻度が高く,食事中に家族がよく話を聞き,家族から注意される頻度が低く,家の食事を楽しいと感じている者が多かった。【結論】朝食の共食機会がほとんどない中学生において,夕食の共食頻度が高いこと,食事中に家族が話をよく聞くこと,家の食事を楽しいと感じていることは,QOLが良好な者の特徴であることが示唆された。
著者
熊谷 貴美代 田子 博 飯島 明宏 小澤 邦壽 坂本 和彦
出版者
公益社団法人 大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.10-20, 2010-01-10 (Released:2010-07-29)
参考文献数
40
被引用文献数
5

関東平野の内陸に位置する群馬県前橋市および赤城山において,大気中粒子状物質を粒径別(<2.1μm,2.1-11 μm,> 11 μm)に捕集し,無機イオン成分,炭素成分分析を行った。炭素成分分析では,熱分離法と熱光学補正法の比較により補正を行った。微小粒子濃度の年平均値は,前橋で20.2~22.7 μg/m3,赤城で8.2~10.5 μg/m3であった。微小粒子濃度は春から夏にかけて高濃度となる季節変動を示した。微小粒子における無機イオン成分の96%は,NO3-,SO42-,NH4+であった。前橋も赤城も粒子濃度は同様の変動パターンを示した。前橋では春にNO3-が大きく増加するという特徴が見られた。しかしNO3-は赤城では低濃度であったことから,前橋におけるNH3ガスがNO3-粒子生成に影響していると示唆された。SO42-は夏に高濃度となる変動を示した。赤城でも前橋の8割程度のSO42-が観測され,SO42-粒子は広域的に存在することが分かった。マスクロージャーモデルを用いて,成分濃度から粒子質量濃度を推定した結果,実測値と同等の結果が得られた。モデル推定値から,粒子濃度の成分構成を季節毎に求めたところ,二次生成粒子と有機物が微小粒子の8割を占めると推定された。ECの寄与率は1割程度であった。春は,NO3-,SO42-粒子,夏秋はSO42-と有機物の寄与率が大きいことが分かった。
著者
安田 憲司 橋川 真之介 坂本 弘美 冨田 悠一 柴田 早苗 深田 恒夫
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.205-208, 2007-02-25
参考文献数
23

乳酸桿菌とデキストランを含んだ新シンバイオティクスの効果を調べるためにホルスタイン牛は泌乳条件に差がない58頭を選んだ.牛は無作為に2群に分け,A群にはコントロールとして基礎飼料を,B群にはシンバイオティクスを2004年8月から1年間投与した.シンバイオティクス投与後,乳量および成分について2004年8月から2005年8月までA群とB群を比較検討した.B群の乳量はA群より多く,調べたすべての値において両者間で有意な差(p<0.01あるいはp<0.05)があった.更に,脂肪量,蛋白量および非脂肪固形物においてB群は有意に増加していた.また,A群において2004年8月及び2005年4月では体細胞数が有意に増加していた.これらの結果,乳酸桿菌とデキストランを含んだ新シンバイオティクスは年間を通してホルスタイン牛の乳量・乳質を高めることを示した.
著者
安井 真也 富樫 茂子 下村 泰裕 坂本 晋介 宮地 直道 遠藤 邦彦
出版者
特定非営利活動法人 日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.43-59, 1998-04-30 (Released:2017-03-20)
参考文献数
22

A large amount of pyroclastic materials (ca. 1.7 km3) was erupted during the 1707 eruption of Fuji Volcano. Variety of lithic fragments has been recognized in the pyroclastic fall deposits, namely, accessory and accidental lava fragments, gabbros, and granitoids. A great variety of petrologic features is observed in gabbroic fragments consisting of olivine gabbro norite, gabbro norite, troctolite and anorthosite. The gabbros are divided into O, P and F groups on the basis of modal ratios of olivine, plagioclase and Fe-Ti oxide. O group mainly consists of plagioclase and olivine with minor amounts of pyroxenes and Fe-Ti oxide. O group is considered to have been adcumulated in the lower part of magma chamber because of their high depletion in incompatible elements, their well-sorted grain size and sedimentary structure. P group is composed of plagioclase, pyroxenes and minor amounts of olivine and Fe-Ti oxide. F group is similar to P group, but is enriched in Fe-Ti oxide. P and F groups are orthocumulates and may be solidified in the upper part and margin of magma chamber or dike because of their porphyritic texture. Such a variety of gabbros may correspond to the difference in location of the single gabbroic body beneath Fuji Volcano. The estimated source magma of the gabbros is similar to the basalt of Fuji Volcano in chemical and mineralogical compositions indicating that they are cognate origin. Chemical compositions of olivine and pyroxenes become magnesian and those of plagioclase become calcic with the decreasing of bulk-rock FeO*/MgO ratio. It suggests that they are the products of continuous fractional crystallization. The magma of the 1707 eruption could have come up from under the gabbroic body, which was the solidified basaltic magma chamber, and have caught and brought the rocks from the gabbroic body up to the surface as cognate xenoliths during the eruption.