- 著者
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太田 慧
菊地 俊夫
- 出版者
- 公益社団法人 日本地理学会
- 雑誌
- 日本地理学会発表要旨集 2017年度日本地理学会秋季学術大会
- 巻号頁・発行日
- pp.100153, 2017 (Released:2017-10-26)
1.研究背景と目的 多摩地域に位置する東京都小平市は市域が東西に広がっており,市内の東西で土地利用や産業構造に異なる特徴がみられる.本研究は2016年度に実施した小平市産業振興計画に基づく基礎調査のアンケート結果に基づいて,東京都小平市における消費行動の傾向を品目別に検討し,それらの地域的な特徴について明らかにした.2.東京都小平市における購買行動の地域特性 図1および図2は,小平市の東部,中部,西部の地域別に生鮮食品および娯楽サービスの主要な購入・利用先の回答割合を線の太さで表現したものである.図1のように,小平市の東部地域における生鮮食品購入先の回答は,「花小金井駅周辺地区」で購買する割合が最も高い.一方,中部地域の回答では「一橋学園駅周辺地区」,西部地域は「小川駅周辺地区」などのそれぞれの地域から近い場所で購入する割合が高いほか,一部では「新宿駅周辺地区」や「吉祥寺駅周辺地区」などの都心方面の回答もみられた.娯楽サービスについては,小平市の東部地域は「新宿駅周辺地区」,中部地域と西部地域は「立川駅周辺地区」を利用する割合が最も高くなる一方で,相対的に小平市内における娯楽サービスの回答割合は低い傾向となっていた(図2). さらに,アンケート調査回答の購入・利用割合について,生鮮食品,紳士服・婦人服,娯楽サービス,教育サービス,外食サービス,医療・介護サービスの6項目について検討した.その結果,生鮮食品,教育サービス,医療・介護サービスなどの市民が日常的に利用するものに関しては小平市内やその近隣で購入・利用されていることが示された.一方,紳士服・婦人服,娯楽サービス,外食サービスについては,「新宿駅周辺」や「吉祥寺駅周辺」などの都心方面に加えて,「国分寺駅周辺」や「立川駅周辺」などの中央線沿線の商業地域がよく利用されていた.全体的にみれば,小平市東部地域の住民は「新宿駅周辺」や「吉祥寺駅周辺」などの都心方面において商品・サービスを購入・利用する傾向があるのに対して,西部地域の住民は「立川駅周辺」を回答する傾向があった.また,中部地域の住民は「国分寺駅周辺」の回答がやや多いが,おおむね東部地域と西部地域の購入・利用傾向の中間的なものとなっていた.以上のような小平市内で購入・利用先に差異がみられる傾向は,娯楽サービスでより顕著にみられた.つまり,服の購入,娯楽,外食などの週末の利用が想定される項目に関しては,小平市内よりも新宿や吉祥寺,立川などの中央線沿線の商業地域がよく利用されているといえる.