著者
池田 あゆみ 谷 将之 金井 智恵子 髙山 悠子 大野 泰正 太田 晴久 山縣 文 山田 貴志 渡部 洋実 橋本 龍一郎 岡島 由佳 岩波 明 加藤 進昌
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.133-141, 2014-02-15

抄録 成人アスペルガー障害(AS)を対象に共感指数(EQ)およびシステム化指数(SQ)を含む自閉症スペクトラム障害関連の質問紙を施行し,ASの臨床的特徴と質問紙の有用性を検討した。健常群と比べAS群でEQが有意に低く,SQが有意に高かった。EQとSQに関してAS群の男女間に有意差はなく,ともに超男性脳傾向を示した。AS群においてのみEQと自閉症スペクトラム指数(AQ),SQとAQ,EQと対人的反応性指数(IRI)の相関を認めたが,EQとSQの相関,これらとパーソナリティ尺度との相関は認めなかった。EQおよびSQは,ASの低い共感能と高いシステム化能を反映する指標であり,パーソナリティに影響を受けないため,成人のASを診断する有用な指標となり得る。
著者
中西 彬 花井 隆晃 伴 邦教 服部 翔吾 太田 宗宏 谷口 義則
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
pp.21-00017, (Released:2022-03-23)
参考文献数
22

愛知県の谷津田環境で実施される造成事業の計画地に生息するホトケドジョウの保全を検討するため,計画地域にある 2 河川(下流で合流)の 7 地点とこれらと本川が異なる 1 地点を対象にミトコンドリア DNA の D-loop 領域とマイクロサテライト DNA を解析し,遺伝的構造を把握した.ミトコンドリア DNA は 2 河川 7 地点間に変異は認められず,遺伝情報が既知の東海集団に属すると判定された.また,マイクロサテライト DNA は,帰属性解析及び FST 値の結果から,河川流域ごとに遺伝的なまとまりがあり,2 河川間で遺伝的分化の程度に差があった.事業の影響を受ける 1 地点と近隣の 1 地点は,遺伝的多様性が非常に低く,2 地点間には多少の遺伝的分化が見られ,圃場整備による流路の分断化や個体群の小規模化の影響があると考えられる.この 2 地点は,過去には遺伝的交流があったと推測されることから,両地点の個体群を一体とした生息地の確保や遺伝的交流の確保が有効であると考えられる.
著者
太田 成男 上村 尚美 ウォルフ アレクサンダー 西槙 貴代美 一宮 治美 横田 隆
出版者
日本医科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

放射線によって ヒドロキシルラジカルが生じ、それがトリッガーとなってラジカル連鎖反応を生じさせ、主に細胞膜において細胞障害をあたえることが知られている。低濃度の水素は、ラジカル反応誘発剤による細胞障害も抑制したので、水素は少量でも脂質ラジカルを抑制することにより連鎖反応を抑制して細胞を保護することを明らかにした。さらに、低い水素濃度でも、細胞膜の脂質過酸化を抑制することを明らかにした。本研究では、放射線障害を水素が抑制する可能性を示唆し、その分子機構の一端を明らかにしたが、それをそのまま社会に適用するためには不十分である。
著者
西浦 庸介 太田 圭祐 小林 利江 倉知 あかね 村瀬 景子 石黒 正崇 平野 ツヤ子 伊藤 友一 井手 敦基 濱野 髙行
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.215-220, 2022 (Released:2022-03-28)
参考文献数
18

われわれはシャント音を人工知能で音質を数値化し評価できることを報告した.しかし,聴診部位の情報が欠損しており閉塞の予測因子としては不足があった.また,分枝の多いシャントは血流量が低下しにくいため,ドップラー超音波による上腕動脈平均血流量(mFV)や血管抵抗指数(RI)では閉塞を予見しにくいと言われている.しかし,聴診部位が記録しやすい吻合部のみでのシャント音であれば,前述超音波所見との関連を認めるのではないかと考えた.評価項目として,シャント吻合部での音質と超音波によるmFV,RIを用いて比較を行った.その結果,シャント血流量を示すmFVはシャント聴診音の強度と相関した.超音波によるRIは人工知能で判断される断続音と弱い相関を認めた.日々の聴診によりシャント血流量を間接的に評価することが可能であると考えられた.しかし,吻合部のみでなくシャント全長にわたる聴診が狭窄音の評価に重要である.
著者
藤田 昌英 中野 陽典 太田 潤 熊西 康信 木本 安彦 大道 道大 薄金 眞雄 上田 進久 塚原 康生 藤原 彰 下妻 晃二郎 杉山 龍平 飯田 透志 梁 昌熙 稲葉 秀 奥山 也寸志 阪本 康夫 石井 泰介 田口 鐵男
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.187-192, 1986

わが国で大腸癌が急増しつつある現在,信頼性が高く,かつ検診効率のよい集団検診法の確立が急がれる.われわれは昭和52年以来試みてきた3種の検診結果に基づき,.昭和57年4月から2年間,地域団体,職域団体,個人の3グループの計12,520名に対し,グアヤックスライド(シオノギ)にて制限食下に3日間便潜血を調べる方法と問診とを併用した大腸癌集団検診を実施した。要精検は3,434名(27.4%)であり,その内訳は,便潜血が1枚以上陽性であった者2,602名,3親等以内の家族に大腸癌のみられたハイリスク者524名,大腸癌を疑う症状を訴えた者308名であった。要精検者の64.4%(2,214名)が直腸指診,直腸鏡検査をうけた.注腸X線検査は1,397名,大腸ファイバースコピ一は187名に実施した.728名は消化管に何らかの異常所見がみられ,大腸癌は18名(0.14%),カルチノイドは1名,大腸ポリープは303名にみられた.大腸癌18名中17名は便潜血陽性で,残る1名はハイリスクでスクリーニングされた.腫瘍の局在ではS状結腸が10名と多かった,Dukes Cの進行癌は3名にすぎず,Dukes Bは4名であり,早期癌は10名をかぞえた.この集検法は無症状のかなりの大集団に実施でき,大腸癌をより早期に発見しうる信頼度の高い方法であると考えられた.
著者
中島 達夫 太田 計正
出版者
The Textile Machinery Society of Japan
雑誌
繊維機械学会論文集 (ISSN:18838723)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.T48-T55, 1966

目的 往復方式の摩擦試験機を試作し, その測定結果について考察する. 成果 シリンダ吊下型振子式により試料と摩擦面に往復方式の摩擦を与え, ストレインメータにより摩擦を検出記録する試験機を試作し, それを用いて 1. 糸の摩擦測定における履歴効果を調べた. 2. 荷重および接触糸本数が摩擦に及ぼす影響がマルチフィラメント糸とモノフィラメント糸で異なることがわかった. 3.サイジング工程におけるアフタワッキシングの平滑効果を調べた.
著者
村田 厚生 太田 幸雄
出版者
Japan Society of Kansei Engineering
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.447-454, 2013 (Released:2013-12-11)
参考文献数
12
被引用文献数
1

When solving a mathematical problem, in spite of mastering knowledge and formula necessary for the solution, we sometimes encounter a situation where we cannot reach the correct answer. The reason can be contributed to the lack in metacognitive abilities. Metacognitive abilities consist of comparing the difficulty of problem with own ability, proper plan of solution process, and conscious monitoring and control of solution process. The role and importance of metacognitive ability in mathematical problem solving of permutations and combinations was explored. Participants were required to solve five problems related to permutations and combinations. For each problem, the solution process was divided into (1) recognition of mathematical problem, (2) plan of solution, and (3) execution of solution. Participants were required to rate the anticipation whether they can solve it or not, and to rate the confidence of their own answer. According to the total score of five problems, the participants were categorized into the group of the higher test score and the group of the lower test score. As a result, at the plan and the execution processes, statistically significant differences were detected between the high and low score groups. As for the rating on the anticipation of result and the confidence of own answer, no significant differences were found between both group. Moreover, the relationship between the score of plan process and the score of execution process was statistically correlated. In other words, the more proper the plan process was conducted, the more proper solution the participants reached. In such a way, the importance of metacognitive ability in the solving process, especially the plan ability was suggested.
著者
渡邊 勧 金子 哲 太田 理恵 菅野 早苗 廣木 祐三子
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.141, 2010

【はじめに】<BR> 地域ケアシステムは、茨城県独自のシステムとして、保健、医療、福祉などの地域の他職種の人々が連携して、在宅の要介護者にサービスを提供するシステムが平成6年に創設された。現在では各市町村の社会福祉協議会を窓口として、支援を必要とする人に対して在宅ケアチームを編成し、在宅サービスの充実化を図っている。サービスの内容は、訪問・通所介護など介護保険や自立支援給付等の法的な福祉サービスに近所の方による見守り、安否確認、軽度の生活補助などを組み合わせたサービスを提供している。現在の地域ケアシステムは、介護保険適用の高齢者だけでなく、障害児(者)、子育て親、難病患者も対象となっており、地域ケアコーディネーターと呼ばれる保健・医療・福祉の従事者はじめ地域住民、ボランティアの人たちで編成されており、地域リハビリ指導においては、理学療法士がリハビリテーション指導に関わっている。今回、城里町社会福祉協議会において地域ケア及び地域リハビリテーションの相互の連携システムの推進を検討する機会を得たので報告する。<BR>【活動内容】<BR> 茨城県内地域ケアシステムは44地域における社会福祉協議会で運営され、その中で城里町では、平成21年2月に地域ケア・地域リハビリ相互連携システム推進検討委員会を発足。平成22年度の委員会では、理学療法士3名、作業療法士1名、養護学校教員3名、保護者会1名、城里町健康福祉課3名、地域ケアコーディネーター2名、社会福祉協議会事務局3名で構成され、地域活動支援センター(障害者作業所)、日中一時支援事業等利用者に対する相談介入、事例検討及び利用者への具体的介入の推進、相談を行っている。委員会会議の開催(H21年2月~H22年3月現在)は計13回である。活動報告の中では、学校と福祉の現場における壁の存在や、就学前後における個別支援計画がつながっていないこと、医療と介護(保険)の隙間に埋もれている対象者への支援活動が十分確立されていないことがあげられている。リハビリテーションにおける支援では、知名度の低さとともに、実際に病院や施設での勤務の枠を超えて地域リハビリテーションへの関わりができる人財、フィールドが限られることから、知名度の向上と、地域ケアと地域リハの相互協力が得られる体制作り、働きかけを向上していく必要性がある。<BR>【まとめ】<BR> 活動の中で、対象者と地域における課題を探り、地域を支えるための地域ケアシステムと地域リハビリテーションと継ぎ合わせが必要となる。小児から高齢者まで、より身近な地域で適切なリハビリテーションサービスを受けることができるよう、リハビリテーションのネットワークづくりを推進していくことが今後の課題となる。<BR>

2 0 0 0 OA 母と子の美術

著者
太田三郎 著
出版者
婦女界社
巻号頁・発行日
1924
著者
川尻 啓太 末吉 正尚 石山 信雄 太田 民久 福澤 加里部 中村 太士
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.133-148, 2020

<p>積雪寒冷地の札幌市では路面凍結防止のために,塩化ナトリウムを主成分とする凍結防止剤が大量に散布されている.散布された塩類は除雪された雪とともに,雪堆積場へと集められ,春になると融けて近隣の河川に流れ込む可能性がある.しかしながら,雪堆積場からの融雪水中の塩類の含有量や河川水質,生物への影響はほとんど明らかになっておらず,その実態把握が求められている.本研究では,まず,札幌市内の 73 箇所の雪堆積場における人為由来の塩化ナトリウム含有量の推定をおこなった.次に,2015 年 2 月から 6 月にかけて雪堆積場 7 か所とその近隣河川を対象に,雪堆積場からの融雪水の水質ならびに雪堆積場からの融雪水が流入する上流部(コントロール区)と下流部(インパクト区)における河川水の水質調査,河川に生息する底生動物と付着藻類の定量調査を 2015 年 2 月から 6 月にかけて継続的に実施した.調査の結果,融雪初期において,雪堆積場からの融雪水中の Na<sup>+ </sup>濃度と Cl<sup>- </sup>濃度が河川水の 2~9 倍と極めて高くなる傾向が見られた.さらに同時期のインパクト区における Na<sup>+ </sup>および Cl<sup>- </sup>濃度がコントロール区に比べて 1.56 ± 1.27 mg L<sup>-1</sup>,3.05 ± 2.74 mg L<sup>-1</sup>(平均値±標準偏差)上昇した.生物については底生動物の一部では雪堆積場の負の影響が認められ,トビケラ目の個体数と代表的な水生昆虫 3 目(カゲロウ目,カワゲラ目ならびにトビケラ目)の総個体数はコントロール区よりインパクト区で低い傾向が認められた.積雪寒冷地における河川生態系の保全のためには,融雪開始時期の河川水質の急激な変化を抑えることが重要であり,これにより底生動物への影響を回避することができるだろう.</p>
著者
堀内 かおる 花岡 美紀 小笠原 由紀 太田 ひとみ
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.56, 2013

【目的】  中学校技術・家庭科家庭分野の「A家族・家庭と子どもの成長」は、家庭分野の導入として、ガイダンスの位置づけとすることになっている。しかしこの内容に含まれている「自分の成長と家族とのかかわり」は、中学校入学当初のみならず、家庭分野の学習を通して生徒に見つめさせていきたい内容である。中学生の時期に自立の概念をとらえ、今後の自分の人生を展望することは極めて重要であり、キャリア教育の視点も加味しつつ、家庭科学習との関わりで自らの成長を振り返る契機としたいと考えた。以上の授業観に基づき、中学生が自らの成長を家族との関わりを可視化することを通して考える授業を設定し、その効果と課題を明らかにすることを目的として、「絵本」を教材とした授業実践とその分析・考察を試みた。【方法】 2012年10月に、国立大学附属K中学校第1学年4クラスの生徒を対象として、家族と家庭生活に関する内容の絵本を教材とした授業を試みた。授業は2時間続きで行われ、1時間目には本授業のために制作されたオリジナルのデジタル絵本『「なりたい自分」になるために必要なこと』を、2時間目には、レイフ・クリスチャンソン:文(にいもんじまさあき:訳)、ディック・ステンベリ:絵の『じぶん』(岩崎書店、1997年)という絵本を使用し、他者とのかかわりの中で、相手意識をもって「自分に何ができるのか」を考えるように促した。 授業の中では、現在に至るまでの、家族とのかかわりに着目させることとし、自分の成長の背景には、家族をはじめとする身近な大人たちの存在が不可欠であり、そうした人々との関わりを通して今の「自分」を形成してきたのだということに生徒たちが気づくための手立てを考え、授業の内容が組み立てられた。本授業における生徒の気づきをワークシートや授業後の感想から読み取り、分析を行った。【結果と考察】1.生徒にとっての「自立」: 1時間目の授業の冒頭で、教師は「自立」のイメージマップを生徒たちに書かせた。その結果、「自立」という言葉から直接枝分かれして書かれている言葉は、「一人暮らし」「視野が広がる」「自分の意思をもつ」「自分の力で生活する」ということであった。自立には、生活的な自立、精神的自立、経済的自立があることをとらえていることが分かった。しかし、「自分の力で生活する」と言う言葉から派生しているのは、「自分のことは自分でやる」ということであって、「一人でできるようになる」ということが自立の根本的な考え方として捉えられていた。「誰かと共に助け合って生活する」「誰かのために役立つ自分になる」という「共生」の概念は、この「自立」のマップからは見取ることができなかった。2.「共生」というコンセプトについての生徒の理解: 1時間目の授業では、「自立」の概念に続いて、「共生」の意味についても生徒に提示している。「共生」の概念を押さえたうえで、2時間目の「いまの自分・これからの自分と家族とのかかわりについて考えてみよう」という小題材へと学習は展開した。「自分の成長と家族とのかかわり年表」は、自分の成長とともに家族それぞれも年齢を重ねていくということを可視化させる手がかりとなり、家族とのかかわりを見つめ直した様子がうかがえた。3.教材としての絵本の効果: 授業後のアンケートにより、生徒たちの絵本教材に対する意識を把握したところ、約4割の者が絵本に対する関心を持っていた。しかしほぼ同率で「あまり関心がない」と回答する者もおり、授業にあたり、絵本それ自体に対しては、自発的な興味・関心を抱いている学習者ではなかった。しかし、それにもかかわらず、今回使用したデジタル絵本に対しては肯定的な評価が得られ、約6割が「わかりやすかった」と回答し、約4割が「いまの自分のことを考える手がかりになった」「文章(言葉)がよかった」と回答している。「将来の自分のことを考える手がかりになった」という回答も約4割見られ、これからの自分の生活を考える視点を持つきっかけになったと推察された。
著者
渡辺 匠 太田 紘史 唐沢 かおり
出版者
人間環境学研究会
雑誌
人間環境学研究 (ISSN:13485253)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.79-84, 2019
被引用文献数
1

自由意志に関する信念は責任帰属や自己コントロールなど、われわれの社会生活で重要な機能を果たすことがこれまでに提起・実証されている。しかし、「自由意志」が何を意味するのか、という根本的な問題について、個々の研究者の想定は異なっている。そこで、本研究は人々の自由意志概念を構成する具体的な要素について、Monroe and Malle(2010)にもとづき、自由記述の方法を通じて検証をおこなった。大学生301名の回答をコーディングした結果、人々の自由意志概念の主要な要素は他行為可能性(「複数の行為が可能である」ということ)、行為者性(「自分の心理状態が行為を引き起こす」ということ)、制約からの自由(「内外の要因に制約されずに行動する」ということ)の3つであることが明らかになった。つまり、人々にとって自由意志とは、「何ものにも拘束されず、自分の心理状態にそって行為を選択する」ということを基本的に意味すると示唆される。これらの結果にもとづき、考察では心理学の先行研究や哲学領域の知見との整合性について議論した。
著者
渡辺 匠 松本 龍児 太田 紘史 唐沢 かおり
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.228-231, 2016
被引用文献数
3

This article describes the development and validation of a Japanese version of the Free Will and Determinism Scale (FWDS) to measure people's beliefs about free will. The scale was evaluated with two samples of 166 and 171 undergraduates. The resulting data fit the two-factor model with general free will as one factor and personal free will as the other. Furthermore, only personal free will was associated with self-control, consistent with expectations indicating the test's validity.
著者
加藤 善士 太田 充彦 八谷 寛
出版者
独立行政法人 労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.173-179, 2019-09-30 (Released:2019-09-30)
参考文献数
10

労働基準監督署では,労働災害の重篤度を休業見込期間により判断し,労働災害防止施策を展開している.しかし,労働災害の休業が当初の休業見込期間を超えて長期に及ぶことがある.的確な労働災害防止施策を展開するためには,休業期間を早期に正確に把握することが重要となる.そこで某労働基準監督署管内の過去3 年間に発生した労働災害1,672件(男性1,204名,女性468名)について,事業場から報告される労働者死傷病報告と労働者災害補償内容を対比し,休業見込期間と実際の実休業日数の乖離状況を調べ,業種,事業場規模,性別,年齢,業務経験期間,平均賃金との関連を検討した.休業見込期間を超えて実際に休業した者の割合は男性で71.2%,女性で63.9%であった.休業見込期間(中央値:男性30日,女性28日)と実休業日数(中央値:男性50日,女性39日)は男性の方が長かった.休業見込期間を超えて休業する者の割合は,男性において事業場業種,事業場規模,年齢で有意な差が認められた.また,実休業日数/休業見込期間比の中央値は男性1.38,女性1.20と男女間で有意な差があった.労働災害の重篤度を休業見込期間で判断することは,重篤度を過小評価する可能性が高く,実休業日数が休業見込期間を超える割合には,男女で差があった.