著者
小島 伸之
出版者
「宗教と社会」学会
雑誌
宗教と社会 (ISSN:13424726)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.25-47, 1998-07-06 (Released:2017-07-18)

本稿は、1899年(明治32年)宗教法案の評価を再検討するものである。先行研究における法案の評価は二つに分かれている。すなわち、宗教団体の自治権に変わって政府の直接把握をも射程に入れた宗教統制法だとする立場と、一定の範囲で教派宗派の自治を認め原則として政教分離の主義に立つ法律とする立場の二つである。この評価の違いは、法案の「教会」「寺」「教派」「宗派」規定の理解が鍵になっている。そこで、本稿は「教会」「寺」「教派」「宗派」規定を、条文と議会の議事録の分析によって実証的に検討した。その結果、法案は法人格取得のための許可ないし自治団体としての認可を求めているにすぎず、宗教上の結社一般については許認可を求めていないこと、教派宗派による自治を前提として、「教派」「宗派」と「宗教委員会」規定を置いていることなどを論証した。その結果、前者の立場は取り難いことが明らかになった。
著者
大城 直雅 富川 拓海 國吉 杏子 木村 圭介 小島 尚 安元 健 朝倉 宏
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.8-13, 2021-02-25 (Released:2021-03-04)
参考文献数
18
被引用文献数
10

世界最大規模の自然毒食中毒シガテラの未然防止のために,地方自治体では可能性のある魚種を指定して販売自粛を指導している.水産卸売市場で販売が自粛された魚類7種18試料についてLC-MS/MSによりシガトキシン類(CTXs)を分析した結果,5試料(バラフエダイ4試料およびバラハタ1試料)からCTXsが検出された.含量の高かった2試料(No. 5: 0.348 μg/kg, No. 8: 0.362 μg/kg)は200 g程度の摂食で発症すると推定され,販売自粛がCFPを未然に防止したことが示唆された.産地不明のバラフエダイ(1試料)からはCTX1B系列(CTX1B, 52-epi-54-deoxyCTX1Bおよび54-deoxyCTX1B)のみが検出され,沖縄・奄美産バラフエダイと組成が類似していることから沖縄・奄美海域で漁獲された可能性が示唆される.一方,和歌山産バラフエダイ(2試料)からはCTX1B系列とCTX3C系列(2,3-dihydroxyCTX3C, 2,3,51-tri­hydroxyCTX3C, 2-hydroxyCTX3C)の両方が検出された.なお,本州沿岸産魚類からCTXsを検出したのは初めての例である.
著者
影山 照雄 鮫島 恭夫 小島 孝昭 澤津川 勝市 白石 武昌
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.339-346, 1994-12-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
13

「耳鍼療法」は, 肥満 (症) 治療の一つとして時に劇的に減量効果を及ぼすという。その健常者の体重に及ぼす影響を検討した。6週間の「耳鍼留置」により, 漸次体重は減少し, 有意 (p<0.01) な体重減少者は増加した。その体重減少効果は抜鍼後 (2週) にも及んだ。抜鍼後2~3月後には概ね実験開始前の値に復し,「耳介鍼刺激」は体重減少作用があることを確認した。「耳介鍼刺激」による減量作用と食欲減少には相関がみられ, 実験動物 (ラット) での実験で明らかとなった耳介刺激が視床下部ニューロン活動を修飾することが非肥満, 健康者でも示唆された。
著者
上野 紘一 小島 吉雄
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.338-344, 1984

韓国産コイ科魚類9種の核型 (複相数, 構成) は次のように分析された.<BR>コウライヒガイ, 50, 18m+32sm・st, ヒメハヤ, 50, 10m+34sm・st+6a, カネヒラ, 44, 10m+20sm・st+14a, ズナガニゴイ, 50, 16m+28sm・st+6a, ヤガタニゴイ, 50, 12m+28sm・st+10a, ヤガタムギツク, 50, 14m+30sm・st+6a, ホタテコブクロカマツカ, 50, 18m+32sm・st, ムナイタカマツカ・50, 18m+32sm・st, サメガシラ, 50, 12m+30sm・st+8a.<BR>多型現象ならびに異形対染色体は種を通じて観察できなかった.核学的分類学の立場からすると, <I>Mbroco</I>属は<I>Phoxinus</I>属に統一できること, ドジョウカマツカ類は類縁的にドジョウ科よりもコイ科に近いことを論じた.

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著者
小島 男佐夫
出版者
経営史学会
雑誌
経営史学 (ISSN:03869113)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.131-132, 1974-07-25 (Released:2009-10-19)
著者
小島 佐紀子 奥 裕乃 松月 弘恵
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.89-96, 2021 (Released:2021-02-01)
参考文献数
28

本研究は調理学実習と給食経営管理実習で衛生教育を科目間連携し、手指の洗い残し部位の可視化と質問紙の調査から、手洗い教育の課題を明らかにすることを目的とした。対象は2017年度に本学の管理栄養士専攻2年に在籍し、2018年1月(調理学実習後)および7月(給食経営管理実習後)の調査に回答した44人で、両手および手のひら・甲における洗い残し22部位の観察と、手洗いに関する8項目の重要度と実践度を質問し、調理学実習後と給食経営管理実習後で比較した。手指の洗い残し調査からは、結果を可視化し洗い残しを認識することで、給食経営管理実習後の両手の洗い残しが減った(p <0.001)。22部位のうち特に改善が認められたのは、手首と小指の付け根(各p <0.001)であった。手洗いの実践度では、調理学実習ですでに身に付いている項目と、給食経営管理実習を通して実践度が高まる項目、および改善しない項目に大別できた。実践度が低い項目には衛生教育だけでなく、環境整備により改善される可能性が示唆された。
著者
岩田 重信 竹内 健二 岩田 義弘 小島 秀嗣 大山 俊廣 高須 昭彦
出版者
The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.338-349, 1995-07-20 (Released:2010-06-22)
参考文献数
30
被引用文献数
2

われわれは声門下圧の直接測定とPS-77発声装置により, 空気力学的な面より, 声の高さの調節について検討を加えた。資料解析にはPI-100発声機能自動解析プログラムを用いた.測定パラメータは, 平均呼気流率, 声の強さ (dB) , 高さ (Hz) と声門下圧 (cmH2O) ならびに声門抵抗 (cmH2O/l/sec) , 声門下パワー (erg/sec) と喉頭効率である.9例の正常者 (コーラス部員男子4名, 女子5名) を選択し, 声の強さを一定にして, 低いピッチから高いピッチと, 高いピッチから低いピッチへと一息で連続的に上昇, 下降させた.成績: 男性と女性の間にピッチの上昇, 下降音階のパラメータに相違を認めた.女性ではピッチの変化に対する呼気流率, 声門下圧, 声門抵抗と声門下パワーは, 両者間に直接的な正の相関を認めた.男性では呼気流率, 声門下圧, 声門抵抗の値はピッチの増減 (100から400Hzの間) に対し, ほとんど変化を示さなかった.しかし, より低いまたは高いピッチ領域においてこれらの値は増加していた.声門下パワーは150Hz付近を最低とするくぼみ型を呈していた.喉頭効率は男女とも, 胸声ではピッチの増減に直接的に反応したが, ファルセットでピッチ上昇に対し著しく低下した.この連続ピッチ変化のうち, 胸声から中間声, 中間声から裏声の声区変換領域では, 男女とも喉頭効率は急激に低下しV型を呈した.
著者
野原 春菜 有野 聡 今村 剛朗 松吉 健夫 佐々木 庸郎 山口 和将 一瀬 麻紀 小島 直樹 稲川 博司 岡田 保誠
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.366-369, 2019-02-08 (Released:2019-02-07)
参考文献数
6

【はじめに】カルシウム拮抗薬の急性薬物中毒に対し塩化カルシウムの投与が奏効した49歳女性1例を経験したので報告する。【症例】49歳女性。既往歴は高血圧・糖尿病・子宮頸癌治療後。薬物過量内服による意識障害を主訴に当院へ搬送となった。内服したのは主にアムロジピンベシル酸塩で, 最大535mgを内服した。アムロジピンベシル酸塩の中毒症状として, 低血圧と急性腎機能障害を合併した。グルコン酸カルシウム水和物, グルカゴン, 静注用脂肪乳剤を投与したが循環動態への効果は乏しく, 塩化カルシウム水和物が効果を示した。塩化カルシウムの持続投与により循環動態を安定化することができ, 合併症なく第9病日にICUを退室し, 第12病日に自宅軽快退院となった。【考察】グルコン酸カルシウムに反応の乏しいカルシウム拮抗薬中毒症例において, 塩化カルシウム投与を試みることは有効と考えられる。
著者
小島 明彦
出版者
日本科学哲学会
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.1-14, 2006-06-25 (Released:2009-05-29)
参考文献数
6

This paper aims to show a picture of self-knowledge in light of Moran's view. What kind of feature does self-/other-knowledge asymmetry have? Characterizing the first-person authority (FPA) as cognitive immediacy to one's own thought involves the unacceptable Cartesian picture. But any formal or "grammatical" characterization of it cannot explain a distinctively first-personal feature in turn. I suggest that the best way to see self-knowledge with the FPA as substantial one is to take it as consisting of cognitive stance plus practical stance to one's own thought. The source of the FPA itself is not cognitive immediacy, but the kind of immediacy the latter stance has. It is the intrinsic capacity for us to be rational agents, though what does not work in a particular case.