著者
小林 雅子
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.79-87, 1997-07-30

在日外国人幼児・児童はフラストレーション状況の場面を見ると, 様々な言語反応を示す。本研究の目的は, 特に発達と在日期間の観点から, 在日外国人幼児・児童と日本人幼児・児童のフラストレーション場面に対する言語反応の特徴を見つけ出すことである。被験者は, 国際学校の幼児22名と小学生24名, 朝鮮学校の幼児30名と小学生27名, 日本の幼児29名と小学生30名であった。調査にはフラストレーション状況を華いたP-F子タディ型の課題が12枚用いられた。言語反応のカテゴリーは因子分析にかけられ, 「自己主張」「注意・不服」「自己抑制」「謝罪・感謝」の4因子が得られた。結果を以下に示す。友達との間で生じるフラストレーション状況場面で, 日本及び朝鮮学校の幼児は自己抑制反応を多く示し, 国際学校の幼児は自己主張反応を多く示すことがわかった。小学生の場合, 在日外国人と日本人の反応にはほとんど違いが見られなかった。国際学校の小学生の在日年数に基づいて反応を比較した結果, 友達との場面で違いが見られた。また, 在目朝鮮人幼児・児童の反応は, 日本人幼児・児童の反応とほとんど変わらないことがわかった。
著者
小林 道生
出版者
静岡大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、わが国の保険契約法立法の審議過程における議論状況をふまえ、保険者・保険募集人の情報提供義務を保険契約法の枠組みのなかで規律していくべきか、あるいは、保険監督法における情報提供規制に委ねるべきかを主たる課題とし、前者の立法形式を採用するドイツ法との比較法研究も交えながら、保険契約者保護を図るうえでの望ましい立法や規制のあり方、関連する個々の論点について検討を行った。
著者
小林 実夏 岩崎 基 堀口 美恵子
出版者
大妻女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

若年者から高齢者までを対象に調査研究を行い、詳細に検討した結果、いずれの年代でも摂取食品数が少ない群ではBMIが25以上の肥満者の割合、朝食を欠食する者の割合が高かった。中高年齢者を対象とした調査では、摂取食品数の少ない群では食事摂取基準の推定平均必要量を摂取していない者の割合が高かった。また、摂取食品数が多い群では血清β-カロテン値や総コレステロール、HLDコレステロールのレベルが高く、γ-GTPのレベルが低かった。本研究により、食事の多様性は生活習慣、栄養素摂取量、生体指標、臨床検査値と関連することが明らかになったことから、特に中高年齢者の健康維持、疾病予防に寄与することが示唆される
著者
荒尾 晴惠 小林 珠実 田墨 惠子
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

【研究目的】本研究は、化学療法を受ける乳がん患者の認知機能障害について明らかにし、患者自身が必要なセルフケアを実行できるよう支援する有効な看護介入を考案することにある。最終年度の平成22年度は、化学療法を受ける乳がん患者の認知機能障害の様相を明らかにすることを目的として2つの研究に取り組んだ。【研究方法】研究(1)外来通院中の化学療法を受ける乳がん患者を対象に、認知機能障害の様相について質的研究を行った。半構成的面接法を行い共通したコードを集めてカテゴリー化した。研究(2)在宅療養中の乳がん患者を対象に研究者らが作成した認知機能障害の項目について自記式質問紙による調査を行った。研究の実施にあたっては、調査施設の研究倫理委員会で審査を受け承認を得た後に実施した。【結果と考察】研究(1)対象者は10名で、全員が女性、平均年令は53.5歳、2名が術前化学療法。〈自覚する認知機能の変化〉として《記憶力の低下》《思考力の低下》《注意力の低下》があった。さらに、《家族からの認知機能の評価》があり、自分では気づかないが同居者から指摘を受けていた。影響を与える状況として、末梢神経障害や倦怠感などの〈身体機能の変化〉と同時に〈心の在り様の変化〉があった。これらは《注意力の低下》に影響し〈いつもの暮らしの継続の支障〉として《自動車運転への支障》《対人関係への支障》を来していた。また《記憶力の儀下》は、《家事遂行の支障》を引き起こしていた。研究(2)対象者は30名(回収率62.5%)全員が女性平均年齢は55.3歳。認知機能障害の項目として対象者の自覚があったのは短期記憶、運動機能、情報処理速度だった。以上の研究成果から、化学療法を受ける乳がん患者の認知機能障害の様相の特徴が明らになったが、加齢による認知機能障害との識別など課題も明確になっており、対象者の人数を増やし程度や時期による変化についても検証していくことを今後の課題とした。
著者
小林 大祐
出版者
大学院情報理工学系研究科電子情報学専攻
巻号頁・発行日
2007-02-02

報告番号: ; 学位授与年月日: 2007-03- ; 学位の種別: 修士; 学位の種類: 修士() ; 学位記番号: 修第号 ; 研究科・専攻: 情報理工学系研究科電子情報学専攻
著者
越後谷 淳一 菊池 弘昭 鎌田 康寛 小林 悟 村上 武
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

中性子照射材・模擬材について,動的磁気特性を計測し,ナノ欠陥と磁壁挙動との関係について考察を行うとともに,照射析出による溶質元素の濃度変化評価を目的としたモデル化と定量的解析を行った.また,ローレンツ電子顕微鏡や磁気光学カー効果顕微鏡により,照射モデル材・シミュレーション照射材の格子欠陥と磁壁とのミクロレベルでの相互作用挙動を調べ,欠陥と磁壁とのダイナミックスを解明するとともに,マクロ領域における照射損傷組織と磁壁との相互作用について検討した.
著者
小林 正幸 西川 俊 石原 保志 高橋 秀知
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.20, no.46, pp.1-6, 1996-09-13
被引用文献数
1

我々は、高速で文字入力が可能な日本語高速入力システム(ステノワードPCシステム)を2セット用意し、1セット目で発話内容のひらがな入力とかな・漢字変換を行い、他のセットで誤字、脱字等の修正を行う、より正確な字幕をリアルタイムで提示可能な新システムを開発したので、このシステム(連弾入力方式RSVシステム)の機能や特徴、講義場面での使用結果について報告する。
著者
小林 正幸 石原 保志 三好 茂樹 白澤 麻弓
出版者
筑波技術大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

発話内容をリアルタイムで速記用キーボードに入力することで、受講者の漢字の読み能力に応じた難読な漢字のみにルビを自動的に付加して字幕を提示する学年別ルビ付きリアルタイム字幕提示システムを開発した。学年別ルビ付き字幕は小学1年~6年、中学、高校の学年に対応し、携帯電話、スマートフォン、タブレット、ワンセグや地デジ生字幕放送にも提示可能で、聴覚障害者用の情報支援として利用できる。
著者
梶田 将司 小林 大祐 武田 一哉 板倉 文忠
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.337-345, 1997-05-01
被引用文献数
31

人間が音声として知覚する音がその他の音とどのように異なるのかを探求するため, 本研究では, ヒューマンスピーチライク(HSL)雑音を導入し, HSL雑音に含まれる音声的特徴を分析する。HSL雑音は, 複数の音声を加算的に重畳して作られるバブル雑音の一種で, その重畳回数に応じて音声的な信号から音声の長時間スペクトルを反映した定常雑音へと聴感は変化する。まず, この聴感上の変化を主観評価実験により定量化する。そして, HSL雑音に含まれる音声的特徴を振幅分布のガウス性, スペクトル微細構造の時間的変動性, スペクトル包絡の時間的変動性の三つの観点で分析した。その結果, HSL雑音の差分信号のガウス性及び, HSL雑音のスペクトル包絡の時間的変動が音声的特徴に大きく寄与していることが分かった。
著者
酒井 善則 山岡 克式 小林 亜樹
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究は検索しやすく効率良いCDNをインターネット上で実現するために、コンテンツを主体とした新しい分散制御形コンテンツ配信ネットワークの基本的アーキテクチャを確立することを目的としている。本研究の主なポイントは、(1)メタ情報をもとにコンテンツの蓄積するサーバを検索する方式の開発、(2)コンテンツあるいはメタ情報が自律的に漂流するアルゴリズムの実現、(3)遅延の小さいリアルタイムメディア転送方式の実現、(4)コンテンツを媒介とした課金・集金方式の実現、の4点である。(1)についてはメタ情報をもとにしたクエリを確率的にネットワークにフラッディングして検索する手法を開発して、その有効性を確かめた。(2)については、コンテンツに検索履歴のリーク積分値を人気値として付加して、人気値の大小によりキャッシュで消去するコンテンツを決定し、かつコンテンツコピーを蓄積するたびに人気値を分割して付加するアルゴリズムを開発した。このアルゴリズムを用いることにより実効的にコンテンツの人気を推定して、かつ蓄積ノード間で情報をやりとりすること無しに、コンテンツを介してノード間の協調が可能であることを示した。(3)については、ネットワーク内ノードが再送要求パケットを観測することにより、自らの判断でプロトコルを中継して再送遅延を小さくでき、結果的に遅延オーバーによるパケット損失が小さくなることを明らかにした。(4)については匿名課金および販売の可能なプロトコルを開発した。なお、本研究成果については実験システムを試作して、各提案アルゴリズムの有効性を明らかにした。
著者
小林 京子 高橋 美与子
出版者
広島大学
雑誌
中等教育研究紀要 (ISSN:09167919)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.39-46, 1999-03-19

今日の食生活は, 食材・調理手法共に国際色豊かになると共に, 「食」の社会化も高まっている。また, 一方家族形態の多様化, 個人の生活重視あるいは家庭事情等によって, 家族揃っての食事回数は少ない。従って「食」を通しての家族の絆は希薄化し, 家庭の味や伝統的な食文化の継承・伝授は困難である。本研究では, 高校生及び高齢者が食文化の継承・伝授について, また今日の食生活の状況や望ましい食生活をどのように考えているのか意識調査し, 多くの高校生や高齢者は食文化の継承・伝授の大切さ・意義を認識しながらも生活時間のずれや食嗜好の差から家族揃っての食事ができていないことが伺えた。そこで, 高齢者と共に伝統的なお菓子作りを授業実践してみた。大半の生徒が交流体験を通して生活の知恵等多々学び, 意義深かったと述べている。今後はこのような体験機会をいかに設定していくかが課題となる。
著者
佐藤 馨一 清水 浩志郎 為国 孝敏 竹内 伝史 小林 一郎 馬場 俊介 古屋 秀樹
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2002

平成16年度の研究は個別の大規模社会資本の整備事例をもとに、これらの総合的な評価を行い、今後の課題を整理した。平成15年度は道路公団の民営化論議が集中的に行われたこともあり、その是非や問題点について活発な意見交換がなされ、研究分担者間の共通認識が確立した。以下に平成16年度の研究成果を取りまとめる。(1)「公共事業方式と政府企業方式の混同の危険性」が指摘された。最近の民営化論議は大規模社会資本の将来展望を持つこともなく、財務分析のみが突出している、との批判がなされた。また、中部国際空港の整備事例を研究した結果、大規模社会資本が公共事業方式でなくとも実施可能なことを検証した。(2)大規模社会資本の更新投資の問題が取り上げられた。新幹線も高速道路も減価償却という発想がなく整備されてきた。このことにより更新のための投資財源がまったく存在しない事態を招いている。その結果、「荒廃する日本」と言われる日も間近にせまり、民営化論議はそれに拍車をかけている。(3)受益者負担による社会資本の整備方式は社会的便益を無視しており、公的な財源を用いて大規模社会資本を整備し、その利用価格を安くすることによって社会的便益を増大するという基本的な考え方に立ち戻るべきである。(4)大規模社会資本は土地依存型であり、ITのように技術依存型とは整備の仕方や活用はまったく異なる。地形も気象条件も多様な国土において経済効率を追い求めると、地域格差が増大し、過疎地域の切り捨てにつながる。竹島という小さな島の領有をめぐって日本と韓国が深刻な諍いをしているとき、国内の過疎地域を無視する国土政策は根本的に間違っている。「均衡ある国土の発展」という目標は、極めて重要な国家政策となる。
著者
冨永 達 小林 央往 植木 邦和
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.164-171, 1989-10-31
被引用文献数
9

チガヤ(Imperata cylindrica (L.) BEAUV.)は,世界の熱帯から温帯にかけて広く分布するイネ科の多年生草本で,家畜の飼料として利用されている。本研究はチガヤの日本列島における形態および生活史に関する地理的変異を明らかにしようとしたものである。北海道から沖縄県に至る各地で1983年までに採集し,系統維持していた402クローンを1985年から同一条件下で栽培し,稈の節毛の有無および生活史について調査した。このうちの52クローンについては,1クローンにつき5ラミートを8号素焼鉢(直径20cm,深さ19cm,容積約6000cm^3)に移植し,乾物生産量を調査した。栽培実験は京都大学農学部附属亜熱帯植物実験所(和歌山県串本町)において行った。調査した402クローンは,稈の節毛の有無により,2変種に分類された。無毛のvar.genuinaに属するクローンの分布は,北海道,東北北部および福島,群馬,長野各県の高地に限定され,紀伊大島での出穂は極めて早く,草型は小型であった。一方,有毛のvar.hoenigiiに属するクローンは,東北南部以南に分布し,生活史に基づいてさらに2群に類別された。すなわち,奄美大島以南から採集したクローンは5月から10月にかけて断続的に出穂し,冬期も枯死しなかったのに対し,東北南部から九州にかけて採集したクローンは年に一度だけ5月に出穂し,冬期には休眠状態に入った。また,一般に植物体の大きさや生活史に関して採集地の緯度に伴うクラインが認められ,北方産のクローンほど植物体が小型で遅く出芽し,出穂は早く,地上部が早く枯死した。これらの結果は主として採集地の気候要因,特に冬期の温度の差異に起因するものと推定された。