著者
奥 俊夫 千葉 武勝 土岐 昭男 小林 尚
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.206-210, 1976-10-25
被引用文献数
1

東北地方における1971年初夏のアワヨトウの多発が,外部からの成虫群の侵入に起因することはすでに推測されているが,飛来期について再検討の余地があった。奥山・富岡の飼育実験値に基く蛹化期からの逆算,風向風速の観測値による南西風が優勢な日の検出,天気図による広域の気流条件の検討及び東北地方における成虫誘殺結果から判断して,中国大陸の河南省方面に起源する成虫群が低気圧の移動に伴う連続風によって6月4日夜に東北地方に飛来した可能性が大きいと考えられた。また,奥羽山脈の東側への侵入絡路についても若干の考察を行った。
著者
小林 孝 小林 繁夫 紀平 正知
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.46, no.402, pp.197-204, 1980-02-25

頭がい骨を円筒形容器として中にほとんど非圧縮の柔らかい弾性体を詰めた頭がい模型を用いて, 有限要素法により頭がい衝撃問題の基礎的研究を行った. 脳はせん断弾性係数が体積弾性係数にくらべて非常に小さく従ってポアソン比が0. 5に近い材料なので, 普通の変位法では誤った結果を与える. この困難を克服するため Herrmann の変分原理を用いた. 内部弾性体の圧力応答に対してその体積弾性率と端板の変形の影響が大きいことを明らかにした.
著者
林 昌樹 小林 功英
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.413-414, 2001

現代の先進的な科学・技術社会においても非科学,オカルトが生まれる土壌がある。その背景には現代の科学・技術に対する根強い不信感がある。さらに我が国特有の科学(理科)教育が抱える問題がある。また専門の世界では社会性が欠如し視野狭窄に陥っている研究者の世界が抱える問題もある。本稿では我が国において非科学,オカルトが生まれる土壌の原因をつくり出していると思われるこうした問題点について考える。
著者
定金 晃三 横尾 武夫 福江 純 松本 桂 有本 淳一 小林 英之 本田 敏志
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. 第III部門, 自然科学・応用科学 (ISSN:13457209)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.55-65, 1995-09
被引用文献数
1

大阪教育大学に設置された口径50cm の反射望遠鏡には,観測装置として液体窒素冷却の高性能CCDカメラが備えられている。さまざまな種類の天体観測を行いながら,このCCDカメラそのものの性能の評価と柏原キャンパスにおける天体観測性能の評価を行った。結果として,CCDカメラの冷却性能,読み出しノイズのレベル,直線性などはいずれも良好であることがわかった。空の明るさの計測を行った結果,柏原の空は市街光の影響を著しく受けており,しかも,方向によって影響の大きさが異なることが分かった。多数のイメージを計測した結果,星像の大きさの平均は現状ではおよそ4秒角である。点光源(星)を対象とした場合,120秒間の露出を4ないし5回行うことで14等台の明るさの天体の相対測光観測が0.02等の精度で行えることがわかった。We have conducted an extensive series of tests of the CCD camera which is used at the Cassegrain focus of the 50 cm telescope of Osaka Kyoiku University. Measurements of bias and dark counts, the read-out-noise, and of the linearlity show excellent performances of the camera. We also measured sky counts over the observatory, apparent stellar radius, and the statistical photometric precision of the observing system. The sky brightness is seriouly affected by the city light. The FWHM of the stellar image is, on the average, around 4 arc sec. Photometric precision of +/— 0.02 mag is achieved by the present system in measurements of 14-th magnitude stars.
著者
小林 銀河
出版者
日本ロシア文学会
雑誌
ロシア語ロシア文学研究 (ISSN:03873277)
巻号頁・発行日
no.30, pp.119-126, 1998-10

Обшеизвестно мнение, что, когда Достоевский описывал приговоренного к смертной казни в романе <<Идиоте>>, он ориентировался на собственный опыт. В этой работе мы рассматриваем роль этого эпизода во всей структуре романа, безотносительно к биографии автора. В первой часги романа Мышкин, находясь у Епанчиных, долго рассказывает о приговоренном к смерти, например об ужасе сознания того, что никак невозможно спастись, о конкретном зрелище около эшафота, о том, что происходит в сознании преступника до совершения казни, и т.д. Но эти разговоры окончательно сводятся к сюжету картины для Аделаиды. Самый главный, центральный аспект картины-лицо казненного по смертному приговору. Все прежние и последующие разговоры ведутся вокруг описания одного этого лица. Выражеиие этого лица производит сильное и тяжелое впечатление на читаеля. Об этом лице Мышкин сказал : <<Я поглядел на его липо и все понял... Впрочем, ведь как это рассказать!>> Но нельзя считать эти слова отказом от описания лица. Во-первых, они передают шок, испытанный героем. Во-вторых, то, что Мышкин рассказал не все, напротив, еще больше усиливает воображение читателей. Кроме того, можно сказать, что и молчание, вызванное сильным впечатлением, внесено в этот стиль. Мышкин сетует на неспособность рассказать об этом лице-и это создает самый большой эффект. Портрет приговоренного к смерти в действительности продолжает оказывать подспудное, но сильное влияние на весь роман. Сходное выражение появляется на лицах некоторых других героев в следующих сценах и усиливает впечатление. Рогожин охвачен болезненно сильной страстью к Настасье Филипповне. Поэтому ее реакция для него равна приговору. Ипполит, страдающий неизлечимой болезнью, является точно прпговоренным к смерти. В картине Гольбейна <<Мертвый Христос>> зрители чувствуют сильную и беспощадную силу природы. Лицо Христа на этой картине может лишить людей веры в его воскресение. Им кажется, что никак нельзя победить силу природы, которая сравнивается с <<какой-нибудь громадной машиной новейшего устройства>>. Лицо Настасьи Филипповны также производит большое впечатление на читателей. Оно часто становится предметом изображения. В ее сознании сталкиваются дв
著者
小林 孝一
出版者
北陸先端科学技術大学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究課題では,ハイブリッドシステムの制御における計算の効率化に取り組んだ.成果として,有限オートマトンの安定化に基づくモデル予測制御手法,およびオフライン計算とオンライン計算の両方を用いた精度保証付き近似解法を提案した.また,数値実験により計算の効率化が実現されたことを確認した.さらに応用として,ブーリアンネットワークモデルで表現される遺伝子ネットワークの解析と制御にも取り組んだ.
著者
高木 博志 伊従 勉 岩城 卓二 藤原 学 中嶋 節子 谷川 穣 小林 丈広 黒岩 康博 高久 嶺之介 原田 敬一 丸山 宏 田中 智子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

日本における近代「古都」を、歴史学・建築史・造園史などから学際的に研究した。奈良・京都・首里といった古都と、岡山・名古屋・大阪・仙台・江田島・呉・熊本など旧城下町や軍都とを研究対象とした。研究会の他に、各地でフィールドワークも実施しつつ、「歴史」や「伝統」と政治的社会的現実との、近代におけるズレや関係性を考察した。また学都や軍都などの都市類型も論じた。個別業績以外に、論文集『近代歴史都市論』を発刊予定である。
著者
小林 丈広
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
社会科学 (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
no.79, pp.1-15, 2007

論説近代の地域住民組織のあり方を考えるために、祇園祭に山鉾を出す天神山町に残る町式目を検討した。前半では、その前提として、町共有文書のあり方やその調査の歩みについて概観した。町共有文書の調査や保存は、町運営や町づくりなどと同様に公共的性格を持つが、その実態は一部の人にしか知られていない。そこで、その紹介も兼ねて、調査の経過も記述した。後半では、天神山町に残るいくつかの町式目の変遷をたどった。とくに、一九〇二年の「借家人町則」に着目し、それが隣接する山伏山町の「借宅者町則」をモデルにしたものであることを明らかにした。近代京都の町運営の転換点については、これまで公同組合の設置を重視する見方が根強くあったが、少なくとも山鉾町では、山鉾の維持問題がその契機となった。町組織のような地域住民組織の歴史的研究はまだ始まったばかりであり、こうした具体例を通じて、個別事例を積み重ねていくことが重要であろう。
著者
小林 京子 高橋 美与子
出版者
広島大学
雑誌
中等教育研究紀要 (ISSN:09167919)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.111-118, 2002-03-18

「食」の果たす役割は,健康な体の維持,成長発育の増進,活力の源のみならず,人と人とのつながりを深め心の豊かさを育むなど,心身両面の健全な発達に深く関わっている。しかし,今日は,生活諸般で利便性を求め,食生活も例外ではない。社会情勢の変化,家族形態の多様化等も相伴って,食生活の社会化・多様化・味の画一化が進んでいる。こうした食生活が一要因となり,「食」に関わる諸問題が生じ,「食育」の必要性が警鐘されている。成長期であると共に,食習慣・価値観の形成期でもある青少年が,栄養や食品に関する基礎的知識,調理の基礎的技術,バランスのとれた食事の整え方,会食の楽しさ,食事のマナー等の一連の学習をする中で,夏休みの課題として,家族の協力を得ながら食事作りに取り組む課題を課した。本研究は,この体験学習から学んでいる成果の一端を述べる。
著者
小林 昭裕
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.305-310, 1990-03-30
被引用文献数
2

札幌市では,自然のシステムを活用し,人間の生活環境に適した扇状地を市街地に,山地や台地は森林,低地は畑,水出,一部は湿地のままにするという自然条件を配慮した土地利用がなされてきた。しかし,近年,人口の急激な増加により,保水機能をもっていた湿地,水田, 畑などの緑が減少するとともに,大雨や地震等の災害時に危険性の高い低湿地に市街地が拡大し,自然条件に立脚した土地利用計画が必要であることが示された。
著者
鄭 址旭 小林 哲生 李 玉文 栗城 眞也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.85, no.6, pp.1084-1092, 2002-06-01
被引用文献数
5

本研究では,視覚刺激におけるテクスチャによるターゲットとグラウンドの分離・認知にかかわる脳内プロセスの解明を目指し,視野内におけるターゲットの呈示領域と分離・認知されるまでに要する反応時間との関係を調べた.また,課題遂行時の事象関連電位を頭皮上63箇所で同時計測し,更にスプライン・ラプラシアン解析を行い脳活動の検討を行った.その結果,ターゲットの呈示される領域によって反応時間に有意な差が生ずることが明らかとなった.また,課題遂行に伴い潜時の異なる四つの事象関連電位成分が観測された.事象関連電位のスプライン・ラプラシアン解析により,これらの成分の信号源は左右両半球の後頭葉,頭頂葉,前頭葉にあり,このうち反応時間との関連から,潜時約270ms以降の前頭葉の活動が主にターゲットの認知にかかわる脳内プロセスを反映していると推察された.
著者
名木田 恵理子 板谷 道信 田中 伸代 小林 伸行 重田 崇之
出版者
川崎医療短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は、医療関係のESP(EnglishforSpecialPurposes)教育として、「医学用語(英語)」と「医療英文読解」において、eラーニングに協調学習をブレンドした授業モデルを設計・実践し、その教育効果を検証することである。対象者の前提条件やモチベーションに応じて、知識獲得型プログラム学習のためのInternetNavigwareとインタラクションに適したMoodleの、2つの学習管理システムを用いた。その結果、協調学習は、どちらの学習管理システムを使っても導入可能であり、学習者意識にプラスの効果をもたらすことや前提条件、学習者特性に対する配慮が有益であることなどがわかった。
著者
松岡 心平 天野 文雄 磯田 道史 小川 剛生 落合 博志 小林 健二 高桑 いづみ 高橋 悠介 橋本 朝生 宮本 圭造 山中 玲子 横山 太郎
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

観世文庫の能楽関係資料は、質・量ともに能楽に関する最重要の資料群である。本研究では、これらの資料の調査・研究に基づき、インターネット上で画像と解題を公開するデジタル・アーカイブ「観世アーカイブ」を拡充させると共に、これを活用して、近世能楽史の研究を大きく進めた。特に、15世観世大夫元章(1722~74)の能楽改革に関する研究に重点を置き、観世元章に関する用語集と関係書目、年譜をまとめ、刊行した他、元章による注釈の書入れが顕著な謡本『爐雪集』の翻刻と検討を行った。さらに、観世文庫に世阿弥自筆能本が残る「阿古屋松」の復曲を行い、観世文庫資料の展覧会でも研究成果を公開した。