著者
小林 一三 蒔田 明史 星崎 和彦
出版者
秋田県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

研究代表者等はこれまで一貫して寒冷地域におけるマツ材線虫病の発症メカニズムの解明に取り組んできており、以下の知見を得ることができた。1.寒冷地におけるマツ材線虫病感染による枯死木発生は,感染直後の夏場のみならず,晩秋から翌年(年越し枯れ)にかけて通年発生すること。2.材線虫病の媒介者であるマツノマダラカミキリの羽化時期は秋田市においては6月中旬から7月末,産卵時期はそれより約一ヶ月遅れの7月中旬から8月一杯であること。3.カミキリの産卵は,マツの幹下部よりも幹上部や枝に多いこと。4.温暖地では通常1年1化であるマツノマダラカミキリは寒冷地では2年1化になるものがあり,特に夏が冷涼であった年にはその比率が高まること。5.1年1化の場合カミキリ1頭が数万頭のザイセンチュウを媒介するが,2年がかりで羽化したカミキリの体内に存するザイセンチュウ数は著しく少なくなること。6.ツチクラゲ病や雪害枯死などの在来要因によって枯れた木も,マダラカミキリの産卵対象木となり得ること。7.年越し枯れ木の材線虫保有数は,当年枯れ木に比べると著しく少ないが,6月以降に枯れた場合には,マダラカミキリの産卵対象木となるため,防除対象にしなければならないこと。これらの知見をもとに,マツ材線虫病の防除のためには,媒介者であるマツノマダラカミキリの生態に即した防除法をとることが重要であり,従来の全量駆除に変わって,マダラカミキリの産卵対象となった木に的を絞って防除するマツ枯れ防除の「秋田方式」を提唱した。この方式は秋田県行政にも採用され,「松くい虫専門調査員」の制度を生み,マツ枯れ防除法の改善に結びついている。また,枯死木の処理に当たり,それらを資源として有効活用する炭焼きに取り組んできたが,その活動が人々の森への関心を呼び起こして,官民学の協働によるマツ林の保護につながることも示された。
著者
小林 悟
出版者
岩手大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

米国カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)の協力の下、中性子照射済み原子炉圧力容器鋼材の磁気計測を実施し、中性子照射脆化と磁気的物理量の相関データベースの構築を進めた。磁気マイナーループ法に基づく実験データ解析結果から、磁気的物理量において、降伏応力変化と同様な照射条件依存性が観測された一方、二つの異なる磁気特性変化メカニズム(銅リッチ析出物形成、応力緩和)を考慮したモデル解析から、磁気特性の脆化寄与成分と降伏応力変化量の間に正の比例関係が見つかった。以上の結果は、磁気的物理量の計測により、銅リッチ析出物形成による照射硬化の評価が可能であることを示している。
著者
小林 茂雄
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.566, pp.95-101, 2003-04-30
参考文献数
11
被引用文献数
2

This study aims to examine how graffiti in outdoor space is being perceived in the surrounding environment. The experiments were carried out to evaluate the impression one gets toward graffiti from the pedestrian's perspective using images of actually existing large-scale graffiti, and images that combine existing scenery and graffiti. As a result, it was found that graffiti is better tolerated in such bleak looking places with long stretch of inorganic facades than residential areas and maintained places. In addition it was found that men are favorable toward graffiti in general, and women tend to detest violent graffiti. Furthermore, it was found that middle-aged people in their 40's and 50's are strongly aware of graffiti's relation with the surrounding environment than younger people in their 20's.
著者
小林 茂雄
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.67, no.560, pp.59-64, 2002
参考文献数
13
被引用文献数
7 3

In conjunction with the analysis of the distribution and characteristics of unlawful graffiti drawn in the streets of the city, this study examines the measures for preventing graffiti damages. The distribution range and presence of graffiti on building shutters were examined in the vicinities of Shibuya Station where there is the most frequent occurrence of graffiti in the Tokyo metropolitan area. As a result, there was more graffiti on busy streets, and there was a tendency for graffiti being drawn more easily on shutters of such small scale buildings as a multi-tenant building compared to such large scale buildings as a department store. Moreover, there was a tendency for unmanaged shutters of vacant shops being easily damaged by graffiti, and well looked after shutters being less easily damaged by graffiti. Furthermore, there was also a tendency for a similar type of graffiti grouping around an elaborate piece of graffiti.
著者
小林 茂雄
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.71, no.609, pp.93-99, 2006
参考文献数
12
被引用文献数
1 2

This research investigated the recent adoption of legal graffiti walls and mural paintings as preventative measures against illegal graffiti, and it outlined their advantages and limitations. Mural painting activities generally conflict with those of people engaging in graffiti, causing lack of contact between wall painters and graffiti writers. It has been reported that legal graffiti walls increase illegal graffiti in the surrounding areas even if they work in the early stages. Therefore, this research examined the possibility of mural painting activities for young people engaging in graffiti. It predicted that inviting public participation and cooperating with residents would lead to the prevention of illegal graffiti and to regional revitalization. Finally, the research experimentally produced two constructive and effective mural painting activities in Tokyo.
著者
小林 一義 佐々木 敦 菅原 宣義
出版者
釧路工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

送電線用碍子の絶縁特性は、その設置場所の気象条件や環境条件によって大きく変化する。その気象条件は地域による特徴があり、北海道東部の太平洋沿岸では、春から夏にかけて、北上する黒潮暖流と南下する親潮寒流のぶつかりによって、特有の海霧が出現し、また、秋には台風崩れの温帯低気圧の通過による海塩汚損がある。本報告書においては、大気中塩分の測定から海塩汚損の影響を調べ、また、海霧の影響を検討するために、タイムラプスビデオ装置を用いて海霧の出現・動向の観測を行った。その結果から、碍子の海塩汚損状況、その汚損と碍子の絶縁特性との関係、海霧の出現・動向、および、海霧が碍子の絶縁特性に及ぼす影響について述べている。結果を要約すると以下の通りである。(1)碍子の漏洩抵抗は、気温によって変化する湿度の影響が大きい。(2)濃霧の出現で湿度が高くなり、それで碍子表面が湿ると漏洩抵抗は低下する。(3)雨洗効果が働く前は、碍子表面の海塩付着が多く、そこへ濃霧が出現すると、その湿りによって漏洩抵抗は著しく低下する。
著者
小林 一 臼木 秀樹 白石 謙 土屋 博男 元吉 真 義家 敏正 石崎 敏孝 櫻井 良憲 永井 泰樹 高久 圭二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.2, pp.57-62, 2003-04-03

SRAMに対して、平地、高地、地下でのフィールド試験から、ソフトエラーの主要因である高エネルギー中性子、熱中性子、α線の寄与の割合を求めた。その結果、0.18μm 8M SRAMでは、熱中性子起因が全体の3/4、高エネルギー中性子起因が1/4、α線起因は無視できることがわかった。また、原子炉での熱中性子照射実験の結果、熱中性子起因ソフトエラーは、対策によって数100分の1にできることがわかった。最後に、これからの本格的なネットワーク社会におけるソフトエラー問題について展望する。
著者
藤井 光男 藤井 治枝 大西 勝明 丸山 惠也 趙 玉志 古賀 義弘 ZHAO Yu-Zhi 李 占祥 趙 亨済 李 占国 とう 必きん 加茂 紀子子 高久保 豊 劉 永鴿 柴崎 孝夫 菊地 進 大橋 英五 小林 英夫
出版者
日本大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

我々の国際学術共同研究は、日本企業のアジア進出に伴う国際分業の進展と、技術移転・労務問題との関連を調査・解明することを目指している。このため第1年度(平成8年度)ではまず韓国・中国の研究者(複数)を招請して、日本の自動車と同部品企業や浜松テクノポリスを訪ねて研究交流を図り、また他方では中国東北部長春の有力国有自動車企業、第一汽車のほか、大連経済開発区の日系三資企業を調査して、実態解明に努めた。次に第2年度(平成9年度)では、引き続いて前述第一汽車の補足調査を進める一方で、北京地域の首鋼日電など電機・電子企業や、さらに上海・蘇南地域の電機や繊維・アパレル関連日系三資企業や郷鎮企業の調査を実施した。そして第3年度(平成10年度)では、韓国蔚山地域の現代自動車や同重工業、ついでソウルの現代電子など財閥系企業の資料採訪を行い、最後に上海蘇南地域の郷鎮ビッグビジネス数社を調査して実態分析の締めくくりとした。こうして我々は冒頭に掲げた研究課題に沿い、東アジアの代表的諸産業の企業研究に関してかなり詳細な資料を収集し、実態を解明し得たと考えるので、今後は理論的・実証的検討によってこれを体系化し、研究書として刊行することを企画している。
著者
畠中 忠臣 小林 義信 西村 卓也 長田 朗
出版者
近畿大学工業高等専門学校
雑誌
熊野工業高等専門学校紀要
巻号頁・発行日
vol.9, pp.37-45, 1992-03-20

This paper considers a simulation program of a inverse pendulum control system. The motion equations of the control object are basically nonlinear forms. We apply the linear regulator theory to the linearlized motion equations, and construct a simulation program of the control system including the original control object and feedback control loop based a linear control method. It is very difficult to evaluate the control performance of such system by analytical method, so it is useful to evaluate it by simulation method like described in this paper. Although this paper is the first step to that problem, the results by the simulation program to some examples are satisfied.
著者
柳井 晴夫 亀井 智子 中山 和弘 松谷 美和子 岩本 幹子 佐伯 圭一郎 副島 和彦 中野 正孝 中山 洋子 西田 みゆき 藤本 栄子 安ヶ平 伸枝 井上 智子 麻原 きよみ 井部 俊子 及川 郁子 大久保 暢子 小口 江美子 片岡 弥恵子 萱間 真美 鶴若 麻理 林 直子 廣瀬 清人 森 明子 奥 裕美 外崎 明子 伊藤 圭 荘島 宏二郎 植田 喜久子 太田 喜久子 中村 洋一 菅田 勝也 島津 明人 金城 芳秀 小林 康江 小山 眞理子 鶴田 恵子 佐藤 千史 志自岐 康子 鈴木 美和 高木 廣文 西川 浩昭 西山 悦子 野嶋 佐由美 水野 敏子 山本 武志 大熊 恵子 留目 宏美 石井 秀宗 大久保 智也 加納 尚美 工藤 真由美 佐々木 幾美 本田 彰子 隆 朋也 中村 知靖 吉田 千史 西出 りつ子 宮武 陽子 西崎 祐史 山野 泰彦 牛山 杏子 小泉 麗 大西 淳子 松本 文奈 鶴見 紘子
出版者
聖路加看護大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

近年、看護系大学の急増と医療の高度化に伴い、卒業までに取得すべき看護実践能力の評価の重要性が増加している。その一環として、臨地実習に入る直前の段階までに看護学生が取得すべき知識・能力を正しく評価しておくことは看護実習の適正化のための急務の課題である。このような状況に鑑み、申請者は、2008~2010年に科学研究費補助金を受け、看護系大学の学生が臨地実習以前に必要とされる知識・能力の有無を検証することを目的として、看護学18領域から約1500の多肢選択式形式の設問を作成し、730名の学生に紙筆形式のモニター試験、および、220名の学生に対するコンピュータ試験(CBT:Computer Based Testing)を実施し、その結果を比較し、全国看護系大学共用のコンピュータ試験の有用性を確認した。
著者
松本 ますみ 小林 敦子 小林 元裕 権 寧俊 花井 みわ 砂井 紫里 清水 由里子
出版者
敬和学園大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

中国の朝鮮族と回族を抽出し、民族教育の経験と民族アイデンティティの相関性について歴史社会学的研究調査を行った。その結果、1)両民族とも民族教育経験者が民族の矜持が強いこと、2)同民族内のネットワークに依拠し、漢語と民族語を駆使し対外通商業務、出国、留学、出稼ぎを行うという共通点があることが分かった。両民族はグローバル化の波にのった「成功した」民族であり、その鍵は民族教育にあることが分かった。
著者
小林 正彦 尾崎 正孝 嶋田 透 永田 昌男
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1997

1.カイコへの遺伝子導入の際にマーカーとして利用すべく,オモクローム色素(卵の漿膜の色素)の生成に関わる遺伝子群のひとつである,キヌレニンモノオキシゲナーゼ遺伝子を単離し,塩基配列を決定した。また,この遺伝子が第10連関群に所属することを明らかにし,同連関群に座乗する第2白卵遺伝子や無翅遺伝子との組換え価を調査した結果,この遺伝子がカイコの卵色の突然変異である第1白卵の正常遺伝子である可能性が濃厚となった。2.カイコのランダム増幅多型DNA(RAPD)や,既知の遺伝子を利用して,性染色体(Z染色体およびW染色体)や第10連関群の染色体の構造の解析を行った。3.カイコのZ染色体上の遺伝子の発現量を雌雄で比較することによって,カイコにおいては,遺伝子発現の量補正が存在しないことを明らかにするとともに,人為的に誘発した3倍体のカイコにおいても,遺伝子の量にほぼ比例した量のmRNAが転写されていること確認した。また3倍体においては,2倍体にくらべて細胞の大きさは増大するものの数は少なくなっており,各器官や虫体の大きさには2倍体と3倍体の間で差が見られないことが判明した。4.カイコ核多角体病ウイルスにおいて,多角体の形成に関する変異株や,感染状況に違いの見られる変異株について,原因遺伝子の単離および塩基配列の決定を行った。またウイルスに感染したカイコの体液に,ウイルスを不活化する効果があることを確認し,その因子およびその効果を阻害する因子について検討を行った。5.W染色体の上に転座染色体をもつカイコの限性系統から,転座染色体が再転座したものと思われる変異個体を複数分離し,それらの形質を支配する遺伝子のうち,第5連関群上のものを2つ,第6連関群上のものを1つ,第13連関群上のものを1つ,それぞれ確認した。また,それらの座位を調査した結果,常染色体の端に付着しているらしいことが示された。
著者
藤本 強 小林 達雄 西本 豊弘 松井 章 佐川 正敏 吉田 邦夫
出版者
国学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

本研究は世界各地の土器の出現について、土器を発明・受容していく社会背景を解明することにその主眼を置いている。これまでの土器出現の問題は最古の土器の存在を突き止める研究に集約されていたが、本研究では地域ごとに異なる、生活の中に土器を取り入れていく人間活動の解明に努める。土器の用途は容器だけでなく、調理具・食器として、また鑑賞用や死者への副葬品、棺として使われてきた。ほかの素材に比べ土器が優れる点は、素材の粘土が入手しやすいこと、可塑性に富み自由な成形ができること、焼成後は硬く、耐火性を持つことである。衝撃を与えると粉々にでき、都合がよい素材である。これらの特性は、同じ形の土器が2つとない一方で、モチーフが特定の人間関係内で共有されることに繋がるのである。個性的な形は用途に応じてある程度のカタチを保たれながらも、様々に変化する。これらの共通性と独自性を時間軸に沿って整理し、地域毎の土器との向き合い方を研究していくことが中心となる。また、その土器保有していた集団の残した遺跡から検出された諸属性の分析から、当時の環境やそれに基づく生業活動を整理し、土器の受容形態を解明する。既存資料のデータの集成、整理分析を行ない各地域の土器出現の様相を解明してきた。世界的なデータベースの構築は困難なため東アジアを重点とした。また特定地域に絞って、土器を生活に組み込むシステムのモデル構築を試みた。一は土器自体に含まれる属性を分解し整理することにより、人間の製作物としての土器を徹底して分析し、製作モデルであり、他方は土器に付随するその他の遺物類や土器が検出された遺構・遺跡についても土器の使用痕跡と併せて解釈から土器の使用モデルの構築である。研究終了後の現在は、土器の出土状況の把握に重点をおいた発掘調査に継続的に取り組み、モデルの検証を図り、研究の位置づけを進めている。
著者
加藤 陽一郎 五十嵐 紀子 平澤 明 辻本 豪三 小林 槇雄
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.485-485, 1995-06-25

第6回東京女子医科大学遺伝医学研究会 1994年11月26日(土) 中央校舎4階講義室(400号室)
著者
小林加織里 北山大輔 角谷和俊
雑誌
平成22年度情報処理学会関西支部支部大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2010, 2010-09-22

本研究ではストリートビューを再利用するための編集システムを提案する.システムでは,ストリートビュー操作からユーザ意図を抽出することにより,ユーザが重点を置いている箇所を特定し編集を行う.