著者
大辻 新恭 小田 伸午
出版者
関西大学大学院人間健康研究科院生協議会
雑誌
人間健康研究科論集 (ISSN:24338699)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.59-73, 2019

柔道は古来の武術と競技スポーツという二つの側面が保持されていたはずであったが、その普及に伴い柔道の競技的側面が肥大化した。その結果、現代柔道にはその指導理念、指導方法において武術性という視点とその応用が欠落していったのではないかと考えられる。そこで、本研究では、現代柔道における武術性の意味を、当身技に焦点を当て、それが武術性からこれまでどのように解釈され、扱われてきたのかを明らかにしたうえで、学校教育にどのように導入すべきかを提案することを目的とした。その結果、柔道における武術性は技術の捉え方をめぐる問題が存在すると考える。嘉納治五郎は柔術のとりわけ殺傷性が高い当身技といった技術を形で学ぶことで、安全性を確保しながらも、武術性を社会生活につながるための精神修養として捉え、教育としての柔道を確立しようとしたことにある。一方で、現代柔道に受け継がれた武術性は、特に学校管理下における教育としてその道徳的価値ばかり強調される。このことは、学校体育で武道が必修化された背景において、日本における伝統文化として武道を学ぶところに教育的意味があると考えられているからであろう。上記を踏まえて、当身技を形として中学校体育における柔道に取り込むことによって、現代では失われつつある柔道における武術性を学習することが可能になると考察した。
著者
伊良皆 啓治 N. Chaiyapoj 中西 徳昌 後藤 恵一 上野 照剛 小田原 成計 中山 哲 茅根 一夫 山崎 慶太
出版者
公益社団法人 日本磁気学会
雑誌
日本応用磁気学会誌 (ISSN:02850192)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4_2, pp.805-808, 1997 (Released:2007-08-20)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

We have developed a multi-channel high-resolution SQUID magnetometer. This system consists of 12-channel pick-up coils 5 mm in diameter located on a 7.5 mm grid. The base-line of the gradiometer is 15 mm. The distance between the pick-up coil and the outside surface of the dewar is 5 mm. We measured the magnetic field produced by the activity of the orbicular muscle of eye, the magnetocardiogram produced by a human, and the magnetocardiogram produced by a rat. It is possible to obtain signals with good spatial resolution.
著者
小田 裕
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.523-533, 2010 (Released:2010-10-28)
参考文献数
22

長時間作用型局所麻酔薬による難治性の心毒性に対しては,有効な治療法がないとされてきた.脂肪乳剤がブピバカインによる心停止からの蘇生に有効であることが動物実験で示されて以来,臨床症例においてもその有用性が示されつつある.海外のガイドラインにおいては,“20%イントラリピッド1.5ml/kg bolus投与後,0.25ml/kg/minで持続投与”が治療法として推奨されている.局所麻酔薬中毒に対して使用した脂肪乳剤による副作用は報告されていないが,多量の向精神薬による意識障害,心停止に対して使用した症例で,呼吸器系合併症が生じたことが報告されており,その使用に際しては注意を要する.
著者
堀川 朝広 久保田 健治 小田 勇一郎 原 慎太郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.680-685, 2016-09-25 (Released:2016-12-06)
参考文献数
14
被引用文献数
3

【はじめに】内側開大式高位脛骨骨切り術(以下OWHTO)は術後に膝蓋骨低位が発生する問題点がある.我々は膝蓋骨低位にならない手術手技として近位骨片に脛骨粗面を連続させ骨切りを行う方法(distal-tuberosity osteotomy, 以下DTO)を施行してきた.本研究では従来の遠位骨片に脛骨粗面を連続させる方法(proximal-tuberosity osteotomy, 以下PTO)とDTOを比較検討した.【対象と方法】OWHTOを施行した59膝をPTO群(P群)30膝とDTO群(D群)29膝とに分けた.それぞれの骨切り開大角度,脛骨後傾角,術前術後の膝蓋骨の高さ,また鏡視下に膝蓋大腿関節面を評価した.【結果】平均開大角度はP群9.4°,D群12.0°であった.脛骨後傾角はP群で10.8°から11.8°,D群で10.1°から10.9°に増大したが有意差はなかった.Blackburne-Peel比でP群が術後に平均0.11(有意差あり),D群が平均0.05(有意差なし),Caton Deschamps indexではP群が術後に平均0.12(有意差あり),D群が平均0.05(有意差なし)低下した.また,P群では開大角度が増大するにつれて膝蓋骨がより低下したが,D群ではほぼ変化しなかった.膝蓋大腿関節の変性はP群で33.3%が進行したが,D群では9.1%のみが進行し86.4%は不変であった.【考察】DTOは術後の膝蓋骨低位や膝蓋大腿関節変性を抑えうることが示唆された.
著者
小田 博志
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第52回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.151, 2018 (Released:2018-05-22)

19世紀後半から20世紀前半にかけて、人種主義を背景とする形質人類学的研究のため、世界各地で植民地化された人々の遺骨が持ち去られ、大学や博物館に収蔵された。この植民地主義の負の遺産に対して、遺骨が発掘されたコミュニティーからrepatriation(返還/帰還)を求める声が上がっている。アイヌ民族の遺骨も例外ではない。ここではアイヌ遺骨のrepatriationを巡る状況を報告し、それを通して脱植民地化に向けた人類学者の公共的役割を論じたい。
著者
小田 匡保
出版者
人文地理学会
雑誌
人文地理学会大会 研究発表要旨
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.52-53, 2013

小田(2002)に引き続き、『地理学文献目録』第11~12集を利用して、2000年代の宗教地理学の動向を検討する。
著者
宮里 心一 伊代田 岳史 白旗 弘実 小田 義也 塩見 康博 鶴田 浩章
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集H(教育) (ISSN:18847781)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.1-9, 2019 (Released:2019-01-20)
参考文献数
23

グローバル化が進む中,学部と大学院修士課程における6年間の教育による土木技術者の育成が望まれている.この様な背景を踏まえて本論文では,社会で活躍する人材を大学・大学院で効果的に育成すべく,産業界で活躍するために必要な能力を整理した上で,それらを学生が習得するための授業について検討した.加えて,意欲の高い学部生が大学院へ進学する動機付けを精査した.その結果,コミュニケーション能力や論理的思考力等が産業界で求められており,それらは大学院の研究活動および研究室活動で顕著に育まれることを明らかにした.また,現場見学や技術者との交流により,学部生は土木が社会で役立つ本質を認識し,学習意欲の向上につながるとともに,大学院進学のきっかけになることを確認し,これらを盛り込んだ授業を整理した.
著者
小田 英男 広瀬 徹也
出版者
科学評論社
雑誌
精神科 (ISSN:13474790)
巻号頁・発行日
vol.9, no.6, pp.476-481, 2006-12
著者
小田 慶喜 池田 みよし 三浦 敏弘
出版者
身体運動文化学会 関西支部
雑誌
身体運動文化論攷 (ISSN:18826598)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.51-66, 2006-03

It is recognized that Miyazawa's literature is not understood easily. But Miyazawa's onomatopoeia is perceived by his words as an expression of the physical sense experienced in his life. In the modernized world,human being forgets human essence and physical sense, and is losing sight of environmental problems in future. The effort to train the sense of the body and to express is important,the physical education helps the expression of the sense of the body. The sense of the body is expressed as words and literature. When the body activity is experienced in physical education, the rythm and the change are drawn out. The education should offer the civilization and nature feel overall,and a lot of expression activities including the body by sense as an important role of the overall education.Expressing the sense of the body by a variety of methods contributes to fostering the sensibility.
著者
杉原 弘恭 松島 耕太 大口 遼太郎 鬼崎 衛 雜賀 順己 花井 聖仁 小田 幸子
出版者
学校法人 自由学園最高学部
雑誌
生活大学研究 (ISSN:21896933)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.71-90, 2016 (Released:2017-04-21)
参考文献数
16

江戸期の上名栗が林業主体,下名栗が薪炭業主体という地域経済の違いは,地域の政治体制にも影響を及ぼしているが(上名栗世襲制・下名栗輪番(年番)制),その違いは地域の基盤の地質の違いが植生の違いに影響している可能性があることを指摘した.その上名栗の名主の町田家と組頭の柏木家の地域経済への取り組みの特色を分析した.町田家は林業を主軸に江戸に進出し名栗との両輪経営を行って名栗の繁栄に寄与し,柏木家は江戸・東京より名栗に回帰する形で名栗の各種産業発展に寄与した.町田家は,林業から筏輸送,材木卸までの川上(名栗)から川下(江戸)へのサプライチェーンを形成したものの,当時の制度的制約から仲買以降の江戸の消費者までを取り込むことはほとんどできなかった.一方,柏木家は,各種事業を行って,大正期には筏の代わりに公共交通機関を整備し,温泉旅館を核とし東京の消費者の名栗への来訪を促進するという川下(東京)から川上(名栗)への流れのバリューチェーン形成を指向した.町田家は林業のキャピタルゲイン指向かつ「規模の経済性」を求め,柏木家はキャッシュフロー重視のインカムゲイン指向かつ「範囲の経済性」を求めたといえる.林業からいち早く離脱した柏木家であったが,柏木家の山づくりで見られた生態学的な「範囲の経済性」の考え方が反映されたといえる.一貫経営は資金の内部留保となることから私的な蓄財ともなるが,当時資金を負担して公共事業を行うのは名主・庄屋層であったことから,名主としての雇用や公共事業等の原資を獲得するための面があったと思料される.
著者
小田 紗矢香 冨田 拓郎 西田 基宏
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.138, no.10, pp.1257-1262, 2018-10-01 (Released:2018-10-01)
参考文献数
21

Moderate exercise has been reported to combat several diseases, including cardiovascular diseases and depressants. However, many patients do not have ability to undergo exercise therapy due to aging and severity of the symptoms. Therefore development of new drugs that can imitate exercise therapy is desired and actually studied worldwide. The heart is one of the physical load-responsive target organs such as skeletal muscles and vascular smooth muscles. The heart can adapt from environmental stress by changing its structure and morphology (i.e., remodeling). Physiological remodeling, caused by exercise or pregnancy, can be defined by compensative and reversible changes to the heart, whereas pathological remodeling can be defined by irreversible changes of the heart, through aberrant calcium ion (Ca2+) signaling as well as production of reactive oxygen species (ROS). However, crosstalk between Ca2+ and ROS remains obscure. In this review we will introduce our recent findings on the functional crosstalk between transient receptor potential canonical (TRPC) 3 and nicotinamide adenine dinucleotide phosphate (NADPH) oxidase (Nox) 2 as a novel molecular target to mimic exercise therapy.
著者
笹川 正二 古谷 達孝 佐藤 允康 花井 定彦 小田切 久夫 石原 文之 千木良 吉睦 鳥居 ユキ
出版者
医学書院
雑誌
臨床皮膚泌尿器科 (ISSN:21886156)
巻号頁・発行日
vol.13, no.12, pp.1287-1291, 1959-11-01

ハイドロコーチゾン軟膏が急性及び慢性湿疹,小児湿疹,アトピー性皮膚炎,接触皮膚炎等に優れた効果を示すことは周知の事実で,現在盛んに使われているが,これら疾患は何れも掻痒がはげしく,掻破により二次的化膿菌感染を伴い易く,殊に夏期は発汗と相侯つて膿痂疹性湿疹の状態を見ることは屡々である。又一方貨幣状湿疹,感染性湿疹様皮膚炎,耳後間擦疹,自家感作性皮膚炎乃至播種状細菌疹等は湿疹或はその類症でありながらブドー状球菌又は連鎖状球菌がその発生に原因的役割を演ずると解され,これら何れの場合にもハイドロコーチゾンの抗炎症作用の他に殺菌剤として抗生物質を加えることによつて治療の完壁が期待されるところである。かかる目的にかなつたものとして今回興和化学より強力レスタミンコーチゾンコーワ軟膏が新たにつくられ,提供され東大分院皮膚科外来患者に使用したので,その治療成績について報告する。 本軟膏の組成はその1g中に 酢酸ハイドロコーチゾン 10.0mg