著者
諌山 憲司 安田 康晴 小田 浩文
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.22-30, 2011-02-28 (Released:2023-03-31)
参考文献数
15

救急現場活動中において,階段搬送時に救急隊員が身体負担を感じていると報告されている。本研究は,階段搬送時における救急隊員の身体負担の現状を明らかにすることを目的とした。救急隊員760名を対象に,階段搬送時における身体負担に関するアンケート調査を行った。階段搬送時に身体負担を感じたことがあるのは694名(92%)で,最も負担を感じるのは腰部(481名:69.8%),狭く急な角度の階段(677名:97.6%),傷病者の頭側の搬送位置(342名:52.4%)であり,最も多く使用されている資器材は布担架であった。身長別に腰部負担の発生率について検討した結果,負担発生率は隊員の身長が高くなるほど高率の傾向がみられ,階段搬送時の身体負担は,救急隊員の身長が関与していることが示唆された。
著者
神戸 幸司 小田 佳史 宮地 裕之 細野 ひかる 小栗 早智 森 祐哉 丸岡 由衣 土井 麻由美 黒川 大樹 浦濱 善倫 大石 秀人 長谷川 俊典
出版者
特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
雑誌
日本急性血液浄化学会雑誌 (ISSN:21851085)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.121-124, 2018-12-01 (Released:2022-01-18)
参考文献数
6

今回偶発性低体温に対して血液透析にて復温した3症例を経験した。症例は,70~80歳代の男性。重症度は,軽度から重篤であった。軽度症例に対して,体外復温法を施行しながら早期改善を目的として,血液透析にて2.0℃/hr上昇を目安に体内復温法を併用した。2時間目にて全身発汗,不整脈,意識消失などのショックを生じた。この症例を踏まえ最重症例では,急速な復温による心室細動惹起などのリスクを避けるため透析液温を34℃,血液流量80mL/minから開始し直腸温30℃,意識改善を目安に終了した。サーモグラフィーFLIR i3(フリアーシステムズ社)を用いて脱血・返血側回路温を測定し,的確に透析液温を変更しながら管理した。復温による副作用の予防に,復温速度と慎重な体温管理が必要と思われた。
著者
井上 裕一 小田切 博之 政木 広幸
出版者
一般社団法人 日本時計学会
雑誌
日本時計学会誌 (ISSN:00290416)
巻号頁・発行日
vol.127, pp.3-15, 1988-12-20 (Released:2017-11-09)

A conventional temperature compensation IC system is required to provide an oscillating capacity change-over switch in order that a normal type pace measuring instrument can be used. The new temperature compensation IC system we developed here has realized an "all logical adjustment" without an oscillating capacity change-over switch by introducing a "new method of a pace expression". It has become easier to provide a watch with high accuracy by use of the "all logical adjustment".
著者
遠藤 大輔 及川 哲郎 花輪 壽彦 小田口 浩
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.108-114, 2020 (Released:2020-12-07)
参考文献数
50

北里大学東洋医学総合研究所において初診時に四逆散(四逆散料または四逆散エキス)を処方された患者86名のうち,有効であったと判断した41症例について後方視的に診療録の調査を行った。古典では胸脇苦満と腹直筋攣急の腹診所見や四肢の冷えの存在が重要視されている。我々の検討においても,胸脇苦満は90%以上,腹直筋攣急は60%以上の患者に認め,四逆散処方の根拠として重要視されていることが確認できた。一方で冷えの存在については,過半数の患者が自覚的な冷えを訴えているものの,他覚的所見として担当医が冷えの存在を診療録に記載しているのは約20%に過ぎなかった。従来,処方名にある四肢の冷えが重要と考えられてきたが,今回の検討では診察上冷えの所見を認めなくとも本方は応用されていることが明らかとなった。
著者
竹中 彰治 大島 勇人 寺尾 豊 小田 真隆
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究の目的は、これまでの細菌を標的とした殺菌効果に頼ったバイオフィルム(BF)制御から、マトリックスを標的とした抗菌成分に頼らない新しい制御法への戦略の転換の必要性を提言するとともに、BFの剥離・分散効果に主眼を置いた新しいBF制御法を開発することであった。口腔内環境を再現した細菌培養システムと共焦点レーザー顕微鏡を用いた蛍光イメージング法により、殺菌効果に頼ったBF制御の弊害を明らかにした。そして、新しいコンセプトに基づくバイオフィルム制御剤の開発を進めた結果、細菌増殖に影響を与えることなく、BFの分散・剥離効果ならびに付着抑制効果を有する機能性糖脂質を見出した。
著者
上田 敏丈 秋田 喜代美 芦田 宏 小田 豊 門田 理世 鈴木 正敏 中坪 史典 野口 隆子 淀川 裕美 森 暢子
出版者
一般社団法人 日本保育学会
雑誌
保育学研究 (ISSN:13409808)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.67-79, 2020 (Released:2020-12-08)
参考文献数
29

日本では,約1万の幼稚園があり,その内の70%が私立幼稚園である。私立幼稚園の多くは,ファミリービジネスであり,園長は経営者としての役割も担っているため,保育の質の向上には,実践面の役割を担う主任教諭の役割は重要である。そこで本研究では,私立幼稚園の主任教諭が自身のリーダーシップをどのようなものとして捉え,また自身の役割をどのようなものとして認識しているのか,そこでの主任教諭としてのやりがいや葛藤はどこにあるのかを明らかにすることを目的とする。私立幼稚園の主任教諭8名に対してインタビューを行い,質的データ分析方法であるM-GTA(木下2003)を用いて分析を行った。その結果,25の「分析概念」,9つの[カテゴリー],3つの〈コア・カテゴリー〉が生成された。主任は,園長と職員集団との意思疎通を図り,それぞれの意図を伝達する〈つなげる〉ことと,カリキュラムの調整や職員への指導,心理的支援といった職員集団を〈まとめる〉ことをリーダーシップと捉える一方で,この2つのリーダーシップの間で,やりがいと共に葛藤の〈板挟み感〉を感じていることが明らかとなった。
著者
長岡 杏月 小田嶋 裕輝
出版者
大分県立看護科学大学看護研究交流センター
雑誌
看護科学研究 (ISSN:24240052)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.50-57, 2023 (Released:2023-05-24)
参考文献数
21

【目的】筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者に関する闘病記より、患者の全人的苦痛を表現した内容を明らかにすることにより、医療上の示唆を得ることを目的とした。【方法】楽天ブックスの書籍検索機能を活用した。具体的には、「筋萎縮性側索硬化症」または「ALS」のキーワードを入力し、ハンドサーチで過去3年分の書籍を探索したところ、3件が抽出された。次に、3件について、全人的苦痛の内容を整理し、共通して見られた特徴を分析した。【結果】全人的苦痛の実相として、身体的苦痛6カテゴリー、精神的苦痛7カテゴリー、社会的苦痛2カテゴリー、霊的苦痛3カテゴリーが抽出された。【結論】本研究より、身体的苦痛の予防・緩和に向けた医療者の丁寧な関わりを積み重ねること、多職種連携による包括的な医療者の介入により精神的苦痛の緩和を図ること、患者が他者との社会的関係をできる限り維持できるような環境づくりを行うことの必要性が示唆された。
著者
佐藤 輝 吉田 英樹 前田 愛 松本 健太 向中野 直哉 川村 真琴 小西 杏奈 島田 瑞希 高桑 奈緒美 鳴海 萌 天坂 興 原 幹周 小田桐 伶 前田 貴哉
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0668, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】低負荷(最大随意収縮(MVC)の20%程度)で実施される等尺性収縮後の筋弛緩法(PIR)と対象者の随意的努力を必要としない神経筋電気刺激(NMES)では,筋ポンプ作用に基づき筋血流量が改善する可能性が指摘されており,臨床では筋・筋膜性疼痛や浮腫の改善などに活用されている。しかし,PIRやNMESが筋循環動態に及ぼす影響の詳細は十分に検証されていないのが現状である。以上から本研究では,PIRとNMESが筋血流動態に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。【方法】健常者16名を対象とし,仰臥位を保持した対象者の右上腕二頭筋(BB)に対して3つの条件(条件1:PIRを実施する条件,条件2:NMESを実施する条件,条件3:コントロール条件)を無作為順序で日を改めて実施した。条件1では,対象者は,右BBに対するPIRとして,右肘関節90度屈曲位かつ右前腕90度回外位にて20%MVCでの右BBの等尺性収縮を10秒間実施し,その後,右肘関節完全伸展位かつ右前腕90度回外位にて20秒間右BBを弛緩させた。この右BBの収縮と弛緩の計30秒間を1セットとして,10セット5分間を連続で実施した。PIR終了後,対象者は安静仰臥位をさらに15分保った。条件2では,対象者は,右BBに対するNMES(波形:対称性矩形波,電流強度:肘関節の僅かな屈曲運動は起こる程度,周波数:30 Hz,パルス幅:250 μsec,オン・オフ時間:各5秒)を20分受けた。条件3では,対象者は安静仰臥位を20分保持するのみとした。各条件の実施中,筋血流量の指標として右BBの酸素化ヘモグロビン量(oxy-Hb)と脱酸素化ヘモグロビン量(deoxy-Hb)を測定し,各条件開始時の測定値を基準として各条件での5分後(条件1のPIR終了時)及び20分後(各条件の終了時)でのoxy-Hbとdeoxy-Hbの経時的変化を多重比較検定にて検討した。【結果】条件1(PIR)では,oxy-Hbの明らか変化は認めなかったが,deoxy-Hbは条件開始5分後(PIR終了時)で有意に増加し,条件開始20分後でも有意に増加した状態であった。一方,条件2(NMES)では,oxy-Hbは条件開始5分後及び20分後で増加傾向を示したが,deoxy-Hbは同時点で減少傾向を示した。条件3では,oxy-Hb,deoxy-Hbともに経過中での明らかな変化を認めなかった。【結論】本結果は,PIRではdeoxy-Hbが増加するのに対し,NMESではoxy-Hbが増加する可能性を示しており,両者の筋循環動態に及ぼす影響の違いが明らかとなった。PIRのような低負荷随意運動では筋収縮に必要なATP産生は好気的代謝系に依存するのに対し,電気刺激に伴う筋収縮では嫌気的代謝系に依存する(Hamada, 2003)。このため,PIRでは酸素需要が高まりoxy-Hbと比較してdeoxy-Hbが増加するが,NMESでは酸素需要がPIR程には高まらないため,deoxy-Hbと比較してoxy-Hbが増加したと推察する。PIRとNMESはともに筋血流量を改善する可能性があるが,筋循環動態に及ぼす影響は対照的であり,臨床では目的に応じた使い分けも考慮すべきである。
著者
西脇 雅人 小田 啓之 尾井 直矢 久米 大祐
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.215-225, 2023-06-01 (Released:2023-05-10)
参考文献数
34

Single-tooth sandals under new development have special material and shape characteristics. Exercises with single-tooth sandals can increase pressing stimulus on the soles of the feet, thereby suppressing a decline in medial longitudinal arch and elevating sole surface temperature. This study thus aimed to examine the effects of exercise with single-tooth sandals on medial longitudinal arch and sole surface temperature. Sixteen young adults (23 ± 5 years) participated in 20 min of stepping exercise on the spot. They randomly put on a regular normal sandal (N conditions) or a single-tooth sandal (Z conditions) on each left and right side. Before and after exercise, medial longitudinal arch and sole surface temperature were assessed by digital caliper and straightedge and thermography, respectively. No significant differences in baseline parameters were observed between N and Z conditions. After exercise, arch height and arch height ratio significantly reduced in N conditions, but not in Z conditions. Central sole surface temperature in Z conditions also increased significantly, and the changes in surface temperature were significantly higher in Z conditions than in N conditions. Therefore, these findings suggest that exercise with single-tooth sandals has a positive effect on a suppressing decline in medial longitudinal arch and an elevation in sole surface temperature.
著者
小田桐 伶
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.135-139, 2023 (Released:2023-04-15)
参考文献数
18

〔目的〕脳卒中者において発症時と発症後2週時の体組成を比較し,差をもたらした原因を考察することである.〔対象と方法〕急性期脳卒中患者33名を対象とした.Body Mass Index(BMI),体脂肪率,Skeletal Muscle Mass Index(SMI),体幹筋肉量,麻痺側上肢筋肉量,麻痺側下肢筋肉量,非麻痺側上肢筋肉量,非麻痺側下肢筋肉量を,発症3日以内の時点と発症後2週±2日の時点において測定して比較し,それぞれの効果量を算出した.〔結果〕発症から2週間経過すると,BMIは有意に減少するが,SMI,下肢筋肉量,体脂肪率には有意差は認めなかった.体幹と両上肢には有意な筋肉量低下が生じ,その効果量は大きく中等度~強度であった.〔結語〕脳卒中患者は発症から2週間経過すると,両上肢・体幹の筋肉量が低下しやすい.
著者
三浦 直 小田 由香里 志澤 泰彦 塚越 絵里
出版者
東京歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

歯科の研究領域では、現在のところサツマイモを材料とした研究はない。ヒトに対するう蝕予防効果や歯周病の発生を予防でき、低コストで、人体に対して無害で使用回数にも制限がないような天然物由来の物質が、口腔ケア組成物として望まれている。そこで本研究課題では、普段の食生活で利用している国産サツマイモに着目し、口腔ケアとりわけ歯周病予防の応用につながる物質を探索し、その成分を特定することを目的としている。現段階では歯周病原菌に対する増殖抑制の効果を示す、活性成分を探索し、これを特定することを目標としている。