著者
五十嵐 美生 竹田 唯史 小田 史郎 畝中 智志 藤田 英二 小坂井 留美 柳川 尚子 川西 正志
出版者
日本生涯スポーツ学会
雑誌
生涯スポーツ学研究 (ISSN:13488619)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.1-10, 2023 (Released:2023-12-09)

The purpose of this study was to clarify the efforts of older women to practice during a resistance exercise class and their exercise behavior change and related factors 2 years post the classes from a qualitative analysis. The exercise class was a self-weighted resistance exercise training for muscle strength maintenance designed by Tetsuo Fukunaga. Eighteen elderly women of the subjects of this study, participated in the exercise class for muscle strength maintenance for care prevention held in F town, Hokkaido, Japan, in 2019 for three months. Interviews were conducted four times in August and November 2020 and October and November 2021, and semi-structured interviews were conducted using the recall method. Responses were recorded and converted to text data. The interview data organized at three months, six months, one year, and two years after two years post the exercise class were analyzed for qualitative factors related to exercise practice effort and exercise behavior change using KH coder as a text mining method. The practical status of exercise was evaluated based on the total number of squats performed at home during the class period records. As a result, 66.7% of the subjects continued to exercise as maintenance and action phases two years post the classes. The co-occurrence networks characteristics of the qualitative factors obtained from the linguistic trends of the continuation group over the two-year period were "program content," "effectiveness of practice," "human and environmental support," "self-efficacy," and "simplicity of exercise." Correspondence analysis by exercise practice effort showed that in the continuation group, the high practice group, which had more exercise practice in class, showed positive language characteristics such as "habitual effort state," "effectiveness of practice," "social support," "simplicity of exercise," and "positive evaluation of exercise."
著者
小田 眞由 木阪 吉保 小川 明子 横山 桂 砂金 光太郎 田鶴谷 奈友 田中 良憲
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.632-640, 2023-12-01 (Released:2023-12-11)
参考文献数
32
被引用文献数
1

症例は61歳男性.6年前から糖尿病性腎症による腎不全で血液透析を導入された.30代でC型慢性肝炎を指摘されインターフェロン療法を受けたがウイルスは消失しなかった.40代から肝細胞癌に対して穿刺局所療法や塞栓療法を繰り返し受けてきたが,多発再発が指摘された際に造影剤アレルギーが発症したため塞栓療法が施行困難となり,アテゾリズマブ(Atezo)+ベバシズマブ(Bev)併用療法を開始した.Atezo+Bev併用療法は透析患者に対する投与の報告例はなく有効性や安全性は不明である.我々の症例ではAtezo+Bev併用療法開始後に甲状腺機能低下症と脳出血を来した.しかし,レボチロキシンナトリウム水和物投与とBev投与中止することで長期間にわたり投与継続できており,有害事象の早期発見と対応を行うことで血液透析中の肝細胞癌患者にもAtezo+Bev併用療法を行うことができると考えられた.
著者
小田 忠雄
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.120-133, 1981-04-30 (Released:2008-12-25)
参考文献数
25
著者
小田 龍聖
出版者
国立研究開発法人森林研究・整備機構
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2023-04-01

都市住民による観光を中心とした森林の活用への期待は大きく、特に森林のキャンプ場としての活用に期待が集まっている。多様化するキャンプ場の需要に合わせ効率的に施設整備を進めるためには、利用者ニーズを把握し、キャンプ場が人々に提供するコンテンツを評価する必要がある。そもそも都市の人々のキャンプ場の利用ニーズはどこにあるのだろうか。本研究は、アンケート調査やインタビュー調査に加えてSNSビックデータを活用し、森林キャンプ場の利用実態や利用者ニーズを経時的、広域的に把握、分析し、今後の森林キャンプ場整備の方向性を示すとともに、SNSによる調査手法の妥当性、有用性について検討する。
著者
小田 綾 吉田 啓太 向井 友宏 高橋 珠世 好中 大雅 大植 香菜 向井 明里 神田 拓 尾田 友紀 入舩 正浩
出版者
一般社団法人 日本障害者歯科学会
雑誌
日本障害者歯科学会雑誌 (ISSN:09131663)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.47-52, 2017 (Released:2017-06-30)
参考文献数
11

核磁気共鳴画像法検査は,診断上必要とされることもあるが,検査に時間がかかり,激しい騒音を伴う.そのため,検査中に安静を保つことが難しい患者ではプレパレーションを行った後に検査を行うこともあるが,知的障害者では行えない場合も多い.診断価値のある画像を得るため,深鎮静下で検査を行うことがあるが,撮影中に呼吸停止を起こすことも考えられる.さらに患者が肥満を伴っている場合は重篤な合併症に繋がる可能性もあることに加え,持ち込み可能なモニター機器は限られている.今回,われわれは,肥満を伴う知的障害者に対し静脈内鎮静法に物理的手法を併用することで,深鎮静を回避しMRI検査を安全に行いえた症例を経験した.症例は21歳男性,知的障害とてんかんおよび肥満を有しており,舌海綿状血管腫疑いのため静脈内鎮静下MRI検査が予定された.本院では,MRI室で使用できるモニタリング機器は,パルスオキシメータのみであり,カプノメーターも使用しない予定であったため,深鎮静下での管理は回避し,ミダゾラムを用いた意識下鎮静法と,抑制具や固定器具を使用した物理的手法による行動調整法を併用した.検査中に呼吸抑制や舌根沈下はみられず,問題なく終了した.肥満を伴う知的障害者に対しミダゾラムを使用することで,適度な鎮静作用と健忘効果が得られ,抑制具や固定器具使用による不快な記憶が残りにくくなり,安全かつ適切なMRI検査が可能となることが示唆された.
著者
浜元 信州 井田 寿朗 齋藤 貴英 小田切 貴志 綿貫 明広 横山 重俊
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2020-IOT-50, no.8, pp.1-8, 2020-07-03

群馬大学では,2020 年 4 月に全学無線 LAN システムの更新を行なった.本更新で無線 LAN アクセスポイントを全学的に増設したが,教室や会議室などの無線 LAN 導入の際には,アクセスポイント当たりの接続台数を算定することが必要となる.このため,本学の教育用端末を利用し,アクセスポイントに同時接続を行い評価試験を行なった.評価試験の結果,平均速度は,端末数 N の関数として,IEEE802.11n で 2.4GHz の場合には 60.261/N[Mbps],5GHz の場合には 148.26/N[Mbps],IEEE802.11ac の場合 181.64/N[Mbps] となった.また,1 アクセスポイントあたりの接続台数は,平均速度分布の歪度が正になることを条件とした結果,IEEE802.11n で 2.4GHz 接続で 12 台程度,5GHz の接続で端末数 30 台程度,IEEE802.11ac の場合は端末数 36 台程度と考えられることがわかった.
著者
小長谷 幸史 小田島 大 山家 真奈美 高橋 悠斗 古俣 真夕 重松 亨
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.425-435, 2022-11-30 (Released:2022-11-30)
参考文献数
21

分子生物学など幅広い分野で用いられているポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は,現在では高等学校の生物の教科書にも記載され,新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の検査で用いられていることにより社会にもPCRが広く認知されるようになった。高等学校の生徒に対してPCRの原理と応用に関する質問紙調査を行った結果,ほぼ全員PCRという言葉を知っていたが,SRAS-CoV2の検査に関すること以外の記述はほとんどなかった。この生徒に対し大学と連携によるPCRの実験を伴った授業を行った。授業は通常の授業時間のなかで説明,PCRの操作,電気泳動を含めて2校時内に行うものとし,PCRは3台の温度の異なるウォーターバスを用いて生徒が反応液の入ったPCRチューブを移動させる“手動PCR”の方法で行った。PCRは原核細胞の16SリボソームRNA遺伝子のほぼ全域の約1500 bpの部分を標的とし,試料は納豆から分離したBacillus subtilisの菌体およびそのDNA,納豆の粘りを用いた。1校時目に全体の説明とPCRの反応操作を行った。PCRの条件は初期変性2分間の後,94°C 20秒間56°C 20秒間72°C 20秒間の25サイクルで行った。2校時目にPCR後の反応溶液を電気泳動に供した結果,9班中2班で目的のPCR産物が得られていた。本実践では感染症対策を十分にとって行うことができた。授業後の課題の設問への解答にはPCRの原理や検査以外の応用の記述がみられるようになった。本実践により通常の授業時間の2校時と課題による時間外学習によりPCRについて学ぶことができる生徒実験が構築できる可能性が見出された。
著者
五十嵐達也 塩浦 宏祐 谷 友太 小田原大昂 井上 和樹 星野 涼 松岡 秀典 三友 恵一
出版者
一般社団法人 日本地域理学療法学会
雑誌
地域理学療法学 (ISSN:27580318)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.52-58, 2023 (Released:2023-03-31)
参考文献数
31

【目的】要支援・要介護高齢者を対象に,生活空間での移動性の広狭を判別する修正版5回椅子立ち座りテスト(modified SS-5)と片脚立位時間(OLS)のカットオフ値を明らかにすることを目的とした.【方法】要支援・要介護高齢者66名(年齢80.9±7.6歳,女性39名)をLife Space Assessmentの点数から2群に分類した.modified SS-5とOLSのカットオフ値と判別精度を,ROC曲線によるYouden IndexとAUCで算出した.【結果】AUCとカットオフ値は,modified SS-5が0.905(感度0.889,特異度0.754)と12.82秒,OLSが0.860(感度0.778,特異度0.842)と7.25秒であった.【結論】要支援・要介護高齢者の生活空間での移動性の広狭の判別には,下肢筋力とバランス能力が重要な指標であることが示唆された.本研究の結果は,社会参加の向上を目指した理学療法における目標設定や介入計画の意思決定に寄与する知見である.
著者
尾崎 良太郎 丸飯 虎太朗 門脇 一則 小田原 和史
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨 2022年度 宝石学会(日本)講演論文要旨
巻号頁・発行日
pp.6, 2022 (Released:2022-07-08)
参考文献数
2

真珠の構造色は、表面の真珠結晶層内のアラゴナイト結晶層とコンキオリン層で発生する光の干渉によって発色することが知られている。一般的な構造色では、反射光の干渉が色彩を決めることが多いが、アコヤ真珠の場合は、特に透過の干渉色が重要であることを小松氏は指摘している。我々は、透過の干渉色と反射の干渉色のメカニズムを光学の視点から考え、そのモデル化に成功した。真珠の光学特性は、透過と反射と散乱の組み合わせである。真珠核および真珠結晶層での多重散乱は Kubelka-Munk 理論で計算し、アラゴナイト結晶層とコンキオリン層での干渉は、 Transfer Matrix 法で計算した。計算で得られたスペクトルを色情報に変換し、その色情報に基づき OpenGL シェーディング言語で作成したプログラムで可視化した。図 1 は、コンキオリン層を 20 nm として、アラゴナイト結晶層が 360 nm のときの結果である。上段が写真であり、下段がコンピュータグラフィックス(CG)であるが、撮影角度に伴う干渉色のグラデーションの変化をよく再現できている。また、アラゴナイト結晶層を300 nm、 360 nm、 400 nm としたときの結果を図 2 に示す。結晶層厚の変化に伴う、干渉色のグラデーションの変化も再現可能である。今後は、 CG の更なる高度化を目指し開発を進める予定である。【謝辞】本研究は農研機構生研支援センター「革新的技術開発・緊急展開事業(うち先導プロジェクト)」の支援を受けて行われたものです。
著者
小田 和正
出版者
社会学研究会
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.39-57, 2020-02-01 (Released:2022-04-07)
参考文献数
33

本稿では、U. Beckに代表されるような時代診断的研究の基本構図と諸機能、社会学理論としての諸特徴を理論的 に整理することを通して、時代診断学が社会学的研究のなかに固有の位置価をもつこと、すなわち社会学の一研究ジャ ンルとして独自の地位を占めることを示す。そのために本稿ではまず、社会学的時代診断学というK. Mannheimの 先駆的な構想に着目し、彼の構想を批判的に再検討するという方法を採る。彼の構想に見出される不備を修正することで、時代診断学における「時代」や「社会」の概念を明確化し、「診断」や「処方」の概念もまた理論的に再規定することができるからである。その上で、時代診断学について近年なされている議論の一部を参照しつつ、時代診断学が果たす独自の諸機能、および社会学理論としての諸特徴について考察している。 本稿が提示する時代診断学における時代/社会概念とは、そのときどきに人々が抱く社会像>=包括的な状況の定義であり、時代診断学はその診断において、そのときどきの社会状況に基づいてそうした状況の定義を解釈し、社会状況に非適合的な状況の定義やその定義が依拠する解釈図式を批判する。そしてその処方において、社会状況に適合的な状況の定義や解釈図式を提案する。これが本稿が提示する時代診断学の基本構図である。こうした診断・処方によって時代診断学は、直示的機能、パラダイムの刷新機能、公共的機能という三つの機能を果たしうる。これらは通常の社会記述や社会理論が担う機能とは異なると同時に社会学的研究に不可欠の機能であるがゆえに、社会学的時代診断学は社会学的研究のなかで固有の位置価をもつと言える。
著者
直井 洋介 小田 哲三 富川 裕文
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.58, no.9, pp.536-541, 2016 (Released:2020-02-19)
参考文献数
12

日本は1955年に制定された原子力基本法に従い,原子力の研究開発,原子力エネルギーの利用を平和目的に限って推進してきた。平和目的に限られていることを担保するため,事業者は計量管理を行い,IAEAと保障措置協定を締結する以前は二国間原子力協定(日米,日仏,日加等)に基づき報告を行い,1977年のIAEAとの保障措置協定を締結後は国内法が改定され,それに基づき計量管理及びその報告が行われてきた。1999年には追加議定書を締結して新たな義務を負うIAEAの保障措置活動に対応してきており,これまでわが国の原子力活動についての申告の正確性と完全性がIAEAによって検認されてきている。2004年には,核物質の転用や未申告の活動はないとの「拡大結論」を得て以降,これまで毎年この拡大結論を得てきている。本報告では,JAEAがこれまで取り組んできたIAEAの保障措置に必要な技術開発や人材育成への協力などIAEA保障措置活動への貢献について報告する。

1 0 0 0 OA 亀甲橋の施工

著者
熊岡 禎二 小田 徳昌 清水 幸一 板井 栄次
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.39-47, 1992-06-01 (Released:2013-04-26)
参考文献数
3

亀甲橋は3か所の橋台から, 中央に向かって薄いコンクリートの床版で結ばれた, 三方向対称PC吊床版橋である。吊床版橋は国内ですでに10橋ほど建設されており, 最大支間は100mを超え, 多径間の施工例も報告されている。しかし, このように三方向を結ぶ吊床版橋は世界初のものである。本橋は木製の吊橋をイメージし, 設計・施工上の工夫が行われている。また, 施工は支保工を用いず, 緊張した鋼材にプレキャスト施工した床版を架設するという工法で行われた。施工中の空間的形状および張力の管理は, リアルタイムに計測, 画像処理される自動計測システムを開発し使用した。本稿では亀甲橋の構造の概要と, その特徴的な施工法について報告する。
著者
森川 友樹 糸島 亮 小川 亮 小田 新 廣間 武彦 中村 友彦
出版者
一般社団法人 日本周産期・新生児医学会
雑誌
日本周産期・新生児医学会雑誌 (ISSN:1348964X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.195-199, 2022 (Released:2022-05-10)
参考文献数
18

妊娠初期の梅毒血清検査が陰性で当院への新生児搬送時には未診断であった先天梅毒の症例を経験した.母親は22歳,妊娠13週の梅毒血清検査は陰性だったが,同時期に外陰部に潰瘍を認め,診断に至らず軽快していた.児は33週5日,出生体重1,586g,緊急帝王切開で出生した.重症新生児仮死となり当院へ新生児搬送となった.鞍鼻,全身の皮膚の落屑,肝脾腫を認め,児の梅毒血清抗体価の上昇から先天梅毒と診断した.出生時よりなんらかの先天感染を疑い,Ampicillin(ABPC),Cefotaxime(CTX)による抗生剤治療を開始していたが,日齢4の先天梅毒の確定診断後よりBenzylpenicillin(PCG)に切り替え10日間治療した.後障害なく退院し1歳半時点で成長発達は正常である.近年,若年女性の梅毒および先天梅毒の報告数が増加しており,妊娠初期以降の梅毒感染にも注意する必要がある.
著者
丸山 泰貴 及川 哲郎 花輪 壽彦 小田口 浩
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.66-70, 2021 (Released:2022-05-17)
参考文献数
14

多汗症の治療は漢方治療を含め複数の選択肢が存在しているが,無汗症は一部の疾患でステロイドの有効性が指摘されているのみであり,現代医学的に治療が難しくかつ漢方治療の臨床報告は少ない。発汗低下を訴える症例に対して桂枝加黄耆湯加防風白朮が有効であった症例を経験したために報告する。 症例は69歳女性。発汗の減少,体温感覚の異常を主訴に201X 年6月に当研究所を受診。近医で種々の漢方薬を処方されたが改善がなかった。発汗できず皮下に水気がたまっている病態と考えて桂枝加黄耆湯加味方を処方したところ,汗がでるようになり体温感覚の異常は改善した。大塚敬節は『金匱要略講話』で,「黄耆というものは,まるきり反対の水が多い場合と水がない場合の二つの場合に効くということが云えます。」と述べている。本症例のような発汗障害では漢方治療,特に黄耆を含む処方は有効であると考えられる。
著者
横山 稔 小田 敬子 中野 直
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.1_2-1_7, 2015-03-25 (Released:2015-05-22)
参考文献数
6

この「五感のデザインワークブック」は、約20年にわたり日米の大学で教えてきた五感を刺激する一連の空間に関わるデザイン演習を体系的なシステムにまとめたものである。デザインに必要な感性には体験力・直感力・創造力・イメージ力などがある。全身を通じ、そのカタチの無い感覚的なものをカタチに出来る力をつける演習に仕立てた。読者が気にもとめなかった日常のささいな出来事や生活空間を、五感を研ぎ澄ませて臨むこの12種類の演習を通じて、新たな発見を楽しみ、好奇心を持ってデザイン制作、活動の素地を養える様、工夫した。また近年、幅広い領域で求められている独創性やクリエイティブマインド、デザインを思考する力も意識して、この教育システムをデザインし、本にまとめた。
著者
小田 寛貴
出版者
名古屋大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
2000

本研究では,加速器質量分析法(AMS)による^<14>C年代測定が古文書の年代判定法としてもつ有効性を検証することを目的とし,文献史学・書跡史学などの立場から歴史学的な年代が一年〜数十年単位で明らかになっている古文書・古経典の^<14>C年代測定を行った.一般に木製文化財には心材部や伐採後乾燥させた木材が利用されるため,その^<14>C年代は歴史学的年代よりも古くなるが,本研究によって,古文書・古経典については^<14>C年代が歴史学的年代とよく一致するという結果が得られ,AMS^<14>C年代測定法が古文書の年代判定法として有効であることが示された.さらに,この研究成果の上に立ち,文献史学・書跡史学などの手法だけでは年代を特定することができなかった古文書資料についてAMS^<14>C年代測定法を適用し,それらの年代決定を行った.浄瑠璃寺阿弥陀如来像の胎内に納められていたと伝えられる印仏は,印刷物であるため書風などからの年代決定が困難な資料であったが,^<14>C年代測定によってこれらが11世紀から12世紀前半のものであることが判明した.実践女子大学蔵源氏物語は室町後期の学者三条西公条の筆と伝えられていたが,AMS^<14>C年代測定によって,これが近世に入ってからのものであることが明らかにされた.また古筆切に適用することで,AMS^<14>C年代測定が散逸物語の年代判定などに重要な知見を与えることも本研究によって示されている.さらに,経筒などに入れられ土中に埋納されていたため炭化してしまった経典についても,AMSが有効な年代決定の手法となることが示された.また,近世前期末葉の薄墨紙の^<14>C年代測定では,この紙が漉き返しの紙ではなく新たに漉いた紙に墨を添加したものであることを支持する結果が得られた.