著者
山下 裕子
出版者
白桃書房
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.p75-86, 1993-07
被引用文献数
1
著者
山下 裕 古後 晴基
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1437, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】高齢者の咀嚼能力の低下は,一年間の転倒歴,排泄障害,外出頻度の減少,うつ状態などと共に,要介護リスク因子の一つとして取り上げられている。しかし,咀嚼能力と身体機能の関連については未だに不明な点が多い。一方,片脚立位時間の測定は,簡便な立位バランス能力の評価として広く臨床で使用されている評価法であり,高齢者の転倒を予測する指標としての有用性も報告されている。そこで本研究は,咀嚼能力の評価指標である咬合力に着目し,身体機能との関係を明らかにした上で,咬合力が片脚立位時間に影響を及ぼす因子と成り得るかを検討した。【方法】対象者は,デイケアを利用する高齢者55名(男性18名,女性37名,要支援1・2)とした。年齢82.9±5.6歳,体重54.7±13.5kgであった。対象者の選択は,痛みなく咬合可能な機能歯(残存歯,補綴物,義歯含む)を有することを条件とし,重度の視覚障害・脳血管障害・麻痺が認められないこと,及び重度の認知症が認められないこと(MMSEで20点以上)とした。咬合力の測定は,オクルーザルフォースメーターGM10(長野製作所製)を使用した。身体機能評価として,片脚立位時間,残存歯数,大腿四頭筋力,握力,Timed Up & Go test(TUG),Functional Reach Test(FRT)を実施した。統計処理は,Pearsonの相関係数を用いて測定項目の単相関分析を行い,さらに片脚立位時間に影響を及ぼす因子を検討するために,目的変数を片脚立位時間,説明変数を咬合力,大腿四頭筋力,TUG,FRTとした重回帰分析(ステップワイズ法)を用いて,片脚立位時間と独立して関連する項目を抽出した。なお,統計解析にはSPSS ver.21.0を用い,有意水準を5%とした。【結果】各項目の単相関分析の結果,咬合力と有意な関連が認められたのは残存指数(r=0.705),片脚立位時間(r=0.439),大腿四頭筋力(r=0.351)であった。また,片脚立位時間を目的変数とした重回帰分析の結果,独立して関連する因子として抽出された項目は,TUGと咬合力の2項目であり,標準偏回帰係数はそれぞれ-0.429,0.369(R2=0.348,ANOVA p=0.002)であった。【考察】本研究は,高齢者における咬合力と身体機能との関係を明らかにし,片脚立位時間における咬合力の影響を検討することを目的に行った。その結果,咬合力は,残存歯数,片脚立位時間,大腿四頭筋力との関連が認められ,片脚立位時間に影響を及ぼす因子であることが示された。咬合力の主動作筋である咬筋・側頭筋は,筋感覚のセンサーである筋紡錘を豊富に含み,頭部を空間上に保持する抗重力筋としての役割を持つことが報告されている。また,噛み締めにより下肢の抗重力筋であるヒラメ筋・前脛骨筋のH反射が促通されることから,中枢性の姿勢反射を通じて下肢の安定性に寄与していることも報告されている。本研究の結果,咬合力と片脚立位時間に関連が示されたことは,高齢者の立位バランスにおいて咬合力が影響を与える因子であることを示唆しており,これらのことはヒトの頭部動揺が加齢に伴い大きくなること,平衡機能を司る前庭系は発生学的・解剖学的に顎との関係が深いことからも推察される。咬合力を含めた顎口腔系の状態と身体機能との関連について,今後更なる検討が必要と思われる。【理学療法学研究としての意義】臨床において,義歯の不具合や歯列不正・摩耗・ムシ歯・欠損等により咬合力の低下した高齢者は多く見受けられる。本研究により咬合力が片脚立位時間に影響を及ぼすことが示されたことは,高齢者の立位バランスの評価において,咬合力を含めた顎口腔系の評価の重要性が示された。
著者
山下 裕 古後 晴基 西上 智彦 東 登志夫
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.101-106, 2018-10-16 (Released:2018-10-19)
参考文献数
32

【目的】慢性頸部痛患者における破局的思考や運動恐怖感が能力障害に関連する因子かどうか検討した。【方法】3ヶ月以上頸部痛を有する外来患者99名(外傷性35名,非外傷性64名)を対象とした。評価項目は,Neck Disability Index(NDI),安静時・運動時疼痛強度,疼痛持続期間,破局的思考,運動恐怖感とした。Mann-Whitney U 検定を用いて発症起点の有無における評価項目を比較した。また,Stepwise 法による重回帰分析を用いてNDI に関連する項目を検討した。【結果】外傷性頸部痛患者と比較して非外傷性頸部痛患者は年齢,疼痛持続期間において有意に高値を示したが,その他の項目に有意な差は認められなかった。NDI と関連する項目は,破局的思考と安静時・運動時疼痛強度であった。【結論】慢性頸部痛患者においては,外傷性か非外傷性に関わらず破局的思考が能力障害に関連することが明らかとなった。
著者
細川 民樹 山下 裕 島 公脩
出版者
The Society of Instrument and Control Engineers
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.467-473, 1990-04-30 (Released:2009-03-27)
参考文献数
9

In this paper, we study the stabilization problem of a spacecraft with three independent torque actuators via state feedback. We describe its attitude with the quaternion q_??_(q1, q2, q3, q4), ||q||2_??_q12+q22+q32+q42=1, instead of the rotation matrix R∈SO(3), which is known to have the manifold structure. The purpose of this paper is to derive a global static feedback law such that quaternion q converges to (0, 0, 0, 1).First of all, we cover the manifold SO(3) with four local co-ordinates A: (q1, q2, q3), B: (q1, q2, q4-1), C: (q1, q2, q4-1), D: (q2, q3, q4-1). And, by means of the nonlinear control theory, we obtain four local control laws u=uA(x), u=uB(x), u=uC(x), u=uD(x) corresponding to them. But, each control law has singular points where the inputs diverge. If we adopt an idea that the control laws are switched according to the value of the quaternion in order to avoid the problem of the singular points, the control inputs are not smooth at the switching point. So, we synthesize a new control law u=q42uA+q32uB+q22uC+q12uD from local control laws. The new control law, of which each term is equal to zero at the singular points, is smooth and gives globally stable closed-loop system. Furthermore, its structure is much simpler than four local control laws. This method is applicable to both gas-jet actuators and reaction wheel actuators. The control law for gas-jet actuators is the special case of the control law derived in Ref. 5).
著者
山下 裕司 山崎 舞 鈴木 真綾 萩原 宏美 田上 八郎 平尾 哲二 坂本 一民
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 = The University Bulletin of Chiba Institute of Science (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
no.9, pp.67-74, 2016-02-28

古来から天然の薬として服用されてきた有機ゲルマニウムは、角層中のコーニファイドエンベロープ形成や細胞間脂質を構成するセラミド合成促進などの効果が近年見出され、皮膚への有効性が期待されている。昨年、我々は有機ゲルマニウムを配合したクリームを皮膚に塗布した際の角層水分量と経表皮水分蒸散量(TEWL)の変化について調べ、有機ゲルマニウムに角層の保湿性を向上する傾向があることを報告した。本研究では、剤型をクリームから化粧水に変更し、市販の有機ゲルマニウム含有化粧水と含有されない化粧水を用いて角層水分量、TEWL、皮膚粘弾性、および皮膚色の変化から皮膚への塗布効果を調べた。4週間の連用塗布によって、有機ゲルマニウム配合化粧水は未配合化粧水に比べて有意に角層水分量は増加したが、その他の評価項目に関しては著しい差は見られなかった。また、本研究では、この角層水分量の増加に対して表皮中のフィラグリンから産生されるピロリドンカルボン酸量との関係について調べた。化粧水中の有機ゲルマニウムの有無に関係なく皮膚の保湿能に関係するピロリドンカルボン酸量は変化しておらず、有機ゲルマニウム配合化粧水の高い保湿機能が天然保湿成分の量的変化に関与していないことが示唆された。
著者
安藤 亮一 吉川 桃乃 山下 裕美 土肥 まゆみ 千田 佳子 井田 隆 石田 雄二 秋葉 隆
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.317-325, 2003-05-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
30
被引用文献数
1

活性型ビタミンD静注製剤である, マキサカルシトールとカルシトリオールの透析患者の二次性副甲状腺機能亢進症に対する効果を比較検討した. また, 新たに開発された1-84副甲状腺ホルモン (PTH) のみを測定するwhole PTHの測定を行い, whole PTHおよびC端の不活性フラグメント7-84 PTHへの効果についても比較検討した. 対象は年齢, 透析歴, PTHをマッチングさせた, 各群10例の二次性副甲状腺機能亢進症を有する透析患者である. PTHの値に応じて, マキサカルシトール5あるいは10μgを週3回各透析後に (マキサカルシトール群), また, カルシトリオールを0.5あるいは1.0μgを週3回 (カルシトリオール群) より開始し, intact PTH, whole PTH, 7-84 PTH, 骨型アルカリフォスファターゼ (BAP), インタクトオステオカルシン (iOC), I型プロコラーゲンNプロペプチド (PINP), 補正カルシウム (Ca), リン (P) に及ぼす影響について, 24週間にわたり前向きに比較検討した.両群ともに, 4週後にwhole PTHの有意な低下が認められた. カルシトリオール群では, 8週-12週においてPTHの低下が少ない傾向であったが, 薬剤の増量により, 16週以後, マキサカルシトール群と同様に低下した. Intact PTH, 7-84 PTHは, whole PTHと同様の経過を示した. BAP, iOC, PINPも同様の傾向を示したが, カルシトリオール群では有意な低下ではなかった. また, 補正Caは両群ともに増加, Pは変動が大きいが有意な変化を認めなかった. これらの検査値は24週後において, 両群間に有意な差を認めなかった. 薬剤の投与量を調節した結果, 24週後の投与量の比は約7:1であった. 以上より, マキサカルシトールとカルシトリオールは投与量を調節すれば, ほぼ同等の二次性副甲状腺機能亢進症に対する効果が得られ, その効力比はマキサカルシトールを1とするとカルシトリオールで約7に相当すると考えられた.
著者
望月 公廣 山下 裕亮 Savage Martha Warren-Smith Emily Jacobs Katie Wallace Laura
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

The Pacific Plate subducts beneath the Australian Plate at a rate of ~5 cm/year along the northern Hikurangi trough off the North Island, New Zealand, and the seismic activity is very high. In addition to regular earthquakes, slow earthquakes including slow slip events (SSEs) and tremor have been observed offshore on the shallow plate interface. SSEs are relatively frequent in the northern part of the Hikurangi subduction margin, occurring every 1-2 years. Therefore, this frequent, repeating occurrence offers an excellent chance to capture accompanying seismicity as well as the SSE itself using temporary deployments of ocean bottom instruments directly overlying the shallow (<10 km) SSE source.We conducted an international collaborative observation from May, 2014, through June, 2015, using 15 ocean bottom seismometers (OBSs) and 24 ocean bottom pressure gauges (OBPs). We were successful in capturing an SSE directly beneath the network, and obtained a precise slip distribution of the event. The slip reached near the trough axis, and that the slip was reduced in the area of subducted seamounts. The tremor activity initiated near the end of the SSE and it lasted for more than two weeks, within a limited region over one of the subducted seamounts. Stress inversions from focal mechanisms of earthquakes during the SSE cycle revealed temporal variations in stress orientations suggestive of an increase in pore fluid pressure within the slab and along the plate interface during the period prior to SSEs in the area, and a subsequent reduction of pore fluid pressure following SSEs. Furthermore, variations of shear wave splitting delay times and Vp/Vs suggested that filling and emptying of cracks and pore spaces accompanied the fluid pressure changes. These observations of long-lasting tremor activity and temporal variation of focal mechanisms and cracks in tandem with the occurrence of SSEs suggest a potential role of fault-valving in the generation of slow earthquakes.We conducted another temporary OBS deployment from Oct. 2018 through Oct. 2019 using 5 OBSs in the same region of the 2014-2015 observation spanning the subducted seamount where we recorded offshore tremor activity previously. A large SSE occurred during the observation period in April-May 2019 around our OBS network, and we were successful in capturing seismic activity accompanying the SSE. The seismicity increased around the start of the SSE and continued throughout the event. Some of the activity shows a large low frequency component, and it is likely that tremors were activated. We are conducting further investigations.
著者
古後 晴基 山下 裕
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.187-193, 2020

<p>[目的]本研究は,野球選手を対象とし,超音波画像を用いて回旋腱板の筋厚特徴を検討することを目的とした。[対象]被験者は大学生で,硬式野球経験が高校で3年間あり,軟式野球経験を含めた野球経験が5年以上ある男性30名(60肢)を対象とした。[方法]調査項目は,質問紙による調査と超音波画像による腱板筋群(投球側および非投球側)の筋厚とした。[結果]各筋厚を投球側と非投球側で比較した結果,棘下筋は投球側が有意に低値であり,肩甲下筋は投球側が有意に高値であった。投球肩障害の既往歴あり群と既往歴なし群で比較した結果,ポジション歴や各筋厚に有意差は認められなかった。しかし,ポジション歴に関して,既往歴なし群は野手経験のみの者が多く,既往歴あり群は投手もしくは捕手経験の者が多い傾向であった。さらに,投球側の各筋厚を従属変数とし,身長,体重,野球歴,ポジション歴,既往歴を独立変数として重回帰分析を行った結果,棘下筋と小円筋の筋厚は,野球歴に有意な負の関連が認められた。[結語]これらのことから,野球経験が5年以上ある野球選手において,棘下筋の筋厚は投球側が薄く,肩甲下筋は投球側が厚いことが示唆された。投球障害肩の既往歴がない者は野手経験のみの者が多く,既往歴がある者は投手もしくは捕手経験ありの者が多い傾向であった。また,経験年数は棘下筋と小円筋の筋厚に負に影響することが示唆された。</p>
著者
古後 晴基 村田 潤 東 登志夫 村田 伸 鳥山 海樹 山下 裕 今村 純平
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.29-33, 2016-04-30 (Released:2016-07-29)
参考文献数
20
被引用文献数
1

本研究の目的は,浮腫における圧痕深度計測法の妥当性と圧痕性浮腫の判別が可能な評価法であるかを明らかにすることである。22名44肢の浮腫有と診断された患者と,30名60肢の地域在住の健常高齢者を対象とした。被験者の足底を床面に付けた端座位とし,第3中足骨骨頭の足背部の圧痕深度をエデゲー?にて計測した。また,同一部位の皮下軟部組織厚を超音波画像診断装置にて計測した。統計解析には,圧痕深度値と皮下軟部組織厚値をPearson の相関係数にて分析した。また,圧痕深度値は,対応のないt 検定を用いて患者と健常者間で比較した。その結果,圧痕深度値と皮下軟部組織厚値との間に,極めて強い相関関係を示した。また,患者群は健常者群と比較して圧痕深度値が有意に高値を示した。本研究より,圧痕深度計測法は妥当性ある評価法であり,圧痕性浮腫の有無を判別可能な評価法である可能性が認められ,圧痕性浮腫における有用な評価法であることが示唆された。
著者
山下 裕之 宇羽野 惠 上坂 義和 國本 雅也
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.8, pp.576-580, 2012 (Released:2012-08-27)
参考文献数
27
被引用文献数
3

脳症を呈した猫ひっかき病(CSD)の一例を経験した.症例は34歳女性,約1カ月前より微熱および鼠径部リンパ節腫脹を自覚していた.発熱および嘔気・嘔吐をともなう頭痛出現後,意識障害が出現し,受診した.髄液検査で大きな異常なく,頭部MRI正常であったが,骨盤造影CTにて壊死性リンパ節炎の所見をみとめ,外科的リンパ節生検にて肉芽腫様変化をみとめた.猫を飼っているという生活歴を考慮し,生検組織をもちいてCSDの病原体であるBartonella HenselaeのPCR検査施行し,陽性であることが判明しCSD脳症と診断した.本邦ではCSD脳症の報告が非常に少なく,見逃されている可能性があるため注意が必要である.
著者
田中 幸一 山下 裕一 高地 俊郎 平野 忠 白日 高歩
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.61, no.8, pp.2196-2199, 2000-08-25 (Released:2009-02-10)
参考文献数
27
被引用文献数
3 3

自験例は, 60歳,女性. 1996年8月30日左腰背部膨隆を主訴として当院を受診した.左腰背部に大きさ8×7cmの柔らかく圧痛のない腫瘤を認めた.腹部超音波, CTおよびMRI検査により上腰ヘルニアと診断した.手術所見では,直径2.5cmの腹横筋腱膜の断裂がヘルニア門となっており腎周囲の後腹膜脂肪の脱出を認めた.術式は周囲組織が脆弱であったため,ヘルニア門を閉鎖した後Marlex Mesh®を縫着して補強した. 1999年現在まで再発をみとめていない. 上腰ヘルニアを臨床において経験することは稀であり,本邦では自験例を含めて37例の報告がある.その診断は理学的所見から容易であったが,超音波, CT, MRI検査がヘルニアの内容,周囲との関係を知るうえで有用であった.発見された時点で症例に応じた外科的修復を行うことを原則としてよい.
著者
藤城 光弘 池田 祐一 熊谷 英敏 山下 裕玄 森田 啓行 浅岡 良成
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

Wntシグナル制御機構:R-spondin-LGR4/5/6-ZNRF3/RNF43系を標的とした 抗癌剤としてのR-spondin活性阻害剤、腸管粘膜再生促進剤としてのR-spondin代替え低分子化合物の同定を目指し、 低分子化合物ライブラリーをスクリーニングした。その結果、再現性を持ってR-spondin 阻害活性を有する化合物を60種類、R-spondin 様活性を有する化合物を1種類同定した。その後の解析により、R-spondin 様作用を有する化合物はZNRF3/RNF43を介して作用することが確認され、消化器疾患再生医療領域における有望な創薬シーズになりうることが示唆された。
著者
村上 直子 原 浩貴 山下 裕司
出版者
特定非営利活動法人 日本気管食道科学会
雑誌
日本気管食道科学会会報 (ISSN:00290645)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.43-47, 2004

喉頭肉芽腫は声帯突起部に好発する炎症性の腫瘤であるが,しばしば再発し治療に難渋することのある疾患である。今回我々は喉頭肉芽腫の9症例に対しレバミピドとセラペプターゼの2剤併用の内服加療をおこなった。その結果,9例中5例(56%)で肉芽腫が消失した。肉芽腫消失までの期間は最短で21日,最長で91日であった。5例中3例は術後再発の症例であった。また1例はPPIの無効例であった。また5例全例とも投与後に最短10日,最長28日で肉芽腫の縮小効果が確認された。消失した5例で,内服終了後に再発したものはなかった。<br>今回の結果から,喉頭肉芽腫が消失した原因は主として血中レバミピドの炎症抑制作用が喉頭粘膜に影響を及ぼしたためではないかと推察した。また無効であった4例では,血中濃度が充分でなかった可能性と,レバミピドでは胃酸逆流の防止が困難なほど重度なGERDが潜んでいた可能性を推察した。