著者
松石 豊次郎 石橋 紳作 山下 裕史朗 栗谷 典量 神谷 育司 福田 清一 橋本 武夫 原 淳二 東 宏 庄司 順一 前川 喜平
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.149-155, 1996-03-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
15
被引用文献数
1

年, 周産期医療の進歩に伴い, 極低出生体重児の救命率は改善してきた.欧米諸国および本邦から極低出生体重児の短期, 長期の神経学的予後の調査が行われ, 従来, 正常および境界と思われていた児に学習障害などの少なくないことが指摘されてきた.また, 児の発達に影響を及ぼす家庭環境や両親の養育態度の重要性も強調されている.欧米で実施されているearly interventionの概念と適応, およびその有用性を紹介する.また日本の全国8施設で行われているearly interventionの実施状況と効果の紹介および将来の展望について述べる.
著者
山下 裕一
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日臨外会誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.77, no.7, pp.1599-1608, 2016

福岡大学消化器外科教室では外科医減少の中で若手外科医育成に取り組んできた.その基本理念は,時代の展開をリードする外科教室を目指し「若手外科医育成のために"進化する外科"」であった.第77回総会では,同じ理念を総会テーマと総会会長講演で用いた.講演内容は,1.外科医減少,2.その対策,3.手術術式の展開とスピード感,4.コモディティー化,5.教室の臨床研究であった.すなわち,外科医数は20~30歳台までは減少し,人口は2045年までは高齢者年齢層が目立つため外科医不足深刻化に警鐘を鳴らした.内視鏡外科の展開は目覚しく,術者の若返りで大変化の様相を示す.この中で,外科医のコモディティー化の対処策や周術期管理労力軽減に役立つ臨床研究を示した.今後も,外科医減少の状況において若手外科医育成に役立つあらゆる方策を練り,若手医師に魅力ある外科医の環境整備は将来に向け重要な課題であることを述べた.
著者
山下 裕考 伊藤 淳子 宗森 純
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.33, pp.139-144, 2009-03-11
参考文献数
4

圧力センサを用いたエクサテインメント(エクソサイズ (exercise)+エンタテイメント(entertainment))支援システム 「リモートケンケン」 を開発した.適用実験の結果,以下のことが分かった.1)シミュレーションソフトと比較して実際にケンケンをしているような感覚が高い.2)プレイ時間は 40 秒程度が適正と評価された. 3)実験後脈拍は上がり,運動した充実感は得られた.4)得点を設定し,相手との勝敗結果を表示することで面白さが増加したと感じられた.We have developed an exertainment system, named the Remote Kenken. The results of the experiments showed that 1) A sense making "hopping" is very really high comparing with a simulation software. 2) Around 40 seconds were judged to be appropriate in the play time. 3) The pulse rose after an experiment. The subject got the sense of fulfillment after the exercise. 4) The system got high evaluation that it displayed a victory or defeat result with the partner.
著者
山下 裕史朗 向笠 章子 松石 豊次郎 WILLIAM E. PELHAM
出版者
一般社団法人 日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.75-81, 2009-03-30 (Released:2017-06-28)

われわれは、米国BuffaloのPelham教授によって確立され、ADHDをもつ子どもへの治療モデルプログラムとして全米で行われているSummer Treatment Program(STP)を2005年から久留米市でスタートし、3年間継続してきた。STPは、デイキャンプ方式のプログラムで、ポイントシステム、正の強化子、デイリーレポートカード、タイムアウトなどのエビデンスに基づく手法を用いた。2005年は2週間、2006から2007年は3週間、のべ89名(年齢6〜12歳)が参加した。タイムアウト頻発のため個別プログラムを要する子どもが毎年1名いたが、ドロップアウトしたものはいなかった。行動改善はすべての子どもに認められ、ADHDや反抗挑戦性障害の症状も有意に改善した。保護者の満足度はきわめて高い。米国のSTPは、日本人ADHDをもつ子どもにも有効であるだけでなく、医療・心理・教育の各専門家のコラボレーションを高め、学生の臨床教育、臨床研究に役立つプログラムである。
著者
山下 裕 古後 晴基 川口 直輝 溝田 勝彦
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.129-133, 2015-09-07 (Released:2015-09-10)
参考文献数
30
被引用文献数
2

[目的]虚弱高齢者の咬合力と身体機能の関連を検討するために行った。[対象と方法]デイケア利用の虚弱高齢者55名を対象とした。測定項目は,咬合力,残存歯数,握力,下肢筋力,片脚立位時間,Timedupandgotest,Functional reach test とした。ステップワイズ法による重回帰分析を用いて咬合力と独立して関連する項目を抽出した。[結果]咬合力と独立して関連の認められた項目は残存歯数と片脚立位時間であった。[結論]咀嚼能力の客観的評価指標の一つである咬合力は残存歯数という歯科的要因と,静的バランス能力の指標である片脚立位時間が関連していることが示された。
著者
山下 裕 古後 晴基
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【はじめに,目的】高齢者の咀嚼能力の低下は,一年間の転倒歴,排泄障害,外出頻度の減少,うつ状態などと共に,要介護リスク因子の一つとして取り上げられている。しかし,咀嚼能力と身体機能の関連については未だに不明な点が多い。一方,片脚立位時間の測定は,簡便な立位バランス能力の評価として広く臨床で使用されている評価法であり,高齢者の転倒を予測する指標としての有用性も報告されている。そこで本研究は,咀嚼能力の評価指標である咬合力に着目し,身体機能との関係を明らかにした上で,咬合力が片脚立位時間に影響を及ぼす因子と成り得るかを検討した。【方法】対象者は,デイケアを利用する高齢者55名(男性18名,女性37名,要支援1・2)とした。年齢82.9±5.6歳,体重54.7±13.5kgであった。対象者の選択は,痛みなく咬合可能な機能歯(残存歯,補綴物,義歯含む)を有することを条件とし,重度の視覚障害・脳血管障害・麻痺が認められないこと,及び重度の認知症が認められないこと(MMSEで20点以上)とした。咬合力の測定は,オクルーザルフォースメーターGM10(長野製作所製)を使用した。身体機能評価として,片脚立位時間,残存歯数,大腿四頭筋力,握力,Timed Up & Go test(TUG),Functional Reach Test(FRT)を実施した。統計処理は,Pearsonの相関係数を用いて測定項目の単相関分析を行い,さらに片脚立位時間に影響を及ぼす因子を検討するために,目的変数を片脚立位時間,説明変数を咬合力,大腿四頭筋力,TUG,FRTとした重回帰分析(ステップワイズ法)を用いて,片脚立位時間と独立して関連する項目を抽出した。なお,統計解析にはSPSS ver.21.0を用い,有意水準を5%とした。【結果】各項目の単相関分析の結果,咬合力と有意な関連が認められたのは残存指数(r=0.705),片脚立位時間(r=0.439),大腿四頭筋力(r=0.351)であった。また,片脚立位時間を目的変数とした重回帰分析の結果,独立して関連する因子として抽出された項目は,TUGと咬合力の2項目であり,標準偏回帰係数はそれぞれ-0.429,0.369(R<sup>2</sup>=0.348,ANOVA p=0.002)であった。【考察】本研究は,高齢者における咬合力と身体機能との関係を明らかにし,片脚立位時間における咬合力の影響を検討することを目的に行った。その結果,咬合力は,残存歯数,片脚立位時間,大腿四頭筋力との関連が認められ,片脚立位時間に影響を及ぼす因子であることが示された。咬合力の主動作筋である咬筋・側頭筋は,筋感覚のセンサーである筋紡錘を豊富に含み,頭部を空間上に保持する抗重力筋としての役割を持つことが報告されている。また,噛み締めにより下肢の抗重力筋であるヒラメ筋・前脛骨筋のH反射が促通されることから,中枢性の姿勢反射を通じて下肢の安定性に寄与していることも報告されている。本研究の結果,咬合力と片脚立位時間に関連が示されたことは,高齢者の立位バランスにおいて咬合力が影響を与える因子であることを示唆しており,これらのことはヒトの頭部動揺が加齢に伴い大きくなること,平衡機能を司る前庭系は発生学的・解剖学的に顎との関係が深いことからも推察される。咬合力を含めた顎口腔系の状態と身体機能との関連について,今後更なる検討が必要と思われる。【理学療法学研究としての意義】臨床において,義歯の不具合や歯列不正・摩耗・ムシ歯・欠損等により咬合力の低下した高齢者は多く見受けられる。本研究により咬合力が片脚立位時間に影響を及ぼすことが示されたことは,高齢者の立位バランスの評価において,咬合力を含めた顎口腔系の評価の重要性が示された。
著者
鈴木 浩太 小林 朋佳 森山 花鈴 加我 牧子 平谷 美智夫 渡部 京太 山下 裕史朗 林 隆 稲垣 真澄
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.283-288, 2015 (Released:2015-11-20)
参考文献数
18
被引用文献数
1

【目的】自閉症スペクトラム (autism spectrum disorder ; ASD) 児・者をもつ母親において, 養育困難があるにも関わらず, 良好に適応する思考過程を養育レジリエンスと考えて, その構成要素を明らかにすることを目的とした. 【方法】16歳以上のASD児 (者) をもつ母親23名に半構造化面接を行い, 乳幼児期から現在までの子育てについて聴き取りを行った. 音声データから得られた逐語記録を元に修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて質的に分析した. 【結果】5つのカテゴリ, すなわち, ①意識, ②自己効力感, ③特徴理解, ④社会的支援, ⑤見通し, で構成される養育レジリエンスのモデルが想定できた. 発達障害児 (者) の養育において, 母親は親意識と自己効力感によって動機づけられ, 子どもの特徴理解を踏まえて対応策を考え, 社会的支援を活用し, 子どもの特徴や社会的支援に基づき成り行きを見通すことで, 子どもを取り巻く問題に対する適切な対処を導き出していると考えた. 【考察】理論の一般化には更なる検討が必要であるものの, 養育レジリエンスの概念を通してASD児 (者) をもつ母親を理解することが, 発達障害の医学的支援に欠かせない視点になり得ると考えられる.
著者
峯村 万貴 泉 克明 山下 裕之 塚原 一幸
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.115-122, 2009 (Released:2009-01-25)
参考文献数
17
被引用文献数
3 3

‘ナガノパープル’は,長野県果樹試験場において四倍体ブドウの‘巨峰’と二倍体ブドウの‘ロザリオ ビアンコ’の交雑組み合わせから選抜された三倍体ブドウであり,2004年に種苗法に基づき品種登録された.1990年に交雑し,交雑胚は胚珠・胚培養により養成した.成熟期は育成地で9月上旬(満開後85日頃)である.果房は160~170 g程度の大きさ,果粒は円形で5~6 g程度の大きさであり,果粒の一部に種子の含有が認められる.果皮色は紫黒色である.果皮と果肉の分離は難で,果肉特性は崩壊性である.果汁の甘味は強く,酸含量は少なく,フォクシーフレーバーがある.裂果の発生がみられる.満開時と満開後14日頃の2回のジベレリン処理(25 ppm液)により480~490 g程度の果房と13~14 g程度の果粒が得られ,果粒は完全に無核となる.ジベレリン処理果では無処理果に比べて裂果の発生が少ない傾向であった.花穂の着生は良好であり,短梢剪定による安定的生産が可能と考えられた.
著者
野口 仁志 内野 眞也 村上 司 山下 裕人 野口 志郎
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.128-134, 2016 (Released:2016-08-02)
参考文献数
5

甲状腺未分化癌は極めて予後不良な疾患であり,確立した治療法は今のところ存在しない。われわれは2006年からドキソルビシン(DXR)とシスプラチン(CDDP)を使用する化学療法にバルプロ酸を併用する方法を試行しており,手術と放射線治療を加えた集学的治療によって予後の改善に努めている。その結果として,手術から2年以上経過しても無再発生存している症例を3例経験したのでここに報告する。
著者
宮町 宏樹 泊 知里 八木原 寛 井口 正人 為栗 健 山本 圭吾 大倉 敬宏 安藤 隆志 尾西 恭亮 清水 洋 山下 裕亮 中道 治久 山脇 輝夫 及川 純 植木 貞人 筒井 智樹 森 済 西田 誠 平松 秀行 小枝 智幸 増田 与志郎 加藤 幸司 畠山 謙吾 小林 哲夫
出版者
特定非営利活動法人日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.227-237, 2013-03-29

2008年に実施された屈折法地震探査によって得られたP波初動走時により,姶良カルデラおよび桜島火山の深さ3kmまでの速度構造を推定した.本研究地域の基盤層である四万十層群は4.6-5.0km/sのP波速度を持ち,姶良カルデラの中央部に向け傾斜している.姶良カルデラの中央部には,4.2-4.4km/sの低速度域が深さ1.5-3kmに存在している.そして,この低速度域はカルデラ下に存在する深部マグマ溜まりからのマグマ供給系が活発であることを示唆している.また,基盤層は鹿児島地溝帯の北西域の境界に沿って深さ1kmから2.5kmに急激に落ち込んでいることがわかった.桜島火山の速度構造は3.6-3.7km/sの領域が存在することで特徴づけられる.桜島火山の山頂直下で発生している火山性地震の震源域と速度構造の比較から,地下構造が種々の火山性地震の震源域の広がりに強い影響を与えていることを示した.
著者
山下 裕作
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.74, no.9, pp.847-852,a3, 2006-09-01 (Released:2011-08-11)

「水土文化」は農村現場にあり, 農村の暮らしの中にある。ここでは農村生活者の「暮らし」の側面からみた「水土文化」調査の方法について紹介する。文化は安易な「客観化」「数値化」といった「素朴な科学論」で把握することは不可能である。農村生活者との協働作業としての調査, すなわち「心で理解」するための調査を通じ,「コミュニケーショナルに正しい認識」を構築する必要がある。本講座ではそのための方法論を不完全ながら紹介する。
著者
山下 裕企
出版者
青山学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、税負担削減行動の指標の日本における特徴および有用性について、理論的・実証的に検討するものである。本研究では、カレント実効税率、残余BTD、およびtotal BTDという3つの指標を取り上げ、これらの年次傾向、業種傾向、決定要因、および連結と単体の違い等を明らかにした。さらに全体として、単体に比べて連結の税負担が重い傾向にあるが決定要因は共通のものが多いこと、日本では残余BTDとtotal BTDが同様の傾向を示していることなども明らかになった。
著者
山下 裕 黒岡 武俊
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究では、微分・代数方程式(以下、DAE, differential-algebraic equation)で与えられた非線形システムの制御系設計問題について研究した。非線形の場合、線形のディスクリプタ形式と異なり行列演算だけで冗長度の無い常微分方程式系に変換することができず、非線形代数方程式を解いて冗長度を消去する作業は一般に困難である。そこで、本研究では非線形代数方程式を解くことなく、冗長度を持ったまま制御系設計を行う方法を示した。まず、index 1のDAEシステムに対し、入出力線形化・オブザーバ設計を行った。その際の大域的安定化条件を示した。そこでは冗長度が消えるように、オブザーバのダイナミクスにおいて代数方程式からなる不変多様体に有限時間整定する設計を採用した。次にhigh indexを持つ系に対し、インパルスモードを持つ場合を含めて、冗長な常微分方程式系に変換する方法を2つ示した。一つは、インパルスモードの数に応じた積分器を入力に付加し代数方程式を順次微分する方法である。もう一つは、状態フィードバックを用いるKumarらのrugularizingを改良した方法である。オブザーバを使う場合は、必然的に前者の方法を使わざるを得ない。これを用いてindex 1のDAEシステムと同様にhigh index DAEシステムに対し、入出力線形化・オブザーバ設計を行った。入出力線形化は冗長常微分方程式系に対してそのまま設計すればよい。入出力線形化に限らず、可制御性を要求しない制御手法であれば適用できるであろう。しかし、冗長常微分方程式系に対してオブザーバを設計すると、設計条件が厳しくなる。そこで、index 1の手法をhigh index DAEシステムに対し拡張し、さらに、付加積分器の状態変数が既知であることを用いて、設計条件を緩和した。得られたオブザーバは冗長な全ての状態量を推定し、かつ代数方程式の拘束を有限時間で満たすように動作する。