著者
三浦 拓也 山中 正紀 森井 康博 寒川 美奈 齊藤 展士 小林 巧 井野 拓実 遠山 晴一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【はじめに,目的】体幹に属する筋群はその解剖学的特性からグローバル筋群とローカル筋群の2つに大別される。近年,この体幹ローカル筋群に属する腹横筋や腰部多裂筋の機能に注目が集まり,様々な研究が世界的に行われている。腹横筋の主たる機能として,上下肢運動時における他の体幹筋群からの独立的,かつ先行的な活動や腹腔内圧の上昇,仙腸関節の安定化などが報告されている。また,腰部多裂筋に関しては腹横筋と協調して,また両側性に活動することで腰椎へ安定性を提供しているとの報告がある。これら体幹ローカル筋群は主に深層に位置しているため,その評価には従来,ワイヤー筋電計やMRIといった侵襲性が高く,また高コストな手法が用いられてきたが,近年はその利便性や非侵襲性から超音波画像診断装置による筋厚や筋断面積の評価が広く行われている。腹横筋と腰部多裂筋は協調的に活動するとの報告は散見されるが,両筋の筋厚の関連性について言及した研究は少ない。本研究の目的は腹横筋と腰部多裂筋を超音波画像診断装置にて計測し,その関連性を調査することとした。【方法】対象は,本学に在籍する健常男性10名(21.0±0.9歳,173.9±6.6 cm,64.3±9.5 kg)とした。筋厚および筋断面積の計測には超音波画像診断装置(esaote MyLab25,7.5-12 MHz,B-mode,リニアプローブ)を使用した。画像上における腹横筋筋厚の計測部位は腹横筋筋腱移行部から側方に約2 cmの位置で,その方向は画像に対し垂直方向とした。腰部多裂筋の筋断面積計測におけるプローブの位置は第5腰椎棘突起から側方2 cmの位置で,画像上における筋断面積は内側縁を棘突起,外側縁を脊柱起立筋,前縁を椎弓,後縁を皮下組織との境界として計測した。動作課題は異なる重量(0,5,10,15%Body Weight:BW)を直立姿勢にて挙上させる動作とし,各重量条件をランダム化しそれぞれ3回ずつ計測,その平均値を解析に使用した。統計解析にはSPSS(Ver. 12.0)を使用し,Pearsonの相関係数にて腹横筋筋厚と腰部多裂筋筋断面積の関連性を検討した。統計学的有意水準はα=0.05とした。【結果】統計学的解析から,0%BW(r=0.78,p<0.05),5%BW(r=0.72,p<0.05)条件において腹横筋の筋厚と腰部多裂筋の筋断面積との間に有意な正の相関が認められた。10%BW,および15%BW条件においては有意な相関関係は認められなかった。【考察】本研究は,機能的課題時における腹横筋と腰部多裂筋の形態学的関連性を検討した初めての研究であり,体幹に安定性を提供するとされている両筋がどのような関連性をもって機能しているのか,その一端を示した有用な所見である。本結果より,低重量条件においては腹横筋筋厚と腰部多裂筋筋断面積との間に有意な正の相関が認められたが,重量の増加に伴い相関関係は認められなかった。先行研究によると腹横筋や腰部多裂筋は機能的活動中に低レベルで持続的な活動が必要であるとされており,かつ両筋は低レベルな筋活動で充分に安定化機能を果たすと報告されている。また,両筋は他の体幹筋群と比較して筋サイズも小さいため,高負荷になるにつれて筋厚や筋断面積の値はプラトーに達していた可能性があり,さらに,高重量条件では重量の増加に伴う体幹への高負荷に抗するため,体幹グローバル筋群である腹斜筋群や脊柱起立筋群などの活動性が優位となっていたために筋厚や筋断面積の関連性が検知されなかったかもしれない。本所見は上記の点を反映したものであると推察される。腹横筋や腰部多裂筋は活動環境に応じて協調的に働くことで体幹に対して適切な安定性を提供しているとされてきたが,様々な活動レベルを考慮したデザインにおいてその関連性を検討した研究は無く,明確なエビデンスは存在していない。本研究はその一端を示すものであり,今後は筋活動との関係性や他の体幹筋群との関係性,さらには腹横筋や腰部多裂筋の機能障害があるとされている慢性腰痛症例においてより詳細な検討が必要であると思われる。【理学療法学研究としての意義】体幹ローカル筋群である腹横筋と腰部多裂筋に関して,低負荷条件において有意な正の相関関係が認められた。本所見は,体幹へ安定性を提供するとされている両筋の形態学的関連性を示唆した初めての研究であり,リハビリテーションにおける体幹機能の評価やその解釈に対して有用な知見となるだろう。
著者
山中長俊
出版者
巻号頁・発行日
vol.巻第五、巻第六,
著者
高橋 敬蔵 坂本 勇人 高橋 俊一 奥富 信博 山中 郁男
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.130-138, 1982

Pancuronium およびその生体内代謝産物は Spectrofluorimetric metbod によれば overall として測定される. また Pancuronium は蛋白結合, 脂肪溶解により不活性化される. したがって血中 Pancuronium の濃度そのものが効果を示すと解釈することは困難である. 著者らはマグヌス法において蛙腹直筋の Acetylcholine による収縮に及ぼす血清量 (蛋白量) ならびに Pancuronium の影響を検討した結果, 血清蛋白量の増加に伴って Pancuronium の不活性化が著しく, 蛋白濃度が1.4g/dl以上では72%以上の抑制がみられた. 成人に4mgの Pancuronium Bromide を bolus に静脈内投与後5分に0.48, 30分0.4, 60分0.3 (&mu;g/ml) に相当する生物学的活性濃度を認めた.
著者
兼吉 昭雄 芦田 和正 山中 克弘 加藤 清志
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.97, pp.33-38, 1999-11-25

無線通信を利用したパームサイズの携帯端末で、ユーザの位置や状況、あるいは目の前にあるモノに応じた情報を、近くの無線局やモノに貼り付けられた無線タグを介して取得できるユービキタス情報サービスシステムの研究を行っている。携帯電話、携帯端末を活用したモバイルコンピューティングは盛んであるが、これはオフィスのコンピュータを外で利用しているのと同じで、モバイルならではのユーザがいる現場の状況を考慮したサービスはあまり提供されていない。本稿では、モバイル環境下でのユーザのTPOからそのユーザに最適な情報を提供するサービスシステムを、特定のビジネス用途向けとして検討したので報告する。We have studied ubiquitous information service systems using a palm-size terminal with wireless communication, that services users the information which depends on their position and occasion from the nearby wireless station or wireless tag on the actual thing. Mobile computing utilizing cellar phone or portable terminal is now popular, but this is equal to the office computing in outside. There isn't any services depending on the user's mobile situation now. This paper reports the ubiquitous information service systems for some specialized business application, that offer the optimum information for users from their TPO (Time, Place, Occasion) in mobile environment.
著者
山中 健司
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.133, 2008

現在,消費者の役割が根底から変化しており,消費者がIT技術の発展により情報を持つことで受け身の立場を捨てて積極性を示し,企業,顧客同士との結びつきを強めている.そのため,Prahalad・Ramaswamyも指摘するように企業が価値を創造し消費者に提供する従来型の価値創造ではなく,企業は個々の消費者との相互作用によって価値を生み出すことが重要となっている.つまり,顧客が消費に対してより主観的価値を求めるという変化に対応することが企業の戦略的課題の一つとして挙げられる.本発表ではこのような主観的価値をとらえるために「シンクロニシティ(共時性)」というコンセプトを用いることで新しい発想を生み出す可能性を示唆する.河合隼雄が指摘するように因果関係では説明できない共時的現象に気づいたときに「現象の意味」を見出すことができ,意味を知ることによって新しい展開を生じさせることができると考える.
著者
山中 一司
出版者
応用物理学会
雑誌
應用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.76, no.7, pp.751-757, 2007-07-10
参考文献数
30
著者
中森 志穂 水谷 奈那美 山中 敏正
出版者
Japan Society of Kansei Engineering
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.321-326, 2011 (Released:2011-12-28)
参考文献数
22
被引用文献数
1 6

Pupil response reflects sympathetic activity and recent research has begun to study pupil response as a stress indicator. It is thought pupil response may be used as an indicator of stress and emotion. This study investigated whether pupil size reflects liking and interest which are Kansei activities. Fifteen adult subjects with normal vision were tested. The subjects' pupil responses were measured while looking at 32 images in random order. The images were digital color photos projected on a computer monitor depicting 16 models. Each model was shown with two expressions: 8 images of happy faces and 8 of neutral faces, and 8 images of angry faces and 8 of neutral faces. The subjects rated their liking and interest for each image using 5 point scales. This revealed that pupil size was significantly larger while viewing images rated as ‘dislike’ than while viewing images rated as ‘like’, over a period between 5 and 10 seconds after stimulus onset. Pupil size didn't reflect interest but liking. The results suggested that subjects physiologically relaxed while looking at images they like.
著者
山中 脩也 吉岡 剛志 森倉 悠介
出版者
帝京平成大学
雑誌
帝京平成大学紀要 = Journal of Teikyo Heisei University (ISSN:13415182)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.85-93, 2016-03

Recently, a personal ICT (Information and Communication Technology) system is useful for everyday life. In the field of education, research and social contribution activities at higher education institutions, the small-scale ICT systems have also been widely used. Here, we introduce an easy-to-use system built by ourselves, and summarize the practices to the fields of the system. In particular, we focus on the following usage. ・Usage as LMS (Learning Management System) in tuition ・Usage for construction of co-editable site ・Usage for student advising in laboratory ・Usage for work-sharing The system has been built in a cloud server (Amazon EC2 (Elastic Compute Cloud)1) provided by Amazon.com) and a CMS (Content Management System) is being used on it. As CMS, we adopted WordPress 3) on Amazon Linux OS provided by "WordPress powered by AMIMOTO< 2). According to W3Techs 4) and Gigazine 5), the share of WordPress reached 25.0% of websites all over the world. There are cases where it is possible to effectively utilize WordPress built on Amazon EC2 in the field of education, research and social contribution activities. If you think that working efficiency in such fields improves by building the small-scale ICT system in this article, we would like to recommend the aggressive introduction to building the system.
著者
山中長俊
出版者
巻号頁・発行日
vol.巻第二十七、巻第二十八,
著者
山中 愛梨 高木 裕美 小原 謙一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【はじめに,目的】中腰姿勢は立位姿勢と比較して,重心線から体幹長軸および下肢関節軸位置が逸脱しているため不安定な姿勢と言え,転倒との関連性が推測される。転倒に関連する重心動揺についてWatanabeら(2010)は,指先での壁面軽接触が重心動揺を減少させ得ると報告している。そこで本研究は,中腰姿勢における重心動揺を減少させ得る指先以外の軽接触部位を検討することで,中腰姿勢での日常生活動作時における上肢活動(例:排泄後の清拭動作)を安定して行えるようにする方法を考案するための基礎的資料とすることを目的に実験を行った。【方法】対象は,若年健常成人40名(年齢:20.5±0.7歳,男性20名,女性20名)とした。実験条件である軽接触部位は,肩峰部,大転子部,大腿骨外側顆部とし,コントロール条件として軽接触なし条件を加えた4条件で実験を行った。これらの接触部位は,解剖学的構造上の突出部位であり,かつ側方からの軽接触が行いやすい部位であるという理由から選出した。高さの異なる各部位に軽接触を行うために,先端にスポンジを装着した棒を身長計のヒット部に固定した器具を使用した。重心動揺の測定には重心動揺計(アニマ社製GP-7)を使用した。中腰姿勢が不安定となる状況を想定し,その代表的な例として片麻痺者を挙げ,その片脚荷重量を参考(朝山,1991)とし,実験前に体重の83%の右下肢への荷重練習を中腰姿勢で行った。その後,対象者には,測定肢位である中腰姿勢(股関節屈曲90度,膝関節屈曲60度,体幹傾斜角度は対象者の任意)を重心動揺計上でとるように指示し,重心動揺が安定したことを確認した後に測定を開始した。測定時間は30秒間とし,各条件につき3回ずつ施行し,平均値を統計学的解析に採用した。測定結果の抽出項目は,総軌跡長と矩形面積とした。統計学的解析は,4条件間の比較のために,一元配置分散分析とBonfferoni法の多重比較を用い,危険率5%未満をもって有意とし,危険率10%未満をもって傾向があると判断した。【結果】()内に重心動揺測定値を軽接触なし,肩峰接触,大転子接触,大腿骨外側顆部接触の順に示す。総軌跡長(cm)は,(66.1±10.7,47.4±11.9,55.0±15.7,57.5±12.0)であり,肩峰接触と大転子接触は,接触なしと比較して有意に低値を示し(p<0.05),肩峰接触は大腿骨外側顆部接触と比較して低値を示す傾向であった(p<0.10)。矩形面積(cm2)は,(9.8±3.5,3.4±1.7,4.9±2.1,6.8±2.6)であり,接触なしは他の条件と比較して有意に高値を示した(p<0.05)。肩峰接触は大腿骨外側顆部接触よりも有意に低値を示し(p<0.05),大転子条件は大腿骨外側顆部接触よりも低値を示す傾向が認められた(p<0.10)。本研究結果より身体部位,特に肩峰での軽接触で重心動揺が軽減することが示唆された。【考察】軽接触なしと比較し,軽接触ありの他の条件で有意な減少が認められたことから,手指以外の部位での軽接触による感覚入力は,重心動揺を減少させ得ると考える。また軽接触3条件の各部位における触覚受容器の分布を調べるため,予備実験を行ったところ,2点識別閾値の平均値は肩峰部40mm,大転子部48mm,大腿骨外側顆部27mmであり,統計学的解析により,大転子部と比較し,大腿骨外側顆部では有意に低値を示していた。これらの結果より,感覚入力の情報量として,大腿骨外側顆部が他の2つの部位よりも多いことが考えられる。一方で,本研究結果では肩峰への軽接触が中腰姿勢の重心動揺をより減少させていた。さらに,総軌跡長において,触覚受容器が多く分布する大腿骨外側顆部は接触なしと比較して有意な減少が認められなかった。力学的有利性の観点から,支点の近くに作用させることにより力はその効果を失い,同じ力を支点から離れたところに作用させることによって,力学的有利性の効果を得る。足部を支点においた場合,支点からの距離が最も離れている肩峰での接触が力学的に有利であり,その他の部位よりも安定性が高いと考えられる。これらのことから,手指以外の部位での軽接触による中腰姿勢の安定には,感覚的要因に加えて力学的要因が関与していること示唆された。【理学療法学研究としての意義】中腰姿勢が不安定で,さらに片側上肢の使用が困難なうえで上肢による支持が必要な人の清拭動作の安定性の向上を図っていく一助として,一般家屋もしくは医療機関において,トイレ個室内の手すりの配置や形状を肩峰へ接触できるような環境設備が示されたことは,転倒予防の観点から意義がある。
著者
野中 信宏 貝田 英二 宮崎 洋一 山中 健生
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 第32回九州理学療法士・作業療法士合同学会 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
pp.212, 2010 (Released:2011-01-15)

【はじめに】 腱縫合術後早期運動療法の目的は腱縫合部の治癒を促し,腱性・関節性拘縮を予防することであり,順調であれば拘縮矯正訓練をほとんど必要としない.今回,手指伸筋腱Zone5での伸筋腱縫合術例に対してMP関節他動屈曲運動を含めた早期運動療法を試み,対照的な2例を経験したので報告する.【症例と術中所見】 本報告に承諾を得た症例1,2各40代,50代の男性で症例1は鋸にて右示指,2は鎌にて左中指のMP関節背側を受傷した.伸筋腱完全断裂にて同日津下法にmattress縫合を加えた腱縫合術を行った.【術後セラピィと経過】 両症例共に術直後から患側手挙上させ,術後2日時に手関節軽度背屈・損傷指伸展位でスプリントを作製し,運動時以外装着させた.術後3週間は1日1~2セット以下の運動をセラピスト管理下で行った.1他動伸展位を維持する程度の自動伸展運動,2PIP関節自他動屈曲運動,3MP関節他動内外転運動,4MP関節約60度他動屈曲運動.症例2は術後1週時に4の運動の際,遠位関節に腱固定効果が見られはじめ,またその運動に対する疼痛も出現し防御的に手関節・手指自動屈曲しようとする反応が出現したため,以降の運動はそれらが出現しないMP関節他動屈曲可動域約30度までに変更した.術後3週時から管理下以外で指自動伸展運動とPIP・DIP関節屈曲運動を許可した.症例2は浮腫の残存を認め,この時期よりPIP関節伸展不全が出現した.術後5週時から制限ないMP関節他動屈曲運動を開始した.術後6週時にスプリントを完全除去し,症例1は抵抗運動のみ禁止して治療終了し,症例2は残存した拘縮に対して術後12週時まで積極的な改善訓練を行った.【結果】 術後6週時%TAMは症例1は100%,2は60%であり,術後12週時に症例2は90%となった.【考察】 腱縫合術後の早期運動療法中,創傷治癒が成熟してくる術後10日前後から訓練間の安静時にできた極軽い腱癒着を臨床上良く経験する.ここで腱癒着を許すと術後3週以降の運動にて改善訓練が必要になる.症例1は伸筋腱癒着とMP関節伸展拘縮がほぼ発生せず,早期運動療法効果があった.一方症例2は早期運動中に腱癒着が予防できず伸展拘縮が発生したため,その改善訓練を必要とした.なおかつ最終的な成績は症例1より低かった.この両症例の差は4の運動継続の差にあったと思われる.その4の運動を症例2に控えた原因は,腱癒着による腱固定効果と運動時痛に対する防御的な反応の出現であり,再断裂の危険性を判断し変更した.また,症例2は浮腫消退が遅く,創周辺部も長らく肥厚しており,浮腫の残存が周辺組織の線維化を促進させ,より拘縮を発生させやすい環境下にあったと思われる.腱縫合術後の早期運動療法は継続し続けることで効果があるといえた.しかしながら,再断裂を最大限に回避することはいうまでもなく,今回症例2に控えた運動判断がどうであったか皆様の意見を頂戴したい.
著者
北惠 詩穂里 辻野 精一 土岐 明子 山中 緑 野口 和子 渡邉 学
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.266-270, 2014 (Released:2014-07-25)
参考文献数
10

要旨:症例は51 歳男性.左橋背部の出血により,左末梢性顔面神経麻痺,眼球運動障害,右片麻痺および顔面を含む右半身の重度の感覚障害を呈していた.第8 病日より中枢性疼痛を伴う余剰幻肢の自覚症状が出現し,ガバペンチンの投与を行ったが,発症後1 年を経過した時点でも症状の残存がみられた.脳血管障害における余剰幻肢は,右半球障害での報告が多く,機序として深部感覚障害や病態失認および半側空間無視の関与が考えられている.余剰幻肢を呈する橋出血では,画像上橋背部の障害が報告されており,深部感覚障害との強い関連が考えられた.余剰幻肢に中枢性疼痛を伴った点からも,感覚野への求心路であるspino-thalamo-cortical tracts の関与が考えられた.一方,病態失認や半側空間無視を伴っていることは少なく,また幻肢の随意性や人格を有することも少ない点が,大脳半球障害に基づく余剰幻肢との相違点であると考えられた.
著者
萩庭 丈寿 坂井 進一郎 相見 則郎 山中 悦二 新間 信夫
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.93, no.4, pp.448-452, 1973-04-25 (Released:2008-05-30)
参考文献数
12
被引用文献数
21 33

In the reinvestigation of the constituents of Uncaria rhynchophylla MIQ. (Japanese name "kagikazura"), the presence of two oxindole alkaloids, corynoxeine and isocorynoxeine, was demonstrated, besides the reported rhynchophylline and isorhynchophylline.3) Furthermore, four indole alkaloids were newly isolated ; hirsutine, hirsuteine, dihydrocorynantheine, and corynantheine. A chemical structural evidence of hirsutine was obtained from its epimerization to dihydrocorynantheine with acetic acid catalysis.
著者
山中 悦二 君塚 ゆみ子 相見 則郎 坂井 進一郎 萩庭 丈寿
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.103, no.10, pp.1028-1033, 1983-10-25 (Released:2008-05-30)
参考文献数
8
被引用文献数
12 27

Quantitative analysis of the tertiary alkaloids in various parts of Uncaria rhynchophylla MIQ. was made by use of high performance liquid chromatography (HPLC). The best result was obtained in the following conditions : column ; Radial Pak C8 and mobile phase ; CH3CN-0.05M AcONH4 buffer (pH 4.0) [90 : 10]. The result revealed that the constitution of the alkaloids varied markedly depending on the botanical parts examined. While oxindole alkaloids (1, 2, 3 and 6) occupy ca. 97% of total alkaloids in hook, small stem and leaf, respectively, content of indole alkaloids (mainly 8 and 10) is almost exclusive (ca. 96%) in the bark of underground part. In the bark of aerial part both oxindole and indole alkaloids were found to be contained in nearly equal amounts. The alkaloidal content is very low in the wood (aerial or underground part) but the content ratios of rare alkaloids (4 and 7) to the total alkaloids are higher than the other parts.
著者
萩庭丈寿 坂井 進一郎 相見 則郎 山中 悦二 新間 信夫
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
薬学雑誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.93, no.4, pp.448-452, 1973-04
被引用文献数
2

In the reinvestigation of the constituents of Uncaria rhynchophylla MIQ. (Japanese name "kagikazura"), the presence of two oxindole alkaloids, corynoxeine and isocorynoxeine, was demonstrated, besides the reported rhynchophylline and isorhynchophylline.^<3)> Furthermore, four indole alkaloids were newly isolated ; hirsutine, hirsuteine, dihydrocorynantheine, and corynantheine. A chemical structural evidence of hirsutine was obtained from its epimerization to dihydrocorynantheine with acetic acid catalysis.
著者
清水 俊幸 安島 雄一郎 吉田 利雄 安里 彰 志田 直之 三浦 健一 住元 真司 長屋 忠男 三吉 郁夫 青木 正樹 原口 正寿 山中 栄次 宮崎 博行 草野 義博 新庄 直樹 追永 勇次 宇野 篤也 黒川 原佳 塚本 俊之 村井 均 庄司 文由 井上 俊介 黒田 明義 寺井 優晃 長谷川 幸弘 南 一生 横川 三津夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.96, no.10, pp.2118-2129, 2013-10

スーパーコンピュータ「京」の構成と評価について述べる.「京」はスパコンの広範な分野での利活用を目指した10PFLOPS級のスパコンである.我々は,デザインコンセプトとして,(1)汎用的なCPUアーキテクチャの採用と高いCPU単体性能の実現,(2)高いスケーラビリティのインターコネクトの専用開発,(3)並列度の爆発に抗する技術の導入,(4)高い信頼性,柔軟な運用性,省電力性の実現を掲げ,2011年にそのシステムを完成させた.HPC向けCPU,SPARC64 VIIIfxと,スケーラビリティの高いTofuインターコネクトを専用に開発し,並列度の爆発に抗する技術としてVISIMPACTを実装した.冷却やジョブマネージャ等により,高い信頼性,柔軟な運用性,省電力性を実現した.「京」は2011年6月と11月にTOP500で世界一となった.また,複数のアプリケーションで高い実行効率と性能を確認し,スパコンとしての高い実用性を示した.