著者
大沼 由布 山中 由里子 黒川 正剛
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究では、博物誌・百科事典の本文を比較・分析することにより、動物・植物・鉱物等についての博物学的記述が、古代ギリシア・ローマから、イングランドを初め、フランスやドイツ等のヨーロッパ中世に、どのように受け継がれていったかを分析する。さらに、ヨーロッパ中世の博物学的知識が、どのように中世イスラーム世界からの影響を受けたか、また、どのように近世ヨーロッパへとつながっていったかをあわせて考察する。そして、それらを通し、時代や地域を限定した局地的な知のあり方ではなく、古代から中近世ヨーロッパという時代的な広がりや、ヨーロッパと中東という地域的広がりをカバーし、当時の知識のあり方を総合的に浮かび上がらせることを目的とする。本年度は、西洋の古代中世近世、イスラーム中世の百科事典や博物誌の分類と枠組みとを確認し、今後の具体例検討の共通基盤とした。西洋古代及び中世を大沼、西洋近世を黒川、イスラーム中世を山中が担当し、それぞれの担当する地域と時代における代表的な資料を数例取り上げて分析した。編纂意図としては、大きく分けて、自然界を知ることと、神への理解を深めることの二つが見られ、時代や地域によってそれらの比重の変化が見られた。また、典拠の扱いや記述の方法についても同様である。分類と枠組みに関しては、個々の作品による差が予想より大きかった一方、時代を超えた意外な共通点もあり、年度末に行った打ち合わせの結果、分類に関する新たな発見数点を、年度をまたいで、さらなる分析の対象とすることにした。
著者
石 磊 張 〓 山中 敏正 原田 昭
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.21-28, 2007-01-31 (Released:2017-07-11)
参考文献数
12
被引用文献数
1

本研究は快適な運転を実現するため、運転中のドライバーの感性的な評価を脳前頭部α波ゆらぎリズムによって測定し、ドライバーの感じ方と車両運動特性の相関性を解明することを目指した。特に車両曲線運動におけるドライバーの感じ方を考察の中心とした。走行実験としては、被験者に180°コーナリングの設定コースを実車で走行させた。走行中収録した被験者の前頭葉α波をHSK中枢リズムモニタースリムの出力モデルに基づき、ドライバーの快適感を「気分と覚醒感」の二軸に評価し、車両挙動指標との関連性を解析した。本研究は脳波の計測と解析による、人間の製品に対する感情など主観的な体験を客観化して評価するアプローチである。ユーザの心理活動に随伴する生理反応を利用し、人工物を客観的に評価する試みはある程度検証できた。
著者
横田 瑛里 山中 寿朗 岡村 慶 野口 拓郎 土岐 知弘 角皆 潤 大西 雄二 牧田 寛子
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.66, 2019

<p>沖縄トラフ南部、多良間島の北約60kmの海底に位置する多良間海丘で、2017年8月、調査船「よこすか」によるYK17-17研究航海において有人潜水艇「しんかい6500」の潜航調査により、300℃を超える高温の熱水噴出孔が水深1,840m付近の海底についに発見され、YZサイトと名付けられた。この海丘では2009年に実施された潜航調査により山頂付近から周囲の海水温度に比べ約20℃高い熱水の湧出が確認され、その湧水と関連すると考えられる鉄酸化物を主体とした堆積物が認められていたが(Foxサイト)、高温熱水の噴出は確認されていなかった。この海丘は南部沖縄トラフの主たるrifting zoneである八重山海底地溝のやや南に位置し、西表島北北東海底火山にあたる石垣海丘群に東側延長にあたる島弧火山列の一つと推定される。2017年の潜航調査では、両サイトから、熱水、チムニーなどの採取が行われた。本発表では得られたチムニー試料の鉱物組成や元素組成と、熱水の地球化学的特徴について報告する。</p>
著者
山中 康裕
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2019-06-28

近年、科学と研究者の理想が無いままに、被引用数やインパクトファクターを安易に評価 指標とした歪みとして、組織や研究者の業績評価における論文崇拝主義や、直接的な課題解決を得意とする学問分野への偏重を招いている。本研究では、研究者コミュニティーが、自ら研究活動を評価し、それに基づく社会への説明責任を果たす文化を創造することを目指す。社会の中の科学の縮図として、地球科学分野を取り上げる。研究活動の把握(IR)として、国内各研究者への情報収集、聞き取りやアンケートにより「知の創造」に対する価値基準の国際比較を行う。チューニングの概念にもとづき、社会と研究者コミュニティーが納得する評価指標を提案する。
著者
西岡 千文 杉田 茂樹 山中 節子
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.109, 2018

本稿では2018年2月にカリフォルニア大学サンディエゴ校,同ロサンゼルス校,カリフォルニア工科大学,南カリフォルニア大学の大学図書館で実施したインタビュー調査に基づき,米国の大学図書館でのオープンアクセスならびに研究データ管理の支援について報告する。
著者
市川 富夫 辻 啓介 萩原 清和 津田 明子 山中 優美子
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.44-48, 1986-02-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

スクアレンを多量に含有する深海産サメ肝臓エキスが健康食品として市販されているが, 根拠となる作用機作については明らかにされていない部分が多い. スクアレン経口投与ウィスター系ラットの体重変化, 血清及び肝臓中の脂質濃度を測定した. 0.1ml及び0.5mlのスクアレンを41日間投与したとき, 体重増加量はコントロールに比べて小さかった. 血清中ではHDL-コレステロールの減少と過酸化脂質 (チオバルビツール酸反応陽性物質値=TBA値) の増加が認められ, 肝臓ではトリグリセリド, リン脂質, TBA値の増加が見られた. 0.1ml, 0.5ml投与時における見かけの吸収率は50%前後であった. 肝臓中のスクアレン量は投与量に比例して増加した. 以上のことからスクアレンは吸収され, 体内において脂質代謝に影響を与えていることが推測された.
著者
鈴本 正樹 島田 純 山中 昇
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.21, no.5, pp.523-528, 2006 (Released:2006-12-15)
参考文献数
18

近年の薬剤耐性菌の急増に伴い, 従来まで経口抗菌薬により良好な経過をとっていた急性中耳炎や副鼻腔炎の難治化が臨床上の大きな問題となっている. 薬物移行が不良である中耳腔および副鼻腔における感染症に対しては, 抗菌薬の持つ殺菌作用のみでなく, 有効な抗菌薬濃度を感染局所へ到達させるdrug delivery system (DDS) の利用が鍵となる.チンチラ実験的中耳炎モデルを用い, 徐放抗菌薬製剤による治療効果についての比較検討を行った結果, 徐放抗菌薬製剤は全身投与あるいは局所点耳投与に比較して高い除菌効果を示した. 徐放製剤を用いた局所抗菌薬治療は, 感染局所へ高濃度の抗菌薬を長期間作用させることができ, 薬剤耐性菌が急増する現状においても有効な治療法の一つとなるものと期待される.

1 0 0 0 共古日録抄

著者
山中共古 [著] 廣瀬千香編
出版者
青裳堂書店
巻号頁・発行日
1981
著者
三浦 拓也 山中 正紀 森井 康博 寒川 美奈 齊藤 展士 小林 巧 井野 拓実 遠山 晴一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0512, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】体幹に属する筋群はその解剖学的特性からグローバル筋群とローカル筋群の2つに大別される。近年,この体幹ローカル筋群に属する腹横筋や腰部多裂筋の機能に注目が集まり,様々な研究が世界的に行われている。腹横筋の主たる機能として,上下肢運動時における他の体幹筋群からの独立的,かつ先行的な活動や腹腔内圧の上昇,仙腸関節の安定化などが報告されている。また,腰部多裂筋に関しては腹横筋と協調して,また両側性に活動することで腰椎へ安定性を提供しているとの報告がある。これら体幹ローカル筋群は主に深層に位置しているため,その評価には従来,ワイヤー筋電計やMRIといった侵襲性が高く,また高コストな手法が用いられてきたが,近年はその利便性や非侵襲性から超音波画像診断装置による筋厚や筋断面積の評価が広く行われている。腹横筋と腰部多裂筋は協調的に活動するとの報告は散見されるが,両筋の筋厚の関連性について言及した研究は少ない。本研究の目的は腹横筋と腰部多裂筋を超音波画像診断装置にて計測し,その関連性を調査することとした。【方法】対象は,本学に在籍する健常男性10名(21.0±0.9歳,173.9±6.6 cm,64.3±9.5 kg)とした。筋厚および筋断面積の計測には超音波画像診断装置(esaote MyLab25,7.5-12 MHz,B-mode,リニアプローブ)を使用した。画像上における腹横筋筋厚の計測部位は腹横筋筋腱移行部から側方に約2 cmの位置で,その方向は画像に対し垂直方向とした。腰部多裂筋の筋断面積計測におけるプローブの位置は第5腰椎棘突起から側方2 cmの位置で,画像上における筋断面積は内側縁を棘突起,外側縁を脊柱起立筋,前縁を椎弓,後縁を皮下組織との境界として計測した。動作課題は異なる重量(0,5,10,15%Body Weight:BW)を直立姿勢にて挙上させる動作とし,各重量条件をランダム化しそれぞれ3回ずつ計測,その平均値を解析に使用した。統計解析にはSPSS(Ver. 12.0)を使用し,Pearsonの相関係数にて腹横筋筋厚と腰部多裂筋筋断面積の関連性を検討した。統計学的有意水準はα=0.05とした。【結果】統計学的解析から,0%BW(r=0.78,p<0.05),5%BW(r=0.72,p<0.05)条件において腹横筋の筋厚と腰部多裂筋の筋断面積との間に有意な正の相関が認められた。10%BW,および15%BW条件においては有意な相関関係は認められなかった。【考察】本研究は,機能的課題時における腹横筋と腰部多裂筋の形態学的関連性を検討した初めての研究であり,体幹に安定性を提供するとされている両筋がどのような関連性をもって機能しているのか,その一端を示した有用な所見である。本結果より,低重量条件においては腹横筋筋厚と腰部多裂筋筋断面積との間に有意な正の相関が認められたが,重量の増加に伴い相関関係は認められなかった。先行研究によると腹横筋や腰部多裂筋は機能的活動中に低レベルで持続的な活動が必要であるとされており,かつ両筋は低レベルな筋活動で充分に安定化機能を果たすと報告されている。また,両筋は他の体幹筋群と比較して筋サイズも小さいため,高負荷になるにつれて筋厚や筋断面積の値はプラトーに達していた可能性があり,さらに,高重量条件では重量の増加に伴う体幹への高負荷に抗するため,体幹グローバル筋群である腹斜筋群や脊柱起立筋群などの活動性が優位となっていたために筋厚や筋断面積の関連性が検知されなかったかもしれない。本所見は上記の点を反映したものであると推察される。腹横筋や腰部多裂筋は活動環境に応じて協調的に働くことで体幹に対して適切な安定性を提供しているとされてきたが,様々な活動レベルを考慮したデザインにおいてその関連性を検討した研究は無く,明確なエビデンスは存在していない。本研究はその一端を示すものであり,今後は筋活動との関係性や他の体幹筋群との関係性,さらには腹横筋や腰部多裂筋の機能障害があるとされている慢性腰痛症例においてより詳細な検討が必要であると思われる。【理学療法学研究としての意義】体幹ローカル筋群である腹横筋と腰部多裂筋に関して,低負荷条件において有意な正の相関関係が認められた。本所見は,体幹へ安定性を提供するとされている両筋の形態学的関連性を示唆した初めての研究であり,リハビリテーションにおける体幹機能の評価やその解釈に対して有用な知見となるだろう。
著者
赤澤 直紀 原田 和宏 大川 直美 岡 泰星 中谷 聖史 山中 理恵子 西川 勝矢 田村 公之 北裏 真己 松井 有史
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.71-78, 2013-04-20 (Released:2018-04-12)
参考文献数
27

【目的】健常成人男性のHip Flexion Angle(HFA)値にハムストリングスのマッサージ部位の違いが及ぼす効果を検証することである。【方法】健常成人男性32名(32肢)へのマッサージ部位について無作為に筋腱移行部群(11名),筋腹群(11名)およびコントロール(対側下肢筋腹)群(10名)に割りつけ,3分間のマッサージ介入を同一の圧迫圧で行った。アウトカムは盲検化された評価者によって測定された介入前,介入直後,3分後,6分後,9分後,15分後のHFA値とした。【結果】マッサージ介入直後,3分後,6分後の筋腱移行部群のHFA値はコントロール群より有意に高値を示した。【結論】ハムストリングス筋腱移行部へのマッサージはHFA値を拡大させる可能性を示唆した。