著者
澤木 優治 山本 裕泰 本村 和也 山本 正彦 古川 研治 斉藤 修
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001706, (Released:2022-08-26)
参考文献数
27

左頭頂葉白質を中心とした脳梗塞により第一言語である日本語と第二言語である英語の混同および音韻性錯語を呈した左利きバイリンガル症例について報告した.症例は日本語および英語のバイリンガルである46歳の左利き女性であった.本症例では発症急性期より理解面は聴覚・視覚のいずれの経路も良好に保たれた一方で,表出面においては日本語発話時に日本語と英語の混同を認めた.拡散テンソル画像の分析から,本例の言語症状の出現には左下頭頂小葉直下の白質線維である上縦束や弓状束の関与が示唆された.
著者
山本 裕子 七田 麻美子 横矢 祥代 中西 良文
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S45047, (Released:2021-09-07)
参考文献数
6

本稿は三重大学の学部卒業生及びその就職先を対象に質問紙調査を実施し,当該大学の教育が社会的ニーズに合致しているかを検討することを目的とした.卒業生・就職先データの比較分析の結果,卒業生と就職先の評価にずれがあることや,就職先からの評価が卒業生の自己評価より高くてもジェネリックスキルや外国語の力について身についたとする評価が比較的低かったことから,この点をさらに改善する必要性等が見出せた.今後の課題として,カリキュラム評価や教学改革についてより精度の高い評価を行うために経年比較による分析の必要性が明らかとなった.
著者
長尾 充徳 釜鳴 宏枝 山本 裕己 高井 進 田中 正之
出版者
一般社団法人 日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 (ISSN:09124047)
巻号頁・発行日
pp.30.017, (Released:2014-09-08)
参考文献数
14
被引用文献数
4 1

The purpose of this paper is to describe the early introduction protocols in a hand-reared Gorilla infant (Gorilla gorilla) that was introduced to biological parents at Kyoto City Zoo. The introduction process was initiated when the infant was one year old. In Dec. 21, 2011, an infant gorilla was born at Kyoto City Zoo. The infant is the first one who has captive-born parents, and the fourth generation of gorillas in Japan. The mother successfully held the infant, but could not give her milk enough to feed the infant. The baby showed dehydration and weakened. For the purpose of saving its life, we separated the infant from the mother and began to rear it. To avoid harmful influence of hand-rearing, we planned to reintroduce the hand-reared infant to its parents on the basis of successful cases in European and American zoos. We separated the processes of reintroduction into five steps, each of which had no time-limit, but totaled one, or one and half years. We started to show the infant to the parents when the infant was two months old. In the beginning, each of the parents showed a gentle attitude, and then started to directly contact with their infant. Habituation with the physical environment and the parents was going smoothly under careful observation. We returned the infant to its mother successfully at 10.5 months of age. Then, in its 11.5 months of age, we reintroduced the mother and the infant to the adult male (i.e., the father of the infant). Finally, the parents and the infant live together peacefully now. We thought of the processes of reintroduction and found one of the most important factors was that separation was attributed by not giving up nursing, but insufficiency of milk. Another factor may be that separation period was short enough to induce a sense of responsibility as a mother.
著者
山本 裕子 Yuko Yamamoto 千里金蘭大学 看護学部
巻号頁・発行日
vol.11, pp.77-85,

本論文は、皮膚に関する新しい知見を概観するとともに、看護実践の場において看護職者が対象者の皮膚を媒体とした触れるケアが、疼痛緩和や不安の軽減、リラクゼーションにつながり快の感情を引き出す効果があることについて看護の視点から述べる。加えて、触れるケアは、副交感神経を優位にする効果がありエビデンスのある看護技術の一つであることを示唆し、看護教育への導入を提言するものである。
著者
山本 裕記 船登 有未 小林 憲太郎 佐々木 亮 木村 昭夫
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.101-106, 2022-12-28 (Released:2022-12-28)
参考文献数
14

さまざまな患者が訪れる救急外来では, 搬送後に新型コロナウイルス感染症 (以下, COVID-19) が偶発的に判明し, 感染対策上問題となることがある。そこで, 救急外来で来院時にCOVID-19を強く疑っていない患者のうち, COVID-19に罹患している患者の割合を明らかにし, 感染対策の観点からどのように対応をしていくべきかを検討した。2020年5月26日~2021年10月31日の間に国立国際医療研究センター病院救急外来を受診し, 来院時にはCOVID-19を強く疑わなかった患者のうち, COVID-19の併発が判明した患者の診療録を後方視的に調査した。偶発的にCOVID-19が判明した患者は49名 (0.20%) であった。偶発的にCOVID-19が判明した患者のうち, 41名はCOVID-19の蓋然性を評価したチェックリストに該当項目があり, 残りの8名は意識障害のため評価困難であった。COVID-19を疑う症状に乏しくても, チェックリストによるスクリーニングで検査前確率を上げる努力を行いながら, 大流行期ではその項目を評価できない患者に対してより積極的にPCR・抗原検査を行うことが感染対策上で重要である。
著者
山本 裕朗 谷口 宏充
出版者
東北大学
雑誌
東北アジア研究 (ISSN:13439332)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.201-232, 1999-03-31

Numerous cinder cones from Ojikajima monogenetic volcanic group are well-exposed by marine erosion that allows a detailed investigation of the proximal products. Observation of the exposures at sea cliffs and petrological study of the volcanic rocks revealed the formation process and the internal structure of cinder cones. These cones are divided into three types in terms of evolution: 1) scoria cone+lava flow, 2) spatter cone+lava flow, 3) maar,tuff-ring (phreato-magmatic phases)+scoria cones+lava flow. Four eruption styles of lava flow are found: 1) over flow from crater edge, 2) outflow from middle part of scoria cone with horseshoe-shaped collapse (intrusion of dike oblige from fissure), 3) without collapse, 4) outflow from middle part or basement (intrusion of dike parallel to fissure).論文Article
著者
日置 恭史郎 渡部 春奈 林 岳彦 岩崎 雄一 山本 裕史
出版者
日本環境毒性学会
雑誌
環境毒性学会誌 (ISSN:13440667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.22-37, 2020-07-20 (Released:2020-07-21)
参考文献数
63

Adverse outcome pathway (AOP) is a conceptual framework that organizes existing knowledge concerning the causal linkage between a molecular-level perturbation of a biological system and the resulting adverse outcomes. AOP is currently gaining attention as a potential pragmatic tool in the fields of ecotoxicology and chemical risk assessment. The present paper provides an outline of the AOP framework and discusses the history and current status of studies related to AOP by analyzing available information from published literature and AOP knowledgebase (AOP-KB).
著者
小山 則行 曲尾 直樹 山本 裕之 松井 順二 鶴岡 明彦
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.132, no.2, pp.100-104, 2008 (Released:2008-08-08)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

VEGFあるいはVEGF受容体を阻害し,がんの血管新生を抑制する抗がん薬の開発が進んでいる.E7080は強力なマルチキナーゼ阻害作用を有し,血管新生に重要なVEGFおよびFGF,PDGF,SCFの受容体に選択性が高いことを特徴とする化合物である.ヒトがん細胞株を移植したヌードマウスの検討では,肝がん,肺がん,大腸がん,乳がんなどのモデルにおいて優れた抗腫瘍効果が,マウス大腸がん株同所移植モデルでは延命効果が明らかにされている.また,肺がんモデルにてプラチナ製剤と併用することで,腫瘍縮小効果の相乗的な増強が認められている.一方,マウス浮遊内皮細胞は,E7080投与により血液中の数が顕著に変動することから,血管への作用を検証する新たなバイオマーカーになると思われる.近年の研究で,腫瘍内血管の構造と,がんの悪性度や血管新生阻害薬の有効性との関連が明らかにされつつある.浮遊内皮細胞や腫瘍内血管研究の,臨床での新たな展開に期待したい.
著者
山本 裕紹
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.341-351, 2017-08-10 (Released:2017-08-13)
参考文献数
21

何もない空間に情報スクリーンを形成することを特徴とする空中ディスプレイ技術について解説する.再帰反射による空中結像 (AIRR : aerial imaging by retro-reflection) は,道路標識やライフジャケットに使われているような再帰反射素子を用いて実像を空中に形成する技術である.レンズあるいは反射型の結像光学素子を用いた空中像形成手法と比較して,AIRRによる空中表示は,大画面化のスケーラビリティーが高いこと,広い範囲から観察できる空中像を形成できること,大量生産可能な低コスト素子で空中ディスプレイを実現できることで有利である.本稿ではAIRRの原理について詳細に解説した後,LEDパネルを用いた空中ディスプレイの開発について,96インチの等身大空中映像の形成を含む大画面化とその課題である観察範囲の拡大法について述べる.さらに,開発した空中ディスプレイとユーザーのジェスチャー検出を組み合わせた自由空間で映像を直接操作する感覚を与えるインタラクションの実現について報告する.
著者
江崎 裕敬 井口 貴文 谷脇 正哲 山本 裕貞 土井 宏 三宅 隆之 桜田 真己
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.169-177, 2016 (Released:2016-08-18)
参考文献数
26
被引用文献数
3 3

心不全に対する西洋医学的治療は飛躍的に進歩しているが,西洋薬と機械的補助を用いても治療に難渋する症例は未だ存在する。このような重症難治性心不全患者に対して推奨されている標準治療に加え漢方薬を用いることで病態の改善が得られるかは判然としていない。そこで当院にて過去2年間に木防已湯を用いた重症難治性心不全患者を後ろ向きに検討した。研究期間は2013年4月から2015年4月とし,この期間に木防已湯が投与された患者12人の自覚症状の変化,血清 BNP 濃度,左室駆出率などについて後ろ向きに検討した。投与前後で血清 BNP 濃度は796.8 ± 830.8 g/ml から215.6 ± 85.5 pg/ml(p < 0.01)へ減少し,全例において自覚症状の改善を認めた。左室駆出率含め他のパラメーターに関しては有意差を認めなかった。西洋医学的対処が限界に達した患者において木防已湯の投与は有用である可能性が示唆された。
著者
八木 千裕 松山 洋 山本 裕 髙橋 姿
出版者
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.303-309, 2016-02-28 (Released:2016-04-06)
参考文献数
17

症例は,先天性下肢複雑奇形に対し頻回の手術が必要と診断され,麻酔科からの依頼により生後8か月時に気管切開術を施行した男児である。計7回の整形外科手術を終了し,4歳3か月時に気管支鏡にて声門下を確認したところ,カニューレ直上に気管内腔をほぼ閉塞する瘢痕組織を認めた。4歳7か月時に瘢痕除去術を施行したが,術後癒着による気管狭窄を認めたため,5歳4か月時に気管拡大術およびTチューブ留置術を施行した。2か月間Tチューブを留置後抜去し,5歳9か月時に気管孔閉鎖術を施行,その後の経過は良好であった。本症例を通して,気管カニューレ抜去困難症に至った反省点や同疾患への治療における工夫などを報告した。
著者
徳山 英一 村山 雅史 宮里 修 谷川 亘 山本 裕二
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

歴史南海地震の災害記録(沈降量・津波浸水域)が海底で保存されていると考えられている高知県沿岸部の3地域(大月町柏島・須崎市野見・土佐清水市爪白)について調査を実施した。大月町柏島では、サイドスキャンソナーによる詳細な海底地形調査、および試料採取を実施した。海底地形分析の結果、柏島北部の海底に海岸線と平行に伸びる3段の石堤構造物を確認することができた。これまで文献等により2段の存在は確認できていたが、今回初めて3段目の存在を確認できた。試料採取は3段の異なる石堤について実施することができた。また、水中カメラの科学的利用可能性を確認した。須崎市野見では、野見湾内で、海底の試料採取地点の正確な情報を取得するために購入したUSBL方式水中測位装置(Applied Acoustic Engineering社製EasyAlpha)のテストを実施した。その結果、地図をベースとした潜水士の位置情報をリアルタイムに把握することが不可欠であるとわかったため、新たにUSBL用のソフトウェアの改良を実施し、潜水士2人の位置情報を同時に地図上で確認できるシステムを構築した。土佐清水市爪白では、海底に沈んでいる人工石柱の起源を明らかにするため、岩石物理化学データと年代データを取得した。岩石物理化学データの結果から、石柱の起源は三崎層群竜串層の砂岩である可能性を強く示した。さらにpXRFによる元素分析データを用いた多変量解析を実施した結果、海底石柱は、三崎層群竜串層砂岩だけでなく、爪白地区にある比較的古い時代に作られたと考えられる石造物(石段・家の基礎)と同じ化学的特徴を示していることが明らかとなった。
著者
山本 裕之 小寺 香奈 YAMAMOTO Hiroyuki KOTERA Kana
出版者
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13472216)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.67-80, 2009-03-01 (Released:2016-05-17)

1920年代にC.アイヴズ、A.ハーバらによって実践された4分音などの微分音は、その後のヨーロッパ音楽において現代的奏法の中でも重要項目として扱われてきた。彼らが微分音に挑戦した当時のヨーロッパは平均律(12等分平均律)の概念が席巻して既に久しい。かつてのヨーロッパで長期にわたって繰り広げられてきた音律論争において、それぞれの音律の間に存在した非常に小さなどツチ(音高)の差は、19世紀という様々な調性を用いた時代の要請に応えて12等分平均律という画期的な妥協案に収れんした。西洋音楽文化の外にある各民族音楽の音律を除外して考えれば、微分音とはいったん世界標準として目盛りが敷かれた平均律からあらためて外れたピッチ、または音程のことを指す。 とはいえ、オルガンのように一度調律したらそうたやすくは調律が崩れないような楽器はわずかであり、それどころか多くの楽器では奏者がその場で随時楽器のピッチをコントロールしながら演奏する。19世紀に作られたキーをたくさん持つ木管楽器や、H.シュトルツェルなどが発明したヴアルヴをもつ金管楽器群は、それ以前の楽器に比べて格段に多くのピッチを安定させながら自在に鳴らせるように設計されている。が、その中で奏者はさらに楽器の精度と共に自らの耳と発音テクニックによって出来るだけ「正しい」ピッチを作り出そうと技術を磨いた。しかし実際の演奏では厳格に正しく、19世紀以降の「半音階の分かりやすい知的モデル」である平均律に即した音律で演奏されるわけではない。音楽のイントネーションに合わせて、あるいは奏者や楽器自体のコンディションに即して、平均律から大きく外れないピッチを作りながら演奏されるのが常である。したがって、例えばある音が僅かに数セントの単位で平均律からずれたからといってもそれは「ある音」の範囲を越えず、微分音の概念で語られるわけではない。 つまりこれらのような木・金管楽器は、音楽的内容に即して随時平均律から逸脱して演奏されることを前提としながらも、平均律を原則として作られている。したがって、そのような楽器であえて微分音を作り出すことは矛盾であるが、楽器の構造上は不可能ではない。すなわち、楽器はそのように作られてはいないが不可能ではないのである。 20世紀後半になって微分音が作品の中で頻繁に使われ始めると、各楽器の現代奏法を解説する書物には必ずといってよいほど微分音の運指表が掲載されるようになった。特に木管楽器の書物では多くのキーの組み合わせによって膨大な微分音の可能性が提示されている。金管楽器においては、楽器の機構上木管楽器のように膨大な微分音が作り出せるわけではないが、それでも実用的な量は作り出せる。しかしそのための資料が木管楽器ほど多いわけではない。そこで本稿では、金管楽器の中でも特に現代奏法に関する資料がほとんど書かれていないユーフォニアムにおいて、これまで存在しなかったこの楽器のための汎用的な微分音スケールを提示することを目的とした。
著者
佐藤 裕 佐藤 清治 広橋 喜美 伊山 明宏 原岡 誠司 溝口 哲郎 片野 光男 樋高 克彦 原田 貞美 藤原 博 山本 裕士 久次 武晴
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.577-584, 1989-03-25 (Released:2010-01-21)
参考文献数
18
被引用文献数
11

1985年5月から1987年12月までの3年7ヵ月の間に,6名のシートベルトに起因する鈍的腸管・腸間膜損傷を経験したので報告する. 症例は男性5名,女性1名の計6名で,平均年齢は51.7歳であった.このうち,盲腸破裂と多発小腸穿孔をきたし,すでにshock状態におちいっていたために,回盲部切除を余儀なくされた女性を術後敗血症で失なった以外は全例軽快退院した.また大腸に損傷のあった5例中,遊離穿孔に至っていたのは2例のみで,あとの3例は腸間膜損傷をともなった腸管壁の漿膜筋層断裂にとどまっており,腸管切除をせずに吸収糸にて縫縮,修復するのみで良好な結果を得た. 診断面においては,腹部CT検査が腹腔内遊離ガスと液体貯留をあわせて同定でき,しかもその性状にも言及できる利点があり非常に有用であった. 交通事故の増加とシートベルト着用の義務化にともない,今後シートベルトによる鈍的な腸管・腸間膜損傷が増加するものと考えられる.シートベルトを着用した交通外傷患者の診療に際しては,常にこのことを念頭おくべきことを強調したい.
著者
中林 紘二 兒玉 隆之 松本 典久 山本 裕宣 野見山 通済 福良 剛志 甲斐 悟
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.151-154, 2012 (Released:2012-06-13)
参考文献数
22
被引用文献数
6 1

〔目的〕振動刺激を負荷する部位の違いが骨格筋の筋緊張に及ぼす影響を明らかにする.〔対象〕下肢に神経障害の既往がない健常男性15名.〔方法〕周波数76.6 Hz,振幅2 mmの振動刺激を用いて左下腿三頭筋の腱部あるいは筋腹部に3分間の振動刺激を行った.振動刺激前後のH波とM波の最大振幅の値から算出された最大振幅比(Hmax / Mmax)により,下腿三頭筋の筋緊張の状態を評価した.〔結果〕下腿三頭筋の腱部あるいは筋腹部に振動刺激を負荷すると最大振幅比は低下した.刺激部位で比較すると,腱部に振動刺激を負荷した場合に最大振幅比の低下は大きかった.〔結語〕負荷する部位にかかわらず,振動刺激は骨格筋の筋緊張を抑制し,臨床において振動刺激の適応が拡大することが示唆された.
著者
山本 裕 樋口 広芳
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類学雑誌 (ISSN:13485032)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.144-148, 2004-03-20 (Released:2008-11-10)
参考文献数
4
被引用文献数
2 3

ヤマガラParus variusの1亜種オーストンヤマガラParus varius owstoniの分布域である伊豆諸島南部の三宅島(34°05'N,139°32'E)で,亜種ヤマガラP.v.variusと思われる2個体が1996/1997年の秋冬期に観察された。これら2個体は,羽色や計測値から,亜種ヤマガラP.v.variusと判断された。これら2羽は,三宅島南部のスダジイCastanopsis cuspidata var. Sieboldiiが優占する常緑広葉樹林で,1997年4月まで継続して観察されたが,その後,姿を消した。亜種オーストンヤマガラの分布域での亜種ヤマガラの確認は,本報告が初めてである。
著者
山本 裕朗
出版者
特定非営利活動法人日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.11-25, 2003-03-18

The lava effusion process from a cinder cone and its mechanism are discussed based on the field observation of Ojika-Jima Monogenetic Volcano Group (OMVG). The cinder cones of OMVG are classified into two types, C-type and D-type cones, based on the mode of lava effusion from the cone. In the C-type cone, lava overflowed from the central crater, whereas in the D-type cone, lava flowed out from the flank. These types are related to the morphology and internal structure of the cone. The ratio of cone height (H_<co>) to width (W_<co>) of the C-type is smaller than that of the D-type, and the part of the dense welding is widespread around the cone. On the other hand, the welding area of the D-type is within the limits to the central part of the cone. The D-type is further divided into two types; Dc-type is accompanied by a mountain body collapse with lava effusion and Dp-type does not have this collapse. The majority of Dc-type cones are larger than Dp-type cones, although the ratios of H_<co>/W_<co> are similar. In the OMVG, a thin dike (less than 1 m thick) is generally observed inside the cone. However, if a dike intrusion does not have enough stress to collapse a mature cone, a branched dike system could cause a much larger load to the slope of cone and push a sector of the cone outward. Therefore, a branched dike system seems to control in cone breaching. The dike system is always observed inside Dc-type cones, while it is rare inside Dp-type cones. Considering the concept of crack propagation in an elastic body, the dike branches off under the condition that the breaking strength of the deposit around the tip of a feeder dike is low. Accordingly, the collapse of a cinder cone caused by a branched dike system is incident in the larger-scaled cinder cone, especially when the welded area is restricted to the central part of the cone and altitude difference between the lava lake in the crater and the top of the dike is large. It has been assumed in previous works that the density difference between the lava and cinder cone is the main controlling factor for the mode of lava effusion from the cinder cone. In this paper, the author concluded that the degree of welding around the feeder dike and total volume of the cinder cone are the major controlling factors in the dike propagation process.