著者
北野 泰奈 中村 祐美子 卾 爽 畠山 雄有 山本 和史 坂本 有宇 都築 毅 仲川 清隆 宮澤 陽夫
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.182-190, 2015-04-10 (Released:2015-05-31)
参考文献数
53

我々は最近,1975年頃の日本食は現代の日本食に比べて健康有益性が高いことを示した.1975年日本食の特徴のひとつに肉類の摂取量が低いことがあげられる.そのため,肉類を他の食品と置換することで,健康有益性の増加が期待できた.そこで本研究では,現代の日本において広く食べられている「ソーセージ」を伝統的な日本の食品である「かまぼこ」に置換することによる効果を,ラットを用いて検討した.凍結乾燥·粉末化した「ソーセージ」または「かまぼこ」を通常飼育食に重量当たり20%混合し,SD系ラットに4週間与えた.その結果,「ソーセージ」群に比べて「かまぼこ」群において,血漿と肝臓における脂質量と過酸化脂質量が低下した.次に,「かまぼこ」のタンパク質·脂質·炭水化物のエネルギーバランスと塩分を精製飼料のみを用いて再現した「mimicかまぼこ」を作製した.これを通常飼育食に混合し,ラットに4週間与えた.その結果,「mimicかまぼこ」群に比べて「かまぼこ」群で脂質量と過酸化脂質量が低下した.以上より,「ソーセージ」を「かまぼこ」で置換することは脂質量と過酸化脂質量を低減するために健康有益性が増加することが示され,この効果は「かまぼこ」のエネルギーバランスのみに依存しないことが示唆された.
著者
山本 秀人 Hideto Yamamoto
雑誌
日本福祉大学子ども発達学論集 = The Journal of child development
巻号頁・発行日
vol.7, pp.1-16, 2015-01-31

本稿では, 教材研究を経ずに取り組まれた 「ドッジボール」 と教材研究を経て取り組まれた 「ハンターボール」 という 2 つの保育実践を分析することから, 教材研究の重要性について検討した. 教材研究を経ずに取り組まれた 「ドッジボール」 の実践では, 子どもから 「うさぎ組もハンターボールやりたいな, なんでドッジボールやらなきゃいけないの」 という声があがるが, 保育者はその問いにこたえることができなかっただけではなく, 実践を途中で放棄してしまった. 教材研究を経て取り組まれた 「ハンターボール」 の実践では, 「ボール運動」 で教えたい・伝えたい内容である教科内容が鮮明になり, それらの教科内容を達成するための子どもたちの発達的特徴に応じた指導内容・方法が明確になり, 掲げたねらいのすべてを達成することができた. これらのことから, 教材研究の重要性が明らかとなった.
著者
湯澤 正通 山本 泰昌
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.377-387, 2002-09-30
被引用文献数
8

本研究では,理科と数学の関連づけの仕方を変えた授業が,生徒の学習にどのように影響するかを調べた。公立中学校の2年生が金属の酸化に関して定比例の法則(化合する物質の質量比は一定である)を2種類の授業方法で学習した。実験群の生徒は,最初に,定比例の法則を原子モデルから演繹した後,数学で学習した比例の知識を用いて,酸化前後の金属の質量比を求める課題を2回行った。その際,理科と数学の教師がチームで指導に当たった。他方,統制群の生徒は,マグネシウムの酸化の実験を行い,そこから,定比例の法則を帰納した。また,酸化前後の金属の質量比を求める課題を1回行い,すべて理科の教師から指導を受けた。その結果,成績高群の場合,実験群の生徒は,統制群の生徒よりも,授業後のテストで,数学の関数の知識を用いて,酸化前後の金属の質量関係を予測し,計算する得点が高かった。また,実験群の生徒は,統制群の生徒よりも,誤差のある測定値を適切に理解することができた。
著者
山本 まり子
出版者
ASSOCIATION FOR CALLIGRAPHIC STUDIES
雑誌
書学書道史研究 (ISSN:18832784)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.24, pp.29-41,118, 2014

Previous studies on the text of the Konoe 近衛 manuscript of the <i>Wakan rōeishū</i> 和漢朗詠集 have been published by Horibe Shōji 堀部正二 and Katagiri Yōichi 片桐洋一. Horibe argued that the Konoe manuscript and the Detchōbon 粘葉本, Iyo-gire 伊予切, and Hōrinji-gire 法輪寺切 manuscripts belong to "completely the same line" of manuscripts, while Katagiri too wrote that "the texts of the Detchōbon manuscript and Konoe manuscript coincide even in minor points" and are "completely similar."<br>  In this article, having been able to examine some materials not consulted by Horibe and Katagiri, I reexamine with respect to both format and text the position of the Konoe manuscript among manuscripts considered to have been copied during the Heian period, with a focus on its relationship with the Detchōbon, Iyo-gire, and Hōrinji-gire manuscripts. My findings can be summarized under the following three points.<br>  (1) Regarding the presence or absence of particular lines of verse, if one excludes special cases, the Konoe manuscript coincides with the Detchōbon, Iyo-gire, and Hōrinji-gire manuscripts. However, some minor differences were found between the Konoe manuscript and the Detchōbon and Iyo-gire manuscripts.<br>  (2) As for the arrangement of the poems, the Konoe manuscript coincides completely with the Detchōbon, Iyo-gire, and Hōrinji-gire manuscripts.<br>  (3) As regards individual textual differences, the Konoe manuscript and the Det-chōbon, Iyo-gire, and Hōrinji-gire manuscripts share many identical passages, but some differences were also found, and in content too it would seem that the Konoe manuscript is different in character from the other manuscripts.<br>  It has thus become clear that while the Konoe manuscript belongs to the same line of manuscripts as the Detchōbon, Iyo-gire, and Hōrinji-gire manuscripts, it differs somewhat in character from these three manuscripts.
著者
岡登洋平 加藤佳司 山本 幹雄 板橋秀一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.469-478, 1999-02-15
被引用文献数
13

機械とユーザの対話において 機械が人間と同様に相槌を打つことが可能であれば ユーザの話しやすさの改善につながる. 本研究では 話し手の発話間にポーズの出現とほぼ同時に相槌が打たれる場合を対象として システムによる相槌挿入を試みた. システムが適切なタイミングで相槌を打つにはポーズを検出するよりも早く相槌の挿入判定を行う必要がある. そこで本稿では話し手の発話から抽出した韻律情報を用いて 予測的に相槌の挿入判定を行う手法について検討した. まず対象としたテレフォンショッピングをタスクとした対話について音声を分析し 聞き手の相槌が韻律的に特徴のある話し手の発話箇所で打たれていることを示した. 次に相槌音声を消去した対話を聞かせ 相槌の箇所を人間が判定する実験を行ったところ 実際に出現した相槌の76%は実験でも検出され 発話長が長い場合に相槌を打つと判定した被験者が多いことが明らかになった. さらに相槌を打つタイミングについて 対話の分析と知覚実験を行った. この結果 相槌は発話中のポーズ開始から0.3秒以内に打つ必要があることが明らかになった. そこでテンプレートを用いた韻律パターンの認識による相槌タイミングの検出方法を提案し 相槌判定のための予測時間を変えて相槌挿入判定とタイミングの検出実験を行ったところ 予測時間0.1秒のとき84% 予測時間0.4秒のとき72%のタイミング正解率を得た. また予測時間0.1秒のとき得られたシステムの応答を人間が評価したところ 抽出箇所の74%は自然な発声箇所であると判定された.A user's degree of comfort in a man-machine spoken dialog environment is likely to improve, if spoken dialog systems can provide correct 'Aizuchi' responses to the use's utterances. This hypothesis was evaluated using a dialog corpus that relates to telephone shopping tasks, and contains 'Aizuchi' responses near the end of a speaker's utterance. The evaluation also requires a dialog system capable of detecting 'Aizuchi' timing before the end of the utterance. To this end, therefore, a method is proposed which uses prosodic information to guide correct 'Aizuchi' responses. A preliminary prosodic analysis of our utterances confirmed that an 'Aizuchi' indeed relates to the duration, speaking rate and minimum F0 of an utterance. Next, using dialogs from which 'Aizuchi' responses were previously removed, an experiment was carried out to spontaneously prompt such responses from human subjects. Results show that subjects were able to match about 80% of the 'Aizuchi' responses contained in the original dialogs, and that many subjects tended to do so during long utterances. Then, a dialog analysis was performed to investigate 'Aizuchi' timing, Results of which indicate that the system should give an 'Aizuchi' within 0.3 seconds of the end of the speaker's utterance. By comparison, in an 'Aizuchi'-prompting experiment based on prosodeic pattern recognition, the system achieved 84% with no 0.1-second prediction of end of utterance and 72% with 0.4-second prediction. Finally, human perceptual evaluation of the timing of system detection, yielded an accuracy of 74% which lends support to the naturalness of 'Aizuchi' response given by system.
著者
山本 眞司 田中 一平 千田 昌弘 舘野 之男 飯沼 武 松本 徹 松本 満臣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.250-260, 1993-02-25
被引用文献数
59

肺癌早期発見のための専用CTを開発することを提唱し,その基本構想を明らかにした.次いで,このシステムに必須の診断支援用画像表示方式として,下記2方式を並列に用いることを検討し,良好な結果を得た.(1)40スライスからなる3次元情報を,病巣陰影の情報を損なうことなく2次元に投影表示する手段として,MIP(Maximum Intensity Projection)法を応用した.但し単なるMIP法では妨害臓器情報による弊害が大きいため,あらかじめこれらの不要情報をしきい値法にて除去する方式を開発した.(2)各スライス断面ごとに病巣陰影候補を自動認識し,陰影候補の見つかったCT断面のみをCRT表示することにより,表示断面を大幅に削減する方式を開発した.病巣陰影の自動認識には,我々が新たに開発したQuoit(輪投げ)フィルタを用いた.
著者
馬越 芳子 秦 珠子 木原(山本) 眞実 永易 健一 田中 稔久 馬越 淳
出版者
一般社団法人 日本女性科学者の会
雑誌
日本女性科学者の会学術誌 (ISSN:13494449)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.29-43, 2010 (Released:2011-09-21)
参考文献数
14
被引用文献数
1 2

生物が作る生体高分子は、多量の化石燃料を必要とせずに、太陽エネルギー、水、酸素、炭酸ガスや金属イオンを酵素の低いエネルギーの作用で作られる。地球温暖化を防ぐために、カイコが繊維を作る方法を学び、低エネルギーでの高分子合成と繊維形成を構築することが必要である。カイコは紡糸口から、数十種の紡糸方法が精密に制御された超ハイテク技術でスーパー繊維を作っている。乾式・複合・液晶・倦縮・多孔質・高速・ゲル-ゾル転移・イオン制御・自力・自動制御・傾斜紡糸、ゾーン延伸、二酸化炭素固定、低エネルギー紡糸などの幾つもの紡糸方法が巧みに組みあわさり、フィブロイン分子を精密に自動制御配向させながらシルクを作っている。これは合成繊維が数種の方法で、高いエネルギーを用いるのに反し、生物は非常に合理的な、巧妙な方法で、タンパク質をうまく制御しながらエネルギーの消費の少ない方法で糸を作っている。生物の紡糸工場の低エネルギー技術を工業的に取り入れた新たな超合成繊維を作る基礎資料となる。さらに、カイコが糸を形成する際、TCAサイクルを用い、大気中の二酸化炭素を糸の中のアミノ酸、グリシン、アラニン、セリン、アスパラギン酸に取り込むことを、世界で初めて明らかにした。
著者
山本 雅道 沖野 外輝夫
出版者
信州大学山地水環境教育研究センター
雑誌
信州大学山地水環境教育研究センター研究報告 (ISSN:13487612)
巻号頁・発行日
no.1, pp.99-108, 2003-10

第二次世界大戦後(1946~1999年)の諏訪湖の魚類群集の変遷を漁業統計を中心に分析した。漁業統計は,諏訪湖漁業協同組合の年度ごとの漁獲統計表を,暦年に整理し直して用いた。諏訪湖の総漁獲量は1946年より1970年にかけて増加し,それ以降減少に転じ,1999年には1946年以降での最低漁獲量を記録している。漁獲物は,魚類,貝類,エビ類に大別し,それぞれの漁獲量の変遷について検討した。1970年頃までの漁獲量上昇期には,貝類が漁獲量の1/2~1/3を占めていた年もあるが,魚類の中ではワカサギとフナが主要な漁獲物であった。また,この時期には多様な魚種が漁獲されていたことは特筆に値する。1970年以降では,漁獲物の大半がワカサギとなり,貝類の漁獲量は激減,フナも減産の一途を辿った。近年は,ワカサギ,フナ,コイ以外の魚種はほとんど採取されなくなっており,ワカサギに次いで漁獲量第2位であったフナに替わってコイの漁獲量が増える傾向にある。1970年を境に諏訪湖の漁獲量が減少した理由の-つに湖畔の埋立,浚渫工事による沿岸域の水生植物帯の減少を挙げることができる。最近の諏訪湖の総漁獲量は1970年代のおよそ1/4程度であり,ワカサギの漁獲量もおよそ1/10に減少している。その主な原因としては,漁業者の高齢化や魚価の低廉化による漁獲意欲の減退も考えられる。しかしながら,最近の漁獲量の減少を漁業者の漁獲意欲減退だけでは説明できない状況もあり,諏訪湖の湖沼環境が変化したことの影響についても合わせて検討する必要がある。生息魚類相の変化では,オオクチバス(ブラックバス)やブルーギルなどの外来魚種の増加やウキゴリの増加など,今後の推移を注意深く見守る必要のある事象が目に付くようになっている。
著者
宮城 愛 寺澤 由佳 山本 伸昭 和泉 唯信 梶 龍兒
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.109-113, 2013-02-01 (Released:2013-03-06)
参考文献数
10
被引用文献数
5

症例は78歳男性である.慢性膿胸に対する胸腔洗浄中に左片麻痺を発症し,頭部CTで点状の空気像をみとめたために,脳空気塞栓症と診断された.頭部CTとほぼ同時期に実施した頭部MRI-T2* 強調画像で頭部CTの空気像と同部位に多発低信号をみとめた.発症から7時間後のT2* 強調画像では多発する低信号は発症2時間後よりも小さく,より広範にみられるようになり,第54病日では点状の低信号はほぼ消失していた.近年,急性期脳梗塞の診断にMRIをおこなうことが多くなっており,脳空気塞栓症の急性期MRI所見を知っておくことは重要と考える.
著者
山本 美智子 中山 健夫
出版者
日本薬学図書館協議会
雑誌
薬学図書館 (ISSN:03862062)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.190-202, 2008-07-31 (Released:2011-09-21)
参考文献数
38
被引用文献数
2

医薬品の副作用自発報告はシグナル検出の重要な手段である。欧米数力国では患者から行政への直接副作用報告がすでに始まっている。患者からの報告は, 医師からの報告が減少する中, 増加傾向にあり, 患者はファーマコビジランスの中心的役割を演じる存在として注目されている。患者は情報を知る立場であると同時に自らの情報を発信する役割も担いつつある。今回, 患者と副作用, その報告制度について, 経緯, 現状を紹介すると共に, その意義や課題についても考察する。
著者
Rijken Thomas A. 山本 安夫
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.68, no.10, pp.662-669, 2013-10-05

ハイパー核物理(バリオン多体系)と核子-核子(NN)およびハイペロン(Y)-核子間相互作用(バリオン間相互作用)の研究の進展について,核物理,素粒子物理および天体物理にわたる展望のもとで述べられる.核力の一般化であるバリオン間相互作用の模型的研究は,1934年の湯川理論を起点とし,ハイパー核の実験的・理論的研究の成果を踏まえて進展した.NN, YN, YY相互作用と原子核・ハイパー核の研究が相互に関連しあうことによって発展してきたことが述べられる.
著者
須貝 哲郎 山本 幸代 渡辺 加代子 麻生 五月
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.421-430, 1981 (Released:2010-06-04)
参考文献数
21
被引用文献数
1

1974年から1979年にわたる6年間に施行した香料系パッチテストの結果を総括して報告する。対象は化粧品皮膚炎, 顔頸部の炎症後色素沈着症患者1, 325例である。当科常備の香料アレルゲンのうち27種をcomputer FACOM 230-28に登録し, 6年間の蓄積データからその陽性頻度を算出した。登録香料の内訳は天然香料9, 単離香料11, 香料成分ミックス1, 調合香料6である。陽性率の首位はICDRGの香料成分ミックスで06% (6/91), イランイラン油6.1% (51/833), benzyl galicylate6.0% (43/713), 調合香料ミックス義7% (19/336) の順であった。使用量のもっとも多いといわれるchemodermは11位で3.2% (10/314) の陽性率を示した。
著者
久米 真 米沢 圭 東 久弥 森 茂 米山 哲司 二村 学 山本 秀和 白子 隆志 岡本 亮爾 横尾 直樹
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.27, no.9, pp.2181-2185, 1994-09-01
被引用文献数
4

小腸ポリープ107個中2個に悪性化を認めた Peutz-Jeghers 症候群 (以下, PJ 症候群) の1例を経験したので報告する. 症例は25歳の男性. 7歳時, 口唇指趾の色素沈着と直腸ポリープを認め PJ 症候群と診断された. 1990年7月4日腸重積発作を起こし, 緊急開腹術を施行し小腸のほぼ全長にわたるポリープの存在を確認した. 1991年2月19日開腹下内視鏡的ポリープ切除術を施行した. 小腸の2箇所より内視鏡を挿入し径約 5 mm 以上のポリープ107個すべてを摘出した (このうち1個のみ小腸切開下に摘出). 組織学的にその大部分は Peutz-Jeghers Polyp の典型像を呈していたが, 内2個 (径26mm, 7mm) の表層に一部癌化を認めた. PJ 症候群は悪性化の危険性を有する. 自験例からポリープの径にかかわらず予防的にすべてのポリープを摘出すべきであることが示唆された. 摘出には開腹下内視鏡的ポリープ切除術が有用であった.