著者
山本 俊行 YAMAMOTO Toshiyuki 北村 隆一 KITAMURA Ryuichi 熊田 善亮 KUMADA Yoshiaki
出版者
土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.667, no.50, pp.33-40, 2001-01

業務トリップは、通勤トリップと異なり広い時間帯で発生することや、複数の目的地を持つトリップチェインを形成する傾向が強い等の特徴を持つ。本研究では、トリップチェイン前後の業務活動も含めたトリップチェイン全体の費用最小化行動を仮定した、業務トリイプの経路・出発時刻選択モデルを構築した。出発時刻選択については最適な出発時刻で総費用が極小値をとるとの条件を用い、連続時間軸上での時刻選択行動をモデル化した。路側配布によるアンケート調査で得られた実際のトリップチェインデータ、および時間帯別所要時間データに基づき未知パラメータを推定した。さらに、出発時刻や経路、立ち回り順序の変更や所要時間の変化に伴なう費用の変化を産出し、モデルの挙動を確認した。Unlike commute trips, business trips are generated throughout business hours, and several destinations tend to be visited in a trip chain. In this study, a route and departure time choice model for a business trip chain is developed based on the hypothesis that the trip chain is made so as to minimize the total cost, including costs associated with other business activities before and after the trip chain, as well as costs associated with travel time, toll fees, and the probability of being late. The empirical analysis is carried out using a data set obtained from a survey of business trip drivers. The properties of the estimated model are examined on a sample case
著者
山本 正彦 吉岡 さおり 岩脇 陽子
出版者
一般社団法人 日本専門看護師協議会
雑誌
日本CNS看護学会誌 (ISSN:21895090)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.1-9, 2021-11-10 (Released:2021-11-10)
参考文献数
17

本研究は,がん看護専門看護師の役割行動の実態と役割行動能力に関連する要因を明らかにすることを目的とした.全国の病院に勤務するがん看護専門看護師636名を対象に質問紙調査を実施した.質問紙は,専門看護師における自律性測定尺度におけるCNS役割行動,ENDCOREsコミュニケーションスキルスケール,育成環境に対する認識項目,属性で構成した.CNS役割行動を従属変数とする重回帰分析を行った.調査の結果,266名(有効回答率42.5%)の有効回答が得られた.重回帰分析の結果,コミュニケーションスキルを示す「他者受容」「自己主張」「自己統制」,育成環境を示す「活動支援の程度」「職務規程の有無」などの要因との関連が示された.看護管理部の役割開発における育成環境の支援整備とともに,がん看護専門看護師自らも組織に所属する管理職や専門職と協働できる高度なコミュニケーションスキルの獲得が重要であることが示唆された.
著者
山本 朗
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.75-80, 2012-01-15

はじめに 心身の発達の障害は,「発達過程が初期の段階で何らかの原因によって阻害され,認知,言語,社会,運動などの機能の獲得が障害された状態11)」と医学的には理解される。心身の発達の障害は,現在の医学診断としては,脳性麻痺,知的障害,広汎性発達障害などの多様な診断を含む概念である(このような障害を持つ子どもを本稿では「障害児」と呼ぶ)。障害児の概念は,主として医学の発展の中で徐々に構築されてきたものであるが,心身の発達の障害に相当する状態自体は古代から認識されていて,新村によれば,日本書記における伊邪那岐・伊邪那美の神婚により生まれた水蛭子が,わが国最古の「不具」未熟児(障害児に相当)記載であるという12)。平安時代初期に編纂された,わが国最古の仏教説話集である「日本霊異記」にも,障害児が登場する説話が存在し,中巻第三十,第三十一,下巻十九などが例として挙げられる5)。 一方,エンパワメントとは,パワーレスの状況にある人がパワーを発揮するために,個人や社会などのさまざまなレベルで,その人の潜在的な力を強化したり,抑圧的な社会や環境を変革したりする支援の姿勢である7)。1960年代の米国の社会変革運動の中で誕生した概念で,わが国では1995年頃から普及し9),現在では医療・福祉などの分野において,支援の姿勢として重要なものとなっている。 本稿では,日本霊異記の中巻第三十,第三十一の両説話における障害の発生論を検討したうえで,エンパワメントの観点を交えて考察したい。本稿の目的は,過去の文献を主体的にとらえなおすことにより,現代の障害児支援に寄与する示唆を得ることである。この目的を持ちながら,論を進めることにする。
著者
岡本 喜之 石川 好美 山本 学 宮本 政幸 矢島 康治 中島 英行 馬場 隼一 大橋 伸英 岩井 俊憲 藤内 祝
出版者
日本口腔診断学会
雑誌
日本口腔診断学会雑誌 (ISSN:09149694)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.60-64, 2017
被引用文献数
2

Granular cell tumors are rare soft tissue tumors, derived from Schwann cells. About half of them occur in the head and neck, but a case with tumor arising in the zygomatic region has not been reported to our knowledge. We report a case of granular cell tumor arising in the zygomatic region. A 57-year-old woman was referred to our hospital because of cheek swelling. MRI findings showed a benign tumor, so the patient wished follow-up. However, the tumor gradually grew in size for 11 months, as was confirmed by MRI. Since the patient desired removal of the tumor, the operation was performed by the intraoral and subcilial approach. The histopathological diagnosis was granular cell tumor. Judging from the operative finding, we supposed the origin of the tumor to be the zygomaticofacial nerve which is a branch of the maxillary nerve. Twenty-six months after the operation, there was no sign of recurrence.
著者
山本 幸一 川上 敬介 上杉 三郎
出版者
公益社団法人 日本木材保存協会
雑誌
木材保存 (ISSN:02879255)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.166-173, 2007-07-25 (Released:2009-05-22)
参考文献数
20

木や竹の伐採時期と得られた木材・竹材の生物劣化に対する耐久性との間の明確な関係を論じたものはない。伐採の時期と木材・竹材の耐久性を明らかにするために,森林総合研究所千代田試験地苗端のクローンである28年生のスギ(Cryptomeria japonica),及び同一林地に生育している3年生前後のモウソウチク(Phyllostachys heterocycla)を,2003年2月から12月にかけて12回に渡って伐採して試験に供した。伐採は,木・竹の伐採には適さないと言われている十干十二支(干支:えと)の選日の一つである「八専:はっせん」の期間中と,近接する「八専」でない日に,それぞれ行った。伐採後,直ちに玉切りした試験体を,野外に地上10cmの高さで水平に暴露し,カビの発生程度,目視による腐朽の程度,ピロディンによるピンの貫入深さ,キクイムシの被害の有無を3年間にわたって経時的に調べた。その結果,試験体木口面へのカビの発生程度はスギ,モウソウチクともに,伐採された時期とは明確な関係を持つが,「八専」との関係は認められなかった。腐朽に関してもスギ,モウソウチクともに,「八専」との関係は認め難かったが,冬期に伐採された試験体では,それ以外の時期に伐採された試験体に比較して,腐朽の程度が「八専」,「非八専」の何れにおいても高かった。ピンの貫入深さは,スギでは,腐朽度と関連性が見られたが,モウソウチクでは,腐朽度と関連性が見られず,目視による腐朽度は低く評価されたものの,大きな値となった。キクイムシの誘引は,2月伐採と4月伐採の皮付き丸太で見られたが,「八専」と「非八専」の間で,誘引頭数に相違は見られなかった。

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著者
山本夏彦著
出版者
文藝春秋
巻号頁・発行日
2000
著者
成田 雅 鵜沼 菜穂子 伊藤 文人 佐藤 憲行 星野 智祥 井上 実 山本 正悟 安藤 秀二 藤田 博己
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.1, pp.164-167, 2012 (Released:2013-04-11)
参考文献数
4
被引用文献数
1 2

タテツツガムシによるつつが虫病の臨床像は多彩で見逃されることが多い.病歴(好発時期と好発地域,野外活動歴),バイタルサインと身体所見(発熱,比較的徐脈,発疹,刺し口)から積極的に疑い,疑わしければ直ちにテトラサイクリン系抗菌薬にて治療を開始すべきである.血清学的にはKawasaki型あるいはKuroki型のOrietia tsutsugamushi抗原に対する抗体価の上昇が特異的であるが,これらは一般的な外注検査での抗体価測定には含まれないことに注意する.痂皮の遺伝子学的検査も特異性が高く有用である.
著者
鈴木 寛 山本 由美子 松本 慶蔵 麻生 卓郎
出版者
長崎大学熱帯医学研究所
雑誌
熱帯医学 Tropical medicine (ISSN:03855643)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.119-127, 1988-06-30

長崎県において,つつが虫痛が発生している平島(283名)と発生していない江ノ島(270名)の住民を対象として,リケッチア・ツツガムシ感染症に関する血清疫学的研究を行った.IgG抗体は抗原としてギリアム株を用い,酵素抗体法により測定した.全住民に対する抗体陽性率は平島(33.2%)が江ノ島(22.6%)より高値であったが,抗体レベルは平島(1.65±0.47)より江ノ島(1.88±0.47)で高値であった.年齢別抗体の陽性率とレベルの比較では,平島では19才以下が40才以上より高値であったが,江ノ島では差異を見い出し得なかった.これらの成績は平島では年齢による感染時期の差,つまり若年者が比較的最近感染し,江ノ島では全住民が同じ時期に感染していること,更に,つつが虫病患者が発生していない江ノ島においても弱毒性リケッチア・ツツガムシが存在していることを示唆した.
著者
松島 斉 尾山 大輔 萱場 豊 山本 裕一 佐野 隆司 中島 大輔 安田 洋祐 早川 仁 岡崎 哲二
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究の概要は以下の通りである。デジタル技術進歩とビジネス利用が実体経済に与える影響について、理論、実験、歴史学の視点から分析する。予測データが豊富に利用できるデジタル環境において、経済主体はその恩恵を受ける一方、複雑な判断を強いられる。そのため限定合理性の考察が重要になる。ブロックチェーンの普及によって、契約の自動化が進展する。その結果、ガバナンスが新たに問われる。大容量の情報通信が可能になったことで、携帯事業のみならず、全産業にわたって電波利用をいかに配分するかが重要課題になった。本プロジェクトは、ゲーム理論、行動経済学、実験経済学、歴史分析を駆使して基礎研究を発展させ、これらに取り組む。
著者
千島 和夫 山本 五十六
出版者
日本ばね学会
雑誌
ばね論文集 (ISSN:03856917)
巻号頁・発行日
vol.1964, no.10, pp.53-62, 1965

自動車の上下振動を2自由度系と考え, ばね, ショックアブソーバおよびタイヤばねの性能をすべて線型とし, ばね上共振点加速度, 相対速度を簡単に計算できる線図を作成した。
著者
山本 巌 田中 距聰 藤本 哲也 太田 和親 松崎 啓
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.7, pp.1227-1230, 1987-07-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
14
被引用文献数
4

1,1-ジフェニルポスホリナニウムプロミド[1]を出発物質として,二硫化ジメチルによるα-位へのメチルチオ基の導入,それにつづくデカナールとのWittig反応を行ない,対応するビニルスルフィド[4]を収率56%で得た。つぎに[4]を,ヘキサナールとWittig-Horner反応すると,アルコール[5]が収率67%で得られた。ついで,[5]を水素化ナトリウムで処理すると,Douglas Fir Tussock Moth(Orgyiapseecdotsugata)の性フェロモン前駆体であるジエン[6]が収率31%で得られた。さらに,[6]を塩酸水溶液で加水分解し,目的の性フェロモンて[7]を収率82%で得た。
著者
山本 嘉則 山田 順一 西井 真二
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.7, pp.1177-1182, 1987-07-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
15
被引用文献数
2

ステロイドアルデヒド〔3〕と(2R,4R)-(-)-2,4-ペンタンジオールから合成したキラルなステロイドアセタール〔8〕,S-R,R体,とアリルシラン〔12a〕,9-アゾル-9-BBN〔12b〕,またはアリルトリブチルスタンナン〔12c〕との塩化チタン(N)存在下での反応を行ない,つづいて常法にしたがって処理すると,ホモアリルアルコール〔14〕,S,S体,がきわめて優先的に生成する。ある場合には,S,S体が圧倒的(>99%)に生成する。〔3〕と(2S,4S)-(+)-2,4-ペンタンジオールから合成したアセタール〔9〕,S-S,S体,と〔12a〕または〔12b〕とを同様に反応させると,やはり〔14〕が優先的に生成した。これは,従来のアセタールテンプレートを用いる不斉誘導り結果からは理解しがたしこ現象である。一方,〔9〕と〔12c〕との反応では〔16〕,S,R体,のアルコールが得られた。また同様に,スタンニルアセチレン,〔11a〕,と〔11b〕と,〔8〕との反応ではS,S体〔13〕が得られ,〔9〕との反応ではS,R体〔15〕が得られた。一方〔9〕とシリルアセチレン〔1Zc〕とからはS,S体〔13〕,が得られた。これらの結果は,不斉誘導率のみならず不斉誘起の方向さえも有機金属化合物の求核性に大いに支配されることを示している。合成的にはC-22位の立体制御をスズ化合物を用磁れば可能であることを示している。機構的には,アセタールテンプレートによって高い不斉誘起を達成するためには,アセタールの結合開裂と結合生成とのタイミングが同一でなければならないことが明らかとしなった。
著者
小野 朋典 Midorikawa Yoshiyuki Yamamoto Satoshi Ujiie Hiroshi 小野 朋典 緑川 義行 山本 聰 氏家 宏
出版者
琉球大学理学部
雑誌
琉球大学理学部紀要 (ISSN:02869640)
巻号頁・発行日
no.47, pp.p115-151, 1989-03
被引用文献数
1

本報告は1984年から1987年にかけて実施された琉球大学海洋学科の乗船実習RN-84,-86,及び-87航海で得られた,沖縄本島南方沖,慶良問ギャップ,石垣・西表島周辺海域からの底質サンプルの記載を主目的とする。採取されたサンプルはピストン・コアが8点,グラブ・サンプルが6点, ドレッジ・サンプルが25点に及んだ。記載に先立って行なった予察的研究の結果,次のような点が示唆された。1) 慶良問ギャップ(海裂)では,in situ の島尻層群最上部の泥岩を抜くピストン・コアや,同層群の鮮新銃から最下部更新統部分にわたる泥岩礁を含むドレッジ・サンプルのほかに,浮遊性有孔虫殻を多く含む lime-grainstone (更新統石灰岩?)が採取された.今後の調査で音波探査や深海カメラ等による海底観察と並行した底質サンプリングが行なわれるならば,本海裂の形成運動解明に貢献するであろう。2) 石垣・西表島南方の海溝斜面が先島海段に達する区域の水深2675mの地点より,石灰質砂層と半深海性シルト層の繰り返しから成る turbidite のピストン・コアを採取した。島弧の傾動運動との関連性を,今後追及すべきであろう。そのほかにも,径約5cmに達する大型底性有孔虫・Cycloclybeus carpenteriの生態に関する情報や,西表海底火山が想定されていた位置からの lime-grainstone の採取など,注目すべき材料が得られた。
著者
服部 和裕 山本 明美 笹井 みさ 谷内 昇一郎 小島 崇嗣 小林 陽之助 岩本 洋 難波 恭子 八重島 智子
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.20-30, 2003
被引用文献数
1

腸内にBifidobacteriumが少ないアトピー性皮膚炎患児15例を予備的な菌叢の検索から選択し,うち投与群8例に対してビフィズス菌凍結乾燥末(Bifidobacterium breve M-16V株)を経口投与した.腸内細菌叢の変動とアレルギー症状の推移を観察し,対照群7例と比較した.投与群では,ビフィズス菌末投与1カ月目の時点で,腸内のBifidobacterium占有割合の有意(P=0.0173)な上昇と,総好気性菌占有割合の有意(P=0.0499)な低下を認め,さらにアレルギー症状も有意(皮膚スコアでP=0.0176,総合スコアでP=0.0117)に改善した.一方,ビフィズス菌末の投与はアトピー性皮膚炎の症状改善を対照群に比較して有意に促進したが,自然排泄便を検体とした腸内細菌叢の変動と,アレルギー症状の推移の間には,明確な相関を認めなかった.