著者
中村 洋 高木 和子 田村 善蔵 与田 玲子 山本 有一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1986, no.7, pp.1017-1024, 1986-07-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
16
被引用文献数
1

主としてタンパク質の蛍光標識試薬として利用されてきた2-メトキシ-2, 4-ジフェニル-3(2H)-フヲノン(MDPF)をアミノ酸のプレカラム蛍光誘導体化試薬として活用する試みを行なった。誘導体化反応の至適条件の検討は, α-アミノ酸の場合には生成するMDPF誘導体が蛍光性であることを利用して蛍光検出フローインジェクション分析法によった。一方, N-アルキル-α-アミノ酸(環状アミノ酸を含む)についてはMDPF誘導体が無蛍光性であるので, これを過剰の試薬や試薬水解物からHPLCで分離後に2-アミノエタノールを添加して蛍光検出する方法によった。その結果, アミノ酸の蛍光誘導体化には10mmol・dm-3MDPFとともにpH10, 20℃ で40分間反応させる条件が最適であった。α-アミノ酸からは一対のジアステレオマーによると思われる2本の蛍光性ピーク渉生じたが, TSKLS-410K逆相カラムと50mmol・dm-3リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)-メタノール系移動相を用いるメタノール勾配溶離法により, 2~5pmolのα-アミノ酸を定量し得た。100pmolのα-アミノ酸を5回分析した場合の相対標準偏差は2.9~5.3%であった。予試験の結果から, MDPFはペプチドのプレカラム蛍光試薬としても有望と思われた。
著者
佐々木 寛幸 阿部 佳之 松浦 庄司 山本 博
出版者
日本芝草学会
雑誌
芝草研究 (ISSN:02858800)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.30-32, 2009-10-31
参考文献数
4

屋上緑化にオガクズを副資材とする牛ふん堆肥をそのまま使用することの可能性を検討した。<br>栃木県北部にある建物の屋上において, 市販の稲稚苗用育苗箱に牛ふん堆肥を充てんし, オノマンネングサ (<i>Sedum lineare</i>), メキシコマンネングサ (<i>Sedum mexicanum</i>), サカサマンネングサ (<i>Sedum reflexum</i>) を挿し芽した。その後12回にわたり上方部から写真撮影し, 画像処理により個体ごとの被覆面積の経時変化を計測した。その結果, 堆肥100%であっても, 3種のセダムは枯死することなく生育したが, オノマンネングサとメキシコマンネングサについては対照区と比較すると低い生育量となった。
著者
田川 元也 山本 勝 横山 淳一
出版者
日本経営診断学会
雑誌
日本経営診断学会全国大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.10, pp.78-81, 2010

介護保険制度は,開始から10 年が経ち,日本の高齢者福祉を担う制度として定着してきているといえよう。しかし,民間企業やNPOなど多様な事業者によるサービス提供により成り立つとされた制度創設時の理念とは裏腹に,安定したサービスが継続して提供されているとは言いがたい状況にある。そこで,まず,サービス提供者の立場から現行制度の問題点の整理を行う。その上で,民間のサービス提供者が顧客ニーズを的確に把握し,利用者本位のサービスを提供しながら,なおかつ事業として採算性を保つために必要なマーケティング的視点についての提言を行う。
著者
井上 桂輔 沼沢 祥行 山本 一樹 須藤 聡 箱守 正樹 豊田 和典 冨滿 弘之 関屋 曻
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11988, (Released:2021-09-30)
参考文献数
26

【目的】急性期脳梗塞患者の注意障害を定量的に示して歩行自立判定を検討したものは見あたらない。本研究では,BBS に加えてMARS およびSWWT を用いて,急性期脳梗塞患者の病棟内歩行自立判定に関連する要因を明らかにすることを目的とした。【方法】発症から2 週間以内の急性期脳梗塞患者の病棟内歩行自立判定におけるROC 曲線から算出したBBS のカットオフ値による判別と,多重ロジスティック回帰分析から算出した判別スコアによる判別の精度を比較した。【結果】多重ロジスティック回帰分析ではBBS,MARS,SWWT が採択され,判別スコアを用いた方がBBS 単独での判別よりも精度が高かった。【結論】急性期脳梗塞患者の歩行練習開始時点における病棟内歩行自立判別はBBS だけでなく,MARS,SWWT を用いることで精度が高まる可能性がある。
著者
山本 勇麓 岡本 信子 峠 暎二
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.16, no.10, pp.1034-1039, 1967
被引用文献数
2

水溶液中に微量のテトラフェニルホウ素酸ナトリウム(カリボール)が存在する場合,クプロイン-銅(I)を含むクロロホルム溶液と振り混ぜると,カリボールの陰イオンが有機相へ抽出されることを見いだした.このとき,有機相の吸光度が水相中のカリボール濃度に比例するので,カリボールを比色定量するための諸条件を検討した.その結果,カリボール8×10<SUP>-6</SUP>~4×10<SUP>-5</SUP><I>M</I>の範囲でベールの法則に従うこと,およびpH3.8~5.0の範囲で一定の抽出が得られることがわかった.この原理をカリウムの間接的な比色定量法に適用した.すなわち,カリウム20~200μgの範囲で検量線が得られた.<BR>さらにこの方法を海水あるいはタバコ中のカリウムの定量に適用した.試料溶液に過剰のカリボールを加え,過剰のカリボールをクプロイン-銅(I)キレートによりクロロホルムに抽出して,550mμにおける吸光度を測定する.海水のように塩素イオンを多量に含む試料は陰イオン交換樹脂により前処理したのち本法を適用してよい結果を得た.
著者
姚 思遠 三上 栄 三上 隆一 多田 陽一郎 塩津 聡一 池田 篤志 村上 哲平 池田 宏国 原田 武尚 山本 満雄
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.177-184, 2016-03-01 (Released:2016-03-18)
参考文献数
23

上腸間膜動脈症候群は腹部大動脈と上腸間膜動脈の成す角度が狭小化していることによって,十二指腸水平脚が圧迫されて通過障害を来す疾患である.開腹で行うバイパス術を経て,現在は腹腔鏡下十二指腸空腸吻合術が最も広く行われている外科的治療法となっている.症例は20歳の女性で,17歳のときに上腸間膜動脈症候群と診断された.以来,保存的加療にて経過を見ていたが,良好な結果を得られなかった.若年女性であるという点を考慮して,術創を最小限に留めるために単孔式腹腔鏡下十二指腸空腸吻合術を施行した.術中および術後経過はともに良好であった.今回,我々は上腸間膜動脈症候群に対する単孔式腹腔鏡下十二指腸空腸吻合術を施行したのでここに報告する.本術式は,美容の面で若年女性にとって有用となりうると考えている.
著者
春日井 邦夫 舟木 康 小笠原 尚高 佐々木 誠人 山本 さゆり 川村 百合加 足立 和規 山口 純治 田村 泰弘 井澤 晋也 土方 康孝 海老 正秀
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.116, no.11, pp.913-926, 2019

<p>日本の一般生活者の便秘に関するインターネット調査を実施した.51.5%が便秘を自覚し,その有意な因子は加齢,女性,糖尿病,痔疾患,脳血管疾患であった.便秘自覚者3000名の約1/3が便秘薬・下剤を服用し,43.8%は刺激性下剤を服用していた.入手方法は,医師処方37.2%,薬局購入67.5%であった.排便回数が週3回未満や硬便の割合はそれぞれ約1/3で,硬便,下痢便の人のQOLは有意に低下していた.便秘治療薬の1カ月間の支払い金額あるいは支払い可能金額は,約75%が1000円未満であった.日本人便秘自覚者の多くに十分な便秘治療が行われていないと思われ,適切な便秘診療の普及が望まれる.</p>
著者
山本 鈴子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.75-80, 1957-05-31 (Released:2010-03-09)
参考文献数
2

1. きうりやだいこんなどの浅漬では漬物を出してからのビタミンCの損失は、漬物の種類をとわずすべて時間の経過とともに減少していく。従つて出したてを食べる方がよい。2.だいこんでは糠味噌漬と塩漬ではそれ程の差は認められないがきうりの糠味噌漬は塩漬に比し出しておくと色も味も悪くなりまたビタミンCの損失の割合も大きい、3.長時間漬けておいたもの程出してからのビタミンCの減り方は大きい。4.漬物の形から見ると丸漬より半月漬の方が出してからのビタミンCの損失が大きい。5.生野菜を庖丁して5時間位おいてもビタミンCはあまり減らなかつた。6.水分の減少。7~8月頃のような気温の高い折には5時間後に生野菜でも漬物でも15%前後目方が失われる。7.野菜のビタミンCは長く漬ける程損失が多いようだ。詳細については目下研究中である。
著者
山本 裕靖
出版者
東京大学理学部
雑誌
東京大学理学部廣報
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.25-25, 1991-03
著者
山本 直
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 = CIEE journal, the University of Kitakyushu (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.12, pp.35-56, 2014-03

EUの多数決制度は、その前身共同体が発足した1950年当初に導入された。意思決定に唯一関与できる政府間機関における多数決であったために、導入に際しては国家間で種種の議論があった。1960年代以降には、この制度を形がい化する試みや票決で敗れることへの動揺もみられた。しかしながら、多数決制は存続し、加盟国が「譲りあう」政治が定着しつつある。
著者
山本 峻平 髙橋 彰 佐藤 弘隆 河角 直美 矢野 桂司 井上 学 北本 朝展
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2018, 2018

デジタル技術とオープンデータ化の進展によりデータベースの活用が注目されている。近年では、インターネット環境の充実により画像や写真に関するデータベースの制作が多くなってきている。例えば、横浜市図書館や長崎大学図書館における古写真データベースなどがあげられる。これらの写真は明治・大正頃の写真や絵ハガキを中心に構成されるが、当時の都市景観がわかるデータベースとして貴重である。発表者らも立命館大学において戦後の京都市電を主な題材とした『京都の鉄道・バス写真データベース(以下京都市電DB)』を公開している(http://www.dh-jac.net/db1/photodb/search_shiden.php)。京都市電DBの活用策としては市電車両を被写体としながらも当時の都市景観が背景として写りこんでいることから、景観研究や都市研究に活用できること、また、年代が戦後から廃線の1978年までの時代であり、記憶の呼び起こし、まちあるきや観光への応用が期待できる。<br>近年、まちあるきが人気を集め、テレビや雑誌などで特集が組まれ、関連する書籍が多く出版されている。その中で、景観の変化や復原、相違点を探すことが行われているが、過去の景観を示す資料は探しだすことは容易ではない。そのような資料の一つとして京都市電DBを活用することが期待される。<br>写真データベースに収蔵されている写真を現地に赴き照合することで、当時の景観との差異が発見でき、まちあるきのアクティビティとして楽しむことができる。また、まちあるきの利用だけではなく、当時の景観との比較から眠っていた当時の記憶が呼び起こされ、記憶のアーカイブなどの研究へも活用できる。<br>本研究は、写真データベースのまちあるきツールとしての有用性の検証を行うとともに、記憶を呼び起こすツールとしての有効性についても検証を行なう。<br>本研究では、国立情報学研究所の北本氏を中心とした研究グループが開発を行っている、アンドロイド・スマートフォン用アプリ、「メモリーグラフ」をアレンジし、「KYOTOメモリーグラフ」アプリを作成し、使用する。アプリには当時の写真が位置情報を持った形で収蔵されおり、それを基に撮影された場所に赴く。次に、スマートフォンの画面に当時の写真を半透明で表示することが出来るので、今昔の写真を重ね合わせ、当時と現在の同アングルの撮影が可能となる。また、撮影された写真には位置情報が付加され、撮影場所の地図による表示やGISと連動することができる。さらに、撮影した写真にはタグが入力でき、コメントや思い出などを入力することができる。これらのデータはスマートフォン内部だけでなく、サーバーに保存することができ、撮影された今昔の写真データや付加されたコメントなどのメタデータをアーカイブし蓄積することができるようになっている。また、当時の写真を現在の風景と重ねる行為は撮影位置や傾きなど撮影時の条件に近づけなくてはならず、当時の撮影者の追体験が得られる。現在、実証実験と位置づけ、プロジェクトメンバー及び近接の関係者数人を被験者として「KYOTOメモリーグラフ」を利用したまちあるきを数回実施する予定である。被験者にはこちらで用意したスマートフォンを貸与するほか、各自のスマートフォンを用いる。今回の実験は、グループで実施し、機器やアプリへの習熟度、安全性、行動観察などを検証する。
著者
大野 直紀 土屋 駿貴 中村 聡史 山本 岳洋
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.929-940, 2018-03-15

音楽動画の印象に基づく検索や推薦,音楽動画の類似判定のためには,音楽動画の印象推定に関する技術が必須となる.しかし,音楽に対する印象評価や映像に対する印象評価に関する研究は多数なされている一方で,音楽と映像が組み合わされた音楽動画に対する印象評価の研究は十分になされていない.我々は,音楽と映像の印象がどのように音楽動画の印象に影響するのかを調べるため,「音楽のみ」「映像のみ」「音楽動画」の3つの関係性に着目し,これらに対する8印象軸の印象評価データセットを構築した.また,それらを分析することで,音楽と映像の印象評価の組合せによる音楽動画の印象推定の可能性について検討を行った.またデータセット内の音楽動画の音楽と映像を任意に合成した音楽動画を生成し,印象評価を行ってもらうことで,音楽印象と映像印象の組合せが音楽動画の印象とどのように関係しているのかの分析を行った.その結果,音楽と映像の印象を組み合わせることによる印象推定の可能性があること,また各印象によって印象の組合せ方が異なることを明らかにした.
著者
吉岡 洋平 百町 満朗 時澤 睦朋 小山 博之 圓山 恭之進 篠崎 和子 山本 義治
出版者
日本植物生理学会
雑誌
年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.552, 2011

我々の研究グループでは、シロイヌナズナゲノムに含まれている転写制御配列の大規模同定を目標として、マイクロアレイデータに基づいた転写制御配列の予測を行っている。まず、我々の内部データ及び公開されているマイクロアレイデータより、アブシジン酸、オーキシン、エチレン、サイトカイニン、ブラシノステロイド、ジャスモン酸、サリチル酸、過酸化水素、乾燥、及びDREB1A過剰発現、の処理による応答データを取り込み、予測の基盤とした。そして、それらの処理に応答するシロイヌナズナプロモーター622本を選抜し転写制御配列の予測を行った。予測結果を実験的に機能解析されているプロモーターに照合したところ、高い検出率及び正解率で転写制御配列を抽出できていることがわかった。また、本解析においてこれまでに報告されていない配列が新規転写制御配列候補として多数抽出された。得られた予測結果はppdb(Plant Promoter Database)に反映させていきたい。今後は種々の環境・生物ストレス応答に関する転写制御配列予測についても解析を進める予定である。
著者
本田 伸一 山本 和則
出版者
日経BP社
雑誌
日経systems (ISSN:18811620)
巻号頁・発行日
no.233, pp.39-41, 2012-09

プロジェクトのリスケを行うと、いったん遅延日数がゼロになる。そのため、あたかも遅延の問題がなくなったかのような錯覚に陥りがちだ。 だがリスケしても、そもそも遅延を引き起こした原因を解消できたわけではない。遅延が発生した原因を解消して再スタートを切らないと、再び遅延する危険性は拭えない。 筆者らの経験上、スケジュール遅延の原因には次のようなものがある。