著者
山本 多喜司
出版者
日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.85, no.2, pp.217-219, 2014-06
著者
山本 博徳 菅野 健太郎 喜多 宏人 砂田 圭二郎
出版者
自治医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

ダブルバルーン内視鏡を用い、臨床使用経験を増やし、平成18年3月までにはダブルバルーン内視鏡を用いた小腸内視鏡検査は530件以上となった。これらの経験によりダブルバルーン内視鏡挿入手技が確立され、小腸における止血術、ポリペクトミー、狭窄拡張術、ステント留置、異物回収などの治療手技も確立した。また、独協医科大学との共同研究の形でカプセル内視鏡との比較も行い、今後の小腸疾患に対するアプローチ法の確立に努めた。ダブルバルーン内視鏡の応用として従来の方法では内視鏡挿入が出来なかった術後バイパス腸管や、ビルロートII法やRoux-en-Y吻合などの輸入脚に対する内視鏡観察、処置を積極的に経験し、これら術後腸管に対する胆道疾患の治療法も確立した。平成15年度に立ち上げた小腸内視鏡研究会内に世話人の施設を中心に、自治医科大学、日本医科大学、名古屋大学、京都大学、広島大学、九州大学、福岡大学の7施設でワーキンググループを立ち上げ、小腸疾患に関する多施設共同研究を行った。海外におけるダブルバルーン内視鏡の教育、普及にも努め、その結果世界33カ国以上で導入されている。既にヨーロッパ、アメリカ、アジア、オセアニアの諸国からその有用性、安全性の報告が多数見られており、世界レベルにおいてダブルバルーン内視鏡が小腸内視鏡検査のスタンダードとして認められてきている。国際的な経験の共有、技術の均一化、知識の向上のために日本、アメリカ、カナダ、ドイツ、オランダ、中国、韓国の代表者を世話人とした1st International Workshop on Double-Balloon Endoscopyを平成18年8月に東京で開催する予定で準備を進めている。ダブルバルーン内視鏡を用いた小腸の基礎的研究として腸内細菌叢の研究を自治医科大学の細菌学教室と共同で行っている。この研究には消化器内科から大学院生を専属で細菌学教室に派遣し、腸内容物を嫌気性条件で採取し、定量培養その他の手法を用いて細菌叢を定量的に同定するという手法で進めている。
著者
宮下 清 丹野 勲 中山 健 山本 寛 薄上 二郎 杉浦 正和 櫻木 晃裕 細海 昌一郎
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究の成果として、資格を中心にホワイトカラー人材の育成、評価について日米英の比較から、新たな知見を見出すことができた。まず仕事に使えるよう知識や経験を応用・適用する力であることが重要とされた。日本にホワイトカラー資格は存在しないし、今後も浸透の可能性は低い。英米でも実務経験、OJTが重要で、企業で求められる専門性とは仕事をする力であり、職場・仕事こそが最高の人材育成の場であることが確認できた。
著者
山本 まゆみ
出版者
早稲田大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

当研究は、1920年代長崎から和蘭領東インドに渡り、バタビアで旅館を経営した一般邦人男性が、1941年11月下旬最後の引き揚げ船で日本に戻りながらも、半年後に日本軍部の徴用でインドネシアに復帰し、戦後間もなくインドネシアでその生涯を閉じたその人生に焦点をあてた。男性の生涯を辿りつつ、20世紀前半のインドネシアにおける在留邦人社会および、祖国の政治に翻弄された彼らの異国での生活の軌跡を、明らかにすることを目的としている。軍部は、彼らの言語能力や文化知識を活用したい一方、人脈のある住み慣れた地に配属することで、諜報活動や軍部に抵抗される危険性を懸念するなど、協力を期待しながらも信頼しなかった。軍部からも疑われていた「復帰邦人」は、戦後オランダ及びインドネシアにおいても、戦争に関する記憶の中で、日本軍部の「スパイ」という、謂われざる汚名を受けることになったが、ディアスポーラのサバルタンの歴史を再構築し、誤解された言説を再編成することを目指した。研究方法としては、文献資料調査及び面接聞き取り調査で遂行した。国立国会図書館、早稲田大学図書館、オランダ公文書館(戦争資料研究所、国立公文書館、外務省)を中心に調査を行った。また、日本占領下インドネシアにおいて日本人軍属軍人と関係を持っていたオランダ人女性の研究で著名なオランダ戦争資料研究所のEveline Buchheim博士からもご助言をいただいた。当研究調査を通じ、現在にいたる戦争中の一般邦人に対する記憶は、日本およびオランダを問わず、両国間の政治あるいはそれぞれの国内事情により、社会に内在する偏見を顕著にした記憶となり定着する傾向があるのではないかという結論を導き出すことができた。現在なお記憶として再構築されている一般邦人の汚名は、戦後間もない時代また1990年代の戦争処理問題の言説と共に増幅されていったと考えることができた。
著者
伊澤 佳久平 野間 晃幸 山本 昌志 木村 勝紀 伊藤 裕之 竹友 直生 沼野 香世子 川島 眞
出版者
JAPAN BIFIDUS FOUNDATION
雑誌
腸内細菌学雑誌 = Journal of intestinal microbiology (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.1-5, 2008-01-01
被引用文献数
2 1

慢性的便秘で乾燥皮膚を有する20歳~39歳までの女性56名を2群に分け,LB81乳酸菌(<i>Lactobacillus delbrueckii</i> subsp. <i>bulgaricus</i> 2038株ならびに<i>Streptococcus thermophilus</i> 1131株)を使用したヨーグルトあるいはこれにコラーゲンペプチド(CP)ならびにセラミド(CE)を配合したヨーグルトをそれぞれ120 mlずつ1日2回,4週間摂取させた.摂取前後の比較で,両群ともに皮膚の弾力性,乾燥および鱗屑の程度が改善された.CP・CE含有ヨーグルト摂取群ではキメ密度が有意に改善された.肌状態に関するアンケート調査(19項目)では,両群とも多くの項目で改善がみられた.両群ともに便秘の症状が有意に改善されたことから,本結果にヨーグルトの整腸作用が関与している可能性が考えられた.<br>
著者
山本 誠司
出版者
松江工業高等専門学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

1. 研究目的日本刀の製法は「焼入れ」が重要な工程の一部となっている。刀は硬さと靭性の両方を兼ね備えるように工夫されており、強度および匂い口に連なる刃紋は美術工芸品を志向する現代には特に重要である。実際の焼入れでは、地鉄の性質、土置、焼入れ温度等の要素が複雑に影響している。本研究では、鉧から作った鋼および市販の炭素鋼ならびに炭素工具鋼を用い、土置を施して焼入れ冷却速度の影響を調べる。また、小型炉を用いた「たたら」を行い「ものづくり教育」の一環とする。2. 研究方法たたら炉は炉内寸法を390×520mm高さ1100mmとし外側は耐火煉瓦を積み上げ、炉内は600mmまでV字型に釜土を張付けて製作し、浜砂鉄を磁気選鉱により採取して供した。たたらで製作した鉧は鍛錬後厚さ4㎜の鋼に加工した。比較のため市販のS55CおよびSK85(A)を用い焼入れ温度760℃、800℃、830℃と変え、加熱保持時間15minで行い、焼戻しは150℃×1hrの熱処理を行った。また、冷却速度の影響を調べるため厚さを変え土置をした。試料は研磨した後に5%ナイタールで腐食したのち金属顕微鏡で観察し、硬さはマイクロビッカース硬度計を用いた。3. 研究結果および考察2回の操業を行った結果それぞれ30kgの鉧を作ることができた。市販の鋼材およびたたらで製作した鋼を熱処理した結果、焼入温度を高くすると硬度は高くなり、土置した場合は厚さにより硬度が下がった。これは薄く土置した場合には組織はマルテンサイトとなり、厚くすると冷却速度が遅くなりトルースタイトになるためである。日本刀では炭素量が異なる材料の組合せ、冷却速度による組織の違いにより刃紋を作り美術工芸品としての価値を高めることができると思われる。たたら製鉄を行うことで「ものづくり」の歴史、金属学を学ぶことができた。(772字)
著者
山本 啓一 三村 徹郎 矢島 浩彦
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

車軸藻内では非常に早い原形質流動が起こっている。この流動は、きんにくと同じミオシン・アクチン系によることが示唆されてきたが、そのミオシンの形態や運動能力については良く判っていなかった。そこで、我々は、オオシャジクモChara corallinaのミオシン抗体を用いて車軸藻cDNAライブラリーをスクリーニングし、このミオシンをコードする遺伝子をクローニングした。読みとった塩基数は8384で、その中に翻訳領域6471塩基対(2157アミノ酸)が含まれていた。計算によって求められた分子量は245532で、生化学的に得られたシャジクモ・ミオシンをSDSポリアクリルアミドゲル電気泳道にかけることよって決められた値と良く一致していた。得られたアミノ酸配列から二次構造予測を行ったところ、N末端にATP加水分解部位やアクチン結合部位を含む球状構造、それに続いて軽鎖結合部位と考えられるIQモチーフ、コイルドコイルを作る領域、そして尾部末端の球状領域からなることが示唆された。この構造は、我々が以前に電子顕微鏡で観察したものと非常に良く一致していた。さらに、遺伝子の一部を大腸菌内で発現させ、それに対する抗体を作ったところ、この抗体は性化学的に得られたシャジクモミオシンと反応した。以上の結果から、我々がクローニングした遺伝子は、間違いなくシャジクモミオシンのものであると考えている。
著者
山本 哲夫 朝倉 光司 形浦 昭克
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.42, no.11, pp.1701-1706, 1993
被引用文献数
22 13

北海道のシラカバ花粉症とリンゴ果肉過敏症の関連について検討して以下の結果を得た. 1. シラカバ花粉症(症状とCAP陽性<スコア1以上>)83例のうち, 17例(20%)が問診上リンゴ果肉過敏症が合併しており, 他のアレルギーや他の花粉症に比して高率であった. 2. シラカバCAP陽性例は陰性例に比べリンゴ果肉過敏症の割合が多かった. 3. シラカバ花粉症の中ではCAPによりシラカバの感作の程度が強い方が, リンゴ果肉過敏症の割合が多かった. 4. 北海道において問診にてリンゴ果肉過敏症が見られた場合, 花粉症の診断の参考になると思われた. 5. 日本においても, シラカバ花粉症のみられる地域ではリンゴ果肉過敏症は稀ではないと思われ, 注意が必要と思われた.
著者
安部 大就 山本 聡 下村 泰彦 増田 昇
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

本研究では、GIS(地理情報システム)を研究ツールとして、流域管理の視点から都市近郊エリアにおける土地利用の適正化を図るための計画技術の開発を試みた。研究方法としては、関西際空港の建設に伴い都市基盤施設の整備が進む中で土地利用変化や人口動態が著しい大阪府南部地域をスタディエリアとして、1973年と1990年の大阪府作成の土地利用現況図と人口のデータ、国土地理院発行の標高データを用いて解析し、土地利用変化に影響を及ぽす地形条件や交通条件などの要因をまず明らかにした。次いで、本地域の2級河川流域にほぼ対応した市町域を解析単位として、その土地利用形態や人口分布形態などの地域環境データを用いて地域環境容量を試算し、土地利用変化が地域環境容量に与える影響の定量化を試みるとともに地域環境容量の変化を予測し、土地利用の適正化を図るための課題を探究した。土地利用変化に影響を及ぽす要因を採った結果、地形条件では本地域での標高50mは都市的土地利用から農村的土地利用に変化する境界領域であり、標高100mは農村的土地利用から山林的土地利用に転換する境界領域であることや交通条件では鉄道駅の土地利用変化への影響範囲は住居系用途に対しては約800m、商業系では約300m、工業系では約700m、幹線道路の影響範囲は住居系用途に対しては約500m、商業系では約100m、工業系では明確な影響範頗がないことを明らかにした。次いで、地域環境容量としては、CO_2固定容量、水資源容量を取り上げ、既往の研究成果を応用したモデル式により試算した。その結果、各容量の変化は都市的土地利用の拡大に伴う人口の増大と森林資源の減少に大きく依存することを明らかにし、土地利用の適正化を図るための課題を明らかにした。
著者
小池 伸定 鈴木 修司 今里 雅之 田中 精一 林 恒男 鈴木 衛 羽生 富士夫 山本 雅一
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.512-516, 2002-05-01
被引用文献数
8

症例は56歳の男性.1991年肝細胞癌の診断で7月肝外側切除術を施行.切除標本は4×3cmの単結節型で,病理組織学的所見は硬化型肝細胞癌,EdI+II,IV,fc(-),sf(-),vp0,vv0,b1,tw(-),im1,z1であった.1996年より外来経過観察中,血清AFPの上昇を認め,2000年4月腹部CT検査で左胃動脈幹に約5cmのリンパ節腫大あり,血管造影で左胃動脈より腫瘍濃染像を認め,残肝再発なく,肝細胞癌の腹腔内リンパ節転移の診断で,2000年7月リンパ節摘出術を施行した.硬化型細胞癌で肝切除後9年を経過して,残肝再発なく孤立性にリンパ節再発をきたし,これを切除しえた1例を経験した.
著者
山本 竜大
出版者
Japan Society for Information and Media Studies
雑誌
情報メディア研究 (ISSN:13485857)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.43-57, 2004

本稿は,東京都議会の広報と都議の情報意識の事例を検討する.90年代以降の議会は,既存の広報紙の発行に加えて,テレビ番組,ICT化への対応を順調に進めてきた.99年12月開設の議会ホームページへのアクセスも伸びている.アンケート調査から都議は,複数の日刊紙を購読し,人気ニュース番組を視聴しやすい一方で,客観性・公平性・公共性,時間配分,キャスターの発言内容に報道の問題性を他方で感じている.政治情報源(メディア)としてインターネットに注目するものの,個人ホームページ開設には支持者の要請が作用しており,PC利用時間やEメール発信数も多くないため受動的な情報発信の態度がある.今後も新情報通信技術は政治の情報公開,広報活動,選挙準備に影響すると考えている.今後は情報メディアを介した政治・政策の成果内容を都議が問われるため,東京都や各都市の政治過程や選挙へのその影響は一層深まるといえる.
著者
西村 拓一 伊藤 日出男 中村 嘉志 山本 吉伸 中島 秀之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.11, pp.2659-2669, 2003-11-15
被引用文献数
11

?<「いつでも,どこでも,誰でも」情報にアクセスできる遍在(ユビキタス)型情報処理社会では,莫大な情報から「いま,ここで,私が」欲しい情報を簡便なインタフェースで提供することが重要である.そこで,本論文では,適切な位置で適切な方向に端末を向けるだけでインタラクティブに音声情報を取得する無電源小型情報端末(Compact Battery-less Information Terminal: CoBIT)を用いた情報支援システムを提案する.環境側の装置からは音声情報とエネルギーを伝える光を照射し,CoBITでは太陽電池に直結したイヤホンで音を聞くことができる.また,CoBITの表面には反射シートを貼り付けることで,赤外光投光カメラを用いればCoBITの位置やおよその方向を容易に推定することができる.これにより,CoBITの位置・方向の履歴およびユーザからの合図を基に適切な情報を直感的かつ容易な操作でインタラクティブに提供できる.本論文では,実装したCoBITの特性を示し,その試験運用やプロトタイプシステムを紹介する.The target of ubiquitous computing environment is to support users to get necessary information and services in a situation-dependent form. In order to support users interactively, we propose a location-based information support system by using Compact Battery-less Information Terminal (CoBIT). A CoBIT can communicate with the environmental system and with the user by only the energy supply from the environmental system and the user. The environmental system has functions to detect the terminal position and direction in order to realize situated support. In this paper, we also show various types of CoBITs and the usage in museums or event shows.
著者
山本 美智代
出版者
日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.37-46, 2005-06-20
被引用文献数
4

身体・知的障害のある同胞をもち,成人に達した29名のきょうだいに聞き取りを行い,きょうだいが同胞の障害をどうやって知り,どのように意味づけ,それに応じてどのように対応して成長してきたのかについてgrounded theory approachを使って分析した.その結果,きょうだいは両親のしつけの内容と,他の子どもの状況とが異なることにより,自分が障害者のきょうだいであるという認識をもち始める.また,社会の偏見を向けられた時から,同胞の障害を恥ずかしいと認識するようになり,高校生頃より同胞の障害について納得のいく意味を探し始める.そして,20歳前後で障害の意味づけや,その意味づけにより自分がとる行動「自分のシナリオ」を作成し,同胞への介護を行い,同胞とよい関係を築くようになる.しかし,中には同胞の障害を恥ずかしいと認識しなかったきょうだいや,納得のいく意味を探さなかったきょうだいもいた.Interviews were conducted with 29 adult siblings of the handicapped and the mentally retarded. They were analyzed using a grounded theory approach to investigate how these siblings learn about, assign meaning to, and cope with their brothers' or sisters' disability and how the situation affected their own personal development. The results suggest that the siblings first realized there brothers or sisters were disabled when they perceived the distinction between how their parents treated them and what the situation was like for other children. When faced with social prejudices, they became embarrassed and more aware of their brother or sister's disability, and from about high school they began to truly understand what it meant. As a result, at around the age of twenty they could understand the disability better and adopted appropriate behavior based on their own situation ; a situation in which they provided care and built strong relationships with their siblings. However, there were some did not think of their disabled siblings as shameful or did not try to better understand the situation.
著者
西 満正 長野 稔一 大塚 直純 吉井 紘興 石沢 隆 山本 四郎 黒木 克郎 大山 満 渡辺 研之
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.259-264, 1975-05

大腸にはポリープが多い. しかも癌との区別が困難なもの, 多発するものが多い. これらの処置については外科医がしばしば悩まされている. 大腸のポリープと癌には疫学や腫瘍発生学の面からも興味のつきない点が多々ある. 今回われわれは入院手術症例, 直腸鏡集検例, 大腸ポリポージス症例, ソテツ毒による大腸発癌実験例などについて検討した. 私はポリープの癌化率をうんぬんする前にポリープの種類をよく知ること, 癌の判定基準を明らかにすること, 何よりもポリープを慎重に取り扱うことを強調したい.