著者
加藤 茂明 河野 博隆 川口 浩 山本 愛一郎 山田 高嗣 中村 耕三 加藤 茂明
出版者
東京大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

転写共役因子の骨組織における機能を解明する目的で、SRC-1(Steroid receptor coactivator-1)遺伝子欠損(KO)マウスを作出し、その骨組織の解析を昨年に引き続き行った。昨年、SRC-1KOマウスは、雄・雌ともに、代謝回転が亢進した高回転型の骨量減少を呈し、この原因はアンドロゲン及びエストロゲンによる骨量維持作用が抑制されているためであることを報告した。この骨量減少について、24週齢の大腿骨を用い、pQCTとμCTを用い、更に詳細に検討を行ったところ、海面骨の骨量は約40%低下していたにも関わらず、皮質骨の骨量は野生型(WT)とあまり差がみられなかった。海面骨・皮質骨におけるエストロゲン受容体(ER)の2種類のisoformの発現を免疫染色で確認したところ、海面骨ではERα・ERβ共に同程度に発現していたにも関わらず、皮質骨では主にERαのみが発現していた。骨芽細胞の培養系において、SRC-1はERβの転写活性は上げるが、ERαの転写活性にはあまり影響がみられなかったことから、海面骨・皮質骨でみられた表現型の違いは、SRC-1が主にERβによる骨量維持作用に関与しており、ERβの発現が多い海面骨で主に機能しているためと考えられた。雄においても、骨量の維持はアンドロゲン受容体(AR)のみでなく、ERにも依存していることが明らかになっており、ERのisoformの局在の違いが、雌同様に海面骨・皮質骨における表現型の違いを生じていると考えられた。また、KOで観察された骨量減少は、12週齢の時点では有意差がみられず、高齢化に伴い骨量減少が顕著になっていることが明らかとなった。これは、高齢化に伴い、フィードバック機構によって上昇した性ホルモンがシグナル伝達の障害を代償しきれなくなっているためと考えられた。また、性ホルモンと同じステロイドホルモンの一種であるプレドニゾロンの負荷実験では、骨量減少がWTとKOで同程度に見られたことより、SRC-1のグルココルチコイドシグナルへの関与は小さいことが明らかになった。
著者
河野 博隆 中村 耕三 山本 愛一郎 川口 浩 加藤 茂明
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

男性ホルモン・女性ホルモンそれぞれの骨量維持作用及び骨量の性差については、これまで不明な点が多く残されていた。主要男性ホルモンであるテストステロンが男性ホルモン受容体(AR)を介して機能しているばかりでなく、アロマターゼによって女性ホルモンに変換されてERを介しても機能する代謝系を持つことが、性ホルモンそれぞれの骨代謝機能に関する解釈を複雑にする一因となっていたと考えられる。我々はCre-loxP systemを用いて、従来の標的遺伝子組み替え法では不可能であった雌雄の男性ホルモン受容体遺伝子欠損(ARKO)マウスを作出した。骨組織を解析したところ、雄性ARKOマウスは雌雄両方の同胞野生型(WT)マウスに比べて、高代謝回転型の著しい骨粗鬆化を呈していた。これに対して、雌性ARKOマウスの骨量は雌性WTマウスと同等であり、骨量減少は見られなかった。雄性ARKOマウスの去勢実験からは骨代謝を調節している男性ホルモンは副腎由来ではなく精巣由来であることが示唆された。また、性ホルモンの負荷実験結果から、女性ホルモン受容体を介さない男性ホルモンシグナル固有の骨量維持作用が明らかとなり,雄性個体の骨量維持に男性ホルモンと女性ホルモンの両者が関与していることが定量的に示された。初代細胞培養系の解析では、男性ホルモンの骨量維持作用は、男性ホルモンが破骨細胞に直接作用するのでなく、骨芽細胞の破骨細胞形成支持能を抑制することで発揮されることが示された。
著者
山本 清洋
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

学校週5日制が生み出した余暇空間に関する大人と子どもの意味づけの類似点と差異点を明かにし,両者の意味づけを統合する原理を明らかにすることを目的に調査分析を実施し,以下の結論を得た。1 余暇空間の特性1) 小学校,中学校,公民館は大人が用意した教育活動の空間となっていて多くの子どもが参加しているが,子どもの自由な遊び空間となってはいない。2) コンビニ,スパーマケットは子どもの生き抜きの空間,待ち合わせ空間としての居場所となりつつある。3) 砂浜,釣り場,森の公園等の自然は遊びの空間となり得ていない。自然を遊びに利用する知識・技術が欠落している。4) 身近にある公園や空き地は子どもの遊び空間として機能している。5) 温泉センターは家族団らんの機会を,JR市来駅は都市文化に触れる起点を与える空間である。6) ファミコン,TVは子どもを家という空間に強烈に拘束する文化であり,再考が迫られる。2 遊び空間への意味づけ1) 大人は子どもの居場所となりつつあるファミコンやコンビニを遊び空間として認めきれていない。2) 大人は河川,海,山等の自然での遊び空間を価値づけているが,子どもの半数は否定的な評価をする。ただ,現実には大人もそれらの空間を殆ど利用していない。3) 子どもは学校の休日利用を望み,学校の先生が自分達を信頼して欲しいと望んでいる。4) 遊び空間への意味づけを統合する原則として,(1)遊び空間の主体である子どもを大人が信頼する,(2)子どもの日常生活圏への学校教師の住民化,(3)自然遊びの知識・技術の継承する活動の実施,(4)TV,ファミコンの功罪の協議,(5)諸活動を子ども形成型から子ども自身型へ転化する,等があげられる。
著者
山本 直彦 布野 修司
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.67, no.556, pp.265-272, 2002
被引用文献数
1 1

Primary concern of this paper is kampongverbetering (kampong improvement in Dutch East Indies), which was to have significant influence on postcolonial improvement. Major findings in this paper consist of following points. 1. Examination into the kampongverbetering implemented in Dutch East Indies reveals that postcolonial improvement known as KIP apparently owes its basic ideas to its predecessor. 2. Accomplishments of kampongverbetering supervised by the central government show close resemblance to the items prescribed by detailplan, which was the forthcoming driving force of the contemporary city-planning act. 3. Kampong Sidodadi, one of the first kampongs improved in Surabaya in 1929,turns out to be still inhabited by Madurese as it was in the colonial period despite constant change of the residents. 4. Observance of building lines in Sidodadi had been closely related to the drainage gutters installed both in colonial and post colonial period.
著者
伊藤 壽一 中川 隆之 田浦 晶子 山本 典生 坂本 達則 北尻 真一郎 平海 晴一
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2011-04-01

根本的治療方法のない感音難聴に対して、その主要な責任部位である内耳蝸牛の発生メカニズムを解明し、内耳再生医療の確立を目指す本研究では以下の事を達成することができた。1.再生のための操作対象となる蝸牛内幹細胞群の同定、2.内耳発生に重要な役割を果たす新規遺伝子候補の同定、3.NotchシグナルやIGF1の内耳再生医療への応用、4.ヒトiPS細胞の有毛細胞への誘導プロトコールの改良。本研究で得られたこれらの成果を適切に組み合わせることにより、内耳再生医療のヒトへの応用に近づくことができると考えられる。
著者
内田眞司 山本舜 里中健太郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.295-297, 2013-03-06

本稿では,UMLを含む成果物のレビューを目的としたソフトウェアオーバーホール手法とその環境を提案する.従来提案されているレビュー手法はテキストベースの成果物を対象としており,UMLのようなモデリング手法で記述された成果物に対する体系的なレビュー手法は提案されていない.ソフトウェアオーバーホール手法は作業者がソフトウェアを理解するプロセスを計測する手法で,分解されたコンポーネントを元通りに再統合する作業である.この一連の作業が深層的なレビュー手法となり,UMLに潜在的に含まれるバグを浮き彫りにする.試作したオーバーホールツールの適用実験を通して,提案手法の有用性を評価する.
著者
水上 正彦 山本 良治 浅田 信昭 松本 明英
出版者
Japan Society of Powder and Powder Metallurgy
雑誌
粉体および粉末冶金 (ISSN:05328799)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.154-159, 2006-02-15
被引用文献数
2 7

Nano-sized WC powder that is expected as the raw material for nano-sized WC-Co hardmetals with high hardness and strength was developed. The reaction path and morphological change in the reaction process of WO<SUB>3</SUB> with carbon powder (direct carburization) were firstly investigated by thermogravimetric analysis. The proper reaction condition examined by the thermogravimetric analysis was developed to trial production by direct carburization facilities.<BR>The direct carburization reaction from WO<SUB>3</SUB> to WC occurred through the generation of several intermediate products in the order of WO<SUB>3</SUB> → WO<SUB>2.72</SUB> → WO<SUB>2</SUB> → W → W<SUB>2</SUB>C → WC. The nano-sized particles were generated at the stage from WO<SUB>2.72</SUB> to WO<SUB>2</SUB>. We succeeded in the development of nano-sized WC powder less than 100 nm by controlling the reaction conditions for each intermediate products.
著者
山本 政儀 柏谷 健二
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

ユーラシア大陸に位置するロシア・バイカル湖,モンゴル・フブスグル湖の長い堆積物コアーから読み取れる種々の指標は,過去から現在に至る環境変化を理解する有用な情報を提供する。本研究は,化学情報,特に化学化石の1つである地殻物質,天然放射性元素ウラン(U)・トリウム(Th)に着目し,それらの同位体測定を通じて,これら元素の堆積挙動,堆積年代への応用,さらに古環境解析に役でてることを目的とし、以下の成果を得た。1)フブスグル湖の最深部付近で掘削(2004年)した長さ81mコアーについて,表層から3cm毎に切断した試料のうち,約350試料についてU,Th同位体を測定した。^<238>U濃度(河川から流入する岩石・土壌由来Uを差し引いた残りのU成分:自生成U)深度分布パターンは,見掛け上酸素同位体ステージの変動とよく似たパターンを示した。この傾向は,バイカル湖の堆積物においても見出しており,温かい・湿潤期(自生成Uが多い)と寒冷・乾燥期(自生成Uが極めて少ない)指標になりうることを明らかにした。^<232>Thは,河川から流入する岩石・土壌の指標として有用である。2)幾つかの深度での堆積物の年代を^<234>U/^<238>U-^<230>T/^<238>U比を用いるアイソクロン法で決定した。3)自生成U濃度変動と気候変動との関連については,間氷期の温かい・湿潤期には湖内有機物生産量の増加,湖水への河川水による溶存Uおよび化学的風化を受けた土壌物質の供給量増加に,一方氷期は上記要因の減少によると考えられた。
著者
山本 直三
出版者
日本情報経営学会
雑誌
情報系 : OA学会論集
巻号頁・発行日
no.2, pp.93-105, 1992-03-25

地球の資源は無限であって,人間が掃き出す汚濁が自然と浄化されるという考えは,もはや通用しない.52億(国連統計90年7月)もの人口を抱えるようになったいま,資源は有限であり,環境破壊は人類を滅亡するとされるようになった.とくにペーパーの大量消費が森林資源を食い潰し,その廃棄物が環境を破壊することは,由々しき問題となっている.こんなときOAシステムがかえってペーパー洪水を引き起こす元凶とさえ報道されている.1991年9月には,東京都庁は,都内企業に対して,それぞれ30%のOA用紙節約を要請したという.OAがむしろこのような問題を解決する有力な手段となるようでなければならないときが来ている.この論文では,OAの推進において,電子メディアを適用して,すぐれたオフィスシステムを編成することが基本的課題となっており,その結果として必然的にペーパーレスが実現されていくことを論ずるとともに,ペーパーレスの推進の阻害となる要因を論じることにした.OAの推進において,OA機器およびOAシステムを取り入れること自体は,あくまで手段にすぎなく,効率的かつ効果的なオフィスシステムを創造することが主目的であることはもちろんである.この主目的を果たすためには,すぐれた機能を持つ電子メディアを活用して,ペーパーの束縛から逃れ,電子メディアの大海に出ることである.しかし,ペーパーは数千年にわたり長く使われていて,人々の生活に浸透して,我々はそこはかとなく親しみを感じ,人間的な手応えを感じている.これは紙のよさであり,いま直ぐには捨て切れないものがあろう.この現実を考えて,電子メディアを含めた中で,ペーパーのすぐれた特性をシステムの中にうまく組み入れていくという考え方も大切なのであるが,ペーパーとしての新しい効用を見直すことも必要となる.ペーパーは全廃するのではなく,それなりにその機能を巧みに活用することが大切だという考え方となれば,ペーパーレスというよりもペーパーセービングという言い方のほうが適切かもしれない.OAシステム設計では,コンピューターネットワーク,ワークステーション,電子ファイルなどの装置を利用してシステムを構成する.そこでは電子メディアが多用されるが,ペーパーメディアも構成要素として組み込むことになる.OAの推進のためには一段とOA機器が発達し,ネットワークなど,インフラストラクチャーの整備が進む必要がある.これと合わせて,キータッチメソッドやディスプレイの使用など,個人のOAリテラシィの学習が進まないといけない.これは個人の問題意識や学習意欲が必要であるから,なかなか浸透しないであろう.これらの未熟な状態が,OAの推進およびペーパーレスの隘路ともなっている.ペーパーとまったく同じように電子メディアに親しみを感じるようになるには,人間の学習も大切だが,ヒューマンインターフェースが一段と進むことが望まれる.社会制度の問題もある.ペーパーにどっぷりと漬かっているような教育制度も検討を要する.現在の制度をそのまま踏襲すれば,新しいリテラシィが育つには,かなりの年月を要するだろう.
著者
山本 美恵
出版者
富山大学比較文学会
雑誌
富大比較文学
巻号頁・発行日
vol.6, pp.1-14, 2013-12-12

本論稿は、近代劇評家、三木竹二(一八六七~一九〇八)主幹の雑誌「歌舞伎」の編集方針の調査を行うものである。前集の「富大比較文学論集」では、「三木竹二研究(上) -雑誌『歌舞伎』の編集方針 内容的特徴①」と題し、「歌舞伎」に掲載された新派・旧派の記事と、海外・地方に関連する記事の考察を行った。今回は「三木竹二研究(下) -雑誌『歌舞伎』の編集方針 内容的特徴②」と題し、前回のアプローチの視点に加えて、脚本と寄稿記事執筆者、という二つの視点から「歌舞伎」を考察したい。
著者
白井 英子 小川 貴代 吉田 礼維子 山本 愛子
出版者
天使大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究は、食行動上のプロセスに障害がある在宅独居高齢者の食行動と食満足との関連性を明らかにし、さらに集団的介入を試み、その効果を質的に分析した。その結果、以下の事項が明らかになった。1.在宅障害高齢者の食行動は、入手行動では「自分で買い物をする」「買ってきてもらう」「野菜づくり」「買い物に行けない理由」「食材入手の要因」、調理行動では「自分でつくる」「つくってもらう」「自分でつくる意欲」「調理できない理由」「調理サポートの受けとめ」、摂食行動では、「自分の手で食べたい」「食事環境」「食べる理由」から構成されていた。2.食満足は「おいしい」「食べたい」「食の伝承」から構成され、食満足に影響する食行動の要素は、「自分の手で」「好きなもの」「食の情報」「味へのこだわり(自分の味・昔の味)」であった。3.食満足に影響する調理・摂食行動の要素は、「温かいもの」「食べたいとき」「誰かと食べたい」「外で食べたい」であった。これらの要素を充足する方法としてグループで調理をして一緒に食べる集団的介入(食事会)を実施した。その結果、食事会では、「みんなでつくる」「みんなで食べる」という共同作業と場の共有から「楽しい」「おいしい」体験が得られ、それらが「つくる意欲」に関連しており有効であった。さらに、定期的な開催の要望があり、生活の意欲にも影響を及ぼしていることが明らかになった。4.本研究の対象は、都市環境で生活している独居高齢者で厚生労働省生活自立度(寝たきり度)判定のJとAランクにある比較的障害が軽度である者であった。今後、障害の程度が重度である高齢者に対する食満足を高めるための介入方法の検討、在宅障害高齢者を取り巻く地域環境の差を考慮した高齢者の食生活の質を高める援助策を検討する必要がある。
著者
山本 昌 草森 浩輔
出版者
京都薬科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、新規骨粗鬆症治療薬であるテリパラチド(hPTH) をマイクロニードル (MN)に封入した hPTH 封入 MN (hPTH-MN) を作製し、その皮膚透過性の改善を試みた。放出試験において、MN に含有された hPTH は、試験開始後5分までにほぼ全量が速やかに放出された。また、hPTH-MN 皮膚適用後の血清中 hPTH 濃度は速やかに上昇し、高い吸収性を示した。さらに、骨粗鬆症モデルに hPTH-MN を適用後、薬理効果を示すことが明らかとなった。最後に、hPTH-MN 適用後、水分蒸散量の上昇が一時的であったことから、皮膚への障害性はほとんどみられないことが認められた。
著者
浦川 順治 照沼 信浩 本田 洋介 坂上 和之 山本 樹 柏木 茂 楊 金峰 鷲尾 方一 栗木 雅夫 福田 将史 高富 俊和 Liu Shenggnuang Deshpande Abhay Potylitsyn Alexander Tishchenko Alexey A. Konoplex Ivan. V. Ghosh Subhendu
出版者
大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2011-04-01

フェムト秒パルスレーザー3倍高調波出力の高強度化(1.0mJから2.7mJへ)及び高安定化(pointing and energy stability <1.0%)を進め、光カソードからの90フェムト秒電子単バンチ及び4ミクロバンチビーム生成・加速(8MeV)後、遷移放射、スミスパーセル放射によるブロードバンド及び準単色化THz(0.3~10THz)特性測定を行った。2から4ミクロバンチ生成によるTHz超放射確認実験は、30cm-5周期小型ウィグラー磁石を使って行った。ウィグラー磁石Gap調整によりFEL共鳴放射条件を満足させた結果、Sub-THz超放射測定に成功した。THz応用実験も行った。
著者
千場 梅子 山本 哲郎
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

結核菌(死菌)を血漿に曝すと、血液凝固反応に伴い、血漿中のリボソームタンパク質S19(RP S19)が結核菌膜上の負荷電領域を足場にして血漿トランスグルタミナーゼ(FXIIIa)により架橋二量体化され、単球のC5aリセプターを介して単球/マクロファージを動員することが明らかになった。 このことから、 結核菌が局所に侵入したとき、 血管外へ透過したRP S19が上記の機序で架橋されて単球/マクロファージを動員し、 菌を貪食処理すると考えられた。この単球走化には、補体活性化産物C5aも関与していた。結核菌感染に対する自然免疫反応に、補体系とともにRP S19も関わっていることが示された。
著者
山本 泰彦 太 虎林
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

血液の赤血球中に酸素運搬体として存在するヘモグロビンが示す高い酸素運搬能は、協同的酸素結合機能によって支えられている。私共は、ヘモグロビンにおいて酸素が結合する部位であるヘムの電子構造に着目し、従来の研究とはまったく異なる新しい観点で研究を行い、ヘム、ヘム鉄、そして軸配位子ヒスチジンの間の電子的な相互作用がヘモグロビンの協同的酸素結合機能の調節に重要であることを実証することに成功した。