著者
山田 拓司
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.87-92, 2016-06-26 (Released:2017-07-15)
参考文献数
18

ヒト腸内環境研究は、腸内細菌由来の遺伝子配列を用いたメタゲノム解析や、低分子化合物を網羅するメタボローム解析を基盤としたビッグデータ解析の時代となっている。生み出される大量の遺伝子配列データに対して、それらがどのような機能を持つかを類推すること、すなわち、機能アノテーションには KEGG や COG といったリファレンスとなるデータベースを用いる。近年のライフサイエンスにおいてこれらのリファレンスデータベースは欠かすことのできない要素であり、格納されているデータの正確性と、その継続的な更新および新規データ蓄積が、新たに生産される配列データに価値を与える。本総説においては、メタゲノム配列解析、そして遺伝子機能アノテーションのためのデータベース、代謝機能データベースを紹介する。腸内細菌メタゲノムデータは数多くの新規遺伝子を含むため、KEGG や COG などの既存パスウェイデータベース、オーソログデータベースでは対応することができない場合が多い。この問題の解決を目指し、メタゲノム配列由来の新規の配列データに対応するために筆者らのグループが開発したデータベースも併せて紹介する。
著者
河村 葉子 井之上 浩一 中澤 裕之 山田 隆 米谷 民雄
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.13-17, 2001-02-25
参考文献数
10
被引用文献数
2 24

ビスフェノールA (BPA) 含有量が高かったコーヒー及び紅茶飲料の相当缶を検討したところ, いずれもエポキシ樹脂コーティングに原因があったが,サイドシームや底蓋部でBPA濃度が極めて高かったり, 胴部がやや高いため缶全体の残存量が高いなど原因部位は様々であった. 水60及び95℃, 20%エタノール, <i>n</i>-ヘプタンではBPAは溶出しなかったが, 水120℃30分間では35~124ng/mL溶出した. 相当缶のBPA溶出量は材質中の残存量とほぼ一致し, 缶入飲料のBPA含有量とも近い値であった. BPAの移行は, コーティング中のBPA残存量と飲料の加熱条件に依存することが示された. 一方, 改良缶ではコーティング中のBPA量が大幅に減少しており, 溶出量は1/10以下に低減された.
著者
岸本 有之 高橋 徹 高橋 雅和 山田 隆志 津田 和彦 寺野 隆雄
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.23, 2009

本研究では,店舗内の顧客に対する商品販売促進施策として「店舗レイアウト変更」,「店内広告」,「店内推薦システム」を組み合わせ,施策実験を可能とするシミュレーターを開発した.シミュレーターを用いて,様々な販売促進施策シナリオを作成し,その比較実験を行った.
著者
山田 美香
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.99-110, 2012-06-30

本研究は、中国における先行研究を用いて、現在中国の道徳教育と社会科が合科であることに注目し、道徳教育と社会科の歴史、背景を整理するものである。中国では、愛国主義教育との関係で道徳的価値、道徳的実践力の習得、社会化が問われている。中国では小学で品徳と生活、品徳と社会、中学で思想品徳の授業で道徳教育が行われるが、本研究では、中国の歴史的な道徳教育の定義と社会科との合科の歴史的プロセスについてみていく。
著者
山田 耕史
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 = Journal of the Pharmaceutical Society of Japan (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.122, no.12, pp.1133-1143, 2002-12-01
参考文献数
67
被引用文献数
4 17

Glycosphingolipids (GSLs), together with glycopeptides, are typical constituents of various cell membranes in a wide variety of organisms. In particular, it is known that GSLs have numerous physiological functions due to variations in the sugar chain, in spite of the very small quantity of constituents. Those are classified into cerebrosides, sulfatides, ceramide oligohexosides, globosides, and gangliosides based on the constituent sugars. Gangliosides, sialic acid-containing GSLs, are especially enriched in the brain and nervous tissues and are involved in the regulation of many cellular events. Recently, a number of GSLs have been isolated from marine invertebrates such as echinoderms, poriferans, and mollusks. We have also been researching biologically active GSLs from echinoderms to elucidate the structure-function relationships of GSLs and to develop novel medicinal resources. This review summarizes the structures and biological activities of GSLs from sea cucumbers. This study showed that the characteristics of GSLs and structure-activity relationships had neuritogenic activity toward the rat pheochromocytoma cell line PC12. That is, most of the cerebroside constituents of the sea cucumber are same glucocerebrosides as in other animals, except for some constituents, while the ganglioside constituents were unique in that a sialic acid directly binds to the glucose of cerebroside, they are mutually connected in tandem, and some are located in the internal parts of the sugar chain. It also became apparent that sialic acid is indispensable for the neuritogenic activities.<br>
著者
山田 和明 大倉 和博 上田 完次
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.266-275, 2003-03-31 (Released:2009-03-27)
参考文献数
27
被引用文献数
3

We describe a distributed approach to controlling autonomous arm robots. The robots need to acquire cooperative behaviors in order to smoothly lift an object. Each arm robot has its own reinforcement learning unit for decision-making. In investigating this task, we are primarily interested in the question of how to design a reinforcement learning control system for a multi-agent system. An applied reinforcement learning algorithm uses Bayesian discrimination method to segment continuous state and action spaces simultaneously, thereby generating of a set of effective rules. The proposed approach is examined empirically with two real arm robots. The basic dynamics of the reinforcement learning process are also analyzed.
著者
山田 利彦
出版者
了徳寺大学
雑誌
了徳寺大学研究紀要 (ISSN:18819796)
巻号頁・発行日
no.7, pp.9-17, 2013

第30回オリンピック大会柔道競技が7月28日から8月3日までの7日間,ロンドンにて開催され,了德寺学園より2名の選手が出場した.平岡拓晃が60㎏級で,学園選手初となる銀メダルを獲得し,福見友子が48㎏級で5位に入賞した.日本チーム全体では,金メダル1,銀メダル3,銅メダル3個という厳しい結果となった.北京オリンピック以後,世界ランキング制度導入など,大きな変革の波が押し寄せ,様々な面で日本柔道が十分に対応できなかったことが今回の結果につながったように思われる.次回のオリンピックに向けて,強化の当事者の1人としても, 金メダル獲得目指して努力していきたい.The 30th Olympic Games Judo competition was started on July 28 in London for 7 days until August 3, and two players from Ryotokuji Judo Team participated. Hiroaki Hiraoka won the first silver medal in 60 kg category for the Ryotokuji Judo Team and Tomoko Fukumi placed fifth in 48 kg category. Japanese Judo team took one gold, three silver, and three bronze medals in total. This result was very severe for the Japanese Judo. After the Beijing Olympics, the wave of the big change such as the world ranking system introduction flocked, and it seemed to be connected by various aspects for this result that Japanese Judo was not able to cope enough. As one of the coaching staffs, I would like to make an effort to accomplish the gold medal at the next Olympics.
著者
山田 泰之 吉浜 舜 岩崎 祥大 芦垣 恭太 松本 幸太郎 羽生 宏人 中村 太郎
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.850, pp.16-00576-16-00576, 2017 (Released:2017-06-25)
参考文献数
13
被引用文献数
1

In recent years, the demand for rocket launching has increased due to the development of space technology. However, using inexpensive rockets is not always possible. Although the cost of solid-propellant rockets is relatively reasonable, safely manufacturing a large amount of solid propellant is difficult, and the manufacturing process is disjointed. Therefore, safe and continues manufacturing of solid propellant is necessary. On the basis of the movements of the intestinal tract, we proposed that the movements required for transport and mixing of solid propellants are possible to achieve without the application of a large shear force. The peristaltic motion enables not only the mixing but also conveying even high viscosity slurry. By mimicking these intestinal movements, we have considered and developed the peristaltic pumping by driven artificial muscle as one of the candidates for the continuous and safety mixer. In this research, the mixing completeness of the composite solid propellant slurry by the peristaltic pumping mixer was estimated. The result showed that the mixer we proposed could mix the propellant slurry. In the propellant samples, these variances were sufficiently small. An appropriate combustion state as a solid propellant was confirmed.
著者
山田 日登志
出版者
日経BP社
雑誌
日経ものづくり (ISSN:13492772)
巻号頁・発行日
no.685, pp.197-201, 2011-10

やまだ・ひとし:トヨタ生産方式を270社に導入した経験を持つコンサルタント。岐阜県生産性本部在籍中に大野耐一氏と出会い、1971年から師事。1978年にカイゼン・リーダーを育成するPEC産業教育センターを設立し、所長に就任。ソニーを指導中にセル生産の基礎を築いた。
著者
山田 清美 我妻 堯 瀧 直彦 鈴置 洋三 長町 典夫 高橋 克幸
出版者
Japanese Society of National Medical Services
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.346-349, 1987

反復性流産における遺伝的要因を明らかにするために, 自然流産歴を2回以上もち流産の原因が全く不明の夫婦組を対象として染色体検査を行つた. 染色体分析はすべてGバンド法による分染法を用いて精査した. その結果, 検査した夫婦100組中の10組(10%)に均衡型の相互転座による染色体異常を認めた. 妻が転座保因者と判明したものが8人で, 夫は2人であつた. この転座保因者の頻度は新生児集団では約700人に1人と推定されるので, それと比較してみると流産夫婦集団では妻が54.8倍で夫が13.7倍高いことが明らかになつた. 流産夫婦群に多い転座保因者の存在は, 自然流産や奇形児出産の危険性の上から日常の診療の際に十分に考慮すべき遺伝要因である. そのため, 分染法を用いての精査による染色体検査の必要性を強調したい.
著者
寺田 献 山田 浩史
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2017-OS-141, no.5, pp.1-7, 2017-07-19

オペレーティングシステム (OS) が障害を検知した際の一般的な解決方法は OS とアプリケーションプログラム (App) の再起動である.これまでに OS の不具合からプロセスコンテキストを復元したり保護したりする手法が提案されているが,これらを両立する手法は提案されていない.再起動にかかる時間はサービスを提供することができないサービスダウンタイムとなり,サービスの可用性を大きく損なう.既存の手法では OS の障害によって App の実行状態が破壊される可能性があり,OS の障害から App の保護を行うことはできていない.本論文で提案する ShadowBuddy は発生した障害から App の実行を守るために,OS が不正な操作によって App の実行状態を破壊することを防ぎ,OS から保護された領域に App の実行状態を保存する.OS による不正なページテーブル操作,OS による App のメモリ空間への不正な読み書きを防ぎ,OS 内に存在する App の実行状態を破壊したとしても再現することのできるチェックポイントを作成する.ShadowBuddy は最小で数 % のオーバヘッドで,OS 透過に App のメモリ保護を行うことができる.
著者
山田 奨治
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.527-536, 2007-05

この論文では、日文研でのCMの共同研究の成果を踏まえて、テレビ・コマーシャル(CM)による文化研究の過去と現状を通覧する。日本のCM研究は、映像のストックがない、コマーシャルを論じる分野や論者が極めて限定されていたという問題がある。CMによる文化研究という面では、ロラン・バルト流の記号分析を応用した研究が八〇年代初頭からみられた。しかし、研究の本格的な進展は、ビデオ・レコーダが普及した八〇年代後半からだった。その後、CMの評価の国際比較、ジェンダー、CM作品の表現傾向と社会の相関を探る研究などが生まれた。 現代のCM研究者は、CMという言葉から通常私たちが想像するような、一定の映像様式が存立する根本を見直しはじめている。名作中心主義による研究の妥当性、CMに芸術性をみいだそうとする力学の解明、CMを独立した単体ではなくテレビ番組との連続性の中に定位しようとする研究、CMと国民国家の関係を問う研究などが進められている。 しかしながら、CM研究をさらに進めるには、映像資料の入手可能性、保存体制などに大きな限界があり、研究環境の早急な改善が必要である。
著者
前澤 いすず 梅原 頼子 乾 陽子 福永 峰子 久保 さつき 山田 芳子 Isuzu MAEZAWA Yoriko UMEHARA Yoko INUI Mineko FUKUNAGA Satsuki KUBO Yoshiko YAMADA 鈴鹿短期大学 鈴鹿短期大学 鈴鹿短期大学 鈴鹿短期大学 鈴鹿短期大学 鈴鹿短期大学 Suzuka Junior College Suzuka Junior College Suzuka Junior College Suzuka Junior College Suzuka Junior College Suzuka Junior College
出版者
[鈴鹿短期大学図書委員会]
雑誌
鈴鹿短期大学紀要 = Journal of Suzuka Junior College (ISSN:13450085)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.223-232, 2008-01-01

扎魯特旗の農牧地域の成人住民および魯北モンゴル族実験小学校において、中国・内モンゴル族の食生活状況、身体状況や身体活動状況の実態を把握することを目的に調査を行い、次のような結果を得た。1)小学生は日本人よりも成長が遅く、その後40 歳までに体重が日本人よりも重くなる。2)成人男性は100%、成人女性63.9%が高血圧であった。3)骨量・水分モニター測定では、小学生は標準体型であり、その後、骨量・脂肪量が増加して、骨太の肥満型に成長する。4)奶茶の摂取量は、1 日1ℓ~2ℓであり、他の乳製品も摂っていた。5)起床時間は4時頃であり、1日の歩数は15,000 歩以上であった。We surveyed the Mongolian food lives and their physical conditions by interviewing the Mongolian people living in Jarud qi (village) and the Mongolian pupils attending to the neighboring elementary school, Ln Bei in Neimenggu (Inner Mongolia), China. The summary of the study is as follows;1) The growing rate of the pupils in the school is rather slower than Japanese pupils but the weight of them has been increasing until they'll reach the age of forty.Most of Mongolian adults are heavier than Japanese adults.2) 100% of the male adults suffer the high blood pressures and 63.9% of the female adults suffer the high blood pressures too.3) By the measurement of their bone and moisture-quantity in their bodies, the pupils keep the normal and standard levels. But as they grow year after year, their bone and fat-uantities in the bodies increase and become fat and big-boned.4) In their daily life they take 1~2 liter of Nai Tea (milk tea) per day and also they drink lots of milk.5) They get up at around 4 o'clock early in the morning and they walk more than 15,000 strides a day.