著者
工藤 芽衣
出版者
一般財団法人 日本国際政治学会
雑誌
国際政治 (ISSN:04542215)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.202, pp.202_61-202_76, 2021-03-29 (Released:2022-03-31)
参考文献数
57

The purpose of this article is to describe international order designed by French neoliberalism through European integration and Atlanticism and its effects on the French government’s external policies.French neoliberalism was born in the late 1930s in the struggle to retrieve the credibility of liberal economy and fight against fascism and communism by searching for a third way. In most of the literature, the birth of new economic norms and new economic policy in the 1930s is explained by the emergence of Keynesian economics and economic policies, and ‘neo-liberalism’ is often placed as a contrasting concept to Keynesian policies. However, the original neoliberalism was, like Keynesian ideas, more socially oriented. After the Second World war, French neoliberals gradually lost common ground regarding economic principles, dividing between the left (neoliberals seeking a way to reconcile liberalism and socialists) and the right (trying to return to orthodox liberal economics). However, the two groups were still united as long as it concerned European integration and Atlanticism. These two ideas on the international order maintained the unity of the French neoliberalism from its birth to after the Second World War.With regard to the European integration, its support was based on the expectation that European integration become a framework to establish an ‘institutional market’ in which liberal competition was coordinated by the rules and interventions by the international institutions.The institutional market come to reality when the EEC was established in 1957 by the initiatives of the neoliberals. Not only did they develop a campaign for the Rome Treaty, they also desired for the French economy to really participate in the liberalisation processes in Europe with financial reform to contain inflation – which was finally achieved in the Rueff Plan in 1958.The influence of the Atlanticism of the neoliberals to the French external policy was limited. In 1936, when the Popular Front government adopted the devaluation of the franc as suggested by the neoliberals in the Tripatite Agreement between France, United States, and United Kingdom, this situation represented as a French decision to unite with liberal countries, denying fascism. However it was too late and the changing international circumstances made it meaningless.In the 1960s, the neoliberal’s Atlanticism was reflected in their critiques to the international monetary system centered on US dollars. Their critical attitude to the dollar did not mean their support for Atlanticism was lost, rather, they tried to consolidate the economic basis of the Atlantic cooperation by reforming the international monetary system. However, when their call for return to the gold standard was adopted by the General de Gaulle, it was used as a tool to attack Atlanticism.
著者
工藤 智司 出口 博之 友安 信 重枝 弥 兼古 由香 吉村 竜一 菅野 紘暢 齊藤 元
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.614-620, 2022-09-15 (Released:2022-09-15)
参考文献数
16

自然気胸患者におけるPS(Performance Status of Spontaneous Pneumothorax:PSSP)を新たに提案した上で,続発性自然気胸の術後合併症予測因子に関して検討した.2015年1月1日から2021年5月31日の期間に,当院で手術を行った続発性自然気胸患者に対し統計解析を行った.164例のうち,術後合併症は37例,術後死亡は3例であった.PSSP(0/1/2/3/4)の合併症率は0/8.6/27.3/56.3/66.7%,死亡率は0/0/0/6.3/33.3%であった.術後合併症の独立した危険因子として,PSSP(3-4),BMI(<16),血清アルブミン値(<3.5)に有意差を認めた.PSSP:3以上,低BMI,低アルブミンの患者で,術後合併症率が有意に高いことが示唆された.
著者
園田 正世 工藤 和俊 野澤 光 金子 龍太郎
出版者
日本生態心理学会
雑誌
生態心理学研究 (ISSN:13490443)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.183-187, 2022-05-01 (Released:2022-06-27)
参考文献数
13

ヒトの乳児は出生後すぐには自ら移動できないため,しばらくは養育者による移動に委ね,身体の発達とともに能動的で探索的な移動に変化していく.抱くことは移動を可能にするだけでなく,授乳やあやし,コミュニケーションの基底的手段である.本研究では,家庭内での抱きの生起と継続の様相を明らかにし,成長発達と日常生活のなかで抱きの意味を検討するために,出産から独立歩行までの発達が著しい生後1年間(各月1回24 時間連続)の2組の抱き時間を計測した.新生児期から計測をスタートし,A 参加者は7 時間29 分, B 参加者6 時間48 分だったが,A 参加者は12 ヶ月後に3 時間56 分まで減少し,B 参加者は7 時間33 分に増加した.抱きは移動やあやしのための行為から,家事と平行するためのおんぶや授乳中心に変化し,子の受動的な移動が減少する様子がみられた.
著者
野澤 光 沢田 護 工藤 和俊
出版者
日本生態心理学会
雑誌
生態心理学研究 (ISSN:13490443)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.167-172, 2022-05-01 (Released:2022-06-27)
参考文献数
6

本稿では,氷上コースを走行する,熟練ドライバーと初級ドライバー2 名の眼球運動と頭部運動を,アイトラッカーにより検証した.2 名の眼球運動を,周波数スペクトラム,平均相互情報量,再帰定量化解析によって評価した結果,熟達者の水平面の眼球運動は,初級者と比較して,より多く低周波数成分を含んでおり,およそ1~1.5 秒周期の自己相関を示す,周期的な運動パターンを示していた.また,カーブ走行時の2 名の頭部運動を検討した結果,熟達者は,およそ3.9~4.2秒周期で頭部を左右に切りかえす運動パターンを示していた.これらの結果は熟達者が,ハンドル操作 - 頭部旋回 - 眼球運動という複数の運動を組みわせることによって,知覚に再帰的な時間構造を埋め込んでいたことを示している.こうした熟達者の知覚の再帰性は,氷上コースでの外乱や不確実性に適応するための,制御方略である可能性がある.本稿の結果は,熟達ドライバーの知覚が,結果として系全体を安定させる,能動的で再帰的な振る舞いの中に埋め込まれて実現していたことを示唆している.
著者
工藤 龍太
出版者
一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.681-700, 2016 (Released:2016-12-14)
参考文献数
58
被引用文献数
1 1

The present study aimed to clarify the inception and development of Kenji Tomiki's technical theory of budo during the pre-war Showa era, focusing particularly on the succession of Jigoro Kano's concept of judo as a martial art. The main points are summarized as follows:  A letter written by Tomiki in 1928 reveals that he was interested in the comprehensive combat techniques of Ueshiba's aikijujutsu including the use of bare hands and weapons. Tomiki considered that devotees of budo should practice a comprehensive range of techniques from bare-handed combat to the use of weapons. While he mainly succeeded to shobu (martial arts) under the systematic judo theory of Kano, he also thought it possible to overcome the problems inherent to taiiku (physical education), shushin (development of the spirit), and ishinho (methods to ease the spirit) by studying aikijujutsu. The starting point of Tomiki's theory was to emphasize the kata training that simulated various situations in actual combat.  During the prewar period, Tomiki tried to ascertain the fundamental principles of ken-no-ki (ki of the Japanese sword) and ju-no-ri (the principle of flexibility). These principles made it possible to complement the principle of judo as seiryoku-zenyo (most efficient use of energy) that Kano had proposed technically.  In 1942, Tomiki published a research article entitled “The systematic study of techniques while maintaining distance in judo: The principles of judo and the techniques of Aiki-Budo”. In the article, he tried to present consistency between randori and these techniques while maintaining distance in judo, then established 6 fundamental laws of martial arts, including kendo, a system for education in these techniques, and the 12 basic kata.  The consistent points of Tomiki's theory of budo in the pre-war era were to understand the strong and weak points of each competitive budo and kata, and the importance of kata. Although the emphasis on atemi-waza in Tomiki's theory had points in common with the combative techniques of school budo during the interwar period, Tomiki was really interested in overcoming the disadvantages of judo for sport based on Kano's concept of judo as a martial art. Tomiki mainly inherited the latter, and criticized competitive judo.
著者
古橋 勉 新田 博幸 工藤 泰幸 真野 宏之
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.68, no.7, pp.821-826, 1999-07-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
9

液晶ディスプレイは,薄型,軽量,低消費電力が特徴であることから,ノートPCなどの表示装置として広く採用されてきている.現在では,対角画面サイズが15インチ以上,解像度が1024×768画素以上の大画面,高精細液晶ディスプレイが各社から製品化されてきている.これに伴い,液晶モニターという新しい市場も拡大してきている.本文では,この液晶ディスプレイの駆動方式と駆動回路ならびに高速伝送技術に関して解説する.
著者
工藤 大介 内田 雄介
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

ビジョントレーニングの効果を定量的に評価するため、バイオマーカーの導入を検討した。指標としてBDNF(Brain-derived neurotrophic factor;脳由来神経栄養因子)を用いた。自作装置で動体視力を測定、トレーニング前後の被験者の血清、血漿BDNF濃度を測定し、動体視力との相関を調べた。結果、トレーニング前後での血清および血漿BDNF濃度は、血清では増加したが血漿では減少し、統計的に有意であった。動体視力との有意な相関は認めなかった。(第119回日本眼科学会総会発表;2015年4月)トレーニング前後で変化することから、BDNFはバイオマーカーとして利用出来る可能性がある。
著者
小関 忠樹 関口 航 押野 真央 竹村 直 齋藤 佑規 吉田 海斗 工藤 大輔 髙野 圭太 神 将文 仁藤 充洋 田辺 茂雄 山口 智史
出版者
Japanese Society for Electrophysical Agents in Physical Therapy
雑誌
物理療法科学 (ISSN:21889805)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.55-64, 2022 (Released:2022-08-20)
参考文献数
39

体表から脊髄を刺激する経皮的脊髄直流電気刺激(tsDCS)と神経筋電気刺激(NMES)の同時刺激は,中枢神経系を賦活することで,脳卒中後の歩行能力を改善する可能性があるが,その効果は不明である.本研究では,同時刺激が健常成人の皮質脊髄路興奮性に及ぼす影響(実験1)と脳卒中患者の歩行能力に与える影響(実験2)を検討した.実験1では,健常者12名に対して,同時刺激条件,tsDCS条件,NMES条件を,3日以上間隔を空けて20分間実施した.介入前後で前脛骨筋の皮質脊髄路興奮性変化を評価した.実験2では,脳卒中患者2名にNMES単独条件と同時刺激条件の2条件を3日ずつ交互に繰り返し,計18日間実施した.結果,実験1では,同時刺激条件で介入後15分,60分の時点で有意に皮質脊髄路興奮性が増大した(p<0.05).実験2では,同時刺激は歩行速度と歩数を改善しなかった.tsDCSとNMESの同時刺激は,健常者の皮質脊髄路興奮性を増大するが,脳卒中患者の歩行能力に対する効果はさらに検討が必要である.
著者
吉野 正敏 工藤 剛彦 星野 光子
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.205-210, 1973-03-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
7
被引用文献数
2 1

えられた結果を要約すると次の通りになる. 1) 海風の開始時刻は,夏は10時(±1時間)で,その他の季節は12~13時のことが多い.しかし,季節変化は比較的小さい.終了時刻は,18時以降で夏に遅く23~24時になり,季節変化が比較的大きい. 2) 風向が陸風から海風に移行するとき,または海風から陸風に移行するときは, 1~2時間の移行時間がある場合が多い.どちらが長いかは,地点により異なる. 3) この移行時間の風向は,陸風から海風へ,または海風から陸風へ時計廻りに連結する風向である. 4) 海風と陸風の風速を比較した場合,海風の方が強い.春~夏における最大風速では,海風を1とすると陸風はほぼ0.7~0.8倍の強さである. 5) 海風の風速の最大は13~16時ごろ現われる.しかし午前に極大がでるところもある.陸風には,海風ほど顕著に現われる時間帯がない. 6) 夕なぎは明らかで海風の最強時の1/2~1/3の風速に弱まる.朝なぎは明らかでない. 7) 日の出後で,しかも陸風の終るころ, 8~10時に風速の極大がでることがある. 8) 海風の風速,安定した風向の出現からみると,海風が明らかに発達するのは, 4月から10月までである.
著者
工藤 優
出版者
公立大学法人 国際教養大学専門職大学院グローバル・コミュニケーション実践研究科日本語教育実践領域
雑誌
国際教養大学専門職大学院グローバル・コミュニケーション実践研究科日本語教育実践領域実習報告論文集 (ISSN:21853983)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.84-100, 2013-09-30 (Released:2017-12-08)

本稿は,教育実習を通して課題となった訂正フィードバックについて論述する。秋実習と冬実習の反省から,春実習は,インターアクションを行いながら誤用の訂正が可能な暗示的フィードバックを効果的に行うことを目標とした。その結果,コミュニケーションの流れを中断せずに学習者とインターアクションを実現することができた。その一方で,筆者の訂正に学習者が気付かない,または気付いても正用を認識していない例などがみられた。改善案として,声のトーンを変えたり,明示的フィードバックを使用したりすることで,より効果的な訂正フィードバックが与えられると考えた。また,リキャスト以外にも,誤用の部分を教師が繰り返すことで誤りに気付かせる方法や,学習者の誤用をプリントにまとめたクラスフィードバックも有効であることが分かった。
著者
早野 駿佑 長沼 篤 岡野 祐大 鈴木 悠平 椎名 啓介 吉田 はるか 林 絵理 上原 早苗 星野 崇 宮前 直美 工藤 智洋 石原 弘 小川 晃 佐藤 賢 柿崎 暁
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.113, no.5, pp.828-836, 2016-05-05 (Released:2016-05-05)
参考文献数
23

51歳女性.混合性結合組織病(MCTD)治療中,肝に径10~40mmの多発結節を認めた.限局性結節性過形成(FNH)が疑われたが,肝生検で結節性再生性過形成(NRH)様結節をともなう特発性門脈圧亢進症(IPH)と診断した.NRHなどの良性肝細胞性結節は,共通の原因を基礎に発生する類縁疾患で,近年門脈域形成異常症候群と呼ばれる.MCTDにNRH様結節をともなうIPHの合併はまれであり,今回報告する.
著者
上田 拓弥 工藤 卓
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第34回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.126-129, 2018 (Released:2019-01-09)

自身の手が見えない環境て?ラバーハンドと本身の手を同期的に触刺激すると,ラバーハンドが自身の手のように感じるラバーハンドイリュージョン(Rubber hand illusion,RHI) は身体的感覚か?外界のものに寄託する現象である.本研究では,自作した延長可能なラバーハンドを用いて,視覚と触覚の同時に刺激によるRHI を行った.また,実験後に回答して貰った内観報告書と,国際式 10-20 法によるC3とC4 の電極位置における脳波の相関値,橈側手根屈筋の筋電位計測からRHIの強度を客観的に評価した.その結果,RHIの誘導試行を繰り返すことによって,C3-C4の脳波パワーの相関値と内観報告書のRHI関連スコアの上昇か?みられ,RHI に積算性がることか?示唆された.また,試行回数が多い場合はラバーハンドの長さが2 m を越えてもRHI の発現か?確認された.興味深いことに内観報告書にて RHI の発現を感し?ないと報告するものて?も,脳波の相関の上昇や,回避行動か?確認され,非自覚の RHI 発現か?ある可能性か?示唆された.
著者
飛田 勇輝 山本 剛 工藤 俊明 湯本 貴文
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.140-146, 2022-05-16 (Released:2022-05-20)
参考文献数
12

令和 2 年12月,小林化工株式会社が製造販売する経口抗真菌薬イトラコナゾール錠50mgに睡眠薬原料が混入し,多数の健康被害が発生した.本件を皮切りに,多数の医薬品製造業者において医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律からの違反が発覚.我が国における医薬品の品質に対する信頼を大きく損なうこととなった.厚生労働省は,このような状況を踏まえ,多角的な観点から再発防止策を講じている.
著者
都丸 亜希子 登田 美桜 工藤 由起子
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.109-116, 2022-06-25 (Released:2022-07-21)
参考文献数
43

1998年から2020年に国内で発生したヒスタミン食中毒事例の傾向を解析した結果,ヒスタミン食中毒は毎年発生し,1年あたりの平均事例数は9.7件,患者数は195.3名であった.施設別による事例数は,飲食店が最も多く,患者数では給食施設が最も多かった.食中毒の原因となった魚種は,マグロ,カジキおよびサバが主であった.文献情報調査の結果,国内に流通する魚種から単離されたヒスタミン生成菌は,23属であり,最も報告が多かった菌種は腸内細菌科であるMorganella morganiiであった.また,海洋性細菌であるPhotobacterium damselaeの報告も多かったが,低温性のMorganella psychrotoleransやPhotobacterium phosphoreumの報告もみられた.

1 0 0 0 OA 人権と基本権

著者
工藤 達朗
出版者
中央ロー・ジャーナル編集委員会
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.105-111, 2016-06-30