著者
寺谷内 泰 五十嵐 豊 生天目 かおる 平野 瞳子 溝渕 大騎 中江 竜太 横堀 將司
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.202-206, 2022-12-28 (Released:2022-12-28)
参考文献数
7

抗melanoma differentiation-associated gene (MDA) 5抗体陽性皮膚筋炎は, 予後不良な急速進行性の間質性肺炎を高頻度に合併する。今回, 当施設で経験した2例を報告する。症例1 : 44歳, 男性。呼吸苦を自覚し救急要請した。検査の結果, 重症肺炎と診断し, 人工呼吸器および体外循環管理を開始した。その後, 抗体陽性の判定を受けステロイド, シクロホスファミドによる加療を行ったが, 救命には至らなかった。症例2 : 68歳, 女性。倦怠感を自覚して近医を受診し, 肺炎像があったため入院した。その後, 呼吸不全が増悪し人工呼吸器管理を開始した。抗体陽性の判定を受け, ステロイド, シクロホスファミド, タクロリムスによる加療を行ったが救命には至らなかった。重症呼吸不全で新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) を疑うような画像所見を呈する症例では本疾患も鑑別疾患としてあげられる。
著者
平野 滋
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.121, no.1, pp.1-7, 2018-01-20 (Released:2018-02-07)
参考文献数
37
被引用文献数
1

日本は先進国の中でも最たる超高齢社会であり, 65歳以上の高齢者はすでに人口の4分の1で, 20年後には3分の1になるといわれている. 高齢化とともに成人病をはじめとする疾病罹患率は増加し医療費は増加の一途である. 医療費の抑制と健康増進のためアンチエイジングが脚光を浴びており, 声に関しても健康維持あるいは社会貢献の観点からアンチエイジングのよいターゲットとなる. 加齢による音声障害は往々にして仕事からの離脱, 社交場からの隔離に繋がり, 国民生産性の低下へと繋がりかねないからである. 声の老化は声帯レベル, 呼吸機能, 共鳴腔レベルで起こり, 包括的対処が必要である. 声帯のケアと維持は最も重要であり, 声の衛生はもとより, 積極的な声帯維持のために, 歌唱や機能性表示食品である抗酸化食品が効果的であることがエビデンスレベルで確認されてきた. 加齢声帯萎縮になった症例においては, 音声機能拡張訓練を代表とする音声治療である程度の効果が確認されているが, 重度の声帯萎縮に対しては塩基性線維芽細胞増殖因子を用いた声帯再生医療が効果を上げている. ヒトが健康寿命を保つために声の維持は重要であり, また, 声帯の維持は嚥下機能の維持にも繋がることが期待される.
著者
木村 五郎 赤木 博文 岡田 千春 平野 淳 天野 佳美 大村 悦子 中重 歓人 砂田 洋介 藤井 祐介 中村 昇二 宗田 良 高橋 清
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.628-641, 2012-05-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
25

【背景・目的】Lactobacillus acidophilus L-55 (L-55株)には,マウスアレルギーモデルに対する症状緩和効果が認められている.そこでL-55株含有ヨーグルト飲用による,スギ花粉症臨床指標への影響について検討した.【方法】スギ花粉症患者にL-55株含有ヨーグルト(L-55ヨーグルト群, n=26)あるいは非含有ヨーグルト(対照ヨーグルト群, n=26)を花粉飛散時期を含む13週間飲用してもらい,症状スコア,症状薬物スコア,IgE抗体について検討した.【結果】L-55ヨーグルト群の総症状スコアと症状薬物スコアは,対照ヨーグルト群より低い傾向が認められた.特に治療薬併用例(n=23)では, L-55ヨーグルト群の花粉飛散後第5週の総症状スコア,第4週の咽喉頭症状スコアおよび第1週の総IgEの変化比が有意に低値であった.【結語】L-55株はスギ花粉症に対する緩和効果を有し,治療薬の併用により効果的に症状を軽減,あるいは使用薬剤を減量することが期待された.
著者
平野 浩
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.60-72, 2011 (Released:2017-06-12)
参考文献数
25

本稿は,2009年衆院選の前後に実施された2波の全国パネル調査データに基づき, この選挙時におけるメディアへの接触が有権者に対してどのような影響を及ぼしたのかを明らかにし,それを通じてメディアと選挙との今日的関係について考察することを目的とする。分析の結果,(1)政治的知識への効果に関しては,特定のテレビ番組や対人ネットワークが知識の3次元のすべてにプラスに働くのに対し,新聞やインターネットの効果は限定的である,(2)メディア接触は内閣への業績評価・期待,政党リーダーへの感情に対しては一定の影響を及ぼしているが,経済状況認識や争点態度に対する影響は僅かである,(3)投票方向に対するメディア接触の影響は,一部のテレビ番組視聴を除いてほとんど見られない,などの点が明らかとなった。これを受けて,メディアの影響力に関する有権者の実感と上記の知見との架橋について考察する。
著者
増田 敏充 平野 秀樹
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.66, no.12, pp.568-571, 2018-12-20 (Released:2019-12-01)
被引用文献数
1

ドラフトチャンバーは実験作業で使用する最も一般的な排気フードの1つである。古くから実験室で一般的に使用されている装置であり,排気と言う目に見えない機能を主とする装置であるがゆえにその進化,進歩があまり理解されていない部分がある。実際の製品を例にそれを説明することで,より良い実験環境の構築の一助としたい。
著者
岐部 智恵子 平野 真理
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.8-10, 2020-04-21 (Released:2020-04-21)
参考文献数
8
被引用文献数
1 4

This study developed the Japanese version of the Highly Sensitive Child Scale for Childhood (HSCS-C) and tested its validity and reliability. Data were collected from 400 dyads of primary school children (third to sixth grades: Mage = 9.75 years, SD = 1.22; male = 48.5%) and their mothers (Mage = 41.00 years, SD = 5.05). Two factors were found: the first was the conjunction of Ease of Excitation and Low Sensory Threshold, and the second was Aesthetic Sensitivity. A bivariate correlation analysis indicated that children’s sensory processing sensitivity, measured with HSCS-C, was associated with self-reported empathy and mother-reported temperaments, with both forms being distinct. The internal consistency was found to be satisfactory.
著者
上野 雄己 平野 真理 小塩 真司
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.89.17323, (Released:2018-09-20)
参考文献数
34
被引用文献数
12 10

This study aimed to examine the relationship between resilience and age in Japanese adults. Participants were Japanese adults (N = 5,143; 3,078 men and 2,065 women, mean age = 49.62 years, SD = 10.76, age range = 20–69 years). They responded to the Bidimensional Resilience Scale, examining innate and acquired factors of resilience. Hierarchical multiple regression analysis was conducted, and the results indicated a linearly increasing trend for resilience with age in acquired resilience factors that are strongly related to character. Additionally, a linearly increasing trend with age was also indicated in innate resilience factors that are strongly related with temperament. A significant correlation was observed with the squared term of age, suggesting a curvilinear relationship. These results suggest that resilience in Japan increases with age, which corroborates the findings of previous international studies; however, the status of age-related changes differs slightly based on whether the resilience factors are innate or acquired.
著者
平野 隆
出版者
慶應義塾福澤研究センター
雑誌
近代日本研究 (ISSN:09114181)
巻号頁・発行日
no.6, pp.185-212, 1989

一 プロローグ : 財界の形成二 新興企業家による財界イニシアティプの模索 : 東京商法会議所の生成(一八七八 - 八一年)三 新興企業家と政府、在来商人の対立(一八八一 - 八三年)四 諸勢力の妥協 : 東京商工会への改組(一八八三 - 九一年)五 エピローグ : 近代経営者団体への胎動
著者
平野 篤
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

生体内に取り込まれたナノ粒子はタンパク質と相互作用して「タンパク質コロナ」と呼ばれる複合体構造を形成することが知られている。安全なナノ粒子の開発にはタンパク質コロナの物性の解明が必須である。当該研究ではカーボンナノチューブおよび荷電性のホモポリペプチドをそれぞれナノ粒子とタンパク質のモデルとして利用し、タンパク質コロナの形成に関する基礎知見を得た。特にポリアルギニンがカーボンナノチューブへ強く結合するという知見は、ナノカーボン材料のタンパク質コロナ形成におけるアルギニン残基の重要性を示唆するものであり、芳香環を有するナノ粒子全般におけるタンパク質コロナの形成機構の理解にもつながる成果となった。
著者
平野 聖 石村 眞一
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.55-64, 2007-09-30
被引用文献数
2

本論では,扇風機のデザインの歴史を研究することを通じ,我が国家庭電化製品のデザイン開発における特徴を解明する一助としたい。明治,大正時代の史料を調査することにより,以下のことが判明した。明治時代には,先進国から我が国へ輸入された製品が,扇風機を普及させる中心的役割を果たした。欧米では,天井扇の需要が大いにあったが,我が国においてはほとんどなく,卓上扇風機を中心に開発が進められた。我が国における職人の能力は高度であった為,欧米から導入された技術を受容できる余地があった。当初は町工場も扇風機を製造していたが,やがて財閥系の大企業が製造を独占するようになる。大正時代に入ると多くの大企業が扇風機製造に進出し,各社の宣伝活動が盛んになった。大正時代前半には,扇風機のデザインにおける基本的な4つの要素が出揃った。すなわち,黒色,4枚羽根,ガード,首振り機能である。扇風機は高価であったので,大半の人々は扇風機の貸付制度を利用していた。その結果,扇風機はステイタスシンボルとして機能した。
著者
平野 葵
出版者
北海道大学文学研究科
雑誌
研究論集 (ISSN:13470132)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.105-116, 2014-12-20

本稿は、村上春樹『ねむり』の主人公「私」と、作中で「私」が読むレフ・トルストイの『アンナ・カレーニナ』に登場する女性たちとを、母/娘/妻としての側面を中心に比較・検討することによって、これまで女性表象に関して批判されることの多かった村上作品における、『ねむり』の位置づけ及び評価を行うものである。『ねむり』の語り手であり、息子を持つ専業主婦の「私」が直面する母性愛の揺らぎと沈黙、そして彼女が迎える暗い結末は、社会が敷いた暗黙の規範から逸脱してしまった女性の、その出口のない苦悩と恐怖とを表している。村上春樹の初期作品では、視点人物の男性には見抜けない不透明な沈黙として女性の問題が描かれており、問題そのものよりもその不可視性の深刻さを提示する傾向にあった。しかし近年の作品では、女性視点を導入し、女性に対する家庭内暴力や性暴力や、妊娠・出産などの母性に関わる問題を、可視的に描く方向へと変化している。この小説では、語り手である女性が、自身の母性愛の揺らぎを吐露しており、『ねむり』(当時は「眠り」)が発表された時期やその前後の作品の傾向から、前述の変化の転換点に位置する作品として捉えることができる。しかし手法の変化を経つつも、村上作品は処女作『風の歌を聴け』から近年の長編小説である『1Q84』『色彩を持たない多崎つくるや、彼の巡礼の年』に至るまで、初期から現在まで継続して母娘関係や母性にまつわる物語を描いてきたのであり、そしてこの『ねむり』という小説は、不眠や悪夢という極めて非現実的な設定を用いることによって、母/娘たちが抱える非常に現実的な問題を抉り出した、現代社会のアレゴリーとして機能しているのである。
著者
西部 均 平野 昌繁
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.75, no.7, pp.479-491, 2002-06-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
39

兵庫県南部地震による市街地被害の数量的評価のため,神戸市兵庫区・中央区の応急修正版住宅地図に基づいて震災被害率を計算した.家屋の被害には1950年の建築基準法施行が最も大きく影響していると考え,米軍空中写真を利用して市街地の戦災状況を判別し,震災被害と戦災状況を比較した.その結果,震災被害率は戦災の程度が大きいほど小さくなる関係にあることが確認された.その関係性を踏まえた上で,さらに1万分の1地形図を利用して震災被害率の空間分布の方位特性を分析した.その結果,戦災を免れた地区ばかりでなく,活断層に沿う部分でも被害が大きいことも判明した.このように空間的に市街地被害を評価することで,被害分布図のみでは判定しがたい家屋特性と活断層という被害要因の相乗効果を明確化することが可能となった.
著者
毛利 数馬 平野 砂峰旅 片寄 晴弘
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2019論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.410-412, 2019-09-13

ライブ演奏においてギタリストの多くがエフェクタによる音色の操作を行うが、通常用いられるペダルやノブでの操作では視覚的な演出が制限されるという課題がある。本研究ではステージでの視覚的な演出を考慮し、ジェスチャによりエフェクトの切り替えやパラメータ制御を行う機構を構成する。ライブ演奏用途においては、ミュージシャンの思考の妨げとならないUIの提供と時間的に厳格なジェスチャ認識が求められる。ジェスチャの予備動作への着目、wekinatorの利用によって、これらの課題の解決に当たる。