著者
新井 幸子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.315-321, 2001-10-25 (Released:2010-07-16)
参考文献数
38
被引用文献数
3 2

The purpose of the present study was to clarify the effects of positive ideal-real self discrepancy, negative ideal-real self discrepancy, and irrational belief on self acceptance. A total of 464 university and vocational school students, an average of 21.1 years old, participated. Results confirmed the prediction that the smaller the positive ideal-real discrepancy, and the larger negative ideal-real discrepancy, the higher is the self acceptance score. It was also found that the effects of the positive ideal-real self discrepancy depended on the intensity of irrational belief, and the belief was thus a moderator of the effect. On the other hand, the intensity of irrational belief did not moderate the effect of negative ideal-real self discrepancy. Finally, the findings were discussed in relation to the effectiveness of psychotherapeutic and counseling efforts to enhance self acceptance.
著者
金山 剛 大平 雄一 新井 由起子 小園 広子 千代 憲司 植松 光俊
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.F3P3581-F3P3581, 2009

【目的】高気圧・高濃度酸素セラピー(以下、酸素セラピー)は、溶解型酸素を効率よく体内へ吸収し、毛細血管まで酸素供給が可能なことから、疲労回復など様々な効果があることが知られている.実際にアスリートからモデルなど数多くの人に実施されており、その効果がメディアなどで報道されている.しかし、これらを定量的な指標を用いて検討した報告は少ないのが現状である.本研究では、酸素セラピーによる血圧、脈拍、視力の変化について検討することを目的とした.<BR>【方法】対象は当センターにて酸素セラピーを実施した88名(男性45名、女性43名)、平均年齢42.3±13.5歳とした.平均実施期間は11.3±35.3日、1ヶ月の平均利用頻度は1.2±2.8回であった.事前に十分に説明を行い、同意を得た上で実験を開始した.<BR> 酸素セラピーには、高気圧・高濃度酸素カプセル(Take Heart社製CocoonO2)を用いた.1回の実施時間は60分とし、実施肢位は背臥位とした.開始より10分かけてカプセル内の気圧を1.2気圧まで上昇させ、終了5分前から5分かけてカプセル内の気圧を通常気圧まで減圧した.評価項目は収縮期血圧、拡張期血圧、脈拍、視力とした.測定手順は、酸素セラピー開始前は血圧及び脈拍数、体組成(体重、体脂肪率、基礎代謝量)、視力の順に計測し、酸素セラピー終了後は視力、体組成、血圧及び脈拍数の順に計測した.測定においては特に休息時間などは設けなかった.<BR> 統計処理は、1~5回目の酸素セラピー実施前後比較にpaired t-test、Wilcoxon signed rank testを用いた.また、1回目の酸素セラピー実施前と5回目の酸素セラピー実施後の比較も同様の処理をした.各指標における酸素セラピー実施前の値と酸素セラピー実施前後での変化量の関係についてピアソンの相関係数を用い、有意水準は全て5%とした.<BR>【結果】収縮期血圧は3回目のみ、酸素セラピー実施後に有意に低下した.拡張期血圧は全てにおいて有意な変化は認められなかった.脈拍は1,2,4,5回目において、酸素セラピー実施後に有意に低下した.視力は1回目の酸素セラピー実施後と、1回目と5回目の比較において有意な改善が認められた.酸素セラピー実施前の値と酸素セラピー実施前後での変化量の関係については、全ての指標において有意な負の相関関係を認めた.<BR>【考察】脈拍数は酸素セラピー実施後低下することが明らかとなり、酸素供給の増加やリラクゼーション効果によるものと推察される.視力においては1回目の実施で改善し、その効果が5回目まで維持されていた.この事は、眼は脳とならんで毛細血管に富んでおり、酸素セラピー実施での溶解型酸素の増加による効果であると考えられる.また、血圧及び脈拍は実施前の値が高い者程低下しやすく、視力は実施前の値が低い者程改善しやすい事がわかった.
著者
新井 敏康
出版者
科学基礎論学会
雑誌
科学基礎論研究 (ISSN:00227668)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.91-99, 2007-03-25 (Released:2010-02-03)
参考文献数
24

D. Hilbert raised the problem to prove consistency of formalized mathematics. In this paper I will expound its background and the status quo of the consistency proofs. First let me explain the intended significance of proving consistency, and a background idea to divide mathematical objects in two, i. e., transfinite/finitary objects. Next I will discuss impacts of the incompleteness theorems to the problem and their interpretation. Finally let me give sketches of the practice of the consistency proofs due to G. Gentzen et al. and their significance, and the present state of the consistency proofs.
著者
内海 雄思 井関 栄三 村山 憲男 一宮 洋介 新井 平伊
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.615-619, 2010-06-01

はじめに インフルエンザは伝染力が強く,特に65歳以上の高齢者,乳幼児,免疫低下状態の患者,糖尿病など慢性代謝性疾患の患者を含むハイリスク群では,重篤な合併症を引き起こして死亡する危険が増加する。インフルエンザ感染の予防にはインフルエンザワクチンの接種が有効とされ,毎年流行が予想されるインフルエンザウイルスに対してワクチンが製造されている。インフルエンザワクチンには,ハイリスク群がインフルエンザに罹患した場合,肺炎など重篤な合併症の発症を抑え入院・死亡などの危険を軽減する効果が認められており1),社会の高齢化が急速に進んでいるわが国でも,厚生科学研究の結果2)をもとにインフルエンザワクチンの接種が推奨されている。 インフルエンザワクチンは1971年以前には全粒子ワクチンが使用されていたが,1972年からは精製したウイルス粒子をエーテルによって部分分解した不活化ワクチンが登場した。これに伴い発育鶏卵の品質管理,精製技術の改良や発熱物質の除去などの技術的進歩によって,発熱や神経系の副作用は大幅に減少した。しかしながら,極めて稀ではあるが,Guillain-Barre症候群(Guillain-Barre syndrome:GBS)やacute disseminated encephalomyelitis(ADEM)など自己免疫機序が推定される脳神経障害を生じて後遺症を残す例も報告されている3,4)。 今回われわれは,インフルエンザワクチン接種後に単純ヘルペスウイルスによると考えられる辺縁系脳炎をきたした症例を経験した。インフルエンザワクチン接種後に生ずる脳神経障害は重篤な後遺症を残しかねず,最悪の場合死に至ることもある。これらを未然に防ぐためにも,インフルエンザワクチン接種後の副作用の発症機序を個々の症例ごとに検討することは重要である。
著者
新井 竜治
出版者
共栄学園短期大学
雑誌
共栄学園短期大学研究紀要 (ISSN:1348060X)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.11-35, 2009-03-31
被引用文献数
1

平成15年度から19年度にかけて本学住居学科に在籍してインテリアの学びを志した学生に対する、インテリア関連の資格取得支援によって、多くの学生が在学中に希望する各種公的民間資格を取得することができた。特にこの間、インテリアコーディネーター資格試験という超難関の資格試験に合格して、在学中に学生インテリアコーディネーターになって卒業した学生を5名輩出できたことは大きな成果であった。そこには、学生本人の明確なモチベーション、信頼度が高く効率的なカリキュラム、一人一人に向かい合う指導姿勢が存在していた。しかしながら、難度の高い資格を取得できずに卒業した学生も大勢いたことも事実である。そこには、学生本人が培ってきた基礎学力の差という問題があった。この基礎学力は高校時代までに培うべきものであるが、昨今は入学時の学力不足問題もあることから、短大教育における専門教育と共に、幅広い基礎教養教育も重要である。
著者
宮下 純夫 新井 孝志 長橋 徹
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.47, pp.307-323, 1997-04-24
被引用文献数
17

北海道中央部を構成する日高帯には, 周囲の砂泥質堆積岩と同時期に形成された現地性緑色岩が多数分布している。これらは, 日高帯西縁のイドンナップ帯, 日高帯西部, 日高帯東部の3帯の緑色岩に区分される。年代は, イドンナップ帯のものが白亜紀中頃, 日高帯西部は後期白亜紀後半, 日高帯東部は古第三紀暁新世-始新世と推定される。緑色岩の全岩組成はいずれもN-MORBの特徴を示す。これらは, イドンナップ帯においてはユーラシアプレートとイザナギ-クラプレートとの洩れ型トランスフォーム境界, もしくはイザナギ-クラ海嶺, 日高帯西部については沈み込み境界に対して高角な海洋プレート内の洩れ型トランスフォーム断層, 日高帯東部についてはクラ-太平洋海嶺に由来すると推定される。日高帯は, 後期白亜紀後半から古第三紀にかけて海嶺の多重衝突を経験した特異な付加体で, 日高火成・変成作用の発生によりこの付加体は大陸性地殻へと転化した。これは, 海嶺の相次ぐ衝突による付加体深部の異常な温度上昇, 大量の陸源砕屑物の供給による付加体の急激な成長, 東側から古千島弧が接近してきたなどの複合によっていると考えられる。
著者
町田 洋 新井 房夫
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.88, no.5, pp.313-330, 1979-10-25 (Released:2009-11-12)
参考文献数
49
被引用文献数
45 27

The eruptions of the Daisen Valcano (35°22'N, 133°33'E) were mainly rhyodacitic and of the paroxysmal type, producing several extensive sheets of tephra. The Kurayoshi pumice (DKP, for short), one of the excellent Late Pleistocene markers arising from the Daisen valcano, is rhyodacitic in composition with abundant hornblende and orthopyroxene crystals and relatively small amount of biotite. Its identification can be made from the above mentioned mineral assemblages as well as from the characteristic refractive index of orthopyroxene (γ=1.703-1.708) and of hornblende (n2 = 1.673-1.682) and the specific crystal habit of orthopyroxene. This pumice-fall deposit occurs on marine and fluvial terraces in the San'in and Hokuriku districts facing the Japan sea and extends eastward beyond the Northern Japan Alps to north Kanto plain as a thinner discontinuous layer. Stratigraphic relation with the dated tephra layers in north Kanto indicates that the pumice was probably deposited between about 47, 000 and 45, 000 years ago. That is, this pumiceous deposit is found at the intermediate horizon between Yunokuchi Pumice (UP, slightly younger than 49, 000 YBP) and Hassaki Pumice (HP, 40, 000-44, 000 YBP) in north Kanto, about 500 km far from the Daisen.Daisen Kurayoshi Pumice wonld be particularly valuable for establshing chronological framwork as a fundmental time-marker in arears where no suitable markers have yet been documented. Moranic deposit of the Murodo glacial advance at Mt. Tateyama, Northern Japan Alps, is mantled by this marker and overlies the Raicho-dai pumice-fall deposit, products of the earliest stage of volcanic activity of Tateyama III, which is correlated with the Omachi EPm deposit approximately 60, 000 years old. Distribution of these two unreworked tephras indicates that major valley glaciers had nearly disappeared by the times of these initial tephra falls. The glacial advance at Mt. Tateyama, the most extensive of the advances during Last Glacial age, therefore, apparently culminated between about 55, 000 and 50, 000 years ago. On the other hand, a filltop terrace repesented by Uwadan terrace along the River Joganji flowing from Mt. Tateyama, is covered by DKP and is nearly younger than the pyroclastic flow deposit of Tateyama III. Accumulation of the river of Uwadan stage is, therefore, simultaneous and probably associated with the Murodo glacial advance.
著者
新井 皓士
出版者
一橋大学
雑誌
一橋論叢 (ISSN:00182818)
巻号頁・発行日
vol.125, no.3, pp.205-223, 2001-03-01
被引用文献数
2

論文タイプ||論説
著者
高島 永光 高本 徹也 斎藤 和行 新井 聖 阿部 隆夫
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.3-10, 2013-02-10 (Released:2013-02-13)
参考文献数
10

インクジェットプリンタに要求される重要課題の一つは,長期間において不連続に印刷を行った際にインクの吐出不良を生じないことである.ところが,コンシューマー用インクジェットプリンタにおいて,吐出不良が製品寿命より遥かに短い段階で見られ,商品の長期信頼性の観点から大きな問題を有していた.吐出不良の原因として,プリントヘッドのインク流路内に存在する小さなサイズの気泡が,インク流路内に滞留している間に大きなサイズに成長し,インク流路幅を狭めてインク流量が減少することが知られている.筆者らは,そのことがノズル穴から適正なインク滴の飛翔しない現象に結び付き,インクの吐出に悪影響を与えるだろうと考えた.この問題を解決するために,インク流路を構成する新たな樹脂材質と流路構造を開発した.材質として酸素と水蒸気ガスに対する高バリア性を付加し,流路構造として流路にバイパスとなる数個の溝と,小さいままの気泡を流路中心部へ導くリブを設置した.この解決策により,インク流量が長期間にわたって減少せず,気泡成長にかかる期間が長期化することを明らかにした.この手段により,吐出不良の発生が減少する.
著者
新井 隆介 大窪 久美子
出版者
JAPANESE SOCIETY OF REVEGETATION TECHNOLOGY
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.142-147, 2014
被引用文献数
1

岩手県では半自然草原群落が急速に減少しているため,本研究では残存する群落と過去の群落の種構成を比較することにより,半自然草原群落の適切な保全策について検討することを目的とした。その結果,残存する群落はススキ優占型MsI型とMsII型,シバ優占型ZjI型とZjII型の4 群落に分類された。過去に記録されたススキ群落は,本研究におけるシバ優占型の出現種と一部共通していた。過去のススキ群落の管理条件から,この群落の成立には春季の火入れと秋季の刈取り管理が重要であったと考えられた。さらに残存する群落では遷移進行が確認され,その保全には刈った草木を群落外に搬出する管理条件の改善が急務であると考えられた。
著者
新井 宏嘉
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.108, no.9, pp.575-590, 2002-09-15 (Released:2008-04-11)
参考文献数
85
被引用文献数
5 5

関東山地北縁部,跡倉ナップを構成する上部白亜系跡倉層には共役雁行脈が発達する.これを用い,跡倉層中の古応力場を解析した.雁行脈はその形態的特徴により,個々の脈が相似褶曲の形態を呈し,尖端が他の機械的異方面に連続しないもの(Aタイプ)と,Aタイプに比べて規模が大きく,個々の脈がシェブロン褶曲の形態を呈し,尖端が節理に連続するもの(Bタイプ)の2つに区分される.共役雁行脈はAタイプにのみ認められる.Aタイプは主に石英および緑泥石からなり,脆性-延性剪断帯で形成された.Bタイプは方解石および石英を主とし,節理形成後の開口で形成された.共役雁行脈から求めた古応力場は,最大圧縮主応力軸:北西-南東~北北東-南南西方向,水平,中間圧縮主応力軸:ほぼ鉛直,最小圧縮主応力軸:北東-南西~西北西-東南東方向,水平である.これらは跡倉層の重複褶曲構造のうち,正立褶曲群形成時後期に形成された.
著者
中塚 幹也 関 明穂 新井 富士美
出版者
岡山大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

性同一性障害では,心の性と身体の性が一致せず,子どもの頃から性別違和感を持ち,不登校,自殺念慮,自殺未遂などを経験する率も高い.本研究では,各地の当時者の在学する学校,教育委員会,ジェンダークリニックを受診する性同一性障害当事者等への調査により,小学校,中学校,高等学校,大学での対応状況,問題点を明らかにし,対応マニュアルである『学校の中の「性別違和感』を持つ子ども:性同一性障害の生徒に向き合う』を作成,配布した.