著者
新井 博文 高杉 美佳子 山田 耕路
出版者
北見工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

活性酸素によって生理的に生成すると考えられる過酸化脂質がアレルギー反応に及ぼす影響について培養細胞を用いて試験管内で調べた。アレルギー反応に関与する白血球の一種であるマスト細胞を培養し、人工的に刺激したときに培養上清中に放出されるヒスタミンなどの化学伝達物質を定量したところ、過酸化脂質分解物である4-ヒドロキシ-2-ノネナールはマスト細胞からのヒスタミン放出を促進した。生体内脂質過酸化がアレルギーを悪化させる可能性が示唆された。
著者
新井 誠 小堀 晶子 宮下 光弘 鳥海 和也 堀内 泰江 畠山 幸子 内田 美樹 井上 智子 糸川 昌成
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.27-33, 2015 (Released:2017-02-16)
参考文献数
26

統合失調症の精力的なゲノム研究が世界的に取り組まれているものの,統合失調症の病態生理が不均一であるが故に(異種性),その分子基盤を理解する際の大きな障壁となっている。筆者らは,これまでも臨床的な側面から特徴的な病像を呈する症例を集積し,かつ家系症例や希少症例を軸にして,個々の症例が有する分子基盤の一端を一般症例へ敷衍するというストラテジーを実践してきた。この研究手法により,まれな遺伝子変異を持つ家系症例から「カルボニルストレス」という代謝経路の障害を見出し,一般症例のおよそ 2 割に同じカルボニルストレス代謝の障害をもつ比較的均一な亜群を同定した。また,カルボニルストレスを呈する症例群の臨床的特徴を明らかにするとともに,カルボニルストレスの解毒作用をもつピリドキサミンを用いた医師主導治験を実施した。本稿では,これまでのカルボニルストレス性統合失調症について概説し,統合失調症研究における我々の将来展望について述べた。
著者
高橋 直樹 柴田 健一郎 平田 大二 新井田 秀一
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.122, no.8, pp.375-395, 2016-08-15 (Released:2016-09-02)
参考文献数
93
被引用文献数
2

「葉山-嶺岡帯」は,南関東地方の三浦半島から房総半島南部にかけて伸びる特徴的な地形,地質構造を示す地質帯で,新第三紀以降の地層が主体の両半島の中でも最も時代の古い地層が露出するほか,蛇紋岩類,玄武岩類などのオフィオライト様岩類が産出する.玄武岩類は主として40〜50Maの年代を示し,中央海嶺やホットスポット,および島弧の性質を示す岩石が認識されている.本地帯はフィリピン海プレートの沈み込みに伴って形成された中新世~更新世の外縁隆起帯,ならびに関東地方において第四紀以降に発達した関東構造盆地の南縁として位置づけられている.本地帯では地すべりの発達による緩傾斜地形,東西方向のリニアメント,独立峰など特異な地形が認められる.三浦半島には活断層の存在が認定され,本地帯全体での活構造の存在を暗示させる.本コースでは,葉山-嶺岡帯を,房総半島嶺岡帯の東端から西端まで,さらに,浦賀水道を挟んで三浦半島葉山帯の東端から西端まで全域を横断し,本地帯の地形や構成する地層・岩石をひととおり観察し,本地帯の共通する特徴や地域ごとの相違を確認しながら,本地帯の地質構造発達史を考える.
著者
新井 敏康
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
総合講演・企画特別講演アブストラクト (ISSN:18843972)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.Autumn-Meeting1, pp.42-53, 2002 (Released:2010-07-01)
参考文献数
3

D. Hilbert によって創始された「証明論」の目的は無矛盾性証明ですが、その企図についてお話します, cf. [2], [3]。それから、現在までのこの方向での「証明論」の進展について触れてから、Hilbert が与えた無矛盾性証明の指針に従って得られた W. Ackermann [1] の証明を説明します。
著者
新井祥著
出版者
ぶんか社
巻号頁・発行日
2007
著者
新井 健司
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.821-830, 1984-12-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
9
被引用文献数
1

1982年3月21日浦河沖地震により,日高海岸地域に,:地割れ・崩壊などの地盤変形とこれらに伴う構造物の被害が生じた.本稿では,この地域の地盤災害調査の結果明らかになった地盤変形・被害分布の特徴をもとに,浦河沖地震に伴う地殻変動について考察した. 被害地域には,被害率の地域差が認められた.各地域の地層の平均走向や摺曲軸の平均方向と,発震機構より求められた主震源断層の走向 (N30°W) との関係を調べた結果,両者が平行する地域で被害率が大きく,交差する地域で被害率が小さかった.このことから,被害率の地域差は地質構造によると推定される. また,新冠と東静内では,既存断層線に沿う被害の線状分布が認められた.これは,既存断層が地震により動いたために生じたものと推定される.東静内に比べて震源域より遠い位置にある新冠の節婦断層は, 1952年十勝沖地震・1968年十勝沖地震の場合と同じように,強い振動により誘発されて動いたと思われる.一方,東静内の春立背斜断層とその北方に平行する断層は,今回の地震の震源断層活動により動いた可能性がある.水準点改測により把握された垂直変動によると,東静内は異常隆起が現われた地帯の一部である.さらに余震分布からは,この異常隆起は主震源断層より浅い位置にある二次的な震源断層の活動により引き起こされたと推定される.したがって,東静内の地表断層の動きは,二次的な震源断層の活動により生じたものと考えられる.
著者
新井 健司
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.104, no.2, pp.267-283, 1995-04-25 (Released:2009-11-12)
参考文献数
17
被引用文献数
1 2

Plio-Pleistocene fluvial sediments are distributed in the hills along the western margin of the Kanto Plain. In this paper, the author reports its sedimentary environments at Hidaka City, Saitama Prefecture, namely, those of Yaoroshi tuff, Hanno gravel and their correlatives.The basement in this area (Chichibu Paleozoic and Mesozoic formations and Takaoka formation) is divided into three zones structurally by Koma-Hongo and Komagawa fault systems. And terrace deformation dipping toward the Kanto Plain is recognized on its surface.Yaoroshi tuff is in fault or unconformity contact with the basement in part of Koma-Hongo fault system. The vertical displacement of each fault system is over 50 m. Yaoroshi tuff is not distributed in west of Koma-Hongo fault system.Hanno gravel, conformably overlying Yaoroshi tuff, is in fault or unconformity contact with the basement. Hanno gravel and its correlatives were formed by old long rivers, of and the valley bottoms were at least 140 m above sea level in Koma River system area and at least 150 m above sea level in Shukuya River system area.Boulders of granite and diorite characterizing Hanno gravel in the south of Tenran-zan (Mt. Tenran) are not found in the investigated area. This fact suggests that the area was in different conditions of sedimentation from the southern area. The ridge directions of Koma Hills and Moroyama Hills had already settled before dissection proceeded.The gravel from Moroyama Hills and the adjacent areas is divided into the lower and the upper layers. The former is correlated with Yaoroshi tuff, while the latter with Hanno gravel.When Yaoroshi tuff deposited, forested stable land had extended widely. And short rivers flowing out from near mountains sometimes flooded and destroyed forests. After Yaoroshi tuff was formed, long rivers transported boulders with sands in large quantities from distant western mountains. These old long rivers kept their main courses to the present as Koma River system and Shukuya River system, and they mixed gravels by gathering currents and forming talus deposits.
著者
新井白石 著
出版者
青山清吉[ほか]
巻号頁・発行日
vol.上, 1894
著者
川村 欣也 小林 良正 高橋 和明 早田 謙一 住吉 信一 川田 一仁 高橋 百合美 牧野 さつき 則武 秀尚 中村 浩淑 安倍 夏生 新井 雅裕
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.51, no.8, pp.418-424, 2010 (Released:2010-09-02)
参考文献数
15
被引用文献数
7 11

シカ及びイノシシの生食により感染したと思われるE型急性肝炎3例を経験したので報告する.症例1,2は71歳と48歳の男性で発症の約2カ月前に,偶然同一飲食店で別々にイノシシの肝を生食していた.症例3は69歳の男性で,発症の2カ月前から息子が狩猟で捕獲した複数頭のシカ生肉を頻回に自宅で調理し摂取していた.3症例とも入院時,肝逸脱酵素は著明に上昇していたが補液や安静で改善した.3症例の病初期血清におけるIgM-HEV抗体,IgG-HEV抗体,HEV-RNAが陽性でHEV genotypeは4型,塩基配列は相互に99.8%以上一致した.愛知県のヒト及びイノシシから分離されている「4型HEV愛知株」との間にも98.5%-99.8%の一致率を示し,北海道に蔓延するgenotype 4とは明らかに別系統であることが注目された.
著者
畑林 一太郎 新井 紀子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.12, pp.511-515, 2011-12-01
参考文献数
4

学校教育法施行規則等の省令改正を背景に,研究機関毎での研究者総覧構築のニーズが高まっている。研究者向けサイエンス基盤サービスResearchmapには,外部システムに対してデータ提供する機能が用意されている。この機能を利用することで,各研究機関は機関毎の研究者総覧を低コストかつ,短期間で公開することが可能になった。また,研究者は自身の研究活動における情報を高品質でかつ,長期間にわたって安定的に公開することが可能になった。本論文では,同機能を使った研究機関の研究者総覧をクラウド上に構築した際のメリットを提示する。
著者
菅原 真悟 鷲林 潤壱 新井 紀子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.135-146, 2012

児童がサイバー犯罪の加害者となるケースの増加にともない,「情報倫理」や「法の理解や遵守」を習得させるための情報モラル教育の必要性が増している.しかし,著作権のような抽象度が高く日常生活とも関わりが少ない概念を,児童が理解することは難しい.本研究では,このような抽象的な概念を教えるための,効果的・効率的な教授法について分析を行った.情報モラル教育の教授法を(1)教材中心の「教材」型授業,(2)体験中心の「体験」型授業,(3)その両方を行う「両方」型授業の3つに定義・分類し,埼玉県K小学校5・6年生を対象に,3つの教授法による学習効果を比較する実践授業を行った.その結果「両方」型授業は,児童が体験したことを,教材を用いて言語化して理解できるため,抽象的概念を理解させるのに効果的であり,かつ他の教授法と比べて情報化社会に参画しようとする意欲を育む効果があることが示された.
著者
新井 紀子 坂内 悟
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.533-544, 2011 (Released:2011-12-01)
参考文献数
18

科学技術振興機構が提供してきた研究開発支援総合ディレクトリ(ReaD)と,情報・システム研究機構が提供してきたResearchmapは2011年11月をもって正式統合を果たし,ReaD&Researchmapとして新たなサービスを開始した。本稿では,研究資源・研究情報が各時代のニーズおよび技術の下でどのように収集・利活用されてきたかを概観するとともに,研究資源が発生時点からデジタルであるようなボーンデジタル時代に学術研究情報のエコシステム(循環型情報活用基盤)を今後いかに確立すべきかについて述べる。
著者
松田 侑子 永作 稔 新井 邦二郎
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.80, no.6, pp.512-519, 2010
被引用文献数
6

The present study developed a job-hunting anxiety scale and investigated the influence of job-hunting anxiety on coping, number of job-hunting applications, and satisfaction with job-hunting. Questionnaires were completed by 306 college students who had started job-hunting. Explorative factor analysis extracted five factors such as "appeal anxiety", "support anxiety", "activity persistence anxiety", "test anxiety", and "a lack of readiness anxiety". Analysis of covariance structures indicated that (a) job-hunting anxiety was negatively related to problem-focused coping, the number of job-hunting applications, and the satisfaction with job-hunting, and (b) problem-focused coping was positively related to the number of job-hunting applications and the satisfaction with job-hunting. These results suggest that reduction of job-hunting anxiety and the use of problem-focused coping facilitated job-hunting.
著者
長岡 信治 奥野 充 新井 房夫
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.107, no.7, pp.432-450, 2001-07-15 (Released:2008-04-11)
参考文献数
74
被引用文献数
23 23

100~30 kaにおいて姶良カルデラでは, 日木山降下スコリア堆積物(103~95 ka), 金剛寺火砕サージ堆積物, 福山降下軽石堆積物(95~86 ka), 岩戸テフラ(60 ka, )大塚降下軽石堆積物(32.5 ka), 深港テフラ(31 ka), 毛梨野テフラ(26.5 ka)の7層のテフラが認められる.これらの噴火口は, カルデラの東半部に集中している.これらのテフラの噴出と並行して敷根安山岩などの溶岩も流出しており, 平均噴火間隔は7500年に1回となる.27 kaの姶良火砕噴火直前の32.5~30 kaでは噴火間隔は約1000年と短くなるが, 噴出量は逆に減少する傾向にある.姶良カルデラ火山は100 ka以降は活動期にあたる.この100~30 kaの噴火活動は, 最新の活動期の前半にあたっている.
著者
石田 眞弓 手塚 宏幸 長谷川 智美 曹 利麗 今田 敏文 木村 英一郎 松本 英希 河野 るみ子 新井 平伊
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.305-311, 2011 (Released:2011-12-30)
参考文献数
21
被引用文献数
9 5

食塩の過剰摂取は血圧上昇の一因であり, 脳卒中や心臓疾患の原因と考えられている。近年, これら疾病の予防や病態の改善を目的とする減塩食の必要性が高まっているが, 料理中の食塩を減らすと味がもの足りなくなり, 病院給食では入院患者の摂食量低下による栄養摂取量の不足が問題となる。我々は, ナトリウム (Na) を含まないうま味物質であるグルタミン酸マグネシウム (MDG) を用い, おいしさを維持した減塩料理の提供を試みた。通常の病院給食として供食している通常料理, Na量を減らした減塩料理とMDGを用いたうま味添加減塩料理の3通りの料理についての官能特性を比較した。その結果, 減塩料理は通常料理に比べて全ての項目で低値を示し, うま味添加減塩料理では顕著に改善した。この結果から, 通常料理を減塩する際にうま味を呈するMDGを用いても料理のおいしさを損なうことなく, Na摂取量を減らす有効な方法であると考えられる。
著者
小山 碧海 喜友名 朝視顕 小林 賢治 新井 美桜 三田 雅人 岡 照晃 小町 守
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.330-371, 2023 (Released:2023-06-15)
参考文献数
144

本稿では,日本語文法誤り訂正のための誤用タグ付き評価コーパスを構築する.評価コーパスはモデルの性能評価に欠かすことができない.英語文法誤り訂正では様々な評価コーパスの公開により,モデル間の精緻な比較が可能になりコミュニティが発展していった.しかし日本語文法誤り訂正では利用可能な評価コーパスが不足しており,コミュニティの発展を阻害している.本研究ではこの不足を解消するため,日本語文法誤り訂正のための評価コーパスを構築し,一般利用可能な形で公開する.我々は文法誤り訂正において代表的な学習者コーパス Lang-8 コーパスの日本語学習者文から評価コーパスを作成する.また文法誤り訂正分野の研究者や開発者が使いやすい評価コーパスとするため,評価コーパスの仕様を英語文法誤り訂正で代表的なコーパスやツールに寄せる.最後に作成した評価コーパスで代表的な文法誤り訂正モデルを評価し,今後の日本語文法誤り訂正においてベースラインとなるスコアを報告する.