著者
新井田 大輝 今井 雅
雑誌
DAシンポジウム2022論文集
巻号頁・発行日
vol.2022, pp.195-200, 2022-08-24

津軽弁は,青森県民や転勤族,県外からの観光客とのコミュニケーションの障害となることがある.我々は,人工知能を活用し,津軽弁と一般的な日本語との双方向の音声・文字翻訳システムを開発している.本稿では,まず,我々の研究プロジェクトを紹介し,開発した津軽弁から一般的な日本語へのテキスト翻訳システムを説明する.また,形態素解析・翻訳ツールの評価結果も示す.
著者
佐藤 七瀬 新井 里依 角田 茉里恵 安藤 瑞穂 熊谷 恵子
出版者
一般社団法人 日本LD学会
雑誌
LD研究 (ISSN:13465716)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.126-137, 2021 (Released:2021-12-23)
参考文献数
50

アーレンシンドロームとは視知覚障害のひとつで,主に文字の歪み,光に対する過敏性,頭痛等と身体症状が挙げられる。本研究では,アーレンシンドローム者の視機能の特性を検討し,年齢による視機能への影響を検討することを目的とした。アーレンシンドローム者66名に対し,本研究では簡易検査として色覚,近見視力,立体視の3つの視機能評価を行った。その結果,アーレンシンドローム者の47.0%が視機能のいずれかに問題が見られ,対象の40.0%が立体視,27.1%が近見視力,7.6%が色覚に問題を認めた。このことから,アーレンシンドローム者はピント調節や遠近感をつかむことができない人も多いことが示唆された。また,学齢期と成人で比較した結果,色覚に有意差がみられた。アーレンシンドローム者に視機能評価を実施することの有用性が示唆された。今後,有色レンズ装用時で視機能が改善される効果検証を行う必要がある。
著者
新井 潤美 西川 克之 松本 朗 小山 太一 佐々木 徹 丹治 愛 草光 俊雄 加藤 めぐみ 前 協子 安藤 和弘
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

① 1981年の『炎のランナー』以降、サッチャー政権下のイギリスは、のちにヘリテージ映画と呼ばれることになる多数の映画を生み出していく。代表的なヘリテージ映画を解釈しながら、それらの映画がどのような主題的、映像的、イデオロギー的特徴を共有しているのかを具体的に議論した。② その一方で、ヘリテージ映画にかんする代表的な批評論文(とくにアンドリュー・ヒグソンのもの)を読み、自分たちが進めてきた個々の映画の作品論に照らして、その一般的な定義を批判的に検証し、それがもつ問題点をあぶり出すとともに、ヘリテージ映画にかんする新たな定義にむけて議論を重ねた。
著者
新井 園枝 佐藤 満
出版者
環太平洋産業連関分析学会
雑誌
産業連関 (ISSN:13419803)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.3-21, 2011-02-28 (Released:2015-04-04)
参考文献数
4
被引用文献数
2 2

平成17年地域間産業連関表は,公式には平成7年表以来,約10年ぶりの公表となった(平成12年表は試算地域間表として個人作成).地 域産業連関表は地域振興・活性化の定量分析を行う上で欠かせないツールであり,平成17年表についても全都道府県で作成されているが,ここでは経済産業局管区の9地域区分による地域間産業連関表の作成方法と分析事例(ケーススタディ)を紹介 し,より一層の理解と啓蒙の一役を担えれば幸いである.

3 0 0 0 OA 藩翰譜

著者
新井白石 著
出版者
吉川半七
巻号頁・発行日
vol.巻3, 1954
著者
新井 誠人 松村 倫明 吉川 正治 今関 文夫 横須賀 收
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.137, no.1, pp.18-21, 2011 (Released:2011-01-10)
参考文献数
16

六君子湯は8つの生薬で構成されており,胃腸が弱く,食欲がなく,みぞおちがつかえ,疲れやすく,貧血性で手足が冷えやすく,諸症状(胃炎,胃アトニー,胃下垂,消化不良,食欲不振,胃痛,嘔吐)を治療対象としている.六君子湯は,抗がん薬シスプラチン投与によって低下した血中グレリン値,食餌摂取量を回復させ,その作用機序も明らかになりつつある.我々の研究では,六君子湯2週間投与後,健常ヒト,マウスでも血中グレリン値が増加した.同時に,マウス胃組織中のグレリンmRNA発現量が増加した.対照薬ドンペリドン(腸管運動改善薬)では両者とも不変であった.これらの六君子湯の作用機序から,機能性ディスペプシア27症例に対し,六君子湯とドンペリドンのランダム化比較試験を行った.両薬剤とも機能性ディスペプシアの自覚症状を改善したが,血中グレリン値は六君子湯群のみ上昇した.従って,六君子湯はグレリンを介して臨床症状を改善することが判明した.機能性ディスペプシアに対する根本治療法は現在確立されておらず,六君子湯の有効性をより詳細に解明し,エビデンス確立にさらなる研究が必要である.
著者
阿尻 雅文 佐藤 修 町田 勝彦 斎藤 功夫 新井 邦夫
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.505-511, 1997-07-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
8
被引用文献数
55 67 32

本研究では, PETのケミカルリサイクルの可能性を明らかにすることを目的とし, 超臨界水中におけるPETの分解反応の特性を検討した.PETは超臨界水条件下 (温度673K, 圧力40MPa) では5分間で完全に加水分解し, 反応時間12.5分では純度97%のテレフタル酸が収率91%で回収できた.反応温度は, PETの分解速度, テレフタル酸の回収率に大きな影響を与え, 573K (40MPa) とすると, 90%以上のテレフタル酸回収に90分を要した.超臨界水中での実験で, 圧力が反応に与える影響を検討したところ, 高圧条件に保つことで, 熱分解の進行による変性残渣や二酸化炭素の生成, すなわちテレフタル酸からの脱炭酸が抑制されることが明らかになった.
著者
町田 洋 新井 房夫
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.143-163, 1978-11-30 (Released:2009-08-21)
参考文献数
56
被引用文献数
137 118

A Holocene volcanic ash layer comprising abundant glass shards occurs as near-surface, soil-forming parent materials in south to north Kyushu and in Shikoku. This layer has been given several local names such as “Akahoya”, “Imogo”, “Onji”, etc. by farmers and pedologists. Its remarkable characteristics as a parent material of soil stimulated the interest of many pedologists to study its source, pedological features, distribution, etc. However, opinions on its source and proper identification varied considerably from one author to another.Detailed petrographic observation and accurate determinations of the refractive indices of the glass and several phenocryst phases in the tephra, together with extensive field work, have led to the conclusion that the Akahoya ash is the product of a single major eruption of the Kikai caldera.The ash is dacitic in composition and contains abundant bubble-walled glass shards and plagioclase, hypersthene, augite and opaque minerals as phenocrysts. The refractive index of the glass ranges from 1.505 to 1.514, and that of the hypersthene, from 1.705 to 1.714. The thickness contour of the ash layer and its grain-size distribution clearly indicate that this ash represents ejecta from the Kikai caldera, which is one of the largest calderas in Japan with an approximate diameter of 20km and largely submerged beneath the sea.The formation associated with this widespread tephra consists of three members; (1) a pumice-fall deposit as the earliest stage, (2) pyroclastic-flow deposits as the middle to the latest stages, and (3) an ash-fall deposit approximately contemporaneous with the pyroclastic flow. The 3rd member is assigned to the Akahoya ash and has the most extensive lobe with an axis length of over 1, 000km, covering most of southwest to central Japan and northwest Pacific Ocean. The volumes of the Akahoya ash-fall deposits must be greater than those of the pyroclastic flows.More than twenty-seven radiocarbon dates of the ash have been obtained so far, ranging rather widely from ca. 3, 000y.B.P. to ca. 9, 000y.B.P. However, the average value of the carbonated woods and peaty materials containing in the layer and the stratigraphical relationships with human remains give a probable age of the ash between 6, 000y.B.P. and 6, 500y.B.P. This marker-tephra is thus extremely significant for studies of Holocene climatic changes and sea levels, as well as for the correlation of archaeological sites.
著者
新井 貴紘 井上 亮文
雑誌
ワークショップ2020 (GN Workshop 2020) 論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.26-27, 2020-11-13

本研究では,ビーム状攻撃の表現やパラメータを変化させたときに,仮想世界で被弾する VR 体験をしたプレイヤーがどのようにして強さを知覚するのか調査する.本稿では,想定しているビーム状攻撃の定義について解説する.また,ビーム状攻撃の形状,大きさなどを固定し,色彩のみを変更するという前提のもとで,色彩による心理効果から立てた仮説の詳細を解説する.
著者
新井 智一
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地學雜誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.120, no.4, pp.676-691, 2011-08-25
被引用文献数
2

This paper discusses locational conflicts surrounding a new waste disposal facility in Koganei City from the viewpoint of "the politics of scale". Since 1957, Koganei, Chofu, and Fuchu cities have disposed of their waste at Nimaibashi Waste Disposal Facility. In 2007, Koganei City officials proposed the construction of a new facility by 2017 at the site of the Nimaibashi Waste Disposal Facility, which was located at the periphery of Koganei City, or at the site of a former Janome sewing machine factory, which was located at the center of the city. Although people residing near both sites protested against the construction of the new facility, the Koganei City officials decided to construct the new facility at the site of the Nimaibashi Waste Disposal Facility. The reason for this decision is summarized as follows: (1) Most of the citizens of Koganei City appeared to be indifferent to this locational conflict; (2) The Koganei City officials were adamant about constructing an incineration facility; (3) The actions of the people residing near the former Janome sewing factory, unlike those of the people residing near Nimaibashi Waste Disposal Facility, were successful in protesting given the scale of Koganei City.
著者
千葉 隆司 貞升 健志 長島 真美 熊谷 遼太 河上 麻美代 浅倉 弘幸 内田 悠太 加來 英美子 糟谷 文 北村 有里恵 小杉 知宏 鈴木 愛 永野 美由紀 長谷川 道弥 林 真輝 林 志直 原田 幸子 藤原 卓士 森 功次 矢尾板 優 山崎 貴子 有吉 司 安中 めぐみ 内谷 友美 神門 幸大 小林 甲斐 長谷川 乃映瑠 水戸部 森歌 三宅 啓文 横山 敬子 吉田 勲 浅山 睦子 井田 美樹 上原 さとみ 小野 明日香 河村 真保 小西 典子 小林 真紀子 齊木 大 下島 優香子 鈴木 淳 西野 由香里 村上 昴 森田 加奈 吉丸 祥平 木本 佳那 新藤 哲也 堀田 彩乃 小林 千種 大塚 健治 吉川 聡一 笹本 剛生 稲葉 涼太 小峯 宏之 佐伯 祐樹 坂本 美穂 塩田 寛子 鈴木 淳子 鈴木 俊也 高久 靖弘 寺岡 大輔 中村 絢 成瀬 敦子 西山 麗 吉田 正雄 茂木 友里 飯田 春香 伊賀 千紘 大久保 智子 木下 輝昭 小杉 有希 斎藤 育江 高橋 久美子 立石 恭也 田中 優 田部井 由紀子 角田 徳子 三関 詞久 渡邊 喜美代 生嶋 清美 雑賀 絢 鈴木 仁 田中 豊人 長澤 明道 中村 麻里 平松 恭子 北條 幹 守安 貴子 石川 貴敏 石川 智子 江田 稔 岡田 麻友 草深 明子 篠原 由起子 新開 敬行 宗村 佳子 中坪 直樹 浜島 知子 野口 俊久 新井 英人 後藤 克己 吉原 俊文 廣瀬 豊 吉村 和久
出版者
東京都健康安全研究センター
雑誌
東京都健康安全研究センター研究年報 (ISSN:13489046)
巻号頁・発行日
no.71, pp.39-46, 2020
著者
福岡 達之 杉田 由美 川阪 尚子 吉川 直子 新井 秀宜 巨島 文子
出版者
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.155-161, 2010-08-31 (Released:2020-06-26)
参考文献数
17

症例は41 歳女性,Foix-Chavany-Marie 症候群(FCMS)の患者である.両側顔面下部,舌,咽頭,咀嚼筋に重度の随意運動障害を認め,構音不能と嚥下障害を呈した.罹患筋の随意運動はわずかな開口以外不可能であったが,笑いや欠伸などの情動・自動運動は保持されており,automatic voluntary dissociation がみられた.嚥下造影は30 度リクライニング位,奥舌に食物を挿入する条件下で実施したが,咽頭への有効な送り込み運動はみられず重度の口腔期障害を認めた.顔面,下顎,舌に対して他動的な運動療法を実施するも,罹患筋の随意運動は改善しなかった.本例では咀嚼の随意運動も不可能であったが,非意図的な場面では下顎と舌による咀嚼運動が生じ,唾液を嚥下するのが観察されていた.そこで,この保持された咀嚼の自動運動を咽頭への送り込み方法として利用できると考え,咀嚼の感覚入力と咀嚼運動を誘発する訓練を試みた.咀嚼運動を誘発させる方法としては,食物をのせたスプーンで下顎臼歯部を圧迫する機械刺激が有効であり,刺激直後に下顎と舌のリズミカルな上下運動が生じて咽頭への送り込みが可能であった.この刺激方法を用いて直接訓練を継続した結果,咀嚼運動による送り込みと45 度リクライニング位を組み合わせることで,ペースト食の経口摂取が可能となった.本例で嚥下機能が改善した機序として,咀嚼運動を誘発させる直接訓練の継続が,咀嚼運動の入力に対する閾値低下と咀嚼のCPG 活性化につながり,咀嚼運動による送り込みの改善に寄与したものと考えた.FCMS では,発声発語器官の諸筋群に生じる重度の随意運動障害により,準備・口腔期の嚥下障害を呈するが,訓練経過の報告は少なく,訓練方法を考えるうえで貴重な症例と思われ報告した.
著者
新井 親夫 若林 泰憲 水野 章 小松 一郎 佐納 良樹
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.241-244, 1983-05-10 (Released:2010-03-15)
参考文献数
5
被引用文献数
2

無機塩の飽和水溶液と平衡な気相の相対湿度が常温で50%以下になるような塩を使用し, 湿度を10~50℃の範囲で測定した. 低湿度が得られる場合には溶液と共存する塩の固相が結晶水をもち, かつ結晶水に転移の起こることが多い. 測定温度範囲に転移点のある塩について転移温度近傍における相対湿度の変化を示した. また, 塩が不純物を含む場合であっても純粋な塩を使用して得られる湿度との差は少なく, 調整のみが目的であれば粗製塩が使用できることを示した.
著者
新井 イスマイル 川口 誠敬 藤川 和利 砂原 秀樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.7, pp.2319-2327, 2007-07-15
被引用文献数
1

近年,口コミ情報サイトを例とする,ユーザの行動を基にした店舗・施設の検索サイトが注目されている.これらの検索サイトでは,位置に基づいた検索が可能であることと,店舗・施設に対して複数のユーザからの第3 者の評価情報が取得できることが求められている.しかし,商用の検索サイトには広告収入や検閲の影響により,被評価店舗にとって不都合な情報が現れにくく第3 者の評価情報の提供に問題がある.また,従来の情報取得手法ではWWW 上の情報をすべて収集し,複雑な自然言語処理によって位置に基づいた評価情報を抽出する作業が必要となり,サービス構築コストが膨大となるという問題がある.そこで本研究では従来の全文型検索エンジンを活用し,目的の分野を示すキーワードと商用検索サイトを除外するキーワードを組み合わせることによって目的の第3 者の評価情報を収集する手法と,単純な形態素解析と文字列のパターンマッチングを用いた文字列処理によって住所を抽出する手法を提案する.この手法に基づいてWeb インデクサを評価した結果,一度の収集のうち44%が目的とする個人サイトであり,位置情報の取得再現率が59%という結果が得られた.A user expects that he/she can search stores and facilities from Web information space based on his/her behavior (Ex. Word-of-mouth communication sites). For this purpose, an appropriate information must be retrieved based on user's location. In addition, a user expect that he/she can retrieve actual impressions of other users against stores and facilities to decide his/her behavior. However, there are two major problems to achieve the above requirements. One is that the actual impression of other users are often omitted on the commercial web sites by the sponsor's claims. The other is that the cost for the information retrieval may become large because the existing search engines have to crawl most of Web sites and the complicated natural language processing have to be used. In this paper, we propose a new method which can obtain appropriate Web contents from Web search engines by inputting keywords that include user's objective information and black list information. In addition, the proposed method can extract the geographical information from the obtained Web contents by a morphological analysis and a simple pattern matching. As a result of evaluating the Web indexer based on the proposed method, 44% in all obtained Web contents conforms to user's objective. Also, the recall ratio of the extract of the geographical information is 59%.
著者
新井 智一
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.76, no.8, pp.555-574, 2003-07-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
23
被引用文献数
2 1

本研究は,1980年代以降イギリスで発展したロカリティ研究を援用し,東京都田無市と保谷市の合併における社会経済的・政治的要因について明らかにした.両市は高度経済成長期において急速にベッドタウン化し,都市基盤整備が遅れた.このため,田無市は1980年代以降,大工場からの税収を基に,田無駅北口再開発などの都市基盤整備を推進した.さらに,1990年における田無市長の発言により,同再開発の推進を目的とした両市の合併問題が浮上した.これを受けて,財政基盤の脆弱な保谷市では,青年会議所などが合併推進活動を展開させたが,田無市民の合併への関心は低かった.しかし,その後の景気低迷により,同再開発は田無市への大きな財政的負担となった.さらに,田無市の大工場では生産規模が縮小し,それに伴い,田無市の法人地方税収も減少した.こうして,共に財政状況の悪化した両市は,財政基盤の強化を目的として合併したのである.
著者
厚井 聡志 新井 康祐 野上 彩子 當間 勇人 山本 正英 三浦 修 長尾 俊景
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.61, no.10, pp.1487-1491, 2020 (Released:2020-11-06)
参考文献数
15

75歳男性。糖尿病性腎症による末期腎不全にて維持血液透析中,透析導入10年後に血清亜鉛55 µg/dlと低下し,亜鉛含有胃粘膜保護薬(polaprezinc)の処方が開始されると,徐々に汎血球減少が出現・持続した。投与開始4ヶ月後,血清亜鉛129 µg/dlと上昇し,亜鉛含有胃粘膜保護薬の投与は中止されたが汎血球減少は進行し,当科に紹介された。WBC 1,700/µl,Hb 8.9 g/dl,Plt 9.5×104/µlと汎血球減少を認め,WT1 mRNA 76 copy/µgRNAと若干高値だった。骨髄像で巨赤芽球様変化や環状鉄芽球があり,骨髄異形成症候群を鑑別に挙げたが,血清銅<2 µg/dl,血清セルロプラスミン3 mg/dlと低値であり,亜鉛過剰に起因する銅欠乏による造血障害と考えた。ココアの摂取による銅の補充で汎血球減少は改善し,補充開始4ヶ月後の骨髄像で当初の形態異常は消失した。慢性腎臓病患者や透析患者の亜鉛補充時には銅欠乏による造血障害に注意が必要と考えられた。
著者
佐賀 信之 森田 哲平 新井 豪佑 徳増 卓宏 幾瀬 大介 石部 穣 笹森 大貴 横山 佐知子 五十嵐 美紀 横井 英樹 岩波 明
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.751-759, 2016 (Released:2017-06-08)
参考文献数
28
被引用文献数
2

2014年4月より2015年3月までの1年間に昭和大学附属烏山病院を初診し,DSM-IV-TRの診断基準によってADHD(注意欠如多動性障害)と診断された成人ADHD患者54名(男性30名,女性24名,平均年齢29.4±7.9歳)を対象とした.うつ病など他の精神障害の診断を受けているものは被験者54名中4名であった.被験者らに知的な遅れはなく平均15年の高等教育を受けていた.全被験者に対し,次の評価尺度を施行した.抑うつ症状については,SDS(Self-rating Depression Scale)を,不安症状についてはSTAI(State Trait Anxiety Inventory),ADHD症状の程度については,CAARS-S(The Conners' Adult ADHD Rating Scales),自閉症スペクトラム障害の症状の程度についてはAQ(Autism-Spectrum Quotient),知的機能についてはJART(Japanese Adult Reading Test-25)で評価を行った.その結果,被験者らの抑うつ症状は日本人の神経症圏における抑うつの度合いと同程度であった.不安症状は,STAIの段階IVに相当する高い不安であった.自閉症的傾向は健常人より有意に高かった.項目間の相関をSpearmanの相関係数を用いて解析を行うと,ADHD症状と抑うつ症状の間には,弱いが有意な正の相関がみられた.ADHD症状と不安症状の間には,中程度の有意な正の相関がみられた.本研究の被験者の多くは気分障害や不安障害の診断を受けていないが,それでも,被験者が有する不安症状や抑うつ症状の程度は,健康人のそれと比して高いものであった.さらに,ADHD症状が強い場合,不安症状や抑うつ症状が強くなる可能性があることが示唆された.
著者
島村 麻子 井上 舞 新井 敏郎
出版者
獣医疫学会
雑誌
獣医疫学雑誌 (ISSN:13432583)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.35-36, 2011-07-20 (Released:2013-01-04)
被引用文献数
1 1

Veterinary clinicians often encounter with foreign body ingestion in domestic dogs. Accumulation of treatment information and epidemiological data about these cases could lead development of methods for prevention and enlightenment for dog owners. So far, these incidents are regarded as carelessness by dog owners, and veterinary clinicians did not show concrete directions for prevention of these incidents for owners. In this study, we analyzed animal health insurance claims data of these incidents in dogs and collected preventive findings about the cases from clinicians and owners using the internet research.Insurance claims data were used for analysis of the prevalence of these incidents in dogs. Total of 252,414 dogs which contracted Anicom animal health insurance from April 1 2009 to March 31 2010 were used as source data for analysis. 5,708 dogs cases were claimed as incidents caused by foreign body ingestion (total claims were 8,296 cases). Difference of prevalence of these incidents between ages is significant. 4.4% (2,728 dogs/61,448 dogs) for puppies under one year of age, 2.5% (736/29,215) for 1 year old, 1.8% (620/34,616) and under 1.5% for 3-10 years old. The average of prevalence for total dogs was 1.7%. Especially in puppies under one year of age, among top 17 breeds of insured dog, the prevalence of foreign body ingestion was 7.1% for French Bulldogs, 6.8% for Golden Retrievers, 6.0% for Cavalier King Charles Spaniels, 5.5% for Papillons, Labrador Retrievers, and 4.5% Toy Poodle. These breeds showed higher prevalence than the average (4.4%) for all breeds. For these breeds with higher prevalence materials/objects (substances) causing these incidents should be removed. The internet research with clinician prevailed that possible substances causing incidents (plural answer available) were some kinds of strings, seeds of fruit and plum pickles, medical supplies, pebble, grains of sand, some kinds of cloth like socks, towel and dust-cloth. Over 84% (145/172) clinicians reported that they encountered these incidents caused by above mentioned objects. Even 27 death cases were reported by strings, 16 cases by medical supplies and 13 cases by kinds of cloth. These objects/materials should be removed from dogs particularly. Death cases by accidental ingestions were also reported in dogs by poisoning of ornamental lily (12 cases), chocolate (9 cases) and onion (4 cases). The internet reserch for pet owners showed that over 90% of owners knew toxicity with chocolate and onion but only 29% of owners knew risk of poisoning with lily.Incidents caused by foreign body ingestion is very dangerous behavior inducing death in dogs, and careful monitoring of these incidents should be carried on with all concerned veterinary medicine.