著者
久米出 中村匡秀 新田直也 柴山悦哉
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.20, pp.1-8, 2013-03-04

近年のソフトウェア開発に於けるアプリケーションフレームワークの普及と共に、その正しい利用法を効率的に学ぶ手法がますます重要になっている。フレームワークの学習の障害として、その複雑性と、所謂制御の反転 (Inversion of Control) に特徴付けられる独特な実行形態が挙げられる。我々はこれらの障害を克服するために、フレームワークアプリケーションの内部挙動を抽象化して表現する機能モデル (feature model) と、動的解析を用いたモデリングを提案する。本論文では第三者が開発した実用的なフレームワークアプリケーション内で発見されたフレームワーク利用の誤りを事例として我々の取り組みとその将来課題を説明する。
著者
荒川 文男 小沢 基一 西井 修 服部 俊洋 吉永 健 林 伴一 清重 賢一 岡田 崇 西堀 雅和 児玉 征之 亀井 達也 石川 誠 入田 隆宏 新田 祐介 平岡 徹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.67, pp.13-18, 2004-05-14
参考文献数
12

SuperHアーキテクチャの組込みプロセッサコアを130 nm CMOS プロセスで開発した.ワースト条件で400MHz動作し, 250mWで720MIPSのドライストーン性能, 2.8GFLOPSの浮動小数点ピーク性能,及び36Mポリゴン/秒の基本グラフィクス性能を達成した.プロセッサコアは2命令同時発行の7段パイプライン構成で,前世代の5段パイプライン構成の約1.5倍の動作周波数を達成しながら,前世代と同等の方式性能1.8MIPS/MHzを達成した.また,様々なアプリケーションの幅広い要求に応えることができる柔軟性を持ち,特に携帯電話,デジタルカメラ,カーナビゲーションシステム等のデジタル家電に適している.
著者
新田 浩通 赤阪 信二
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
no.48, pp.81-82, 2006

For Japanese pear the change in the temperature of fruit was monitored from the day before to the day after harvest and the resultant expression of fruit core rot after storage were compared for two handling regimes. Fruit were either harvested at 3 p.m., left in the field overnight and then moved indoors at 8 a.m. on the following morning, or moved indoors (25°C) immediately after being harvested at 8 a.m.. Fruit harvested at 3 p.m. and left in the field maintained a higher flesh temperature than fruit moved indoors (25°C) immediately after harvest. As well, the delay in moving fruit indoors resulted in a higher incidence of fruit core rot after storage.
著者
新田 米子 志水 暎子 小川 裕子 神川 康子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.67, 2015

<br><br>目的 高齢の親世帯と子世帯間の居住距離に着目し、親子双方が安心・満足できる住み方を探ることをねらいとし、本報では、将来子世帯が親世帯側への同居や近居を希望する場合の住み替えを促す要件について明らかにしようとするものである。<br><br>方法 中部・北陸地方における親子の居住関係の動向「その1」と同一のデータ(n=411)を用いて分析を行っている。調査方法は「その1」に準ずる。<br><br>結果 現在親と別居の子世帯において、今後親が病弱になった時の住み方ついては、半数強が「わからない」状態であるが、「現在と同距離で別居」や「自分の家での同居か近居」の希望がやや多く、「親の家で同居」または「親の家の近くで住む」とする世帯は1割強にとどまる。結婚後20年未満で現在の住み方に至る世帯が多く、20年以上経過すると住み替えがかなり減少する傾向が認められる。親側への移転を望む場合の居住距離は、「近居・片道15分未満」、「隣居」、「同居」の順となる。親側への住み替えにあたって問題となることは、「親の世話の負担」をあげる人が「住宅購入費」、「住宅探し」に比較しやや多い。さらに、移転するにあたって国・自治体・第三者機関等に期待する支援内容は、「親の世話・介護にあたっている人たちの交流の場の提供」、「介護・介護予防等に関する地域住民の活動を支援する場の提供」、「住宅建て替え費用に対する減税措置」などへの期待が少なくないことが明らかとなった。
著者
石井 豊太 中山 貴子 新田 光邦 正来 隆 星野 功
出版者
特定非営利活動法人 日本気管食道科学会
雑誌
日本気管食道科学会会報 (ISSN:00290645)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.351-354, 2001
被引用文献数
3

頸部外切開を要した下咽頭魚骨異物の1例を経験した。異物は,咽頭後間隙に認められ,危険間隙への炎症の波及などを考えると早急な処置が必要と思われた。異物の種類大きさにより咽頭の側面単純レントゲン撮影で確認できるものもあることを痛感した。
著者
新田 雅之 村垣 善浩
出版者
特定非営利活動法人 日本レーザー医学会
雑誌
日本レーザー医学会誌 (ISSN:02886200)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.336-342, 2021-01-15 (Released:2021-01-15)
参考文献数
63

正確かつ安全に悪性神経膠腫を最大限に摘出することは容易ではなく,(5-aminolevulinic acid: 5-ALA)を用いた光線力学的診断(Photodynamic diagnosis: PDD)を始め多くのモダリティが応用される.5-ALAは腫瘍内に選択的に集積し,その代謝産物である(Protoporphyrin IX: PpIX)の蛍光によって,腫瘍の存在を非常に簡便かつリアルタイムに示すことができ,本手術の遂行に有用である.最近ではPpIXの集積メカニズムの解明も進み,その集積効率を高めることで,PDDのみならず光線力学的療法(Photodynamic therapy: PDT)の効果増強に関する研究も期待されている.一方,本方法論には低悪性度神経膠腫での有用性が低い点,偽陽性や偽陰性の問題などがあり,その遂行には十分な知識と経験を要する.これら諸問題の克服のため,スペクトル解析を用いたPpIX蛍光の定量化技術の開発が進んでいる.また最近,本邦において悪性脳腫瘍のPDT治療剤として承認されているtalaporfin sodiumが,PDDにも応用可能であることが示され,今後は本薬剤を用いたPDDとPDTの併用が実現することが期待される.
著者
山田 修 安藤 貴洋 西 友美 布施 まどか 新田 裕志 瑞慶山 良松 松田 康孝
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.G1142, 2007

【目的】在院日数の短縮化で入退院が激しいことや高齢化に伴い、認知症や視力・聴力機能低下の患者が増えていることなどから転倒などのインシデントが発生しやすい状況になってきている。平成16~17年の2年間の当院リハビリテーション科(以下リハ科)でのヒヤリハットの内容を調査した結果、その科別患者や内容にいくつかの傾向が見られた。そこで、今回ヒヤリハットの中で最も多かった転倒に関して、その発生状況や原因を詳しく調査し、事故を未然に防ぐ対策を提示したい。<BR><BR>【方法】上記2年分のヒヤリハット報告書を集計し、得られたデータを基に分析し、過去の文献との比較・検討を行った。<BR><BR>【結果】リハ科のヒヤリハット件数は整形外科が15件(55%)を占め、神経内科8件(30%)、脳神経外科3件(11%)となっていた。内容別の件数では、転倒が67%と全体の2/3を占め、点滴抜去が11%、私物破損と膝折れ、しゃがみこみが7%となっていた。年齢別での転倒件数は、70代が5名と最も多く、次いで50代が3名と続いていた。科別患者ごとの転倒割合をみると、神経内科が1/1000回と頻度としては最も多かった。また大阪府内の同規模病院と比較して、当院のセラピストの人数が1/2~1/3程度となっていた。転倒の要因で最も多かったのは、介助方法や介助位置によるもので、9件だった。次いで疾患、機能レベル、合併症考慮が5件となっていた。その結果、スタッフから出された転倒発生防止のための教訓として、介助方法や介助位置の再考が7件、患者の疲労考慮が3件、抑制帯を利用、練習方法の再考が2件となっていた。<BR><BR>【考察】対策として、まず治療者ファクターでは、できるだけリスクが高い患者はマンツーマンで訓練を行う。次に患者ファクターでは、患者個人の全身状態、性格を把握し、ミーティングでスタッフ全員が情報を共有する。さらに施設・システムのファクターでは、リハ開始時に転倒注意喚起のためのパンフレットの作成を予定しており、またリハスタッフの増員も必要と考える。転倒のリスクアセスメントにおいて現在各セラピストの主観的評価に頼っているのみで、統一した方策を行うには至っていない。アセスメント項目として文献に挙げられていたものは、転倒経験、歩行レベルや可動性、精神(知的)状態、歩行補助具や車椅子の使用、排泄等であった。今後データを蓄積し、リハ科独自のアセスメントツールを作成することで転倒予防の効果を挙げることが可能と思われる。<BR><BR>【まとめ】上記2年間の当院リハ科でのヒヤリハットの内容を調査した結果、その科別患者や内容にいくつかの傾向が見られた。そこで、今回ヒヤリハットの中で最も多かった転倒に関して、その発生状況や原因を詳しく調査した。また文献との比較も行い、事故を未然に防ぐ対策を提示した。今後ハイリスクの患者をアセスメントで抽出し、マンツーマンで訓練を行うなどの対策を行っていく。
著者
立石 昭光 新田 進
雑誌
情報処理学会研究報告システムLSI設計技術(SLDM)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.74(1987-SLDM-039), pp.1-7, 1987-10-15

本報告は、東芝標準テストデータインターフェース言語(TSTL2 : Toshiba Standard Test data interface Language)・テストデータベース・TSTL2コンパイラ、TSTL2逆コンパイラ、論理シミュレータ/機能シミュレータインターフェース、テスタインターフェース等VLSIテストデータ自動処理システムの開発について述べたものである。本システムではテストデータベース(TIF:Test data Interface File)を中心に構築し、東芝標準テストデータインターフェース言語によって、論理シミュレーション/機能シミュレーションやテスタ用のデータ作成、テスタの制約事項に対するエラーチェック等を自動的に行うことが可能となり、テストデータの移植性が向上し、LSIテスタのテストプログラムの開発期間が短縮された。
著者
櫻井 瑞紀 新田 收 松田 雅弘 妹尾 淳史
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11312, (Released:2018-04-18)
参考文献数
32
被引用文献数
1

【目的】非特異的腰痛(以下,NLBP)では深部筋機能不全やサイドブリッジ持久力テスト(以下,SBET)保持時間低下が報告されているが,その際の深部筋疲労についての報告はない。本研究の目的は,NLBP 者におけるSBET 実施時の体幹深部筋疲労を,T2 値を指標として明らかにすることである。【方法】対象は腰痛のない対照群とNLBP 群の2 群とした。測定項目はSBET 保持時間と,SBET 前後の深部筋T2 値とした。統計解析はSBET 前後と腰痛の有無を独立変数,深部筋T2 値を従属変数とした2 元配置分散分析および単純主効果の検定を実施した。【結果】SBET 保持時間はNLBP 群が有意に低値を示した。深部筋T2 値においてSBET 前後・腰痛経験の主効果および交互作用が示された。単純主効果の検定ではNLBP 群のPost でT2 値は有意に高値を示した。【結論】NLBP 者では体幹筋等尺性持久力低下とSBET における体幹深部筋易疲労性を認めた。
著者
高橋 周作 新田 英智 東郷 翔帆 鴨川 仁 Takahashi Shusaku Nitta Hidetoshi Togo Shoho Kamogawa Masashi
出版者
宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所(JAXA)(ISAS)
雑誌
大気球シンポジウム: 平成28年度 = Balloon Symposium: 2016
巻号頁・発行日
2016-11

大気球シンポジウム 平成28年度(2016年11月1-2日. 宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所 (JAXA)(ISAS)), 相模原市, 神奈川県
著者
高橋 周作 新田 英智 東郷 翔帆 鴨川 仁 Takahashi Shusaku Nitta Hidetoshi Togo Shoho Kamogawa Masashi
出版者
宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所(JAXA)(ISAS)
雑誌
大気球シンポジウム: 平成28年度 = Balloon Symposium: 2016
巻号頁・発行日
2016-11

大気球シンポジウム 平成28年度(2016年11月1-2日. 宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所 (JAXA)(ISAS)), 相模原市, 神奈川県資料番号: SA6000057013レポート番号: isas16-sbs-013
著者
新田 智裕 平松 隆洋 宮本 謙司
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.A3O2023, 2010

【目的】<BR>肩関節運動において肩甲上腕リズムを維持して運動する為には、肩甲胸郭関節を構成している体幹機能が保たれている事が重要となる。一般的に肩関節最大屈曲には脊柱及び肩甲骨の十分な可動性が必要とされているが、肩関節疾患により肩甲上腕関節及び肩甲骨の可動性が乏しい場合、脊柱伸展の代償を用いて肩関節屈曲運動を補償している場合がある。健常人を対象とした上肢挙上バイオメカニクスに関しての報告は散見されるが、肩関節周囲炎患者を対象に脊柱、肩甲骨可動性の関係について詳述された報告は少ない。そこで本研究の目的は肩関節周囲炎患者を対象とし,疼痛の有無が患側及び健側肩関節最大屈曲(以下、肩屈曲)時の脊柱と肩甲骨可動性の関係に及ぼす影響について明らかにする事とした。<BR><BR>【方法】<BR>対象は、当院整形外科を受診している肩関節周囲炎患者11名(男性5名、女性6名、63.6±13.7歳)の疼痛側11肩(JOA Score71.3±4.8、罹患期間10ヶ月以上:以下、P側)と非疼痛側11肩(以下、N側)とした。なお脊柱に構築的な側彎がある者、脊柱・胸郭・肩甲骨に構築的に問題がある者、手術の既往がある者は対象から除外した。<BR>測定課題は疼痛側及び非疼痛側肩関節の最大屈曲とし、立位にて頭部を正面に向いた状態で行なった。肩屈曲可動域は日整会の方法に基づいてゴニオメーターにて測定した。<BR>脊柱可動性の測定はMilneの方法に準じ、自由曲線定規を用いて測定した。C7からL4の距離(L)、彎曲の頂点から直線Lへの垂線(H)の距離を計測し、H/L ×100 を計算式として円背指数を算出した。なお円背指数が小さいほど脊柱が伸展位であると解釈し、静止立位時円背指数と肩屈曲時円背指数の差を脊柱伸展量と定義した。<BR>肩甲骨可動性は、肩甲骨下角の移動量と外転率の変化量を用いた。肩甲骨下角の移動量は胸郭周径(W)と肩甲骨下角から脊柱までの距離(A)を測定し、A/W×100を下角位置として算出した。外転率はDiVetaの方法に準じ、Th3棘突起から肩峰後角までの距離(cm)を、肩甲棘から肩峰後角までの距離で除した値を外転率として算出した。肩屈曲時と静止立位時の測定値の差をそれぞれ下角移動量、外転量と定めた。<BR>統計処理はSpearmanの順位和相関係数の検定を用いた。P群、N群各々に関して、1.脊柱伸展量と下角移動量の相関関係、2.脊柱伸展量と肩甲骨外転量の相関関係について検討した。有意水準は5%とした。<BR><BR>【説明と同意】<BR>ヘルシンキ宣言に基づき、対象者には本研究趣旨を十分に説明し、同意書にて同意を得た。<BR><BR>【結果】<BR>円背指数は静止立位時に比べ肩屈曲時に全例が減少した。すなわち、全例で脊柱伸展が認められた。肩甲骨下角位置は静止立位時に比べ肩屈曲時に全例の数値が増大し、全例で肩甲骨下角の外側移動が認められた。肩屈曲可動域はP側:144.5±20.5°、N側:170.1±13.9°、脊柱伸展量はP側:2.46±1.93、N側:2.81±2.25、下角移動量はP側:10.41±2.35、N側:9.66±2.85、外転量はP側:0.18±0.15、N側:0.18±0.22であった。1.脊柱伸展量と下角移動量の相関係数はP側:r=-0.74(p<0.01)、N側:r=-0.37(p>0.05)となり、P側で強い負の相関が認められた。2.脊柱伸展量と肩甲骨外転量の相関係数はP側:r=-0.62(p<0.05)、N側:r=-0.63(p<0.05)となり、P側及びN側共に中等度の負の相関が認められた。<BR><BR>【考察】<BR>本研究結果から、疼痛側肩屈曲では肩甲骨下角の移動量(肩甲骨上方回旋、外転の複合運動)が少ない者ほど脊柱伸展量が大きくなる、または脊柱伸展量が少ない者ほど肩甲骨下角の移動量が大きくなる関係が示唆された。よって、疼痛側肩屈曲時に肩甲骨可動量が乏しい者は脊柱伸展量を大きくする事で肩屈曲運動を補償する傾向があり、理学療法介入は肩甲上腕関節と並行して脊柱、肩甲骨可動量にも着目して行なう必要がある。<BR><BR>【理学療法学研究としての意義】<BR>肩関節周囲炎患者において、疼痛側と非疼痛側で脊柱と肩甲骨の関係が異なる事が示唆された。疼痛側では肩甲骨可動量が少ない者は脊柱伸展量が増大し、脊柱伸展量が少ない者は肩甲骨可動量が増大して肩屈曲運動を補償する傾向にあった。本研究は、様々な理学療法所見を参考に多角的に分析していく為の基礎的な研究結果となる。今後、病態の進行と並行して縦断的な検討を行いたい。
著者
馬場 洋介 新田 泰生
出版者
一般社団法人 日本産業カウンセリング学会
雑誌
産業カウンセリング研究 (ISSN:18809669)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.15-26, 2020 (Released:2020-08-21)
参考文献数
13

本研究では,再就職支援会社のキャリアカウンセラーが失業者に対してどのようなプロセスで心理的援助をしているのかについて,仮説生成することを目的とした。研究者が所属していた再就職支援会社において,再就職支援歴5年以上のキャリアカウンセラー11名の調査対象者に半構造化面接を実施し,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(以下,M-GTAと表す)によりデータを分析した。その結果,26個の概念,6個のカテゴリー,3個のコアカテゴリーが生成された。再就職支援会社のキャリアカウンセラーの失業者への心理的援助のプロセスとは,再就職について未体験で不安を抱える失業者の負の感情等を受けとめて【求職市場に一歩踏み出す準備を整える】ことを支援する段階を経て,応募しても何度も不合格を体験して自信を喪失している失業者に対して【再就職の厳しさを受けとめ,活動を促し続ける】循環的な支援をする段階を経て,【再就職実現に共にたどり着く】までの一連の再就職活動について,メンタル面とスキル面を統合的に支援するプロセスであることが示唆された。
著者
吉村 美紀 加藤 陽二 新田 陽子 横山 真弓
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.95-99, 2013 (Released:2013-04-19)
参考文献数
17
被引用文献数
5 1

野生シカ肉の有効活用を目的として,オスジカ,メスジカの肉重量および栄養成分の差異について検討した。試料は,兵庫県丹波地域において2010年9月,11月,12月に捕獲したニホンジカを使用した。オスジカの平均体重は46.4 kg,肉重量は16.7 kg,歩留率は35.6%,栄養成分は100 gあたりタンパク質21.2 g,脂質0.4 gを示した。メスジカの平均体重は36.3 kg,肉重量は13.1 kg,歩留率は35.7%,タンパク質20.5 g,脂質0.7 gを示した。メスジカは,オスジカより小さいが,肉の歩留率は同等で,脂質量は増加傾向にあった。オスジカ,メスジカとも捕獲月による肉重量および栄養成分値の差異は小さかった。肉の部位別では,オスジカ,メスジカともモモとスネの重量割合が高く,肉の部位間での栄養的特徴の違いは小さかった。
著者
新田 玲子
出版者
中・四国アメリカ文学会
雑誌
中・四国アメリカ文学研究 (ISSN:03880176)
巻号頁・発行日
no.24, pp.92-100, 1988-06-01

There are three characters in J.D. Salinger's Nine Stories more marvelous than any of the premature or even more sophisticated characters in his other works. They are Seymour Glass in "A Perfect Day for Bananafish," the Laughing Man, the hero of John Gedsudski's story in "The Laughing Man," and Teddy in the short story of that name. Their distinction is marked by a talent to see more than other human beings are allowed and by their choice of death. This thesis discusses the connection between their miraculous talent and their death, taking into consideration their relationship to society and to the people around them.In "A Perfect Day for Bananafish," Seymour's wife and mother-in-law are depicted in a critical and harsh tone, while Seymour himself reserves his critical comments against them. His story of banana fish, which gives the story its title, shows that Seymour is abnormal and that he is to blame for his own death. The inconsistency between the characterization and the thematic meaning of bananafish, however, is not observed in "The Laughing Man." The narrator of the story can see things both from the ideal side, represented by the Laughing Man, and from the realistic one, represented by Mary Hudson. The narrator can sympathize with the both sides and realizes the conflict between them by perceiving John Gedsudski's inability to stay as the Comanche's leader. "Teddy" tries to solve the conflict faced by the narrator of "The Laughing Man" from the transcendental view, Teddy ignores, however, all human feelings, which we cannot neglect. What is worse, we can never completely believe, like Teddy, in the world beyond death. And, if we could, it is in this present world that we are living and need solutions. In the end, "Teddy" only indicates the direction in which to seek for a solution.As Salinger observes, these three miraculous characters cannot keep up with the society, and so he lets them die to show that even our full commitment to them will not solve the problems of this world. Still, by making Seymour's and the Laughing Man's deaths sad, Salinger also intimates that we cannot live a full life without following their life styles. These conflicting attitudes coexist more and more explicitly in Salinger's later works, along with his aversion to American middle class materialism and his admiration to their energy to survive. As a result, what Salinger offers to his readers is a most difficult and sad way of life, much like the narrator of "The Laughing Man." But it is at least an honest and sincere way of living, and many of his young readers seem to sympathize more with this awkward way of living rather than some other clever or bold way, which is after all only a superficial and compromising solution to their predicaments.
著者
新田 幸子
雑誌
広島国際大学看護学ジャーナル (ISSN:13495917)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.53-63, 2019-03-31

ドイツは,日本と同様に少子高齢社会であり,高齢者を在宅で支援するシステムが整備されている.そして,高齢者の医療・介護は,老人介護士が担っている.老人介護士は看護と介護の役割を併せ持ち,医療職として制度化されている.日本では,看護は医療,介護は福祉分野に区別されている.日本もドイツと同様,介護士養成教育に医学的知識を導入した教育内容を構築することで看護職と同等のライセンスをもつことが望まれるが,老人介護士の誕生は日本では未だ聞かない.本報告の目的は,これからの日本における新たな高齢者支援の在り方を考察するためである.今回,ドイツの都市ミュンヘンとケルンの高齢者介護の実態を見学したことを機に,日独の介護保険制度の相違と老人介護士および看護師の養成教育カリキュラムの文献検討を行った.また,ケルンではカトリック大学教員の協力を得て.老人介護士と家庭訪問に同行し,老人介護士の業務調査を行った.これからの日本に期待されることは,介護を受ける者の意思決定の支援,家族だけに頼らない地域との連携や多職種協働を強化していくことが,高齢者の介護や終末期ケアのより良い支援につながることが示唆された.