著者
望月 嵩
出版者
日本家族社会学会
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.23-31, 2003

結婚についての考え方が揺れ動いている。本論は, 結婚は (1) 社会的に承認された性関係, (2) 継続的関係, (3) 権利義務関係, (4) 全人格的関係という特性をもった男女の結合関係 (夫婦関係) を形成する社会制度であるという筆者の見解を説明する。そして, これらの特性とは異なった見解や現象 (たとえば, 同棲, 同性カップル, シングル志向など) を検討することによって, 結婚の意味を再確認する。<BR>結婚制度を否定するかのような現象がみられることは事実であるが, それらを検討してみると, 必ずしも結婚制度を否定しなければならない必然性は認められない。したがって, 今後の動向を考えてみると, 結婚制度とそれ以外の生き方が併存していくことになろう。
著者
鈴木 克彦 佐藤 英樹 遠藤 哲 長谷川 裕子 望月 充邦 中路 重之 菅原 和夫 戸塚 学 佐藤 光毅
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.451-460, 1996-08-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
42
被引用文献数
2 1

スポーツ選手を対象として, 最大運動負荷に伴う白血球分画と好中球活性酸素産生能の変動を検討したところ, 以下の知見が得られた.1.運動直後に総白血球数が一過性に2倍程度上昇したが, これはリンパ球, 好中球および単球の数的増加によるものであった.好中球数は運動終了1時間後でも上昇した状態にあったが, 核左方移動は認められず, かつ分葉核好中球数の変動と相関が強かったため, 壁在プール由来の好中球動員であったと考えられる.2.リンパ球のなかでLGL (NK細胞) は運動直後に6倍も上昇しており, 終了1時間後には半減した.このようなリンパ球の数的・構成的変動が各リンパ球の機能を測定する上で誤差要因とならないように注意する必要がある.3.ルミノール依存性化学発光法を用いて単離好中球の活性酸素産生能を検討したところ, 刺激物質として貪食粒子のOZを用いた場合のみならず可溶性のPMAを用いた場合にも運動負荷に伴い有意に上昇し, かつ両者の変動には正相関が認められたことから, 単一機序で発光が増強したものと推察される.ルミノール依存性化学発光の反応機構から, 好中球の刺激に伴う脱顆粒能亢進によってMPOを介して強力な活性酸素種 (HOCl) が効率的に産生されやすくなることが示唆された.短時間の運動であっても極端に強度が高い場合には, 毒性の高い活性酸素種を生成しやすい好中球が血中に増加し, リンパ球の機能抑制や筋の炎症等の組織傷害作用を発現する可能性があり, 今後その体内動態をめぐっては, さらに踏み込んだ検討が必要である.
著者
三井 梨恵子 秋好 健志 今岡 鮎子 望月 眞弓 大谷 壽一
出版者
Japanese Society of Drug Informatics
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.77-86, 2015 (Released:2015-10-01)
参考文献数
31

Objective: Clinical trials are designed to clarify the dose-dependency of drugs.  However, the dose-dependency of adverse drug reactions (ADR), especially in the subtherapeutic range, often remains unclear.  Whether decreasing a drug’s dose would reduce the risk of ADR is of interest to both clinicians and regulators.  This study aimed to clarify the dose-dependency of ADR during subtherapeutic exposure to non-steroidal anti-inflammatory drugs, immunosuppressants, β-adrenoceptor antagonists, or corticosteroids.Methods: Data about the ADR risk profiles and the area under the concentration curve (AUC) values of the examined drugs during their subtherapeutic administration, e.g., after their topical or low-dose oral administration, were collected from the literature and compared with data obtained during the therapeutic administration of the drugs; i.e., at the standard oral dosage.Results: The drugs that exhibited AUC of ≥20% during their therapeutic administration continued to cause significant systemic ADR during their subtherapeutic administration.  Whilst the drugs that demonstrated AUC of 3-20% during their therapeutic administration continued to cause systemic ADR during their subtherapeutic administration, the ADR tended to be less frequent.Conclusion: The dose-dependency of ADR can be estimated by comparing the AUC and ADR risk profile data for a drug obtained during its topical, parenteral, or low-dose oral administration with that obtained during its oral administration at the standard dose.  However, some studies have detected high ADR frequencies even during reduced systemic exposure, suggesting that factors affecting the risk of ADR, e.g., patients’ background data, should be carefully matched between the datasets being compared.
著者
小川 武人 畑野 可奈美 藤岡 慧大 藤原 千尋 山本 健一郎 望月 精一
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.Annual56, no.Abstract, pp.S320, 2018 (Released:2018-09-14)

シングルニードル透析は、一本の穿刺針で脱血と返血を交互に繰り返す透析手法である。その圧力や流量特性は通常の透析と異なるため、体外循環時の溶血に影響する可能性がある。そこで本研究では、牛血液を用いて通常の透析(二本の穿刺針)とシングルニードル透析とで溶血率について比較した。 牛血液それぞれ1 L を37℃の恒温槽にて撹拌し、通常透析では血液流量を200 mL/minとし、シングルニードル透析においては脱血時の設定血流量を200 mL/minとした。透析液は流さず、透析器は37℃の恒温槽に浸した。また、ブランクとして牛血液1 Lを恒温槽にて撹拌した。溶血率は血漿中のヘモグロビンの吸光度から算出した。 測定の結果、ブランクにおいても溶血率の上昇がみられた。これは撹拌によるものであると考えられた。通常透析とシングルニードル透析でのポンプおよび血液回路での溶血の影響をみるため、透析時の溶血率からブランクの溶血率の分を補正した。その結果、通常透析と比較して、シングルニードル透析で有意差は見られなかった。血液透析における溶血は、主に脱血時の陰圧による影響が大きいため、違いは見られなかったものと考えられた。 以上から、牛血液を用いた実験において、シングルニードル透析における流量特性が溶血に及ぼす影響については、通常透析との明確な違いが見られなかった。
著者
望月 利男 江原 信之 谷内 幸久
出版者
東京都立大学都市研究センター
雑誌
総合都市研究 (ISSN:03863506)
巻号頁・発行日
no.37, pp.p169-192, 1989-09

1987年12月17日に発生した千葉県東方沖地震での市町村の対応に関し、市町村の防災担当者らを対象にアンケート調査をおこなった。市町村の震度と地震後の対応について検討した結果、震度が低く測定され住家等の被害が少なくても、組織的な対応をおこなった市町村と、震度、被害ともに大きくても組織的対応をおこなわなかった市町村が存在した。災害対策本部の設置、避難勧告、応急給水活動などの対応は、おおむね震度4.5以上(気象庁震度V)で始まっており、地域防災計画等で計画化されている対応の基準とほぼ調和した。地震直後の被害情報の収集は多くの市町村でおこなわれたが、報道機関や県庁からが多く、近隣住民からの情報収集が少なかった結果、被害状況の把握に長時間を要した市町村が存在した。また住民への地震情報の伝達は、震度に関わらず沿岸部の市町村で活発におこなわれ、津波に対する警戒を目的としたものであった。市町村の対応で、長時間にわたりおこなわれたのは、ガス施設の復旧作業や今回の被害で特徴的であった、屋根瓦の被損した住家へのビニールシートなどの貸出しなどであった。Generally, disaster preperedness plans of municipality are supposed to that operate emergency countermesures in a case of earthquake with a seismic intencity V (I_JMA = 5, MSK;7^+ ~ 9^—) announced by neighboring observatory. However, the intensity of V has wide range from sligtly to rather severe damages. In addition, distributions of ovserbatory are not sufficient as compared with number of municipality which has not observatory in the jurisdiction, the person in charge of disaster prevention is apt to confuse to judge the seismic intensity of his region. Even if such the municipality which has observatory, there is difficult problem how he performs emergency operations and/or decides the extent of them. The 1987 CHIBAKEN TOHO-OKI Earthquake subjected moderate damage as result, and so post-earthquake countermesures of municipalities where implemented variously. The object of this study ; 1) estimating the proper seismic intensity of each municipality ; 2) inspecting and considering the actual response of all municipalities with the seismic intensities at their sites in Chiba prefecture ; 3) proporsing how to make the decision of optimum emergency countermesures for such a critical earthquake in future. The results of this investigation can be summarized as follows. 1) The relationship among the seismic intensities and various damages in each municipality as follows : Casualties and damage of houses occured in some municipalities where were estimated the intensity above 4.2. At the intensities above 5.0, the number of municipalities in which occured the damage of human, dwelling houses, public facilities (including life-line systems) and so on. increased remarkably. 2) Setting up the disaster countermeasure headquarters which is the 1st step of emergency operations by municipality goverment were begun at the intensities above 4.5, moreover, it became remarkably at above 4.8. But, there were some municipalities which did not set up the headquarters, nevertheless their seismic intensities were estimated more than 5.0. 3) Municipal response, such as the orders for evacuation to the residents for preventing to casualties due to landslides, were recognized at the intensity above 4.5. and the response, such as temporary water supply and rending many waterproof shirts to dwelling houses which damaged to their roofs, impremented in the areas of above 4.2, moreover, aforementioned operations incresed remarkably above 4.5. 4) Various kind of disaster information activities to the inhabitants were more quickly and actively carried out in the coastal municipalities than the hinter areas in the case of the same seismic intensities. Because, the former areas have the dangerous tsunami potentials and the various communication system for them.
著者
中島 敬二 上田 貴志 植田 美那子 望月 敦史 近藤 洋平 稲見 昌彦 遠藤 求 深城 英弘 河内 孝之 小田 祥久 塚谷 裕一
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2019-06-28

植物は一生を通じて器官や組織を作り続けながら成長する。このような特性に起因して、植物の形態には固有の周期性が現れる。植物の周期形態は遺伝的プログラムや環境変化といった、内的・外的因子により変化し、植物はこれを積極的に利用することで、器官のかたちや細胞の機能を変化させる。植物の形態や成長に現われるこのような「可塑的な周期性」は、植物個体の内部に潜在する未知の周期性とその変調に起因すると考えられるが、周期の実体やそれが形態へ現れる仕組みは不明である。本新学術領域では、植物科学者・情報科学者・理論生物学者が密接に連携して共同研究を展開し、周期と変調の視点から植物の発生原理を解明する。
著者
望月 美也子 長谷川 昇 山田 徳広 東 善行
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 60回大会(2008年)
巻号頁・発行日
pp.3, 2008 (Released:2008-11-10)

【目的】 アスタキサンチンは、カロテノイドの一種であり、エビやカニの殻、鮭の身などに含まれている赤橙色の色素である。既に、肥満マウスにおいて、アスタキサンチンの抗肥満作用が報告されているが、細胞レベルでのメカニズムの検討は行われていない。 そこで本研究では、3T3-L1脂肪細胞を用いて、細胞増殖の程度と脂質代謝に及ぼす影響を明らかにするために行われた。 【方法】 細胞増殖に及ぼす影響を調べる際には、3T3-L1細胞を培養し、アスタキサンチンを添加して、細胞がconfluenceに達するまでの経過を観察した。脂質代謝に及ぼす影響を調べる際には、細胞がconfluenceに達した時点で、インスリンを培養液に加え、脂肪細胞へと分化させた。充分に脂肪を取り込んだ細胞に、アスタキサンチンを添加し、取り込まれた脂肪がどのように変化していくかを観察した。 【結果・考察】 3T3-L1細胞を培養し、あらかじめアスタキサンチンを添加しておくと、前脂肪細胞の増殖を有意に減少させた。一方、充分に脂肪を取り込んだ成熟脂肪細胞に、アスタキサンチンを添加すると、コントロールに比べ蓄積脂肪が減少し、細胞質グリセロール量が増加する傾向がみられた。 以上のことから、アスタキサンチンは、脂肪細胞の増加を防ぎ、成熟脂肪細胞の蓄積脂肪を積極的に分解することが明らかとなった。

1 0 0 0 OA 鶯渓演説集

著者
望月小太郎 著
出版者
大日本社
巻号頁・発行日
1898
著者
渡邉 光 村尾 和哉 望月 祐洋 西尾 信彦
雑誌
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.1677-1684, 2016-07-06

加速度センサを用いてユーザの一回きりの動作であるジェスチャを認識する研究が盛んである.既存のジェスチャ認識の研究では認識したいジェスチャの加速度が正確に切り出されることを前提としており,ジェスチャが間隔を空けずに連続して行われている場合や,ジェスチャの前後で関係のない動作が行われている場合は認識精度が低下してしまうという問題点がある.そこで本研究では,加速度データストリームから教師データとの類似度が高い区間である部分シーケンスを検出し,検出した部分シーケンスの中から尤度の高いものをジェスチャ認識の結果として出力することで,ジェスチャが間隔を空けずに連続して行われている場合や,ジェスチャの前後で関係のない動作が行われている場合でも高精度でジェスチャを認識する手法を提案する.5 名の被験者から観測した加速度データに対して提案手法を適用し,右手で記号を描くジェスチャでは F 値の平均値が 0.78,右手で数字を描くジェスチャでは F 値の平均値が 0.79 となった.
著者
北田 雅子 望月 友美子
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.153-161, 2014 (Released:2015-01-13)
参考文献数
17

目的:本稿では,第21回ヘルスプロモーション・健康教育国際連合(IUHPE)世界会議において報告されたタバコ規制に関する調査研究の動向を概観し,世界のタバコ規制の現状と今後の方向性を考察するとともに,日本の課題を検討することを目的とした.方法:学会抄録附属DVDを用い,タバコ規制に関する発表88演題(口頭発表,ワークショップおよびポスター)の抄録を全てレビューした.結果:演題内容は,タバコ規制の政策や戦略24,若者や未成年の喫煙防止13,禁煙サポート18,受動喫煙からの保護20,メディアやマーケティングによるタバコ規制等13であった.世界会議開催国タイからの演題は44と全発表の半数を占めた.これらの演題レビューの結果から,世界のタバコ規制は2005年に発効したFCTCにより,その取り組みが一気に加速しており,国家レベルで包括的な取り組みが展開されていることが明らかとなった.結論:日本の今後の課題は,他国のようにFCTCに沿ったタバコ規制を国内で推し進めることである.そのためには,ヘルスプロモーションの専門家は,一般市民のタバコリテラシーの向上を目指し,タバコ産業の活動(特に社会貢献活動,CSR)に抗する対策を考え,タバコの害から全ての人を守るための「政策決定の橋渡し(アドボカシー)」の役割を果たすことが必要であると思われた.