著者
川村 隆一 筆保 弘徳 山本 勝 富田 裕之 森本 昭彦 柳瀬 亘 吉田 聡 宮本 佳明
出版者
九州大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2019-06-28

台風と爆弾低気圧による被害事例が日本全国広範囲で多発している。両ストームの発達・進路予測の改善、関連するストーム起源の極端現象の発生予測、そして変わりゆく気候環境下で両ストームの活動度がどのように変調するのかを解明する事は減災の観点からも喫緊の課題である。その問題解決に大きな不確実性をもたらしているのが黒潮・黒潮続流が熱・水蒸気供給を介して両ストームに与える影響である。暖水渦のような海洋中規模渦と低気圧の空間規模は1 桁程度異なっており、スケール間大気海洋相互作用の実態は依然として未解明である。そこで本課題では台風と爆弾低気圧の発達プロセスに果たす中緯度大気海洋相互作用の包括的研究を展開する。
著者
大成 衷子 小川 祐生 八村 寿恵 山木 誠也 鐘ヶ江 晋也 網本 昭輝
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.189-192, 2018

<p>ウサギの不正咬合では,臼歯の棘の切削処置のために頻回の麻酔が必要となる個体があり,頻回麻酔の影響が懸念されている.今回,当院で歯科処置のために1個体当たり39~103回の頻回の麻酔を実施したウサギ11例について,麻酔回数及び年齢に対する回復時間について検討を行った(頻回麻酔群).また,頻回麻酔群に含まれない同様の歯科処置を行ったウサギ67例について,初回麻酔時に同様の項目について調査を行った(コントロール群).頻回麻酔群では,麻酔回数と回復時間に相関がほとんどなかった.一方,加齢に伴い回復時間が有意に延長し,コントロール群でも同様の結果が得られた.両群の同じ年齢区分の比較で有意差はなかった.したがって,歯科処置などの侵襲の少なく,短時間の麻酔では頻回麻酔の影響よりも,加齢に伴う影響の方が大きいと推察された.</p>
著者
堀 秀昭 藤本 昭 山崎 美帆 伊藤 のぞみ 大谷 浩樹 小林 康孝 林 正岳
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.E0340, 2008

【目的】今回の介護保険制度改正は、「できない」「足りない」を補うだけでなく、「できる」「している」を増やす目標志向型にシフトし、特に運動器の機能向上、栄養改善、口腔機能の向上に関しては加算が行われる。しかし、これらのプランも事業所で行われるだけでは効果はなく、在宅・地域コミュニティで継続されることが重要である。今回、高齢者スポーツ実施を通して継続的に地域で介護予防を実施するために、スポーツ高齢者の身体機能を調査し、スポーツの特殊性を検討するための基本的な調査を行った。<BR>【方法】対象は、スポーツを行っている高齢者366名(平均年齢69.8歳)とスポーツを行っていない高齢者399名(平均年齢76.5歳)とした。スポーツの種類としては、エスキーテニス、バウンドテニス、ラージボール卓球、シルバーバレーボール、グランドゴルフ、マレットゴルフ、ゲートボール、太極拳とした。身体機能測定項目は、片脚立位時間、握力、5m速度とし、各々の測定値から運動機能総合判定指標を算出した。また同時に転倒リスクに関する調査も行った。分析は、実施の有無、種目別、年齢別にて分散分析、また重回帰分析により転倒リスクとの関連を検討した。<BR>【結果】1、片脚立位時間は、太極拳(49.2秒)、シルバーバレー(46.2秒)がマレット(28.0秒)ゲートボール(32.6秒)より有意に長かった。握力は、グランドゴルフ(36.5Kg)エスキー(35.5Kg)バウンド(35.1Kg)ゲートボール(34.3 Kg)であり、太極拳(27.8 Kg)より有意に強かった。5m歩行は、バウンド(2.1秒)がゲートボール(2.8秒)より有意に早かった。運動機能総合判定指標においては、各種目に有意差は認められなかった。2、転倒リスクとの関連では片脚立位時間(p=0.011)握力(p=0.013)が有意な関連が認められた。<BR>【考察】運動機能総合判定指標では各スポーツの種目において違いが認められなかったが、バランス能力の片脚立位時間や総合筋力指標の握力で、スポーツ間に違いが認められた。これは競技特性を表しており、ラケットを使用しての競技は握力が必要であり、前後左右への動きが必要とされるラージボール卓球、シルバーバレーボール、太極拳は片脚立位時間が必要とされる。また転倒リスクと片脚立位時間や握力に関連性が見られたことで、高齢者スポーツを紹介する手段として、高齢者の握力と片脚立位時間を測定し、過去のスポーツ暦を考慮に入れながら、転倒予防を目標としたスポーツ紹介が可能と考える。また運動の精神的効果や社会的効果も報告されており、汗を流す喜びを体験させ、体力の向上は健康感を実感させ、ストレスから解放し、また地域に住む人々とともに運動やスポーツを楽しむことで友達づくりに貢献できるので、高齢者スポーツの推進を積極的に行う必要性がある。
著者
熊本 吉一 小泉 博義 黒沢 輝司 山本 裕司 呉 吉煥 鈴木 章 松本 昭彦 近藤 治郎 清水 哲 梶原 博一
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.45, no.11, pp.1429-1434, 1984-11-25 (Released:2009-02-10)
参考文献数
10

急性腸間膜血管閉塞症は,絞扼性イレウスと共に腸管の血行障害をきたす代表的な疾患である.最近我々は塞栓摘除術のみで救命せしめた上腸間膜動脈塞栓症の1例を経験したが発症より手術による血流再開に至るまで3時間40分と短時間であったため腸切除を免れた.また横浜市立大学第1外科のイレウス症例中,術前に動脈血ガス分析をおこなった33例を検討したところ,腸切除を免れた.すなわち腸管が壊死に陥らなかった症例ではbase excessはすべて-2.8mEq/l以上であった.このことより絞扼性イレウスの手術適応決定の指標としてbase excess測定が有用であるとの結論を得たが,本来イレウスにおける手術適応の決定は遅くとも腸管の可逆的な血行障害の時点でなければならず,この点よりbase excessのみでの適応決定は慎重でなければならないと考えられた. これらの経験をもとに,腸管の血行障害における有用な補助診断法としての的確な指標を検討するために犬を用いて上腸間膜動脈を結紮する実験をおこなった.その結果,早期診断の一助として, total CPK, base excessが有用であるとの結論を得た.
著者
佐藤 冬果 坂本 昭裕
出版者
筑波大学 体育センター
雑誌
大学体育研究 = Journal of Sport and Physical Education Center University of Tsukuba (ISSN:03867129)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.1-14, 2019-03

Self-authorship (SA) is one of the most promising concepts among the 21st century skills which one is required to have in modern society. In this study, we have presented an over view of the previous research on SA and discussed the significance and possibility to promote SA through University Physical Education (PE) class as liberal education. Literature reviews were done on the research carried out by Baxter Magolda : 1) about the three dimensions of SA (Epistemological, Intrapersonal, and Interpersonal), 2) the four phases of the developing process, and 3) the conditions that foster the development of SA (i.e., Learning Partnership Model). In addition, we also discussed the studies conducted by other researchers on the factors associated with its development, and the practical examples to promote SA. As a result of the literature review and comparison with diverse studies about the educational structure of PE, PE classes using a constructionism approach have the possibility to be an effective practice to promote SA. Promoting SA by the PE class means that it can cultivate a foundation to achieving many learning outcomes at the university; therefore, it will enable to argue the values of university PE class.
著者
小田 寛貴 池田 和臣 坂本 昭二 増田 孝
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

鎌倉時代以前の現存古写本は,極めて少ない.これは,室町以降,茶室の掛軸等にするため,古写本が数行毎に裁断されてきたためである.この古写本断簡を古筆切という.故に,古筆切の史料的価値は高く,同一の本を構成していた古筆切(ツレ)を蒐集することで,貴重な史料である元の写本を復元できる.ただし,問題点が一つある.古筆切には,後世の偽物や写しが大量に混在しているのである.そこで,14C年代測定により古筆切の書写年代を求め,さらに,顕微鏡観察によって原料・繊維幅・紙漉法等を求め,それらが等しいツレを蒐集することで,失われた古写本の一部分を復元することができる.本研究では,その方法の確立を行った.
著者
瀧本 昭夫 増田 芳則 小田 直樹 吉松 敦宏
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.54, no.508, pp.2135-2142, 1988

Fracture tests of unsaturated polyester resin on large, single-edge notched-bend specimens were conducted under static and dynamic bend tests at room temperature. The velocity of a loading point in the three-point bending was changed from 8.3&times;10<SUP>-6</SUP>mm/s to 7&times;10<SUP>5</SUP> times its value. The two types of fracture marks of the both-ends-closed mark (like ellipses) and the one-end-opened mark (like parabolas) were observed and they were expressed by the equation of fracture marks. A rocket mark, defined here, was also often observed in the dynamic bending test and was well-approximated by the equation. The experimental number, percentage, relative interference appearing distance and the calculated relative critical distance of the marks changed with the crack propagation distance and the testing speed. The velocity of a primary crack propagation was measured and approximated by a mixed-condition relation proposed by us. This change and the gammer-letter relation between the velocity and a dynamic stress intensity factor K<SUB>D</SUB> (or a dynamic strain energy release rate, S<SUB>D</SUB>) gives the latter (K<SUB>D</SUB> or S<SUB>D</SUB>) as a function of the crack propagation distance. This provides a good theoretical explanation of the above variations of fracture marks.
著者
小川 祐生 山木 誠也 鐘ヶ江 晋也 杉本 大輝 八村 寿恵 網本 昭輝
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.71, no.12, pp.713-718, 2018-12-20 (Released:2019-01-20)
参考文献数
12

今回,われわれは犬の歯科X線検査における二等分面法の新たなX線入射角度決定法を考案した.この方法では,フィルム面の口腔外への延長線と撮影対象歯の歯軸で成す角を二等分する角度でX線を照射する.この新しい方法と従来から用いられてきた基本的な方法,及び近年提案された別の方法の3つの方法を用いて,頭蓋及び模擬フィルムで作成したモデルにおける入射角度決定の検証を実施した.作業開始から入射角度決定までの時間を簡易性,得られた入射角度による画像長変化率を正確性,及びそのばらつきを精度の指標とし,それぞれの初回実施時の傾向及び習熟の関与について比較検証を行った.われわれの考案した方法は角度決定時間が最も短く,得られた角度は他法と同等で,ばらつきも少なかった.このことから初心者にも理解のしやすく応用しやすい方法と考えられた.
著者
篠原 一彰 駒場 智美 橋本 克彦 伊藤 文人 岡田 恵 石田 時也 横山 秀之 松本 昭憲
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.1105-1110, 2014 (Released:2018-01-25)
参考文献数
24

過去17.5年間に,運転中に意識障害発作を発症し当院に救急搬送された203例について検討した.車両の内訳は四輪車165例(四輪車運転手の3.6%),二輪車38例(二輪車運転手の1.1%)で,発作の原因としてはてんかん発作77例,脳血管障害62例などであった.運転中の意識障害発作は稀ではなく,自動運転技術開発の意義は大きい.
著者
山本 昭子 山田 いずみ
出版者
福岡女子大学
雑誌
生活科學 (ISSN:05593042)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.167-188, 1982-01-30

Sashiko can be divided into the original stage Sashiko and the developmental stage Sashiko by stages. In the first stage, Sashiko was used mainly for the purpose of reinforcement, keeping warmth and waterproof. In the Second stage, Sashiko was used for ornament rather than the material faculties in the first stage mentioned above. Generally Sashiko refers to the second stage Sashiko in a narrow sense. The unique Sashiko in the Northeastean provinces of Japan is distributed mainly into next six areas.
著者
山本 昭夫 野上 博志 大久保 隆志
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 21.73 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.37-42, 1997-11-28 (Released:2017-06-23)

地上デジタル放送方式として検討されているOFDM方式では、パイロット信号を用いた周波数軸上の等化が可能である。本報告では、パイロット信号を用いた周波数軸上の伝送路応答の補間手法として、sinc関数形のインパルス応答を持つFIRフィルタ、ステップ補間、線形補間、乗算器を用いない簡易形線形補間の各方式について、等化器出力信号のS/Iを比較した。欧州DVB-Tシステムの2Kモードを対象に、D/U=10dBの2波の時不変マルチパス伝送路のシミュレーションを行った結果、FIRフィルタを用いた方式が最も優れた特性が得られたが、ハードウエア規模を考慮した簡易形線形補間方式も、11μSの遅延波に対してS/I=26dB(受信C/N=30dB)の良好な性能が得られ、民生用機器への適用を考えると有効であることがわかった。また、FFT時の窓位置のずれの影響についても検討し、ガード期間方向へのずれに対しては、簡易形線形補間を用いた場合でも20サンプルずれ(FFT2Kモード時)程度まではほとんどS/Iの劣化がないことが明らかとなった。
著者
篠原 一彰 佐久間 宏規 岡崎 美智弥 松本 昭憲 熊田 芳文 野崎 洋文
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.11, pp.692-696, 1999-11-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
18
被引用文献数
1

Severe pulmonary thromboembolism (PE) during pregnancy occurred in 2 young patients. One patient died from PE recurrence without placement of an inferior vena cava (IVC) filter, but the other survived with emergent filter placement before cesarean section. A 31-year-old woman presented with sudden dyspnea at 34 weeks of pregnancy. On examination, she was cyanotic and echocardiography revealed marked right heart dilatation and pulmonary hypertension. An emergent cesarean section was performed, but soon after the delivery, she fell into circulatory arrest. PE recurrence was suggested as cause, and t-PA was administered into the pulmonary artery. She was resuscitated but she died from another PE recurrence 4 days later. A 25-year-old woman, 35 weeks pregnant was admitted because of threatened abortion. She felt sudden dyspnea 3 days after admission and was diagnosed with severe PE by echocardiography and pulmonary catheterization. A Vena-Tech IVC filter™ was inserted at the suprarenal position to prevent PE relapse. Emergent cesarean section was then carried out uneventfully. Heparin and urokinase were administered postoperatively, and her pulmonary arterial pressure decreased. She was extubated 7 days later, and is now doing well 10 months later. Once severe PE has occurred, its relapse may be lethal. The IVC filter is effective in preventing recurrence. Even if the patient is young, emergent IVC filter placement to avoid fatal PE relapse is essential.