著者
田島 康敬 須藤 和昌 松本 昭久
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.245-250, 2009 (Released:2009-08-14)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

脳梗塞を繰り返したHIV感染を伴う神経梅毒の32歳男性例を報告する.症例は右上肢の脱力で発症し,この治療中に発熱,頭痛が加わり各種検査所見からHIV感染をともなう髄膜血管型神経梅毒と診断した.MRAでは脳底動脈,内頸動脈系の描出が不良であり左中大脳動脈の狭窄が顕著であった.ペニシリン投与により臨床症状,髄液,画像を含む検査所見の改善が得られた.しかしながら1カ月後に,意識障害を伴う重度の左片麻痺で再発した.右中大脳動脈は内頚動脈からの分岐部で描出されず,新鮮な梗塞巣が両側性に多発していた.治療により臨床症状,髄液,画像を含む検査所見の改善が得られたが重度の左麻痺が残存した. 本例は脳梗塞で発症し,その後梅毒とHIV感染が明らかになった症例である.近年の世界的なHIV感染の蔓延に伴い,これに伴う梅毒患者数の増加が問題となっており,症例の臨床症状や治療法の検討は大きな課題である.
著者
森本 昭憲
出版者
日本キャリア教育学会
雑誌
進路指導研究 : 日本進路指導学会研究紀要 : bulletin of the Japanese Society for Study of Career Guidance (ISSN:13433768)
巻号頁・発行日
no.5, pp.16-22, 1985-03-31

本研究は小学校2、4、6年生児童を対象に、職業選択の過程ではたらく職業認知の構造を明らかにしようとした。職業選択の基準として、一つは自己の欲求や興味・関心といった、いわば主観的な希望の程度を手かかりとした。もう一つは、現在の学習評価をとおしてみた将来の職業の遂行予測といった自己の能力と職業情報を考慮した、いわば客観的な職業遂行予測の程度を手かかりとして、職業をどのようにとらえているか、またその差異をとらえようとしたものである。その調査の分析結果は次のとおりである。1.小学校児童に、「どの程度やりたいか」といった希望から職業をとらえさせたところ、社会的評価と結びつきやすい「職業機能水準」あるいは「興味の水準」を中心とした側面から職業を認知していた。特にそれは高学年で顕著であった。2.小学校児童に、「どの程度やれるか」といった。自己の学習評価をとおして職業の遂行予測から職業をとらえさせたところ、「職業機能水準」あるいは「興味の水準」を中心とした側面ではなく、「職業興味」を中心とした側面から職業を認知しているようだ。その職業は、身近に接することができたり、容易に見聞したりすることの機会の多い職業であり、職務内容が比較的わかりやすい職業であると考えられた。3.「希望職業」および「遂行予測」のいずれからしても、「男子志向の職業」、「女子志向の職業」といった性による因子が抽出された。性による職業認知のしかたは、小学校低学年段階から顕著にみられ、以後一貫していた。
著者
清水 哲 横山 日出太郎 松川 博史 城島 標雄 有田 峯夫 須田 嵩 五島 英迪 松本 昭彦 田中 耕作 萩原 明 井出 研 近藤 庸人
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.46, no.7, pp.923-927, 1985-07-25 (Released:2009-02-20)
参考文献数
6

乳癌集団検診の二次検診において,コンタクトサーモグラフィーを,マンモグラフィー,エコーグラフィーと共に補助診断法として用い,その有用性,限界について検討を行なった.使用したサーモブレートは,イタリアFinpat社製 “Breast Thermo Detector” であり今回は特に,腫瘤部の温度の高低に注目して診断した.その結果,乳癌症例の正診率は全体で68%, T>2cmでは86%, T〓2cmでは38%であった.病理組織学的には,線維腺腫,乳腺のう胞腫との鑑別は容易であったが,乳腺症との鑑別は難しかった.したがって,コンタクトサーモグラフィーは乳癌の精密検査法としての利用価値は低いとおもわれた.しかし,触診の補助診断法として用いることにより,手軽で安価な検査法としての利用価値があるのではないかと考えられた.
著者
青山 法夫 米山 克也 徳永 誠 南出 純二 小沢 幸弘 山本 裕司 今田 敏夫 赤池 信 天野 富薫 有田 英二 小泉 博義 松本 昭彦
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.24, no.10, pp.2594-2598, 1991-10-01
被引用文献数
2

消化管吻合部狭窄の治療法として,内視鏡的切開およびブジーによる拡大術の適応と限界について検討した.吻合部狭窄35例(瘢痕性26例,癌性9例)を対象とした.瘢痕性狭窄の長さによる狭窄解除率をみると,2cm未満14/15(93.3%),2cm以上3cm未満8/9(88.9%),3cm以上0/2(0%)であった.一方,癌性狭窄は0/9(0%)と効果不良であった.効果不良例13例(瘢痕性4例,癌性9例)の内,癌性3例を除く10例に他の治療を加えた.3例(瘢痕性1例,癌性2例)に手術,7例(瘢痕性3例,癌性4例)に食道ブジー挿管術を施行した.手術では,狭窄が解除出来たのは1例のみで他は試験開腹および合併症死におわった.食道ブジー挿管術は7例全例狭窄を解除でき退院可能であった.皮膚管瘢痕性狭窄1例のみ皮膚瘻孔を形成し手術を要した.食道ブジー挿管術は難治性吻合部狭窄の非観血的治療法として有用であった.
著者
猪熊 茂子 宮本 昭正
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.1-6, 1979

症例1は, 41才男子で, 活字被膜用のアラビアゴムを溶解する仕事に従事8年後に鼻炎を発症, 休業時には発作はない.皮膚テスト, 吸入誘発テスト, RAST, 沈降反応で陽性, IgE 高値, 好酸球増多, 配置転換, disodium cromoglycate で軽症となる.症例2は, 48才女子で, アラビアゴム小売業従事6年後より鼻炎を発症.休業時には発作はない.皮膚テスト, 点鼻誘発テスト陽性, IgE 値, 正常範囲, RAST陰性, 好酸球軽度増多, 抗ヒスタミン剤にてコントロール.症例2の勤務する会社の従業員11名中9名に問診および, 皮膚 prick test 施行, 4名が皮膚テスト陽性, うち3名に鼻炎, 1名に蕁麻疹, 皮膚テストの陽性率は, 健常者群, アトピー外来受診患者に比し統計的に有意であつた.以上により, アラビアゴムが主として, 吸入性抗原として, 職業性アレルギーを高率にひきおこす可能性を指摘した.また, 抗原物質は, RAST 陽性により蛋白質である疑いがもたれた.
著者
山本 昭宏
出版者
日本マス・コミュニケーション学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
no.84, pp.9-27, 2014-01-31

The purpose of this paper is to propose a hypothesis about the process through which the media builds up collective expectations concerning nuclear power (the Nuclear Dream) and the transformation of such expectations. We focus on the Asahi and Yomiuri Newspapers and study not only editorials, but also regular features that are likely to have affected public opinion as much as editorials. The period targeted in this paper is the 20 years from 1945 to 1965. We divide these 20 years into three periods based on changes in the Nuclear Dream: the dream of war deterrence (1945 to 1949) ; the dream of peaceful use (1949 to 1957) ; and the dream of nuclear power generation (1957 to 1965). Japanese newspapers were unknowingly trapped in the Nuclear Dream that they built up through their own discourse; while they detached themselves from the Nuclear Dream in the late 1950s, they expanded the dream again in the 1960s. By describing this process, we examine how it is possible to meet collective expectations built up by the media.
著者
杉浦 ミドリ 松本 昭子 渡辺 一功 根来 民子 高江洲 悦子 岩瀬 勝彦
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.226-230, 1985 (Released:2011-09-13)
参考文献数
12

歳以降の予後の明らかとなった1歳未満発症の熱性けいれん33例と無熱性けいれん133例を以下の4群に分類して, 成因, 臨床像, 発作像, 脳波, 長期予後について比較検討を行った.A群, 38℃ 以上の有熱時のみのけいれん, B群, 有熱けいれんで初発したが経過中無熱けいれんに移行したもの, C群, 無熱けいれんのうち, 3歳未満で発作消失し精神運動発達正常のもの, D群, 無熱けいれんのうちC群を除いたもの.熱性けいれんの48.5%で無熱けいれんが発症した.A, D群はそれぞれ特異的な特徴を示し, B群は両群の中間的な特徴を示した.C群はA群とは明らかに異なり, D群の予後良好なものと同一の範疇に位置づけられるであろうと考えられた.
著者
月本 昭男 置田 雅昭 山我 哲雄 市川 裕 杉本 智俊 牧野 久実 桑原 久男 置田 雅昭 市川 裕 桑原 久男
出版者
立教大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

現在のイスラエル国ガリラヤ地方にあるテル・レヘシュ遺跡にて、5次にわたる考古学調査を行った。これによって、同地域における青銅器時代から鉄器時代にかけて見られる都市の発達とその文化的特性を明らかにすることができた。またアマルナ文書をはじめとする文献研究においては、上記テル・レヘシュが前2千年紀後半のエジプト碑文に言及されるアナハラトと同定されることが明らかになった。またこれまで発信地が不明であったアマルナ書簡237~239番がテル・レヘシュから発信された可能性が高いことを突き止めた。
著者
吉松 梓 坂本 昭裕 渡邉 仁
出版者
駿河台大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究では、悩みを抱える思春期の青少年を対象に長期冒険キャンプを実践し、「身体」に着目してその意味を探ることを目的とした。研究1の質的分析の結果、「心と身体の関係性が変化する」プロセスとして「混沌とした心と身体」「心と身体のつながりや限界に気付く」「身体を入口として自分に向き合う」「自分の身体に自信を持つ」4段階が示された。また「心と身体の伴走者としてのスタッフ」「冒険プログラム特有の仲間関係を体験する」「原始的な自然の中でリアルな感情を抱く」など他者や環境との相互作用が影響していることが明らかになった。研究2の事例研究では、キャンプの体験が個性化の過程として意味があることが示唆された。
著者
堀越 勝 石田 恵 草間 幹夫 藤林 孝司 榎本 昭二 岡田 憲彦
出版者
Japanese Society of Oral and Maxillofacial Surgeons
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.31, no.8, pp.2005-2010, 1985
被引用文献数
1

The presence of sebaceous glands in the oral mucosa is not uncommon, however, sebaceous elements are rarely found on the tongue. Only six cases of ectopic sebaceous glands of the tongue have been reported previously. And four cases of them which have formed duct-like structure were discussed in relation to the thyloglossal duct.<BR>We have recently encountered a case which was clinically and microscopically similar to the prior cases. In this article, a case report was presented with the review of the literature.
著者
守屋 彰夫 佐藤 研 秦 剛平 月本 昭男 山我 哲雄
出版者
東京女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

ヘブライ語聖書の第2 区分であるネヴィイーム(預言者)に属する 8つの書物(ヨシュア記、士師記、サムエル記、列王記、イザヤ書、エレミヤ書、エゼキエル書、十二小預言書)の本文生成過程を、主として死海文書資料、七十人訳ギリシア語聖書との照応関係と乖離・不整合に関する比較研究を通して、紀元前 3 世紀以降、紀元後 1 世紀に亘る期間について追究し、現在の欧米の学界での成果に迫る基本的理解を得ることが出来た。
著者
岸本 昭
出版者
社団法人日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.14, no.139, pp.264-269, 1965-04-15
被引用文献数
1

Kamaboko is a heat-coagulated fish paste containing some salt, sugar, starch and flavor, and is one of the favorites of Japanese people. The rupture properties of Kamaboko, such as the breaking strength and the breaking elongation, are considered as one of the most important factors in evaluating the commercial quality of this product. The quality of Kamaboko has been estimated in terms of pastelike compactness which in Japanese is known as "Ashi". This in reality embodies rheological properties. The results of ranking Kamaboko on market by "Ashi" or compactness have shown that this is closely ralated to its being hard, but not so much so as to be tough, and also to its being fit for chewing chear cut. The organoleptic scores for the Kamaboko, how hard it is, were found to be related to the gel strength, the elastic energy stored in the specimen before breaking. On the contrary, the evaluation of Kamaboko being fit for chewing clear cut has not yet been breaking. On the contrary, the evaluation of Kamaboko being fit for chewing clear cut has not yet been established. The data for the creep in a simple shear, the stress relaxation in extension and the damped free oscillation in torsion of commercial Kamaboko have shown that this is considered to be a thermorheologically simple material and a slightly crosslinked rubbery material which exhibits no viscous flow. The results of stress relaxation of fresh fish meat paste were expressed as : [numerical formula] where &fnaf; is the stress at time t,&fnaf;_10 the value of &fnaf; at t=10sec, a and k the constants, and t the time, respectively. The stress relaxation measurements were made for the meat paste heated at various temperatures and heating time. It was found that the values of &fnaf;_10 increase and those of k decrease with increase of temperature and heating time. The measurements of the viscosity of the fish muscle extracts were made at various velocity gradients. The relation between the viscosity, η, and the velocity gradient, D, followed the de Waele-Ostwald law: η=K D^n where K and n are constants. Moreover, the viscosity,η, of fish muscle extracts at constant velocity gradient was found to be related to the concentration C as : η_<D=2> = kC^m.