著者
坂本 淳哉 後藤 響 近藤 康隆 本田 祐一郎 片岡 英樹 濱上 陽平 横山 真吾 中野 治郎 沖田 実
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.AcOF2005, 2011 (Released:2011-05-26)

【目的】 先行研究によれば,関節包に由来した拘縮の発生メカニズムとして線維化の発生が指摘されている.ただ,この線維化の発生状況を詳細に検討した報告はなく,その発生メカニズムも明らかになっていない.一方,手掌腱膜の線維増生によって生じるDupuytren拘縮は,コラーゲン合成に関わるサイトカインを産生する筋線維芽細胞の著しい増加がその発生メカニズムに強く関与しているとされ,肺や肝臓などといった内蔵器の線維化にも筋線維芽細胞の増加が関与していることが近年報告されている.つまり,不動による関節包の線維化に対しても筋線維芽細胞の増加が関与しているのではないかと仮説できる.そこで,本研究では,膝関節不動モデルラットの関節包における線維化の発生状況と筋線維芽細胞の変化を組織学的・免疫組織化学的手法を用いて検討した.【方法】 実験動物には12週齢のWistar系雄性ラット12匹を用い,無作為に無処置の対照群(n=5)と両側後肢を股・膝関節最大屈曲位,足関節最大底屈位にてギプス包帯で4週間不動化する不動群(n=7)に振り分けた.実験開始時は,各群すべてのラットを麻酔し,0.3Nの張力で膝関節を伸展させた際の可動域(ROM)を測定した.そして,実験終了時は,不動群においては前述の方法でROMを測定した後,両側後肢後面の皮膚を縦切開し,膝関節屈筋群を切除した後に,再度,ROMを測定した.なお,対照群においては皮膚の切開や筋の切除は行わず,麻酔下でROMを測定した.その後は,両側膝関節を摘出し,最大伸展位の状態で組織固定を行い,脱灰処理の後,矢状断にて2分割し通法のパラフィン包埋処理を行った.そして,右膝関節の各試料から5μm厚の連続切片を作製し,105μm厚(連続切片21枚)につき1枚,のべ3枚の切片を抜粋し,コラーゲン線維の可視化のためにPicrosirius Red染色を施した.次に,各試料の染色像における後部関節包を40倍の拡大像でコンピューターに取り込み,画像処理ソフトを用いて画像上に縦,横50μm間隔に格子線を描いた.そして,後部関節包のコラーゲン線維束上に存在する格子線の交点の総数を計数し,対照群の平均値を基準に不動群のそれを百分率で算出した.また,筋線維芽細胞のマーカーとして使用されている抗alpha-smooth muscle actin(alpha-SMA)抗体を用いて免疫組織化学的染色を施した後,後部関節包におけるalpha-SMA陽性細胞の出現率を計測し,各群で比較した.なお,統計手法にはMann-WhitneyのU検定を適用し,5%未満をもって有意差を判定した.【説明と同意】 本実験は,長崎大学動物実験指針に基づき長崎大学先導生命科学研究支援センター・動物実験施設で実施した.【結果】 実験終了時の不動群のROMは,対照群のそれに比べ有意に低値を示し,不動群のすべてのラットは皮膚の切開と筋の切除後もROM制限が残存していた.次に,Picrosirius Red染色像を検鏡すると,不動群では後部関節包の肥厚や線維増生が認められた.そして,前述の方法で画像解析を行った結果,対照群の平均値に対する不動群の百分率は有意に高値を示した.また,不動群におけるalpha-SMA陽性細胞の出現率は対照群のそれに比べ有意に高値を示した.【考察】 今回の結果,実験終了時の不動群のROMが対照群のそれに比べ有意に低値であったことから,拘縮の発生は明らかである.そして,不動群では皮膚の切開と筋の切除後もROM制限が残存しており,これは関節構成体にも拘縮の責任病巣が存在することを示唆している.先行研究によれば,正常関節の運動時の組織抵抗寄与率は関節構成体の中でも関節包が最も大きいといわれており,この残存したROM制限は関節包に由来するところが大きいと考えられる.そして,Picrosirius Red染色像の画像解析の結果は,不動群の後部関節包におけるコラーゲン増生を示しており,不動によって線維化が発生しているといえよう.そして,不動群に認められたalpha-SMA陽性細胞の出現率の増加は,筋線維芽細胞の増加を意味しており,これは不動によって惹起された後部関節包の線維化の発生に関与していると推察される.ただ,線維化の発生時期やその分子メカニズムは不明であり,今後の検討課題と考える.【理学療法学研究としての意義】 今回の結果は,ラット膝関節を屈曲位で4週間不動化すると後部関節包に線維化が惹起され,この変化には筋線維芽細胞の増加が関与する可能性が見出された.つまり,これらの結果は,関節包由来の拘縮の発生メカニズムの解明の一助になる成果と考える.
著者
本田 正美
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) (ISSN:21888647)
巻号頁・発行日
vol.2015-EIP-68, no.13, pp.1-6, 2015-05-22

選挙期間中のインターネットの利用は,公職選挙法で定めるところの選挙期間中の文書図画の使用制限に抵触するとして,これまでは禁止されてきた.しかし,2013 年の公職選挙法改正により,選挙期間中のインターネットの利用が認められ,例えば,候補者が選挙期間中に自身のWebサイトを更新することや電子メールを利用した選挙運動も行うことが出来るようになった.ところで,公職選挙法では,選挙運動は選挙期間中にしか行えないとされている.選挙運動とは,特定に選挙において特定の候補者への投票や非投票を促す行為を指し,広く政治的な運動全般を指す政治活動にも包含されている.選挙期間以外で選挙運動を行うと,事前運動として取り締まりの対象とされていたのである.本研究は,2013 年のネット選挙の解禁後の選挙運動のあり方を見ることで,ネット選挙の解禁に結実した情報技術の浸透が公職選挙法の想定するところの政治活動と選挙運動の区別という枠組みを融解させたことを明らかにする.この作業を通して,日本の選挙制度について再考の必要性があることにつき議論を行いたい.
著者
本田 昭四 山下 良二
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文報告集 (ISSN:09108017)
巻号頁・発行日
vol.375, pp.76-87, 1987
被引用文献数
1

In Japan, many houses for mine workers were built from the 1880's to the 1960's. However, since the goverment changed its energy policies in the sixties, the coal mining industries declined and mine workers who lost their jobs left the coal mining districts. In the 1970's, rehabilitation programs of the district were emphasized. Since the coal mine is located on the site where the coal is found, workers forced to live closed to the mines. Also to facilitate labor manmagement, workers have been made to live collectively. In our country this type of collective housings were called NAYA or HANBA before the 1900's. With the improvement of labor-management relations, the name have been changed to KOFU-SHATAKU, KOFU-SHUKUSHA or TANKO-ROMUSHA-JUTAKU. As the dialogue labor and management increased after the second War, the name was shortened to TANKO-JUTAKU, as it is commonly referred to in administrative circles. This paper is divided into three chapters. In the first chapter, the authors studied the historically changing process of housing for miners, then we made a chronological table and divided it into six periods. In the second and third chapter, we examine the origin and evolution of NAYA and KOFU-SHATAKU that were built for coal miners between the 1880's and the 1920's.
著者
合田 明生 佐々木 嘉光 本田 憲胤 大城 昌平
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48101989, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに、目的】近年,運動が認知機能を改善,または低下を予防する効果が報告されている.運動による認知機能への効果を媒介する因子として,脳由来神経栄養因子(Brain-derived Neurotrophic Factor;BDNF)が注目されている.BDNF は神経細胞の分化,成熟,生存の維持を促進する.またBDNFは神経細胞内に貯蔵されており,中枢神経系の神経活動によって神経細胞から刺激依存性に分泌される.さらに血液-脳関門を双方向性に通過可能なため,中枢神経のみではなく末梢血液中にも存在している.運動時のBDNF反応を観察した先行研究から,中強度以上の有酸素運動によって末梢血液中のBDNFが増加することが示唆されている.一方で,これらの先行研究は欧米人を対象としたものが多く,日本人を対象とした研究は見つからなかった.そこで本研究では,日本人において中強度有酸素運動によって末梢血液中のBDNFが増加すると仮説を立て検証を行った.その結果から,運動による認知症予防のエビデンス構築の一助とすることを目的とする.【方法】健常成人男性40 名(年齢 24.1 ± 2.8 歳; 身長 170.6 ± 6.7cm; 体重 64.8 ± 9.4kg)を対象にした.本研究は,運動負荷試験と本実験からなり,48 時間以上の期間を空けて実施した.運動様式は,運動負荷試験・本実験ともに,自転車エルゴメータを用いた運動負荷(60 回転/分)とした.運動負荷試験では,最高酸素摂取量を測定した.本実験では,30 分間の中強度運動介入を行い,運動前後で採血を実施した.採血は医師によって実施された.採取した血液検体は,血清に分離した後,解析まで-20°で保管した.血液検体の解析は検査機関に委託し,酵素結合免疫吸着法検を用いてBDNF量の測定を行った.以上の結果から,中強度有酸素運動によって末梢血液中のBDNFが増加するのかを検討した.正規性の検定にはShapiro wilk検定を用いた.BDNFの運動前後の比較には,対応のあるt検定を用いた.危険率5%未満を有意水準とした.【倫理的配慮、説明と同意】本研究の実施にあたり,聖隷クリストファー大学倫理審査委員会及び近畿大学医学部倫理委員会の承認を得た.また対象者には研究の趣旨を口頭と文章で説明し,書面にて同意を得た.【結果】中強度の有酸素運動介入によって,40 人中22 名で運動前に比べて運動後に血清BDNFが増加した.しかし,運動前後のBDNF量に有意な差は認められなかった(p=.21).【考察】運動介入によって末梢血液中のBDNFが増加することは,欧米人を対象とした多くの先行研究で報告されている.健常成人における有酸素運動介入による末梢血液中のBDNFの急性反応を調査した文献は13 本確認され,運動後にBDNFが増加した研究は8 本であり,不変または減少した研究は5 本であった.本研究と同様に,運動後に有意なBDNF 増加が認められなかった先行研究では,急速な中枢神経系への輸送が生じたため,運動後の採血でBDNFの増加が見られなかったのであろうと考察している.本研究では,動脈カテーテルを用いたリアルタイムの採血ではなく,静脈に穿刺して採血を行っている.そのため,被験者により運動終了から採血までの時間が数分程度差異があり,この間の末梢血液中BDNFの脳内取り込みが結果に影響している可能性がある.さらに,本研究で運動によりBDNF増加が生じなかった要因の1 つとして,一塩基多型(Val66Met)によるものも考えられる.これはBDNF遺伝子の196 番目の塩基がGからAに変化した多型のことで,これによってBDNF前駆体であるproBDNFの66 番目のアミノ酸がValからMetに変化する.Met 型の一塩基多型を持つ個体では,Val型に比べ,BDNFの活動依存性分泌が障害されることが報告されている.また日本人における一塩基多型(Val66Met)の保有率は,50.3%〜53.0%と欧米人に比べて高い値が報告されおり,このBDNF分泌を阻害する一塩基多型(Val66Met)の保有により,本研究対象者の運動によるBDNFの調節性分泌が減少していた可能性が考えられる.以上より,健常日本人男性におけるBDNFを増加させることを目的とした30 分間の中強度有酸素運動は,対象者によって適応の有無を検討する必要があることが示唆された.【理学療法学研究としての意義】本研究の結果から日本人の特性を考慮した認知機能に対する運動介入が必要であることが示唆される.今後需要が拡大すると予測される認知症予防の分野ではあるが,BDNF増加を目的とした運動介入を行う際には,対象者の適応を検討することでより効率的な介入効果が期待できると考えられる.
著者
本田 正美
出版者
日本社会情報学会
雑誌
日本社会情報学会全国大会研究発表論文集 日本社会情報学会 第24回全国大会
巻号頁・発行日
pp.354-359, 2009 (Released:2010-02-26)

The aim of this paper is to analyze how to encourage civil participation at e-government in Japan. First, this article surveys histories of e-government in Japan, and confirms that Japanese e-government development policy gives priority to the digitalization of public administration. But this article assumes that e-government consists of digitalization of public administration and civil participation. Second, this article analyzes 'Revised Local Autonomy Law' and 'Public Offices Election Law' in Japan, from the view point of interpretation of a law. Third, based on the analysis, it examines how to encourage civil participation, especially political participation, by using ICTs, and considers how to revise those laws. Finally, it concludes that more research will be required in order to encourage civil participation at e-government.
著者
中谷 英士 政清 史晃 中森 昌也 本田 康子
出版者
近畿大学工業高等専門学校
雑誌
近畿大学工業高等専門学校研究紀要 = Research reports Kinki University Technical College (ISSN:18824374)
巻号頁・発行日
no.8, pp.83-84, 2015-03-01

[Abstract] We built multi-OS environment in the PC practice room in consideration of the secure boot technology to prevent pc-user from carrying out only the software with the digital signature. In addition, we utilized various free software as possible for cost reduction and made a batch file to be convenient for users. We also take users' requests into account and solved known problems in the PC practice room.
著者
本田 正美
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第18回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.37-41, 2021 (Released:2021-06-21)

2016年に、官民データ活用推進基本法が施行された。同法は、都道府県に対して官民データ活用推進計画の策定を義務付けている。この計画の策定義務化に伴い、都道府県におけるオープンデータの取り組みが進み、全都道府県でオープンデータに取組済となっている。本研究は、都道府県で策定された官民データ活用推進計画に着目し、オープンデータの推進が唱導されるなかで、法律で策定が義務付けられたデータ活用に関する計画においてオープンデータはいかなる位置付けが与えられたのか実証分析を行った。その結果、オープンデータの位置付けには二つの側面があり、オープンデータが「データ公開の取り組み」と「データ自体の取り扱い」の二つの側面から定位されていることが示唆された。ただし、都道府県の官民データ活用推進計画において、オープンデータについて政策の指標が設定されず、オープンデータの定位が不十分な事例も一定数あった。
著者
横尾 直樹 山本 和良 中村 潤一郎 本田 淳 上杉 昌章 斎藤 知行
出版者
日本腰痛学会
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.111-116, 2003
被引用文献数
3

18歳以上の女性ダンサー282名(プロ109名,アマチュア173名)を対象に,腰痛に関するアンケート調査を行った.バレエ歴はプロ23年,アマ15年と有意にプロが長く,週平均レッスン時間はプロ11時間,アマ6時間,年間舞台回数はそれぞれ12回,2回と有意にプロが多かった.腰痛はプロの92%,アマの84%に認めた.プロではそのうち43%がレッスンに支障のある痛みで,10%に休職の経験があった.腰痛の部位はプロ,アマともに有意に下位腰部,左側優位が多く,腰痛を誘発する動作は腰椎伸展時が最も多かった.病院,医院への受診は10%と低率であった.プロダンサーはバレエ歴が長く,十分トレーニングを積んでいるにもかかわらず,アマチュアに比べ休職率が高いなど腰痛が重度であり,腰背部のoveruseが原因の1つと考えられた.慢性的な腰痛や強い腰痛のあるダンサーは,分離症や疲労骨折などが存在する可能性があり,整形外科医による検診や,定期的なメディカルチェックなどが必要であると考えた.
著者
嶋田 哲郎 本田 敏夫
出版者
公益財団法人 宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団
雑誌
伊豆沼・内沼研究報告 (ISSN:18819559)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.71-73, 2015 (Released:2017-11-10)
参考文献数
4

レンカクHydrophasianus chirurgus はインド,東南アジア,中国南部,フィリピン,台湾などで繁殖し,スマトラ島,ジャワ島などで越冬する(del Hoyo et al. 1996).本来の分布域がアジア熱帯地域であるため,日本では奄美諸島や琉球諸島など西南日本を中心に迷鳥として飛来する(日本鳥学会 2012).関東地方以北では,青森県(日本鳥学会 2012)と新潟県(風間 2012)のみである.宮城県での記録はこれまでなく(日本野鳥の会宮城県支部 2002,日本鳥学会 2012),今回の記録は,東北地方で2例目の報告となる. 著者らは2014年10月,伊豆沼(38° 43’ N,141° 05’ E)西部の水域で宮城県,伊豆沼・内沼ともに初記録となるレンカク1羽を観察したので報告する.伊豆沼でレンカクが観察されたのは,2014年10月19日と20日であった.観察された場所は伊豆沼西部の水深20cm程度の浅瀬で,一面をオニビシTrapa natansによって覆われている水域であり,個体はオニビシの上を歩きながら移動していた.成鳥冬羽と 比較して,首の脇の黄色部分がないこと,胸の黒色バンドが不明瞭であることから,観察された個体は幼鳥と考えられた(del Hoyo et al. 1996).21日以降伊豆沼ではこの個体は観察されず,幼鳥であるため同一と思われる個体はその後,伊豆沼より8km南にある蕪栗沼へ移動し,11月上旬まで観察された(鈴木耕平 私信).蕪栗沼でも伊豆沼と同様にヒシ類の繁茂した水域で観察された. レンカクは,ヒシTrapa spp.やハスNelumbo spp.,クワイEleocharis spp.などの浮葉や抽水植物帯で繁殖し,越冬期もそのような水生植物の多い水域を利用する(del Hoyo et al. 1996).伊豆沼や蕪栗沼で観察された環境は既存の知見と一致しており,この種の選好性によるものと考えられた.
著者
熊沢 忠躬 本田 啓二
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.75, no.9, pp.1755-1766, 1982-09-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
18

An honorable presentation entitled “Clinical and Fundamental Studies on the Eustachian Tube” was reported at the annual meeting of Japan Society of Otolaryngology in 1980. In this presentation, the function of the Eustachian tube was discussed fundamentally and clinically, although we found that various clinical problems still remain in our practice on this tube.The following points should be considered;1) Are Eustachian tube problems functional or organic?2) The location of the lesion.3) Patency.4) Reversibility of dysfunction.5) Clearance function of fluid and air through the tube.6) Relationship between this tube and peritubal lesion in the pharyngeal ostium, tympanal ostium, parotid gland and submaxillar joint.7) Choice of therapeutic methods and evaluation of the result.When these problems are solved, the diagnosis of the Eustachian tube function will be made clearly. Tubo-tympanoaerodynamic graphy, tympanometry, cndoscopic and electromyographic findings will be useful for this purpose. Physical and anatomical research should also be performed.
著者
本田 哲也
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.5-8, 2018-02-01 (Released:2018-06-04)
参考文献数
28

脂質は,糖質・たんぱく質と並ぶ三大栄養素の一つであり,多種の脂肪酸から構成される。脂肪酸は,細胞膜などの生体膜構成,エネルギー源,シグナル伝達などの機能を有し,生体恒常性維持に極めて重要な役割を果たしている。一方で,その過剰な摂取やアンバランスな摂取が,皮膚疾患を含めた様々な病態の悪化因子として注目されている。また,脂肪酸の中でも,オメガ 3 系脂肪酸やオメガ 6 系脂肪酸は食事からの摂取が必要な必須脂肪酸である。特にオメガ 3 系脂肪酸は抗炎症作用を有している可能性が多数報告されており,新たな創薬ターゲットとしても注目されている。食事由来脂肪酸の観点からの疾患の病態解明,および創薬展開が今後益々期待されている。