著者
村上 恭子
出版者
富山大学
雑誌
高岡短期大学紀要 (ISSN:09157387)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.207-219, 2005-03

ドン・デリロとトーマス・ピンチョンは、1997年に数ヶ月前後して長編小説を発表した。前者のUnderworldは20世紀後半のアメリカ史を背景とし、後者のMason&Dixonは18世紀半ばのアメリカ独立期の史実を描き、共に歴史を材料としている。しかも両者は産業資本主義社会の隠れた裏面に焦点をあて、その問題点を描いている。Underworldの場合、一見互いに無関係と思われる諸々の出来事がパラノイア的に関連付けて描かれており、その関連性が特異な効果を作品に与えている。作品には20世紀後半を特色付ける多くの要素--冷戦、核実験、軍産複合体、人種差別とそれに起因する暴動、反体制運動、種々の凶悪犯罪、メディア、廃棄物とそのリサイクル、社会の底辺に生きる人々等--が描かれているが、それらは共通のイメージや場所、小道具、数字等により相互が複雑に交錯し、関連付けられているのである。また諸々の事柄を関連付けて解釈するパラノイア的人物さえ登場している。これらの関連項は全てワールド・ワイド・ウェブで最終的に収斂しており、ネット社会に突入した現在の状況を象徴している。本論では、デリロのパラノイア的描き方を分析し、その効果を考察した。

1 0 0 0 OA 模倣論序説

著者
村上 隆夫
巻号頁・発行日
1996

筑波大学博士 (文学) 学位論文・平成8年7月25日授与 (乙第1203号)
著者
林 徹生 本田 宏明 稲富雄一 井上 弘士 村上 和彰
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.87, pp.103-108, 2006-07-31
被引用文献数
2

今日に至るまで種々のプロセッサ・アーキテクチャが提案され,プロセッサの計算性能は著しく向上している.現在では1個のチップに複数のプロセッサコアを搭載することで性能向上を図るチップマルチプロセッサ(CMP)が数多く提案されるに至っているが,高い計算性能を誇るCellプロセッサもその一つである.また,CMPチップの用途として主にメディア処理が想定されているが,その高い計算能力を生かすことで分子軌道法計算等の科学技術計算にも利用可能と考えられる.そこで本研究ではCellプロセッサに分子軌道法計算の主たる計算部分である二電子積分計算を実装し,その性能を評価する.また,分子軌道法計算のような科学技術計算へ対する今後のCMPチップの利用可能性を考察する.As various architectures of processor are proposed until today, the processor performance improves remarkably. Now many chip multiprocessors that planed to improve performance by implementing some processor cores on a chip are proposed, and processor ``Cell'' is one of them. Though the media processing is mainly assumed as a usage of the chip, we think that we can apply their high performance to Science and Technology calculation like Molecular Orbital(MO) calculation. In this paper, we implement Two Electron Integral calculation that is core of MO calculation on Cell processor, and evaluate performance. And we consider the use possibility of chip multiprocessor for Science and Technology calculation like MO calculation.
著者
福田 光男 有川 千登勢 村上 多恵子 坂井 誠 岩見 知弘 吉野 京子 大塚 亜希子 竹田 英子 中垣 晴男 野口 俊英
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.101-110, 2004 (Released:2005-09-30)
参考文献数
28
被引用文献数
1 3

本研究は, 口臭外来を受診した756名の患者の問診票を分析することにより, 口臭を主訴とする患者の心理的背景を読み取り, 患者対応を的確にすることを目的とした。口臭を意識したきっかけは, 63.6%が 「人に指摘されて」であり, 「人の仕草や態度で」33.7%, 「自分で気がついた」33.5%であった。口臭を指摘した相手は, 配偶者, 子供, 友人の順であった。口臭を感じる時間帯は 「起床時」が最も多く, 「一日中」「空腹時」「仕事中」「疲労時」と続いた。口臭を意識する時として 「対話中」が最も多く, ついで 「対話中の相手の態度を見た」「常に」「混んだ場所や狭い場所にいる」であった。口臭のため困ることでは 「話をするとき」が最も多く, ついで 「消極的になる」「人と一緒に行動できない」「物事に集中できない」の順であった。口臭に関する相談相手がいないと回答した人が半数以上みられた。また, 人からの指摘はなく自分で口臭に気づいたというケースでは, 人に口臭を指摘されて来院したケースより, 「消極的になる」「人と一緒に行動できない」「物事に集中できない」などの回答が有意に多かったことから, より生活上の制約を感じていることが示唆された。以上より口臭を主訴とする患者を診察する場合, 口臭を他人の態度や自分で気づいたと訴えるケースや, 相談相手がいないケースに, 患者の心理的背景まで考慮した対応が必要となってくると推察される。
著者
諸富 勝成 村上 香 長島 孝行
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.49-53, 2004 (Released:2004-05-25)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

Triops longicaudatus, a small aquatic crustacean inhabiting the paddy fields of Japan, has eggs that can undergo diapause and survive under dry conditions for several decades. In this study, diapause eggs were embedded in resin and thin sections were observed under light microscopy. Observations revealed that there were abundant yolk granules, or many nuclei, in a diapause egg. Diapause eggs, post-diapause eggs and eggs just after oviposition were homogenized in their groups and the residual material was removed by centrifugation. The samples were analyzed for proteins using two-dimensional gel electrophoresis (2D-GE). The protein spots were visualized by silver staining, and revealed that there were more than 1,400 spots in a diapause egg, and two protein spots (26 kDa, 4.7 isoelectric point) appeared specifically in diapause eggs. It is suggested that these proteins have some relationship with long diapause. The proteins differ from a small heat-shock/α-crystallinprotein (p26) of Artemia franciscana.
著者
村上 準 熊谷 恒子 下澤 楯夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.97, no.621, pp.43-50, 1998-03-19
被引用文献数
3

感覚細胞のような閾値を持った変換器では、本来なら検出できない閾値以下の大きさの信号でも、信号が周期性を持てば閾値と同程度の大きさの雑音の助けを借りて検出が可能になる、Stochastic Resonance(SR)と呼ばれる現象がおこる。コオロギの気流感覚細胞でも、閾値以下の正弦波刺激とともに外部雑音を与えると、神経パルス列に正弦波信号の周波数のスペクトル強度が増すSRが起こる。本報告では、閾値付近の微弱な正弦波刺激に対する2つの感覚神経細胞の神経パルス出力を同時記録し、その発火時刻のゆらぎの細胞間での相関を調べた。その結果、感覚細胞はそれぞれ内部に互いに独立な雑音源を持ち、そのエネルギーレベルは常温の熱雑音レベルに近いことが判明した。
著者
村上 晴美 平田 高志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報学基礎(FI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.20, pp.167-174, 2001-03-05
被引用文献数
3

個人の外化記憶を構築し、知的生産活動を支援するシステムMemory-Organizerを試作した。本システムは、(a)ユーザのアイディアから外化記憶の作成・編集を支援する思考空間ブラウザ、(b)ユーザのWeb閲覧時の外化記憶の作成、収集、抽出を支援するオーバレイWebブラウザ、(c)ユーザの時系列の興味空間上に外化記憶を配置することにより外化記憶の想起を支援する興味空間ブラウザから構成される。本稿では、WWWからの情報獲得、整理に焦点をあて、本システムの機能を説明する。また、ユーザのWebブラウジング履歴から個人の興味空間を生成してWebページを整理する実験を行ったところ、興味空間ブラウザがユーザの興味空間を表していることや、過去の想起やWebページの整理に役立つ可能性があることがわかった。We have developed a system called Memory-Organizer which enables users to construct externalized memory and support users' creative activities. The system consists of (a) a thinking space browser which helps users to input and edit externalized memory and support creative thinking, (b) an overlay Web browser which helps users to gather, cut, and create information while browsing the World-Wide-Web, and (c) an interest space browser which helps users to recall externalized memory by displaying it chronologically on the users' interest space. In this paper, we focus on information acquisition and organization while browsing the Web and describe the system's functions. We conducted some experiments and found that the interest space browser displays the users' interest space, and it is useful for recalling their past and organizing browsed web pages.
著者
村上 直樹 山下 暢彦 谷内 利明 金井 康通
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.2, 1996-03-11

変換周波数数百kHzで動作するフォワードコンバータ用トラシスを対象にコア外形寸法、特に横幅と高さが制限された場合にトラシスの電力損失が最小となるコアの形状、寸法を検討している。今回、ポットコアについて最小損失を与える寸法を算出したので報告する。
著者
村上 憲稔
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.33, no.8, pp.912-921, 1992-08-15
参考文献数
20
被引用文献数
5
著者
松本 圭祐 伊藤雄一 村上 礼繁 北村 喜文 岸野 文郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.24, pp.121-128, 2006-03-14
被引用文献数
1

本研究では,テキストだけからなるコンテンツに,画像や音声を自動的に付加し,リッチなマルチメディアコンテンツを作り出すシステムについて検討する.まず,テキストを解析し,そのテキストで表現されている内容に適した語句を抽出し,その語句を用いてデジタルデータを取得,付加することで,その内容に最適なマルチメディアコンテンツを自動的に生成した上で利用者に提示する.その結果として,そのテキストの内容理解の促進を図ることができる.テキストとして文章構造に比べ内容が難解で多岐にわたる小説を対象とし,小説内で表現されているシーンに関する画像や音を動的に付加する手法を検討する.We propose a method for generating dynamic multimedia contents to assist users in context understanding.For this purpose,the proposed method enriches simple texts by adding appropriate digital data which are associated with phrases extracted from the context of the text.In this paper, we describe the algorithm of the proposed method and implementation details by utilizing images and sounds as digital data.We also describe an application example applied to novels because its contexts are difficult to understand in spite of their simple sentence structures.