著者
佐藤 輝 吉田 英樹 前田 愛 松本 健太 向中野 直哉 川村 真琴 小西 杏奈 島田 瑞希 高桑 奈緒美 鳴海 萌 天坂 興 原 幹周 小田桐 伶 前田 貴哉
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0668, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】低負荷(最大随意収縮(MVC)の20%程度)で実施される等尺性収縮後の筋弛緩法(PIR)と対象者の随意的努力を必要としない神経筋電気刺激(NMES)では,筋ポンプ作用に基づき筋血流量が改善する可能性が指摘されており,臨床では筋・筋膜性疼痛や浮腫の改善などに活用されている。しかし,PIRやNMESが筋循環動態に及ぼす影響の詳細は十分に検証されていないのが現状である。以上から本研究では,PIRとNMESが筋血流動態に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。【方法】健常者16名を対象とし,仰臥位を保持した対象者の右上腕二頭筋(BB)に対して3つの条件(条件1:PIRを実施する条件,条件2:NMESを実施する条件,条件3:コントロール条件)を無作為順序で日を改めて実施した。条件1では,対象者は,右BBに対するPIRとして,右肘関節90度屈曲位かつ右前腕90度回外位にて20%MVCでの右BBの等尺性収縮を10秒間実施し,その後,右肘関節完全伸展位かつ右前腕90度回外位にて20秒間右BBを弛緩させた。この右BBの収縮と弛緩の計30秒間を1セットとして,10セット5分間を連続で実施した。PIR終了後,対象者は安静仰臥位をさらに15分保った。条件2では,対象者は,右BBに対するNMES(波形:対称性矩形波,電流強度:肘関節の僅かな屈曲運動は起こる程度,周波数:30 Hz,パルス幅:250 μsec,オン・オフ時間:各5秒)を20分受けた。条件3では,対象者は安静仰臥位を20分保持するのみとした。各条件の実施中,筋血流量の指標として右BBの酸素化ヘモグロビン量(oxy-Hb)と脱酸素化ヘモグロビン量(deoxy-Hb)を測定し,各条件開始時の測定値を基準として各条件での5分後(条件1のPIR終了時)及び20分後(各条件の終了時)でのoxy-Hbとdeoxy-Hbの経時的変化を多重比較検定にて検討した。【結果】条件1(PIR)では,oxy-Hbの明らか変化は認めなかったが,deoxy-Hbは条件開始5分後(PIR終了時)で有意に増加し,条件開始20分後でも有意に増加した状態であった。一方,条件2(NMES)では,oxy-Hbは条件開始5分後及び20分後で増加傾向を示したが,deoxy-Hbは同時点で減少傾向を示した。条件3では,oxy-Hb,deoxy-Hbともに経過中での明らかな変化を認めなかった。【結論】本結果は,PIRではdeoxy-Hbが増加するのに対し,NMESではoxy-Hbが増加する可能性を示しており,両者の筋循環動態に及ぼす影響の違いが明らかとなった。PIRのような低負荷随意運動では筋収縮に必要なATP産生は好気的代謝系に依存するのに対し,電気刺激に伴う筋収縮では嫌気的代謝系に依存する(Hamada, 2003)。このため,PIRでは酸素需要が高まりoxy-Hbと比較してdeoxy-Hbが増加するが,NMESでは酸素需要がPIR程には高まらないため,deoxy-Hbと比較してoxy-Hbが増加したと推察する。PIRとNMESはともに筋血流量を改善する可能性があるが,筋循環動態に及ぼす影響は対照的であり,臨床では目的に応じた使い分けも考慮すべきである。
著者
細谷 泰夫 森崎 修司 松本 健一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第71回, no.ソフトウェア科学・工学, pp.227-228, 2009-03-10
著者
松本 健 牧本 直樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2019, no.FIN-022, pp.77, 2019-03-03 (Released:2022-12-14)

Researchs for financial time series in stock or foreign exchange markets, have been one of traditional themes of financial market analysis. Statistical model approaches such as ARMA and GARCH were mainstream of conventional analysis. However, it is difficult to understand and predict financial time series structures, which are generally characterized by high noise level and low autocorrelation. Meanwhile, researchs to capture the structure by artificial intelligence has been increasing in recent years. In particular, Long Short-Term Memory (LSTM), which can capture time series structure, is already widely used in the field of natural language processing and speech recognition. Therefore, in this study, we investigated the model performance in each TOPIX core30 constituent stock by using logistics regression (LOG), random forest (RAF), gradient boosting (GBT), support vector machine (SVM), and LSTM. The performance was evaluated by metrics such as prediction accuracy, F1 measure, AUC, and return. As a result, LSTM showed the best performance in the models. Moreover, we discussed the effectiveness of the stock market neutral strategy by applying the above prediction models. 10-quantile portfolios using the predicted probability outputted by the model, remarks higher accuracy and returns than individual stock trading in all models. Furthermore, LSTM outperformed the others and it is consistent with the result of S&P500 constituent stocks analysis.
著者
新江 賢 中江 進 松本 健治 須藤 カツ子
出版者
杏林大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

ダニの外殻に含まれるキチンが、インターロイキン-33 (IL-33)を介して、無害な抗原に対するアレルギー応答を誘発することを見出した。本研究では、抗原提示細胞の1つである樹状細胞(DC)に対するキチンの効果に着目した。その結果、キチンがIL-33存在下でのみDCを活性化し、炎症性サイトカイン(IL-1)の産生を介してTh2細胞を活性化することを明らかにした。さらに、野生型、IL-33R欠損、IL-1欠損DCを移入再構築したIL-33R欠損マウスにアレルギー性気道炎症を誘発することにより、キチンとIL-33により活性化されたDC由来のIL-1が、アレルギー応答を誘発することを明らかにした。
著者
阪井 誠 中道 上 島 和之 中村 匡秀 松本 健一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.11, pp.2575-2586, 2003-11-15

WebTracerはWebサイトをブラウズするユーザの視線と操作の記録,再生,分析を支援するユーザビリティ評価環境である.WebTracerは,ユーザがどこを注視しつつ操作を行ったかをコンパクトに記録することが可能である.評価実験の結果,WebTracerは既存のビデオ圧縮方式であるMPEG-2やMPEG-4に比べ1/10から1/20のデータサイズで,Web操作画面を記録し再生することができた.また,Webページのメニューが2カ所に分かれている場合は注視点の移動速度が速かったなど,視線とユーザビリティが関連している可能性が示された.WebTracerを用いれば,ユーザビリティの共同研究や,ユーザビリティ評価者と開発者の間でデータ交換することが可能になる.また,視線データを利用して問題のあるページを容易に探せるなど,ユーザビリティ評価を効率的に支援できる可能性がある.
著者
松本 健 木羽 敏泰
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.12-16, 1981-01-05 (Released:2009-06-19)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

100ml分液漏斗に1M塩化アンモニウム-炭酸アンモニウム-アンモニア水溶液(pH10)50mlを入れ,窒素を通じ脱酸素してから,金属銅試料を加え振り混ぜると,酸化銅(I)と酸化銅(II)はアンミン錯イオンとなって溶解し,金属は溶けないで残る.水溶液について銅の量を原子吸光法で定量すれば,酸化銅(I)と酸化銅(II)の合量が求められる.一方,水溶液について窒素ふん囲気の下でバソクプロイン-クロロホルム抽出した後,銅を比色定量して酸化銅(I)の量を求める.酸化銅(II)は酸化銅(I)と酸化銅(II)の合量から酸化銅(1)を差し引いて算出した.本法は精度が高く,金属銅表面の酸化銅(I)と酸化銅(II)とを簡単迅速に分別定量できる.
著者
松本 健嗣
出版者
日本循環制御医学会
雑誌
循環制御 (ISSN:03891844)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.83-91, 2021 (Released:2021-12-24)
参考文献数
18

心不全患者は増加の一途を辿っており、近い将来「心不全パンデミック」が到来するといわれている。心不全の治療方針を立てる上で、あらゆる角度から多彩な情報を提供してくれる心臓MRI は、現代における心不全診療のコアイメージとしてのポテンシャルを有している。心臓MRI を臨床で最大限に活用するためには、このモダリティを「特定の疾患を評価するための特殊な画像診断法」ではなく、「心不全診療で遭遇する様々な疑問を解決する糸口を与えてくれるツール」として扱う、というパラダイムシフトが必要である。本稿では基本的な撮像法を中心に、最近のガイドラインやエビデンスに基づいた心臓MRI の立ち位置を、心不全診療の立場から症例提示を通じて提案する。
著者
古川 雅英 佐藤 精一 松本 健吾 澁谷 博美
出版者
一般社団法人 日本創傷外科学会
雑誌
創傷 (ISSN:1884880X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.129-138, 2012 (Released:2012-07-01)
参考文献数
13

足関節より近位での切断を大切断といい, 重症下肢虚血 (critical limb ischemia : CLI) の治療において, 救命や除痛, 再建不能などの理由で救肢ができず, 大切断を余儀なくされることがある。しかし, 病状によってはその大切断でさえ安全ではない。私たちは当科で大切断を目的に血行再建術を施行した 5 例について検討した。その結果, 全例再手術することなく創治癒していた。また 4 年以上の経過観察期間において死亡例は 1 例であり, いわゆる重症下肢虚血における大切断後の予後よりもよかった。大切断が必要な症例においても切断部位の血流精査を行い, 切断に耐えられる血行再建術を施行することは, 生命予後の改善においても有用であると思われた。
著者
松本 健太郎
出版者
観光学術学会
雑誌
観光学評論 (ISSN:21876649)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.109-116, 2018 (Released:2020-03-25)

ポケモンGOはそのリリース直後、都市の意味空間を規定するレイヤーを多層化させ、われわれが認知するリアリティをより錯綜したものへと変質させた。実際それは物理空間と仮想空間の領域区分を越境しながら多くの社会問題を引き起こし、われわれが生きる意味世界に「分断」(それをプレイする人とそうでない人のあいだのそれ)をもたらす存在として報道されるに至った。本論考ではプレイヤー/非プレイヤーのあいだの「軋轢」、あるいは、そこから派生した社会的な「分断」を視野にいれつつ、複数の領域にまたがる理論的言説を参照しながら、また、それを前提に「ゲーミフィケーション」概念を再考するなどしながら、デジタル・テクノロジーが現代の記号世界にもたらしつつあるものを考察の俎上に載せてみたい。
著者
大平 修也 松本 健義
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学:美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.93-112, 2019 (Released:2020-04-28)
参考文献数
92

本研究は,生活と芸術との関係をつくる協働的な芸術的行為を,現代芸術におけるアート実 践の性質と特性から定義し,芸術的行為に媒介された共感的対話の生成過程を社会的相互行為 の創造過程と位置づけ明らかにすることを目的とした。まず,社会的相互行為を創造するア ート実践に関連した現代芸術の11の様式の概観に基づき協働的な芸術的行為を定義した。次 に,これを事例分析の視点として,砂浜をつくり変える協働的な芸術的行為において,掘った 穴から現れた幼虫を契機に,人間と幼虫が共生する共感的対話が生成され,行為者たちの社会 的相互行為として創造されたことを,事例の相互行為分析と記録断片の記述分析により明らか にした。
著者
北田 暁彦 平島 秀水 小川 淳也 中野 美尚 松本 健俊 中村 潤児
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学 = Journal of The Surface Science Society of Japan (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.25, no.9, pp.580-585, 2004-09-10
参考文献数
18

The effect of step-edges on the dissociative adsorption of H<Sub>2</Sub>S has been studied on a Ni(111) surface using scanning tunneling microscopy (STM), Auger electron spectroscopy (AES) and low energy electron diffraction (LEED). Exposure of Ni(111) to H<Sub>2</Sub>S at room temperature results in the formation of S islands with the structures of p(2&times;2) and reconstructed c(5&radic;3&times;9) rect in the vicinity of step-edges. Subsequently, H<Sub>2</Sub>S dissociates on the terrace of Ni(111), leading to the formation of unique S species with a string structure. The STM observation indicates that the dissociation of H<Sub>2</Sub>S takes place on both step-edges and terraces. The dissociative adsorption of CO as well as formation of carbide islands also take place preferentially at the step-edges. It is thus suggested that a small amount of sulfur located at step-edges effectively deactivate CO dissociation in the methanation reaction.
著者
松本 健一 福田 豊生
出版者
社団法人 環境科学会
雑誌
環境科学会誌 (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.89-98, 2006-03-31 (Released:2010-06-28)
参考文献数
28

京都議定書の発効やポスト京都の議論などにより,先進国のみならず途上国でのCO2排出削減が地球温暖化抑制に向けて今後の重要な課題となる。CO2を削減する方法として,全世界で税率が一律の炭素税(一律炭素税)の導入が費用効果的であるが,一律炭素税は途上国に対して大きな経済的負担を課す。このような政策は途上国の反対にあうのは必至で,またUNFCCCの「共通だが差異のある責任」にも反するため,実現可能性は低い。 このような一律炭素税の問題点を踏まえ,本論文では各国で税率に差異のある炭素税の導入効果を環境的側面と経済的側面を考慮した政策的観点から議論する。差異のある炭素税は帰属価格の概念(帰属炭素税)により実現し,多部門・多地域応用一般均衡分析を用いたシミュレーションにより,一律炭素税導入によるCO2排出削減量やGDPへの影響と比較した。本研究では,世界経済を15産業部門・14地域に分割し,全ての産業部門を炭素税の賦課対象とした。 分析の結果,帰属炭素税はCO2削減効果ではわずかに劣るものの,一律炭素税とは異なり途上国のGDPにプラスの効果をもたらした。世界全体でのCO2排出削減政策の実施と途上国に対する過度な経済的負担の回避の重要性を考慮すると,帰属炭素税の方が一律炭素税よりも先進国・途上国間で経済的な公平性があり,政策的実効性が高いと言える。ただし,帰属炭素税では一部途上国で炭素リーケージが見られるため,その解決策の模索が今後の課題となる。
著者
中村 匡秀 松本 健一
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
設計工学・システム部門講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, 2018

This paper addresses an issue of spontaneous software evolution, which is a modern form of software evolution observed in social coding platforms such as GitHub. In the spontaneous software evolution, feature additions and modifications of software are achieved by spontaneous proposals from individual developers, not by the request from the project manager. In this paper, we investigate project factors that can boost such spontaneous software evolution. Specifically, we first introduce a governance framework of the spontaneous evolution, inspired by a smart city execution model, and then consider relevant factors that can motivate developers to propose actions. Finally, we discuss necessary features for the governance framework from viewpoints of (1) motivation of developers, (2) individual sense of value, (3) skill and competency, and (4) characteristics, quantity, and deadline.
著者
松本 健一 石野 福弥
出版者
一般社団法人 プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会誌 (ISSN:1345031X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.33-38, 2004

本論文は,電力リスクヘの社会的取り組みの必要性と社会的プロジェクトにおける非同期コミュニケーションについて議論する.ステークホルダーの多い社会的プロジェクトは,合意形成やコミュニケーションの面で個別プロジェクトと性質が異なる.電力リスク対策はそのような社会的プロジェクトの典型例である.近年の電力関係の事故や災害から,近未来の電力需要の約40%を原子力に依存するとされる日本では,制御不可能な理由で電力不足が生じる可能性を考える必要がある.また,突然の電力不足が何をもたらすかを予測できない状況でもある.そのような電力リスクに対応するために個別に自家発電機を準備している組織はあるが,社会的な設計概念がない.このリスクの影響範囲は広く,個別プロジェクトでは解決できない課題があるので,社会システム改革プロジェクトと各組織による個別プロジェクトの2重構造でこの問題を捉えることが求められる.そして,その上位に位置する社会システム改革プロジェクトはステークホルダーが多いので,個別プロジェクト間のコミュニケーションマネジメントでは,従来のような同期的な情報のやり取りは不向きである.そこで,各組織の状況に応じて非同期的に必要な情報を取得して,リスク対策結果を登録するための公開データベースが必要となる.また,リスク対策レベルの規格化と認証を行う中立的な機関の設置がそれに先立つ必要がある.