著者
尾上 紗野 畑 秀明 松本 健一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.715-719, 2015-02-15

オープンソースソフトウェア(以下,OSS)開発には多くの開発者が携わっており,異なる特徴を持つ開発者が存在すると考えられる.開発者の特徴を明らかにすることで,OSSプロジェクトの成功に必要な開発者を明らかにできるなどのソフトウェア工学における新しい観点の発見が期待される.本稿ではGitHubで活発なOSSプロジェクトであるhomebrewとnodeに参加する開発者を活動履歴からクラスタリングし,その結果から開発者を分類した.クラスタリングで得られた樹形図を分析した結果,活発なOSSプロジェクトには迅速・議論型,迅速・総合型,悠然・総合型などの異なったタイプの開発者がいることが分かった.In open source software projects, there should be different types of developers. Clarifying the characteristics of developers may enable us to manage projects successfully. In this paper we studied developers in active projects in GitHub, homebrew and node. Based on the analysis of development activities in GitHub, we classified developers and found that there are different types of developers in active projects like fast-commenter, fast-generalist, and slow-generalist.
著者
吉村 巧朗 亀井 靖高 上野 秀剛 門田 暁人 松本 健一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. KBSE, 知能ソフトウェア工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.307, pp.85-90, 2009-11-19
被引用文献数
1

デバッグ作業は,作業に従事する開発者ごとに効率に大きな違いが見られる.デバッグにおける開発者の行動から効率に影響を与えている要因を明らかにできれば,教育や支援に役立てることができる.そこで本研究では、デバッガを使用したデバッグ行動について分析し,上手な人と下手な人の間にどのような差異が存在するのか明らかにすることを目的とした.そのアプローチとして,多くのデバッガが実装しているブレークポイント機能に着目し,その使用履歴よりプログラマの特徴を分析した.150行程度のJavaプログラムを題材とした実験の結果,次のような知見が得られた.デバッグの下手な人は,連続した行にブレークポイントを設置する傾向がある.また上手い人には,ブレークポイントを用いた実行を頻繁に行う傾向がある.
著者
松本 健吾 加藤 内藏進 大谷 和男
出版者
岡山大学理学部地球科学教室
雑誌
Okayama University Earth Science Report (ISSN:13407414)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.25-34, 2013-12-27

Rainfall characteristics and large-scale atmospheric fields on the "heavy rainfall days" (with more than 50mm/day) in the mature stage of the Baiu season (16 June ~ 15 July) at Tokyo in the eastern part of the JapanIslands were examined, based on the daily and the hourly precipitation data from 1971 to 2010.Appearance frequency of the "heavy rainfall days" at Tokyo attained only about 1/3 of that at Nagasaki inthe western Japan. Furthermore, it is noted that about half of the "heavy rainfall days" at Tokyo were relatedto the typhoon. In detail, about half of the typhoon cases were associated with the direct approach of atyphoon (referred to as Pattern A, hereafter), the other half corresponded to the situation when the Baiu frontalso stagnated around Kanto District with a typhoon to the southwest of Kanto (Pattern B).Although the contribution of the intense rainfall with more than 10 mm/h to the total precipitation waslarge in Pattern A, that with less than 10 mm/h was dominant in Patterns B and C (Pattern C: meso-α-scalecyclone on the Baiu front approaching to the Kanto District). It is noted that about half of the "heavy rainfalldays" corresponded to these pattern. In other words, unlike the localized torrential rain in western Japan, the"heavy rainfall days" due to the duration of "not-so-intense-rain" appeared rather frequently in the easternpart of Japan even in the Baiu season.In both Patterns B and C, relatively strong low-level southerly wind associated with the disturbance (atyphoon or a meso-α-scale cyclone) invades into the baroclinic zone in the basic field sustained as thesowthwestern edge of the cool Okhotsk air mass. It is interesting that the "heavy rainfall days" there due tothe contribution of the persistent "not-so-intense-rain" occur just in such situation.
著者
西野 範夫 西坂 仰 上野 直樹 松本 健義 北澤 憲昭 茂呂 雄二 永井 均 大嶋 彰 西村 俊夫
出版者
上越教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

本研究は、今日の子どもにかかわる諸問題は、子どもの論理による学びが成立していないこと、すなわち、子どもの学びが今を生きることに成り得ていないことによるものであるとの認識に立ち、子どもの学びの実践の場に臨み、その論理を総合的にとらえ、子どもの論理による教育の体系化を目指した。このため、次のような研究を行なった。(1)子どもの論理による学びの成立がみられる、子どものつくること、表すことの行為に着目し、その実践の場に臨み、その論理を行為分析等の臨床学的手法を援用してとらえることとした。(2)子どもの論理によるつくること、表すことの行為をとらえ、学びの論理を明らかにするため、現象学的発達心理学、談話行為論、相互行為論、状況的認知論等の考え方をとり入れた学際的な研究を行なった。その結果、(a)子どものつくること、表すことの行為は、子どもの身体性を働かせた<感じること、考えること、表すこと>による相互作用・相互行為による意味生成の実践過程であって、常に<いま、ここ>を<私>として生きる学びの実践であるとともに、子どものすべての学びの基礎理論となり得ること。(b)子どものつくること、表すことの行為は、子どもの<生>の論理による学ぶこと生きることが一体となったものであるとともに、他者と相互行為的にかかわり、学び合い、行き合い、意味生成と、<私>と<他者>をともに生成する過程であり、「生きる力」を育む過程であること。(c)子どもの論理による学ぶこと、生きることの生成過程は、子どもと相互行為的にかかわり、ともにその過程を実践する教師の学習臨床あるいは意味生成カウンセリング的な関与に支えられること。以上の論理を総合することによって、子どもの論理による学びのカリキュラムの構成が十分に可能であることを明らかにすることができた。
著者
角田雅照 門田暁人 松本健一 大岩佐和子 押野智樹
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE)
巻号頁・発行日
vol.2014-SE-186, no.12, pp.1-7, 2014-11-06

近年,情報システムの規模の増大や,システム運用の外部委託の進展に伴い,システム運用に関する注目が高まっている.システム運用費用が妥当であるかどうかは,システム運用の委託側企業にとって判断が難しい.本稿では,委託側企業がシステム運用費用の妥当性判断の参考となるような情報の提供を目指し,システム運用費用に影響を与える要因の分析を行った.受託側の作業時間と運用費用は非常に関連が強いため,受託側作業時間を把握することができれば,標準的な運用費用を推定することができる.ただし,受託側作業時間を委託側企業が把握することは一般に容易ではない.そこで本稿では,作業時間と技術者の単価から簡易的に価格を推定することを前提とし,作業時間と単価に影響する要因を個別に分析した.その結果,作業時間はプログラム本数と最大利用者数から決まることや,ネットワーク範囲が狭い場合,単価が低くなる傾向があることがわかった.
著者
齊藤 康廣 門田 暁人 松本 健一
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.5, pp.1-7, 2013-03-04

本稿では,自然言語で記述された提案依頼書 (Request For Proposal ;以下 RFP とする )に記載された非機能要件の記述の明確さを機械学習により評価する方法を提案する.提案方法では,まず,RFP から非機能要件に関するキーワード群を抽出し,個々の非機能要件の特性とマッピングさせる.次に,各キーワードの出現頻度と文脈ベクトルに着目して重み付けを行い,ランダムフォレストによって,非機能要件の記述の明確さをモデル化する.70 件の RFP を題材として,提案方法によって多数の非機能要件の記述の明確さを 3 段階で評価した結果,エキスパートによる評価に対する完全一致率の平均が 69.8 %となった.また,完全不一致率 (評価が 2 段階外れること) は極めて小さかった.このことから,エキスパートがいない状況においても,機械学習によって RFP の品質の自動評価をある程度行えることが分かった.This paper proposes a machine learning approach to evaluate the clarity of non-functional requirements (NFRs) described in a Request For Proposal (RFP) written in a natural language. In the proposed method, keywords related to NFRs are extracted from a RFP, and mapped to each NFR category. Then, the clarity of NFRs is modeled by the random forest with weight factors based on appearance frequency and context vectors. As a result of an experimental to evaluate the clarity (low, mid or high) of many NFR categories in 70 RFPs, the proposed method showed 69.8% match to the expert's decision. Also, there were few cases where the model concluded as clarity=high while expert concluded clarity=low, and vice versa. These results suggest that the proposed machine learning approach could be used to automatically evaluate the quality of RFP without experts.
著者
松本 健一 中村 匡秀 水野 修 森崎 修司 大平 雅雄 門田 暁人
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では,高い専門性を要するソフトウェア開発作業を,不特定多数の個人にインターネット技術を使って外注する「クラウドソーシング」と,それら個人間での「群集知形成」を支援する超分散開発基盤技術を開発した.具体的には,「多言語対応コミュニケーション・知識形成基盤」と「Lightweight & Massive PDCAサイクル基盤」の2つを開発し,実証実験によってその妥当性,有用性を評価した.個人を単位とした新たな超分散開発形態は,ソフトウェア開発における多重請負構造を解消し,開発リスク低減とソフトウェア品質向上をもたらす.
著者
松本 健義 西野 範夫 佐藤 公治 上野 直樹 布川 和彦 茂呂 雄二 西阪 仰 松本 健義
出版者
上越教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

現在の子どもの根源的な危機は,学力低下にあるのではなく,<学ぶことの根拠>である<生>の低下,すなわち,他者と共にアクチュアルに生きる機会の激減にあるという認識にたち,以下のように研究を進めた。(1)感じ・考え・行う身体の論理と筋道を働かせて,子どもがもの,こと,人に働きかけ働きかけられて<学び合い・生き合う>ことを通して,根源的な<学び-知>が生成され成りたつ過程を明らかにする。(2)現象学的心理学,状況的学習論,談話心理学,相互作用・相互行為分析の視点と方法を取り入れた学びの過程の臨床的分析と教育実践の構想実践を行い,学びの過程に対応するカリキュラムと教育実践の総合的在り方を明らかにする。その結果,以下のような成果を得た。1.子どもの<学び-知>は,自己の行為の論理を働かせた,もの,こと,人との相互作用・相互行為の過程で,記号や道具を媒介にして,子どもともの,こと,人とのあいだに<できごと世界<関係=意味)>を,状況的・相互的・協働的に生成し,世界,行為,他者,<私>の意味を同時に生成する過程であることを明らかにした。また,意味生成としての子どもの学びの過程をとらえるあり方を学習臨床学として明らかにした。2.子どもの行為の論理による<できごと世界>の生成としての学びの過程が生起し,その過程で,過去の経験や活動といまここで未来へと向かいつくられる活動との関係,他者やできごととの関係を,子どもが新たにつくりつくり変えて自己の<生>と,世界,行為,他者,<私>の意味とを共に新たに生成することを支える教育実践のあり方を,学習臨床カウンセリングとして明らかにした。3.他者と共に<生きる-学ぶ>ことにより子どもが、<知>を生成する過程を通して,あらゆる教科の学びの基礎・基本となる子ども<生>の論理に対応した学習過程の臨床的カリキュラムが構成されることを明らかにすることができた。
著者
松本 健吾 星野 輝彦 今泉 隆志
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.105-111, 2014 (Released:2014-06-05)
参考文献数
12
被引用文献数
1 2

抗菌薬の適正使用をすすめる上で,「介入とフィードバック」による監査は重要である.当院における「介入とフィードバック」をより推進するため,抗菌薬適正使用支援システム(本システム)を構築した.本システムにより,細菌検査結果に基づいた検出菌一覧やアンチバイオグラムのような有用な情報を速やかに作成できた.これらの情報に基づいて,抗菌薬の適正使用状況を確認し,必要に応じて,薬剤師は処方医へ薬剤変更などの処方提案を速やかに実施した.その結果,細菌検査を実施した患者の中で処方提案を行った件数は,10件(3.6%)より57件(17.5%)へ大きく上昇した.またシステム構築前後の処方提案に対する受入れ率は,それぞれ90.0%と75.4%となった.またシステム構築後において,処方提案に対し受入れた方が,受入れなかった場合よりも臨床効果の有効率が高い傾向が見られた.本システムは,短時間で抗菌薬の適正使用を監査するうえで有用である.今後,病棟薬剤師と連携し,対象患者は抗菌薬療法を行うすべての患者へ広げる予定である.
著者
松本 健治 國土 将平
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

大学生164名で男女別に体脂肪率,皮下脂肪厚,BMIと自己の体型認識との関連性を検討した 男>女の有意項目はBMIと除脂肪体重で,女>男の有意項目は体脂肪率,体脂肪量及び胸部を除く9部位の皮下脂肪厚であった、男では体重とBMIにおいて体脂肪率,体脂肪量,除脂肪体重及び10部位全ての皮下脂肪厚と有意相関があった。女でも男と同傾向で,体重と体脂肪率との間及びBMIと体脂肪率との間のr^2は男よりも低かった。体脂肪率が従属変数で,身長,体重,BMI及び10部位の皮下脂肪厚が独立変数の重回帰分析の結果,男は腹部,体重,大腿前部,胸部の4変数(R^2=.77),女は上腕背部と肩甲骨下部のみが採用された(R^2=.53)。男女間で自己の体型認識に有意差があり,女は,「太っている」が60%以上みられた、測定項目との関連は,男女とも,BMIが最も強かった(男:r=.83,女:r=.75)。体型評価尺度で,女は65%が,「自分でみた感じ」が非常に重要と答え,男女間で有意差(P<.001)があった。また「体重」と「筋肉量」にも男女間で有意差があった。男は「他人や友達との比較」と体脂肪率との間で,負の有意相関がみられた.女ば「他人や友達との比較」とBMI,体脂肪率,体脂肪量,上半身6部位の皮下脂肪厚との間で,負の有意相関があった、男は身長と体重で有意に高値を,女は,有意に高身長と低体重を理想としていた。それが,理想BMIの18.6にもみられた,脂肪を落としたい部位の有無で,女は99%があると答え,有意な男女差とも一致しており,部位は男女ともお腹が最多で,有意差はなかった。太もも,お尻,腕は,女が有意に高率であった、今後の自分の体型は,女が有意に高率で80%以上がやせたいと答えていた。他人と比較しての体型認識は,女が有意に高率で60%以上が太っていると答えた 体質的に食べても太らないかは,女が有意に高率で75%以上が太りやすいと考えていた
著者
松本 健 小浦 利弘
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.807-811, 2001-12-05
被引用文献数
1

難溶性の硫酸バリウムの分解方法として, 融解剤に硫酸水素アンモニウムを用いる, 迅速簡便な方法を確立した.硬質ガラス製試験管に硫酸塩試料の約10mgと硫酸水素アンモニウムの約2gを入れて混合した後, ガスバーナーの小さなフレームで試験管の底部を550〜600℃に加熱する.分解が進むに従って融解物は無色透明になり, 約5分間の加熱で十分である.冷却後, 固化した融解物を0.05M EDTA-アンモニア水溶液(アンモニア濃度; 3.5M)に加熱溶解し, 溶液中のバリウムを誘導結合プラズマ発光分析法あるいはフレーム光度法で定量する.本法を難溶性のバリウム鉱石の分解に応用し, 試料中のバリウムを定量したところ, 試料を炭酸塩融解して得た値とよく一致した.
著者
松本 健 小野 健吉 青木 繁夫 大井 邦明 川西 宏幸 藤井 英夫
出版者
国士館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

近年の海外における日本の考古学的、人類学的、民俗学的調査研究はめざましいものがある。また同時に海外の文化遺産の保存・修復事業も盛んに行われるようになり、日本も国際貢献の立場からその協力を求められている。国際協力にはその地域の文化遺産を中心とした基層文化を研究し、また保存修復に関わる法律の整備、環境の調査や技術的研究が必要である。さらに各地域において長期に渡って調査研究に携わっている各分野の専門家による調査研究で、文化遺産を護る現在の経済的、政治的、文化的要因や環境が地域によって極めて異なることが明らかになった。従って文化遺産に対する画一的な経済的、技術的協力ではむしろ問題を残す結果となる。また従来のように、学術的調査研究や保存修復研究だけでは真の文化遺産の研究とは言いがたい。今後は各地域の文化遺産の学術的研究特に人文科学的研究を推進するとともに、保存科学や分析などを中心とした自然科学的研究、そしてさらに学術的価値の高い文化遺産を単に保存修復するだけでなく、それらを未来へ活かす研究、すなわちその地域における現在の政治、経済、宗教、社会教育、地域などと文化遺産の関わりを調査研究する社会科学的研究を実施していくことが不可欠となる。
著者
井垣 宏 中村 匡秀 玉田 春昭 松本 健一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.314-326, 2005-02-15
参考文献数
26
被引用文献数
11

ホームネットワークに接続された家電機器を連携制御しユーザの快適性・利便性を高める,家電機器連携サービスの一実現手法を提案する.既存の機器連携システムでは,ホームサーバが家電機器を中央集権的に制御する方式が一般的である.しかしながら,家電機器の多様化・高性能化により,ホームサーバへの負荷集中や信頼性・相互接続性の低下が問題となる.そこで我々は,サービス指向アーキテクチャ(SOA)に基づいた新たな連携サービス実現方式を提案する.提案手法では,各機器が自己の機能をサービスとしてネットワークに公開し,他の機器が公開するサービスを互いに実行することで連携を行う.これにより,各機器はサービスを介して疎結合され,ホームサーバも不要となる.したがって,より柔軟で障害や負荷に強い連携サービスの実現が可能となる.本稿では,SOAに基づいて連携サービスを設計・実装するための枠組みを示し,Webサービスを用いたプロトタイプ開発を行う.また,連携サービスの評価尺度として,信頼性,負荷,結合度を定義し,従来システムと提案システムの定量的な比較評価を行う.This paper presents a method to implement the integrated services of networked home electric appliances, which provide more convenient and comfortable living for home users. The conventional methods generally employ a home server to achieve the integrated services. The server controls all the networked appliances in a centralized manner. However, as the number of sophisticated appliances increases, the centralized server suffers from the concentration of load, as well as a decline in the reliability and interoperability. To cope with this problem, we adopt the service-oriented architecture (SOA) for the implementation of the integrated services. In the proposed framework, each appliance exports own features as a service. The appliances autonomously execute the exported services one another to achieve the integrated services. Thus, the appliances are loosely coupled via the exported services, without the centralized home server. This enables more flexible, balanced and reliable integrated services. In this paper, we present a framework to design and implement the integrated services based on the SOA, and illustrate a prototype system developed with Web services. We also define three kinds of metrics (i.e., reliability, workload, and coupling) and conduct a comparative evaluation between the proposed and the previous systems.
著者
松本 健志 田中 正夫 内藤 尚 中村 匡徳
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

骨折後の早期離床は安静・廃用による骨萎縮を軽減し,高齢者の寝たきりや骨粗鬆症の予防,若年者の正常な骨発達を助け,将来の骨粗鬆症罹患リスクを低減する.本研究では,β交感神経系を介した骨折の可能性について,特に骨修復早期に着目し,動物実験による検討を行った.脛骨皮質骨に欠損を作製したラットを尾部懸垂し,無処置(C), propranololでβ交感神経を遮断(PRO), desferrioxamineで血管新生を促進(DFO)した3群に対し,欠損作製後5日あるいは10日においてジルコニア・アガロース血管造影剤を注入した.各群の試料はジルコニアk吸収端の直上(18. 1keV)及び直下(17. 9keV)で放射光CTスキャンし,再生骨及び新生血管をイメージングした.術後5日目には3群とも血管新生が見られたが,その体積率はC群に比較してDFO群で有意に高く, PRO群では増加傾向が見られたのみであった.骨の再生については特にPRO及びDFOの処置による効果は確認できなかった.術後10日目には血管新生の体積率は3群で差はなくなったが,再生骨の体積率はDFO群で有意に高値を示した. PRO群では骨再生の増加傾向は見られたが,有意な効果は認められなかった.β交感神経遮断の骨修復への効果については,効果の濃度依存性や選択的遮断など,さらに詳細な検討が必要である.
著者
角田 雅照 大杉 直樹 門田暁人 松本 健一 佐藤慎一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.1155-1164, 2005-05-15
被引用文献数
12

ソフトウェア開発における工数予測を目的として,過去のソフトウェア開発プロジェクトにおいて記録された多種類のソフトウェアメトリクス値を入力データとし,協調フィルタリングにより予測工数を求める方法を提案する.協調フィルタリングは,未計測の値(欠損値)が大量に含まれているデータを入力とした場合でも予測が行えるという特長があるが,ソフトウェア工数予測に適用する方法はこれまで提案されていない.提案方法では,まず,入力となるメトリクス値を正規化し,値域を揃える.次に,正規化したメトリクス値を用いて,予測対象(開発中)のプロジェクトと,過去に行われたプロジェクトとの類似度を計算する.最後に,類似度の高い(予測対象プロジェクトと類似した)プロジェクトの工数を類似度で加重平均した値を,予測対象プロジェクトの工数とする.ケーススタディとして,株式会社NTTデータにおいて1 081件のソフトウェアプロジェクトから計測された14種類のメトリクス(約60%の欠損値を含む)を用いて試験工数を予測した.その結果,提案方法は従来方法(欠損値処理法を用いたステップワイズ重回帰分析)よりも高い精度を示し,予測試験工数の相対誤差の平均値(1プロジェクトあたり)が22.11から0.79に改善された.To predict software development effort, this paper proposes an effort prediction method based on the Collaborative Filtering (CF) which uses as input various software metrics recorded in past software development projects. The CF has an advantage that it can conduct a prediction using "defective" input data containing a large amount of missing values. There are, however, no researches which propose a method for applying the CF to Software effort prediction. Our proposal consists of three steps. In the first step, we normalize values of metrics to equalize their value range. In the next step, we compute the similarity between target (current) project and past (completed) project using normalized values. In the last step, we estimate the effort of target project by computing the weighted sum of efforts of high-similarity projects (that are similar to the target project) using the similarity of each project as a weight. In a case study to evaluate our method, we predicted the test process effort using 1,081 software projects including 14 metrics whose missing value rate is 60%, which have been recorded at NTT DATA Corporation. As a result, the accuracy of our method showed better performance than conventional methods (stepwise multiple regression models); and, the average accuracy per project was improved from 22.11 to 0.79.
著者
松本 健志 小笠原 康夫 片岡 則之 後藤 真己 梶谷 文彦 MOCHIZUKI Seiichi MATSUMOTO Takeshi TACHIBANA Hiroyuki
出版者
川崎医療短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

【目的】糖尿病に認められる血液レオロジーの変化は微小血管分岐部における血流分配にも影響し,局所的に心筋酸素需要-供給バランスを悪化させ,糖尿病と高率に合併する冠微小循環障害の原因になり得ると考えられる.本研究では血液レオロジー変化がもたらす心筋血流異常について基礎的検討を行うために,血液,タイロード溶液,および人工赤血球+血液による摘出潅流心モデルを対象に,冠微小循環単位レベル(最小の細動脈が潅流支配するサブミリメートルサイズの心筋微小領域)で心筋潅流分布評価を行った.【方法】血液,NRC+血液潅流では交叉潅流モデルを用いて潅流液を酸素化し,タイロード溶液については酸素バブリングにて心筋潅流を行った.人工赤血球にはテルモ社製Neo Red Cell(NRC,粒子径=200nm)を利用した.各潅流液での潅流中に血流マーカーであるHDMI(2μCi)を心筋内ボーラス投与し,心停止後,心表面に平行に心筋スライスを作製し(10μm厚,28枚/心筋),デジタルラジオグラフィによってスライス内のHDMI分布を測定した(空間分解能100μm).潅流分布の評価には,局所血流の不均一性の指標である変動係数(CV[%]=局所HDMI密度の標準偏差/HDMI密度の平均)を用いた.【結果及び考察】潅流量,左室発生圧は,NRC+血液潅流心では5.4±0.4ml/min/g,109±6mmHg,血液潅流心では2.8±0.1ml/min/g,108±15mmHg,タイロード潅流心では13.6±2.7ml/min/g,107±18mmHgであった.なお,NRC潅流ではヘマトクリット,リポソームの体積率は各々20±1,9±2%であった.局所心筋潅流のバラツキCVはタイロード溶液潅流心で最も低く,次いでNRC+血液潅流心,血液潅流心で最も大きかった.NRCは赤血球径の1/40であることからNRC+血液の粘性は血液に比べ低く,その結果,潅流量は増加し,さらに潅流不均一性の低下が認められた.加えてNRC添加により酸素供給不均一化の原因となる微小血管分岐でのプラズマスキミングも低減すると考えられ,NRC代謝改善効果に寄与するものと考えられた.
著者
軸屋 和明 立花 博之 平松 修 望月 精一 松本 健志 後藤 真己 OGASAWARA Yasuo KAJIYA Fumihiko
出版者
川崎医療短期大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

心筋内の血流分布は微小循環レベルで著しい空間的不均一性を示すことが知られ、冠微小循環障害発症メカニズムの関連因子として注目されている。本研究では、放射性分子血流トレーサ(トリチウム標識のデスメチルイミプラミン:^3H-DMI)を用い、従来にない高分解能(100サンプル/mm^2、最小サンプルサイズ0.lmm)で麻酔開胸家兎の心内膜側心筋と心外膜側心筋の血流分布の全体的および局所的不均一性を評価した。その結果、心内膜側では心外膜側に比して血流の全体的不均一性(global heterogeneity)は大きかったが、逆に近接サンプル間の血流相関性すなわち局所的な血流の一様性(local homogeneity)が高かった。また、フラクタル解析によって、血流分布のランダム性は心内膜側で小さく、クラスター様の分布パターンであることが明らかになった。以上より、心内膜側心筋は不均一な冠血管構造と心筋メカニカルストレスの影響下にあるために全体的な血流分布のバラツキは大きいが、高い心筋酸素需要に応じて局所血流調節が強く働き、血流分布を局所的に一様化していることが示された。また、サンプルサイズを変数とした近接サンプル間の血流相関値にあらわれる増加→プラトー関係から、血流調節ユニットが心外膜・内膜側ともに約400μmであった。この大きさは臨床的に知られる散在性の心筋虚血の個々の虚血領域の大きさに対応している。
著者
萬宮 健策 堀 一成 松本 健二 石島 悌 平松 初珠 片桐 真子 米田 信子 藤家 洋昭 山根 聡 宮本 マラシー 竹原 新 竹村 景子 高橋 明 近藤 久美子 長谷川 信弥
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

言語横断的な会話文および語彙データベース作成が、本研究の最大の目的であった。言語によってデータベースの大きさにばらつきは出たものの、多言語間での語彙や短文の簡易検索や、一部の言語における映像資料との連携などが可能となった。日本では商業ベースで注目されることが少ない、いわゆるLCTL(LessCommonlyTaughtLanguages)の外国語教育への応用も含め、これまでにあまり例を見ない使用に耐えるデータベースが構築され、当初の目的は概ね達成できたと考える。
著者
藤田 房之 高田 義広 松本 健一 鳥居 宏次
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SS, ソフトウェアサイエンス
巻号頁・発行日
vol.93, no.244, pp.73-80, 1993-09-21

ソフトウェアの生産性や品質は,プログラマの能力に大きく依存することが指摘されている.しかし,プログラマの能力を客観的に測定するために収集すべきデータの種類や収集の方法は明らかになっていない.本報告では,プログラマのテスト・デバッグ能力を評価するための準備段階として,テスト・デバッグ過程の状態遷移のモデルを提案する.更に,提案するモデルのパラメータの推定に必要となる状態遷移時刻を,プログラマが入力したキーストロークのデータから自動的に推定する計測環境について述べる.評価実験の結果,開発した計測環境を用いることにより,プログラマの作業状況を撮影したビデオを観察することなしに,プログラマの状態遷移時刻の特定が可能であることが分かった.
著者
門田暁人 佐藤慎一 神谷 年洋 松本 健一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.8, pp.2178-2188, 2003-08-15
被引用文献数
19

ソフトウェアに含まれるコードクローン(重複するコード列)は,ソフトウェアの構造を複雑にし,ソフトウェア品質に悪影響を与えるといわれている.しかし,コードクローンとソフトウェア品質の関係はこれまで定量的に明らかにされていない.本論文では,20年以上前に開発され,拡張COBOL言語で記述されたある大規模なレガシーソフトウェアを題材とし,代表的なソフトウェア品質である信頼性・保守性とコードクローンとの関係を定量的に分析した.信頼性の尺度として保守工程で発見された「フォールト数/LOC(Lines of Code)」を用い,保守性の尺度として「モジュールの改版数」を用いた.分析の結果,コードクローンを含むモジュール(clone-includedモジュール)は含まないモジュール(non-cloneモジュール)よりも信頼性(平均値)が約40%高いが,200行を超える大きさのコードクローンを含むモジュールは逆に信頼性が低いことが分かった.また,clone-includedモジュールはnon-cloneモジュールよりも改版数(平均値)が約40%大きく(すなわち,改版のためにより多くの保守コストが費やされてきた),さらに,モジュールに含まれるコードクローンのサイズが大きいほど改版数がより大きい傾向にあることが分かった.Existing researches suggest that the code clone (duplicated code section) is one of the factors that degrades the design and structure of software and lowers the various quality attributes. However, the influence of code clones on software quality has not been quantitatively clarified yet. In this paper, we quantitatively analyzed the relation between code clones and the software reliability and maintainability of twenty years old software, which is written in an extended COBOL language. We used the number of faults per LOC (Lines of Code) as a reliability metric, and the revision number of modules as a maintainability metric. As a result, we found that modules having code clones (clone-included modules) are 40{%} more reliable than modules having no code clone (non-clone modules) on average. Nevertheless, the modules having very large code clones (more than 200 SLOC) are less reliable than non-clone modules. We also found that clone-included modules are 40{%} less maintainable (having greater revision number on average) than non-clone modules; and, modules having larger code clone are less maintainable than modules having smaller code clone.