著者
栗林 和彦 山本 成志 後藤 昌司
出版者
応用統計学会
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.35-46, 1994

ロジスティック・モデルのあてはめには,通常,最尤法が用いられるが,小標本での解析結果の信憑性が問われていた.この場合の代替法として正確推測法があり,最近のコンピュータならびに計算アルゴリズムの発展によって実行可能性の問題に解消の兆しが見えてきた.<BR>本稿では,多変量シフト・アルゴリズムに基づく正確推測法の手続きを明らかにして,そのプログラムを開発し,正確推測法の適用可能性を吟味した.その結果,正確推測法は,小標本で説明変数がカテゴリー個数の少ないカテゴリー変数(2値変数も含む)である場合の最尤法の対照あるいは代替として利用できることを明らかにした.
著者
林 和彦
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会誌 (ISSN:00214876)
巻号頁・発行日
vol.74, no.7, pp.394-403, 2010 (Released:2010-07-01)
参考文献数
20
被引用文献数
1 2

Bismuth based high temperature superconductor has discovered by Dr. Maeda at NIMS (National Institute for Materials Science). Just after the discovery of this material, Sumitomo Electric has carried out the R&D on long length and high performance wire, and many application prototypes for more than 20 years. As a wire manufacturing technology, CT-OP (controlled over pressure sintering) process is very effective to make high performance wire. Power cable and ship propulsion motor applications using bismuth based superconducting wire are highly expected.
著者
高野 純平 藤井 範久 向井 直樹 劉 莉荊 林 和彦 白崎 芳夫 斉藤 慎一 徳山 薫平
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.123-130, 2004-02-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
25

Side to side difference in tennis players' mid-radius and cross-sectional study on mid-tibia of jumpers and sedentary controls suggest that the improvement of mechanical properties of cortical bone in response to long-term exercise is related to geometric adaptation and not to volumetric bone mineral density. In the present study, geometric and mechanical properties of right tibia were estimated along 64 directions centering center of gravity of the bone on cross-sectional peripheral quantitative computed tomography (pQCT) images. The tibias of 17 jumpers (7 females, 10 males) and 15 controls (8 females, 7males), aged 18-23, were scanned at mid site using pQCT. Periosteal and endocortical radius were larger, cortical thickness was thicker, and mechanical properties (moment of inertia of area and strength strain index) were greater in jumpers compared to those of controls. The differences in cortical thickness between the two groups were dependent on direction of measurement. Defined a direction from tibia's center of gravity to fibula's as 0°, difference in the cortical thickness between jumpers and controls was the greatest at around 240°. Along this direction, differences in mechanical properties were also the most significant, suggesting that the site-specific adaptation of bone to long-term exercise is due to geographical relation of bone to muscle.
著者
小林 和彦
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.1-16, 2001-03-05
被引用文献数
8 5

FACE(Free-Air CO_2 Enrichment = 開放系大気CO_2増加)は,何の囲いもしない圃場の空気中に直接CO_2を吹き込んで,植生の周りのCO_2濃度を高める実験手法である.FACEにより,大気CO_2濃度が上昇した時の植物や生態系の変化を,現実の圃場で観察できる.1987年にアメリカで始まったFACEは,今ではアメリカとヨーロッパを中心に世界中で,農作物,牧草,樹木,自然植生を対象にした研究に用いられており,日本でもイネのFACE実験が1998年から行われている.大気CO_2濃度の上昇が植物に及ぼす影響については数多くの研究があり,初期の温室や環境制御チャンバーでのポット実験から,近年のオープントップチャンバー等のフィールドチャンバー実験に至っているが,いずれもチャンバー自体が植物の生長を変化させ(チャンバー効果),それがCO_2濃度上昇に対する植物の応答を変化させている可能性がある.これに対してFACEは,チャンバー効果が無い上に,大面積の圃場を高CO_2濃度にできる特長があり,今や実用的な実験手法として確立しつつある.FACE実験の結果は,農作物の収量増加率については従来の実験結果をほぼ支持しているが,さらに収量増加に至る生長プロセスの変化やメカニズム,生態系の変化について,多くの新しい研究成果を生み出しつつある.今後は,FACE実験結果のモデリングへの利用,複数地点でのFACE実験実施と実験結果の比較解析,そして特に発展途上国でのFACE実験の展開が期待される.
著者
内藤 克彦 水野 幸男 林 和彦 山ノ井 基臣
出版者
名城大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

日本およびメキシコにおける避雷器適用による電力供給の高信頼化を図るために、両国の研究者が共同し、送電線用避雷器設置効果のシミュレーション、変電所用避雷器の人工汚損実験などを実施した。具体的成果を以下にまとめる。1.メキシコ首都電力電灯公社および国家電力庁を訪問し、雷事故および避雷器に関して討論・調査を行った。雷事故記録に関する資料を入手するとともに、400-kV変電所などにおいて避雷器の設置状況の実地調査を実施した。2.4回線併架送電線を対象とし、避雷器の設置個数・場所と避雷効果との関連をEMTP(過渡現象解析プログラム)を用いたシミュレーションにより評価した。避雷器の設置個数が多いほど効果的ではあるが経済性も含めた検討が必要であること、同じ設置個数の場合には効果的な設置場所があること、がわかった。また、接地抵抗や雷道インピーダンスに関する評価も実施した。3.変電所用避雷器の人工汚損試験を実験室で行い、避雷器がい管の抵抗を8つの部分に分けて抵抗の時間変化を測定した。避雷器表面は全体が時間とともに一様に乾燥して行くのではなく、ある部分のみが乾燥し、他の部分は湿潤したままであることがわかった。4.前項の試験結果を基に避雷器表面抵抗の時間変化を数式で表わし、避雷器の物理・数学モデルを構築して避雷器表面および内部素子の電位・温度分布の時間変化をシミュレーションにより求めた。表面が乾燥する部分の分担電圧がかなり大きくなるが、素子損傷に至るほどの素子温度は上昇しないことがわかった。また、がい管と内部素子との間の放電発生を想定しても、素子損傷には至らないことがわかった。5.実験室で避雷器碍管表面の電位分布を実測する方法を調査・検討し、ポッケルス効果を利用した光電界センサが適しているとの結論に達した。発・受光回路の設計・製作をして動作を確認した。
著者
溝口 勝 山路 永司 小林 和彦 登尾 浩助 荒木 徹也 吉田 貢士 土居 良一 鳥山 和伸 横山 繁樹 富田 晋介
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

SRI 農法が東南アジアの国々で爆発的に普及しつつあるが、その方法は国や農家ごとに異なり、適切な栽培管理技術は未だ確立できていないのが現状である。そこで本研究では、日本で気象や土壌・地下水位等の科学的なパラメータを測定するための最新のモニタリング技術を開発しつつ、主としてインドネシア、カンボジア、タイ、ラオスの東南アジア4 カ国にこのモニタリング技術を導入して、農業土木学的視点からSRI 農法の特徴を整理し、SRI栽培の標準的な方法について検討した。加えて、現在懸念されている気候変動に対する適応策として、各国の農家が取り得る最善策を水資源・農地管理に焦点を当てながら考察した。
著者
小林 和彦 園山 繁樹 戸村 成男 柳 久子
出版者
一般社団法人日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.93-105, 2003-09-30

本研究においては、行動分析学の枠組みとその基本的な技法を応用したベッドから車椅子へのトランスファー介助の方法を、老人保健施設に勤務する経験の浅い介護スタッフに指導し、指導効果の検証を行った。対象は、施設介護職員として勤務する女性2名で、両介護者が介助するのは脳梗塞左片麻痺で痴呆を有する78歳の女性であった。指導は机上での講義形式による行動分析の枠組み、およびそれに基づく対象者へのかかわり方に関する基本的な説明を行った後、実際場面において実践的な指導を行い、適切介助回数および身体接触時間を評価した。その結果、両介護者とも実践指導後において大幅な適切介助の増加および身体接触時間の減少が認められた。しかしながら、講義形式による説明のみではほとんど指導効果が得られなかったことから、実際場面における実践的な指導の重要性が示唆された。
著者
小林 和彦 辻下 守弘 岡崎 大資 甲田 宗嗣
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.303-308, 2011 (Released:2011-06-07)
参考文献数
16
被引用文献数
1

〔目的〕担当入所者への過剰介助から廃用性の機能低下を促進させる可能性の高い看護職員1名に応用行動分析学の技法を用いたベッドから車椅子への移乗介助の方法を指導し,その効果を分析することで行動論的な介助指導の意義と課題について検討した.〔方法〕対象は介護老人保健施設に勤務する介助経験豊富な正看護師で,彼女が日頃実際に介助や介助指導を行っている高齢障害者に対するベッドから車椅子への移乗介助に際し,応用行動分析学の技法を適切に用いた介助が行えるようになることを指導目標として講義形式による指導と実践指導を4ヶ月間にわたり施行し,指導効果を単一事例実験計画法により分析した.〔結果〕実践指導後において適切な介助が増加した.また,介助対象者自身もベースライン測定時には大幅な過剰介助での課題遂行であったのが必要最小限に近い介助での課題遂行に移行し,これらはフォローアップにおいても維持された.〔結語〕より少ない介助で入所者の行動を引き出せるようになり臨床的に意義ある指導効果が得られたと考えられるが,指導内容の理解度の判定や指導効果の長期的維持等,今後における課題も残された.
著者
木林 和彦
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究では熱中症における脳神経障害に着目し,熱中症の脳内病態を形態学と分子生物学の両方の観点から捉え,熱中症患者の救命に寄与することを目的とする.また,熱中症に特異的な形態学的・生化学的変化を明らかし,法医鑑定の実務への貢献も目的としている.飲酒酌酊は熱中症の一要因であるので,本研究では,熱中症の形態的変化を捉えるために,熱中症とアルコール投与を組み合わせた実験系を検討した.マウスを熱中症マウス,エタノールを腹腔内投与(2g/kg)した熱中症マウス,エタノールを腹腔内投与したマウス及び食塩水を腹腔内投与したマウスの4群に分け,各群5匹とした.熱中症マウスとエタノールを腹腔内投与した熱中症マウスを全身麻酔し,40℃のインキュベータ中に45分間置いて直腸温を42℃とし,続けて37℃のインキュベータ中に15分間置いて直腸温を40℃以上とした.各群のマウスについて,血圧,直腸温度,血液ガス分圧,血液電解質及び血糖を経時的に測定した.各群のマウスを全身麻酔し,リン酸緩衝化パラホルムアルデヒドで灌流固定した.脳組織について多種類の一次抗体を用いたホールマウント免疫組織化学,通常の免疫組織化学,TUNEL法によるアポトーシスの検出を行って脳内細胞の変化の有無を調べた.熱中症マウスは,直腸温が40.6±0.2℃であり,代謝性アシドーシスと呼吸性アルカローシスとなった.エタノール投与した熱中症マウスは,直腸温が41.2±0.2℃であり,代謝性アシドーシスと呼吸不全となった.熱中症マウスは,脳の扁桃体中心核に神経細胞の活性化を示すc-fos陽性神経細胞が増加した.エタノール投与した熱中症マウスは,扁桃体中心核のc-fos陽性神経細胞がさらに増加した.本研究により,熱中症では脳の扁桃体中心核が活性化されることが判明した.また,エタノールは熱中症による扁桃体中心核の活性化を増強することも判った.扁桃体中心核には発熱を促進する役割があり,その活性化は熱中症における高体温と致死の機序に関与していると考えられた.扁桃体中心核の活性化は熱中症の剖検診断での指標となる可能性が示唆された.
著者
岡本 一枝 松尾 邦江 中林 和彦 奥平 進之
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.1077-1082, 1997-12-15
被引用文献数
1

冬暖かいとうたわれ, 脱脂綿を医療用ガーゼで包んだ, 3層構造の特殊シーツに着目し, 睡眠中の生理反応および寝床内気候に及ぼす影響を検討した. 年齢20〜26歳の健康な成人女性4名を対象に実験を行った. 実験条件は, 特殊シーツ使用時(条件P)と, 一般に普及している綿100%平織りシーツ使用時(条件C)とした. 寝室内は18〜19℃, RH50〜55%に保った. 終夜睡眠脳波記録, 直腸温, 皮膚温, 寝床内気候は連続測定し, 主観申告(温冷感, 快適感, 湿潤感, 睡眠感)は入床時と起床時に, それぞれ申告してもらった. 睡眠変数, および各睡眠段階の出現時間に有意差は見られなかった. 条件Pでは, 大腿, 下腿, 足背, 胸の皮膚温上昇が速く条件Cよりも高いレベルを保つ傾向であった. 胸の寝床内温度は, 条件Pで有意に高かった. 入床時, 起床時の快適感, 温冷感は条件Pで快適側, 暖かい側の傾向にあった. 睡眠感は有意に条件Pで高かった. 特殊シーツは, 睡眠構築および生理反応に影響を与えずに, 主観的睡眠感を良くすることが示唆された.