著者
大島 堅一 上園 昌武 木村 啓二 歌川 学 稲田 義久 林 大祐 竹濱 朝美 安田 陽 高村 ゆかり 金森 絵里 高橋 洋
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

1.システム改革と市場設計に関する研究:電力システム改革の背景にあるエネルギー転換や世界的なエネルギー政策の構造改革について調査し、日本の状況との比較検討を行った。また、エネルギー転換の一環として世界的に盛り上がる国際連系線について、電力システム改革の観点から研究した。2.地域分散型エネルギーの普及、省エネルギーの促進政策研究:地域分散型エネルギーの普及については、特に欧州の国際連系線の潮流分析や市場取引状況について定量的評価を行なった。また国内の系統連系問題に関して主に不適切なリスク転嫁の観点から、参入障壁について分析を行った。 省エネルギーの促進政策の研究については、対策技術種類と可能性、対策の地域経済効果、技術普及の際の専門的知見活用法について検討した。3.新しいビジネスと電力会社の経営への影響に関する研究:電力の小売全面自由化の影響にいて整理・分析し、その研究成果の一部を「会計面からみた小売電気事業者の動向」として学会報告した。加えて2020年4月からの発送電分離と小売部門における規制料金の撤廃の電力会社の経営面に与える影響について制度面ならびに国際比較の観点から分析を行った。4.エネルギーコストに関する研究:昨年度の研究成果を踏まえて、風力発電事業者複数社等への追加ヒアリング調査を行い、疑問点の解決を図った。加えて、原子力のコストについて、現時点での新たな知見に基づく再計算と、電力システム改革下における原子力支援策についての分析を行った。5.経済的インパクトに関する研究: 2005年版福島県産業連関表を拡張し、再生可能エネルギー発電部門を明示化する作業を行い、拡張産業連関表の「雛形」を完成させた。これを福島県の実情を反映したものにするための準備作業として、風力、太陽光、小水力、バイオマス、地熱の業界団体・専門家に対してヒアリングを行った。
著者
小林 和夫
出版者
Japan Society of Photogrammetry and Remote Sensing
雑誌
写真測量とリモートセンシング (ISSN:02855844)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.42-48, 1991-07-10 (Released:2010-03-19)
参考文献数
4

We have been provided confusion to some extent by several explanations of dissimilar meanings with respect to a scientif ical terminology.This paper shows a semantic problem concerning stochastic error term stood for “mean square error” (MSE) which does not exhibit only “root of mean of squared errors” in surveying and photogrammetry, but also indicates “average of squared errors” (or residuals) in statistics.Therefore, it is highly recommended even in surveying and photogrammetry that precision and accuracy illustrated a dispersion and an extent of measurements, respectively, should be utilized variance and MSE (square of “RMS” (root mean square) error) which can be obtained with sum of squared differences between measurements and most probable parameter (or true value), divided by number of observations, or redundancy of them. Similarly, definition of “MSE” in statistics makes variance added to squared bias (systematic error) .
著者
小堀 宅郎 仲田 博貴 榎本 恭子 沖津 孝幸 今井 康平 八木 誠次 荻野 勇人 若林 修
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.106-114, 2019-02-10 (Released:2020-02-10)
参考文献数
16

To clarify the knowledge and awareness of hemorrhoids per se and the therapeutic behavior in consumers, we conducted a survey with 60,000 consumers in Japan. The survey items included demographic characteristics (age and sex), knowledge and awareness of hemorrhoids per se and the therapeutic behavior, such as ambulant treatment and over-the-counter (OTC) medicine usage.The survey result showed that the proportion of consumers having subjective hemorrhoidal symptoms is 10.0%, which consists of anal fissure (41.2%), external hemorrhoids (33.1%), internal hemorrhoids (26.8%), anal fistula (4.0%), and don't-know (18.8%) and that 25.5% has prior experience with hemorrhoids. Importantly, 19.8% possessing hemorrhoid-related symptoms in the population had no awareness of hemorrhoids. Of note, 72.6% of consumers with subjective hemorrhoidal symptoms utilized neither the ambulant treatment nor OTC medicine, because many of them had shame, anxiety, and inadequate knowledge of hemorrhoids and the applicable therapy. In fact, there were few consumers who understood the existence and characteristic symptoms of three types of hemorrhoids. These findings indicate the need to engage in educational activities on hemorrhoids and applicable therapeutic drugs by offering accurate information from the perspective of pharmaceutical companies.
著者
若林 秀隆
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.43-49, 2016

&emsp;リハビリテーション栄養とは,栄養状態も含めて国際生活機能分類で評価を行ったうえで,障害者や高齢者の機能,活動,参加を最大限発揮できるような栄養管理を行うことである.サルコペニアは,加齢のみが原因の原発性サルコペニアと,活動,栄養,疾患が原因の二次性サルコペニアに分類される.サルコペニアの治療はその原因によって異なり,リハビリテーション栄養の考え方が有用である.特に活動と栄養による医原性サルコペニアの予防が重要である.<br>&emsp;老嚥とは健常高齢者における嚥下機能低下であり,嚥下のフレイルといえる.老嚥の原因の1 つが嚥下関連筋のサルコペニアである.サルコペニアの摂食嚥下障害とは,全身および嚥下に関連する筋肉の筋肉量減少と筋力低下による摂食嚥下障害である.特に誤嚥性肺炎後に認めやすい.サルコペニアの摂食嚥下障害への対応は全身のサルコペニアと同様で,特に早期リハビリテーションと早期経口摂取が大切である.
著者
若林 宏輔 渕野 貴生 サトウ タツヤ
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.87-97, 2014 (Released:2017-06-02)

日本には、表現の自由を守る観点から刑事事件報道に対する規制はない。渕野(2007)は、日本の公判前報道(Pre-trial Publicity)の幾つかの内容が被告人に対する予断・偏見を作り、刑事裁判の公正性を阻害している可能性を指摘している。一方で、法務省(2009)は、報道規制の代わりに、裁判官の説示(Judicial Instruction: JI)によって市民は証拠能力のない情報を無視することができるとしている。本研究は、問題が指摘されている刑事事件報道と、それを無視するように促す裁判官の説示の効果の関係について調べた。本研究では、比較のために2つのタイプのJIが準備された。一つ目の説示は、証拠能力のない情報を無視する上での証拠法に関する説明が含まれていた(理論的根拠を含む説示)。そして、二つ目の説示ではこれらの説明を含まずに、これらの情報を無視することだけが指示された(公判のみ参照説示)。実験1では、渕野(2007)が問題ある報道と指摘している2種類-自白・前科情報を含む報道を用いて検討した。結果、いずれの裁判官の説示にも、報道によって得られた証拠能力のない自白の情報を無視させる効果はなかった。さらに実験2では、新聞報道に特有な表現方法の効果と説示の種類の効果について調べた。この時、理論的根拠を含む説示は裁判員を無罪の判断に導いた。これらの結果を踏まえ、刑事事件報道の在り方について議論した。
著者
小林 由実 和田 真 山田 和 加藤 邦人 上田 善博 小川 宣子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成24年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.164, 2012 (Released:2012-09-24)

【目的】天ぷらの衣は揚げる工程での具材やおいしさにも影響を及ぼす。すなわち天ぷらのおいしさは揚げた後の具材と衣の両面から評価を行うが、本研究では揚げ温度が衣の品質に及ぼす影響について衣の水分や物性だけでなく、異なる揚げ温度において水分蒸発により発生する気泡、油面の波を経時的に測定し、画像解析を行った。これにより油の中で起こる現象や天ぷらの状態を推定し、天ぷらの衣がおいしく出来上がる要因を明らかにすることを目的とした。【方法】天ぷらはさつまいも(直径46±1mm、厚さ8mmの輪切り)に衣(薄力粉:卵:蒸留水=30:12.5:37.5)をつけ、160℃、180℃、200℃で4分間揚げ調製した。天ぷらの衣をクリープメータによる破断応力測定から破断応力・もろさ、破断応力波形を微分波形(破断応力の差/ひずみ率の差)に変換し、得られたマイナスピークの数から衣の気孔数、値から気孔の大きさを推定した。また、衣をつけた具材の水分量を揚げ工程で経時的に測定するとともに気泡の発生による油の表面の揺らぎを画像処理によりコントラストとして捉え、水分蒸発の過程を推定した。【結果】180℃や200℃で料理された衣の破断応力は160℃に比べ値は大きく、マイナスピークの数は多かった。また、マイナスピークの値は油の温度が上がるにつれて大きくなった。これは、180℃・200℃で揚げた衣はグルテンが凝固し、そこに大きな気孔が多く存在していることが推定できる。この原因として180℃や200℃での揚げた場合の水分蒸発量は20秒までに顕著に見られ、それ以降は低下して行ったが、160℃の場合は細かな気泡が継続し水分蒸発が不十分であった。これより、具材を投入後、20秒までの水分蒸発量が衣の出来上がりに影響を及ぼしていることが考えられた。
著者
林 寛 並木 美太郎
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.42(2003-OS-093), pp.119-126, 2003-05-08

今日,組込み機器の高性能化や小型化により,携帯電話や家電製品などにオペレーティングシステム(OS)が搭載されるようになった.それに伴い,リアルタイム性を持つグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の必要性も増している.そこで,本研究ではリアルタイム性を持った組込みウィンドウシステムの開発を行っている.本稿では,本システムの中心となる描画処理に関して設計と実装について述べる.描画処理に優先度と時間制約を設定することでリアルタイムな描画処理を実現し,また,資源の少ない組込み機器へ実装するため,システム本体サイズおよび実行時の使用メモリを抑えることも考慮した.その結果,描画のリアルタイム処理を実現することができた.
著者
舘野 隆之輔 小林 和也
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-07-17

本研究は、針葉樹一斉造林地を有用広葉樹からなる広葉樹林へ誘導する際にどのような樹種の組み合わせを選定すれば、木材生産、地力維持、養分流出抑制など生態系の持つさまざまな機能を多面的に発揮できるのかを明らかにし、実用化に向けた課題を抽出することを目指す。本研究では、現存する発達した天然林における樹種の成長や動態を明らかにするとともに、生物群集の多様性と生態系機能との関係を明らかにする。また種子、実生、成木など様々な生育段階において、樹木の成長パラメータや植物と微生物間の相互作用、土壌養分や養分流出が、樹種の組み合わせでどのように変化するかを野外調査やポット実験、モデルなどを用いて明らかにする。
著者
小林 徹
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.95, no.10, pp.740-744, 2000-10-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
23

酒を飲んだとき人体には様々な影響が出てくるが, これはアルコールの効果による。アルコールによる神経伝達系への関与はその作用の標的となる膜タンパク質が調べられているが, 最近筆者らによって脳内に広く分布するGIRKチャネルがエタノ-ルの新たな作用部位であることが見いだされた。本稿においてそのメカニズムと意義について解説していただいた。
著者
小渕 浩平 竹林 崇 堀内 博志 村岡 尚 中村 裕一
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.197-204, 2019-04-15 (Released:2019-04-15)
参考文献数
20

急性期脳卒中患者5名に対し,実生活での非麻痺手の抑制を行わず,補助的手段を併用した上肢集中練習を1日2時間,平均3週間実施した.本研究では,麻痺手の機能と生活における使用の改善での有用性と安全性を検討した結果,集中練習が麻痺側上肢機能と実生活における麻痺手の使用頻度および質を有意に改善させることを確認した.加えて,急性期における集中練習介入期間中に有害事象は認めなかった.これらの結果は,急性期における短時間の集中練習のプロトコルが,意味のある方法である可能性を示唆した.しかしながら,急性期の集中練習の効果を実証するためには,今後,対照群をおいたランダム化比較試験による検証を行わなければならない.
著者
林田 賢治 田中 誠人 小泉 宏太
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.853-856, 2011 (Released:2011-12-21)
参考文献数
4
被引用文献数
1

The clinical result of arthroscopic triple row suture anchor repair (combined operation of double anchor footprint fixation and single row method) for complete rotator cuff tear is reported in the present study. Twenty-two shoulders (the average age at operation was 69 years old: range 53-78) were involved and followed for more than 6 months (average follow up: 10 months). The clinical results were evaluated with JOA shoulder score and post operative cuff integrity was assessed by MRI and classified with Sugaya's classification. The pre-operative average JOA score, which was 71.5, improved to 92.1 at follow up. Regarding post operative cuff integrity, complete repair (type 1 and 2) was seen in 13 shoulders (59%), repaired with thin tendon (type 3) was seen in 2 shoulders (9%), re-tear (type 4 and 5) was seen in 7 shoulders (32%). In re-tear cases, 6 of 7 were type 4, and type 5 was seen in only 1 case. Comparing this to our previous data of repair integrity of double row suture anchor method, type 4 increased and type 5 decreased. Cutting out tendon by tight bridging sutures could be the cause of increasing type 4, and tension adjustment of bridging sutures could be important to prevent tendon cut out.
著者
林 千夏 池田 宏 HAYASHI Chinatsu IKEDA Hiroshi
出版者
筑波大学陸域環境研究センター
雑誌
筑波大学陸域環境研究センター報告 = Bulletin of the Terrestrial Environment Research Center,the University of Tsukuba (ISSN:13463381)
巻号頁・発行日
no.1, pp.43-50, 2001-02

The Shimanto River, in the southwest of Shikoku Island, forms incised meanders. It has been suggested that gorges are formed as meanders incise bedrock during tectonic uplift, or a lowering of the baselevel of erosion. However, it is known that the formation of incised meanders is dependent on many other factors.The Shimanto River is composed of a main stream and two major tributaries. Incised meanders occur especially in the middle section of the main stream. It is clear that scarcely any lateral erosion occurs here, as the meanders have very small terraces.The study site is located in the Shimanto Belt, which is composed of interbedded sandstone and mudstone. The sandstone is resistant to erosion, but the mudstone is easily eroded and transported by the river in suspension. There is little sediment load in the river because the area has not experienced recent uplift. Also, since the sediment load is mainly mud, there is very little bedload in the river, which results in a rough, bedrock channel floor. It is proposed that the lack of bedload supplied to the channel and the rough channel floor influence the lateral erosion of the channel and lead to the formation of incised meanders.To test this hypothesis, a flume experiment was conducted using a channel with fixed meanders and varying degrees of roughness of the channel bed. It was found that the greater the roughness of the channel bed, the weaker the concentration of streampower at meanders. It is therefore concluded that little lateral erosion is produced at channel bends over a rough bed. It seems likely that incised meanders are formed in the middle section of the Shimanto River because there is little bedload in the channel, resulting in a very rough, bedrock channel floor and a reduction in the efficient streampower for cutting banks erosion at the bends. This in turn reduces lateral erosion.
著者
小林 盾 大林 真也
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.304-317, 2016

この論文は, 分析社会学を実証研究へと応用する. そのために, 美術展や小説などの文化活動を事例とし, 人びとはオムニボア(雑食)的で多趣味なのか, ユニボア(偏食)的で偏っているのかを検討することで, 文化の階層構造(文化格差)を解明する. 分析社会学のDBO理論によれば, 人びとは「~したい」という欲求(Desire)と「自分や世界は~だろう」という信念(Belief)を持ち, 客観的条件である機会(Opportunity)に制約される. そこで, 「自分は自由に文化活動できる」という信念を持ち, さらに等価所得が高く実行機会に恵まれた人ほど, 文化的オムニボアとなると仮説を立てた. データとして2015年階層と社会意識全国調査(第1回SSP調査)を用い, 文化的オムニボアを高級文化(クラシック音楽と美術展)と中間文化(小説)の頻度の幾何平均で測定した(分析対象2,769人). その結果, (1)分布から, オムニボアが52.5%いた. (2)回帰分析における教育, 等価所得の主効果から, 高い階層的地位が文化的オムニボアを促進した. (3)信念(主観的自由)と機会(等価所得)の交互作用効果から, 信念と機会の両立が文化的オムニボアを促進した. 以上より, 日本社会における文化活動は, ブルデューの主張するような排他的なものではなかった. 分析社会学を用いたことで, 人びとの合理性を仮定する必要がなく, どうじに信念という主観的心理的要因の役割が明確になった.
著者
小林 大介
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.91.18240, (Released:2020-01-20)
参考文献数
30

The purpose of this research was to develop a Japanese version of the Unwanted Pursuit Behavior Inventory-Revised for Victimization (UPBI-R-V-J), which is a measure of unwanted pursuit behavior, and examine the reliability and validity of the UPBI-R-V-J. Unwanted pursuit behavior is defined as unwanted actions by former relationship partners, including stalking. The questionnaire survey was given to 133 university students, junior college students, and vocational college students (24 males and 109 females). The results revealed that the UPBIR-V-J consisted of instances of mild damage and severe damage, and it had adequate reliability coefficients (α = .83 and .74, respectively). Furthermore, each subscale was positively correlated with attachment anxiety associated with the former partner and was also positively correlated with the violence from former intimate partners that occurred during the romantic relationship; thus, the criterion-related validity of the UPBI-R-V-J was confirmed. Therefore, the UPBI-R-V-J was deemed to be reliable and valid. Finally limitations of the research and future directions are discussed.
著者
小林 元気
出版者
留学生教育学会
雑誌
留学生教育 (ISSN:13452398)
巻号頁・発行日
no.24, pp.33-41, 2019-12

本稿の目的は,日本人学生の留学経験とその後の就労内容の関係性を明らかにすることである。学生の留学経験は国際的な仕事につながるのかというテーマに関して,海外では一定の先行研究の蓄積があるが,日本人学生を対象とする研究は十分に行われていない。そこで本稿は,教育システムと労働システムの関係性について問う「職業的レリバンス」の概念枠組みから,日本人学生の留学経験が仕事での英語使用頻度の高さや海外勤務経験につながるかどうかについて,大規模な全国統計調査の個票データを用いて二次分析を行った。その結果,在学中の留学経験は,仕事での英語使用頻度と海外勤務経験率の双方を有意に高めていた。このことから,学生の在学中の留学経験は,将来の就労において国際的な仕事につながるという留学の「職業的レリバンス」の存在が明らかになった。The purpose of this paper was to reveal the relationship between Japanese students' experience of studying abroad and the contents of their careers. While there have been a few foreign studies that have examined "how the experience of students' study abroad is linked with international jobs," little attention has been paid to the Japanese case. This paper, therefore, used large-scale national statistical survey data to analyze the correlation between Japanese students' experience of studying abroad, their use of English at work, and the potential for working abroad in the future from the conceptual outline of "vocational relevance." Results showed that the effect of the experience of the students' studying abroad affected both a high frequency of English use at work and the probability of working abroad. These analyses confirmed the "vocational relevance" of students' study abroad for the Japanese labor system.