著者
久田 真 小林 孝一 丸屋 剛 河井 正
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.52, no.10, pp.863-870, 2014 (Released:2015-10-01)
参考文献数
17
被引用文献数
1

土木学会は,平成24年度・重点研究課題として「震災がれきの処分と有効利用に関する調査研究」を採択した。この課題を掌理する委員会は,コンクリート工学ならびに地盤工学の専門家で構成され,約1年間をかけて両分野を横断する柔軟な議論を行った。その後,本活動を継承するために,土木学会コンクリート委員会に「震災がれきの処分と有効利用に関する調査研究小委員会(第223委員会)」を設置した。本稿は,東日本大震災で発生した多様な震災廃棄物の処理ならびに有効利用技術に関する知見を集約するために約3年間の調査研究活動を行った本委員会の成果を取りまとめたものである。
著者
宮本 真吾 石川 秀樹 若林 敬二 酒井 敏行 武藤 倫弘
出版者
一般社団法人 日本血栓止血学会
雑誌
日本血栓止血学会誌 (ISSN:09157441)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.29-33, 2016 (Released:2016-02-26)
参考文献数
25

要約:症例対照研究やコホート研究ではアスピリンの常用者は大腸がんの発生頻度が低いことが多数報告されている.ランダム化比較試験においても,アスピリンは大腸がんの前がん病変である腺腫の発生を予防することがメタ解析レベルで示されている.大腸がんに関しては,これまで明らかではなかったが,アスピリン介入試験の終了後,長期間追跡すると大腸がんの発生を抑制することが示された.以上は欧米のデータであるが,日本でもアスピリンを用いた大腸がん予防を目的とした2 つの二重盲検無作為割付試験が報告されており,現在ではアスピリンの実用化に向け,最適化に関する大規模試験が行われている.本稿では,アスピリンの大腸がん予防介入試験の現状を紹介するとともに,アスピリンの標的として可能性のある血小板と大腸がんとの関連性について考察する.
著者
北野 聡 田崎 伸一 美馬 純一 柳生 将之 古賀 和人 山形 哲也 小林 収 小西 繭
出版者
長野県環境保全研究所
巻号頁・発行日
no.7, pp.75-78, 2011 (Released:2012-12-06)

長野県の生物多様性基礎調査の一環として千曲川下流域における魚類の分布状況を調査した.アブラハヤやウグイ等の在来コイ科魚類が主体であったが,国内外来種ギギや国外来種のコクチバスなども確認された.
著者
杉林 堅次
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.15, no.6, pp.492-498, 2000-11-10 (Released:2008-12-26)
参考文献数
30
被引用文献数
2 1

In most drug formulations except injections, the drug must be absorbed through skin or epithelial mucosa. The drug may have a local effect in the skin, mucosae or their surrounding area, or a systemic action after taking up by the local vessels to migrate into the systemic circulation. Sustained drug action can be achieved by controlling the drug release from the formulations. Much success has already been made in the oral and topical formulations. On the other hand, increase in the transdermal and transrrnucosal absorption is achieved by enhancement of the membrane permeability. Prodrug approach, use of chemical enhancers and application of iontophcresis are the examples to improve the absorption rate of drugs. Active transport of drugs through the membranes has also been paid attention, since biological or biotechnological advances were made on the drug transporters in the epithelial membranes. Broad and active efforts for the moment on this area may give future development of many transdermal and transmucosal DDSs.
著者
栗林 克匡 相川 充
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.49-56, 1995-07-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
16
被引用文献数
2

本研究では, 特性シャイネスが対人認知に及ぼす効果を検討した。被験者は, 特性シャイネス尺度の得点に基づいて選出され, 高シャイネス群は27名, 低シャイネス群は24名の計51名であった。被験者は未知の異性 (サクラ) との1対1の会話を行い, その後で相手の印象評定と「自分に対する相手の認知」の推測を行った。また各被験者は, 会話の相手であるサクラと, 第3者である評定者によって印象を評定された。その結果, シャイな被験者ほど, 社交性や積極性などを含む力本性の次元について相手の人物をネガティブに認知していた。また, シャイな被験者は全ての認知次元において相手からそれほどポジティブに認知されているとは思っていなかった。そして, 個人的親しみやすさおよび社会的望ましさの認知次元において, 被験者の推測と評定者の評定との問にはズレがあることが分かった。つまり, シャイな人は第3者の評定よりもネガティブに自分を捉えていた。これらのことから, シャイな人の行う対人認知にはネガティブな方向へのバイアスが存在している可能性が示唆された。
著者
石川 隆一 和泉 興 林 秀和 福田 宏幸
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

人間の美的感性に基づく研究は何度も行われてきましたが、感性のモデル化がこの研究のテーマです。本研究では、コンボリューションニューラルネットワーク(CNN)と勾配ブースト決定木(GBDT)を用いて、デザイナーの持つ美的感性をモデル化する実験を行った。また、提案手法ではCNN以外から抽出した色や文字データを新たな特徴として追加することで精度を向上させた。提案手法を複数のパターンで検証し有効性の確認ができた。
著者
藤谷 亮 篠山 大輝 杉本 優海 長谷川 七海 林 穂乃花 小嶋 高広 和智 道生 治郎丸 卓三
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0589, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】腰痛をもつ患者の多くは,特有の不良姿勢を有することが指摘されている。腰痛と姿勢は関連すると考えられ,古くから腰痛治療には姿勢再教育訓練が行われてきた。腰痛患者における特有の立位姿勢として,Sway-Back(以下SW)や,過度な腰椎前弯を示したLordosis(以下LO)などが多い。先行研究から,上記の不良姿勢では体幹深層筋の活動低下,体幹表層筋の過活動が生じることが報告されている。骨盤-脊柱の変化は姿勢制御に影響を及ぼすことは明らかである。しかし,股関節周囲筋の活動の検討なしでは,姿勢と腰痛との関連を明らしたとはいえない。そこで本研究は,基本的立位姿勢をNeutral(以下NU)とし,不良姿勢(SW,LO)の体幹・股関節の筋活動を明らかにすることを目的とした。【方法】対象は,健常男性17名(21.2±3.6歳,174±5.5cm,67.6±8.8kg)とした。計測する姿勢は先行研究を参考にNU,SW,LOの3条件とした。姿勢計測のためC7,Th7,Th12,S2,上前腸骨棘(ASIS),上後腸骨棘(PSIS),肩峰,大転子に反射マーカーを貼付し,矢状面画像を取得した。取得した画像から画像処理ソフト(ImageJ Version 1.48,NIH)を用い,先行研究を参考に,胸椎後弯角(C7-Th7-Th12),腰椎前弯角(Th12-L3-S2),骨盤傾斜角(ASIS-PSIS),体幹傾斜角(肩峰-大転子)を算出した。筋活動の計測には表面筋電計(Kissei Comtec社製MQ16)を用いた。対象筋は腹直筋,外腹斜筋,内腹斜筋,腰部腸肋筋,胸部腸肋筋,多裂筋,大殿筋上部,大殿筋下部,大腿筋膜張筋,大腿筋膜張筋,縫工筋,大腿直筋の12筋とし,いずれも測定は右側とした。得られた筋電図データは,筋電図解析ソフト(Kissei Comtec社製KineAnalyzer)を用いて,全波整流処理を行い,MVCを基に各姿勢に合わせ正規化した。統計処理は,各姿勢の角度および筋活動に対して一元配置分散分析を行い,有意差のあった項目に関して,Bonferoni法による多重比較検定を行った。統計処理には解析ソフト(SPSS Statistics Ver21 for Windows)を用い,いずれも有意水準は5%未満とした。【結果】筋活動においてSWではNUに対し,内腹斜筋(p<0.05)・大殿筋上部(p<0.05)・大殿筋下部(p<0.05)・腸腰筋(p<0.05)で有意に低値を示し,腹直筋(p<0.05)では有意に高値を示した。LOはNUに対して,大殿筋下部(p<0.05)で有意に低値を示し,腰腸肋筋(p<0.05)・胸腸肋筋(p<0.05)・多裂筋(p<0.05)では有意に高値を示した。【結論】今回の結果から姿勢変化が,股関節の姿勢保持筋の筋活動に大きく影響を与えることが明らかになった。これは骨盤-脊柱肢位が,股関節の姿勢制御に強く影響を与えることを示唆するものである。またこれらは姿勢制御の変化は,不良姿勢が腰部に異なるストレスを発生させることを示唆するものである。
著者
髙木 亜蘭 小林 龍成 長谷川 稜馬 谷口 航平 濱川 礼
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2019論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.40-45, 2019-09-13

本論文では、ユーザが選択したテキスト形式の怪談文章の盛り上がり箇所を自動判別することで、内容に関連した怪奇現象の「演出」を行い、抑揚を付加した「声」で語るVRコンテンツの自動生成を行うシステム「文章導仮想怪談」を提案する。怪談は古くから存在し、現代でも楽しまれている文化の一つである。その楽しみ方の一つとしてVR怪談が存在している。しかし、VR怪談は対応している怪談の数が少ない。そこで我々は、ユーザがインターネット上に数多く存在する怪談文章を用いることで、多くの怪談文章に対応できる応用性のあるシステムを開発した。
著者
大島 秀武 志賀 利一 森谷 敏夫 桝田 出 林 達也 中尾 一和
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.295-303, 2003-06-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
34
被引用文献数
1 2

The purpose of the present study was to develop a new method that enables individualized determination of the optimal exercise intensity for health promotion. Our study was based on the following observations : (1) physical activity at ventilatory threshold (VT) has been useful for enhancing physical fitness and even improving medical conditions such as heart failure, hypertension and diabetes, (2) exercise intensity at VT is characterized by suppressed vagal activity, and (3) vagal activity can be evaluated by analyzing heart rate variability (HRV) . In the first study we defined a criteria for determining the exercise intensity corresponding to VT using HRV analysis (heart rate variability threshold, THRV) . In 16 normal subjects, a time series of ECG RR interval were recorded and the means of the sum of the squared differences in successive RR intervals (MSSDs) were calcu-lated during a ramp exercise test with a cycle ergometer. Based on the values of MSSD and the dif-ferences in successive MSSDs (ΔMSSD) at the intensity of VT, we defined the criteria of THRV as follows : MSSD<25 msec2and ΔMSSD<6 msec2. Another exercise test with a cycle ergo-meter was performed to evaluate the relationship between THRV and VT in 63 normal subjects. Heart rate (HR) and oxygen uptake (VO2/wt) at THRV were 111.8±13.2 beats/min and 15.2±4.4 ml/kg/min, and HR and VO2/wt at VT were 116.2±11.6beats/min and 16.5±3.7ml/kg/min, respectively. There was a significant correlation between THRV and VT (HR : r=0.82, p<0.001, VO2/wt : r=0.88, p< 0.001) . Thus, THRV and VT provided almost identical exercise intensities. As a result, we propose that, similar to VT, THRV can be used as an indicator of the optimal exercise intensity suitable for health promotion in normal subjects.
著者
小林 章 Akira Kobayashi
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.126-136, 2017-03-15

日本の明治時代から昭和戦前までの,近代の神社に関する研究は近年活発である。神道史,建築史,都市史,造園史,観光史の各分野で研究が進められている。そのなかで近代の神社境内の特徴が明らかになりつつある。明治政府は祭政一致であり,神道を国家の宗祀とし,神社境内から仏教の要素が取り払われた。法令により,神社は境内以外に所有していた土地を政府に収容され,広い神社林を失った例も多かった。明治政府は伊勢神宮を頂点に神社に社格を設け,国が予算を支出する神社など各地の神社を階層化した。明治時代の初頭に,皇室の祖先を祀る神社や,皇室の忠臣を祀る神社が日本各地に創建された。政府には神社に関する部局があり,そこに神社の営繕組織もでき,新設の神社には神社境内の社殿配置や規模の制限図が制定され,標準化が行われた。一方,古い神社は伝統の形式が尊重された。明治の初頭に政府側の戦没者を祀る東京招魂社が創建され,靖国神社に改称,戦争のたびに祀る戦没者を増やし,境内は改造された。明治初年の公園に関する法制により,神社境内が公園とされた事例もあった。大正時代に,明治天皇を祀る明治神宮が東京に創建されるときも制限図を参考にしていた。敷地の選定,社殿の形式,神社林の構成樹種などについて深く議論された。明治神宮の神苑は,神社林に囲まれた社殿のある内苑と,記念絵画館と体育施設のある洋式の外苑とが離れて整備され,東京の都市計画に大きな影響を与えた。明治神宮の神社林の造成は,椎・樫の照葉樹林を理想とする考え方へと,神社林の考え方の画期となった。明治以降,地元出身の戦没者を祀る招魂社が日本各地に設けられ,それらが昭和戦前の制度により護国神社に改められたが,社殿の形式や規模も政府が定めた。近代の神社の境内には新たな庭園が設けられてきた。近代の神社の境内を構成する石造鳥居,社号を彫った石柱,敷石,石段,石造の柵などの施設も整備されて充実し,神社の地元の石材が使われた。
著者
伊藤 泰雄 韮澤 融司 薩摩林 恭子 田中 裕之 長谷川 景子 関 信夫
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.631-635, 1993-03-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
9

われわれは,小児包茎に対しできるだけ用手的に包皮翻転を行い,手術は必要最小限としている.昭和61年以降,包茎を主訴に当科を受診した527例を対象に,包茎の形態を分類し,病型別に治療成績を検討した.病型の明らかな427例の内訳はI型(短小埋没陰茎)22例, II型(トックリ型)86例, III型(ピンホール型)60例, IV型(中度狭窄型)154例, V型(軽度狭窄型) 101例, VI型(癩痕狭窄型) 4例であった.その結果,翻転不能例はI型の13例, 59.1%, II型の17例, 19.8%, VI型の2例, 50.0%のみであった.ピンホール型は一見高度の狭窄に見えるが,翻転不能例は1例もなかった.最終的に手術を行ったのは全症例中32例, 6.1%と少なかった.外来で積極的に包皮を翻転するわれわれの治療方針は,包茎手術を著しく減少させた.
著者
小林 常雄
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.121, 2017 (Released:2018-06-13)
参考文献数
31

癌細胞は突然変異によってできるという説が宣伝されてきたが、遺伝子プロジェクトによる治療計画は殆ど失敗してきました。公衆衛生学や微小癌の研究から、遺伝子異常説が間違いであることが判明しています。今回、癌のミトコンドリアの呼吸代謝を特異的に抑制する薬を用いて、ミトコンドリアの幽霊化が"癌化の本質である"ことを証明しました。同時に、ミトコンドリアが18億年前に、古細菌に共存して、高等細胞が出来たとき、何故、ミトコンドリアの呼吸遺伝子が、核に9割、ミトコンドリアに1割、配置されたかの生物学上の謎が解明できました。また癌は、胎児と同様にできますので、その原理を使えば、腫瘍マーカー総合検診(TMCA)で、癌を癌に罹る前から、また癌になってからでも、画像診断の100倍の精度で、ダイナミックに診断ができますから、癌の予知予防も、癌の再発予防も簡単にできるようになりました。
著者
西岡 昌輝 松山 祐樹 福重 真一 小林 英樹
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.463-464, 2016

これまでライフサイクルシミュレーション(LCS)は設計段階で用いられていたため,LCSの計算結果と運用段階における実データの間には差が生じ,製品LCが運用段階において設計時とは異なった挙動をとるという問題が生じた.そこで,LCSの計算結果と運用段階に取得できる実データとの差を小さくするための手法として,データ同化型LCS手法の構築を本研究の目的とする.本手法は,LCSにデータ同化の考えを適用することで構築する.
著者
高 松花 濱 定史 小林 久高 安藤 邦廣
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.77, no.678, pp.1853-1860, 2012-08-30 (Released:2012-10-15)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

The log cabin is a kind of traditional house in east area of Asia. In Japan, there are traditional temples represented by the Shosoin and are located in the mountain. By the other hand, in Korea, these temples are located in the mountains and the islands. In the case of China, there are some log cabins located near the Changbai Mountain, and where many people are still living.The purpose of this paper is to describe the construction and the production technology of log cabins through a survey conducted in the protected area of Jingjiang Village in China's Changbai Mountain. It will also aim to make a linkage between characteristics with local area's weather, forest, society and economic condition.
著者
米谷 雄介 後藤田 中 北原 美里 小野 滋己 青木 有香 八重樫 理人 藤本 憲市 林 敏浩 今井 慈郎 最所 圭三 喜田 弘司
出版者
国立大学法人 情報系センター協議会
雑誌
学術情報処理研究 (ISSN:13432915)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.112-121, 2019-09-17 (Released:2019-09-17)
参考文献数
5

情報セキュリティマネジメントにおいて,組織および組織を取り巻く環境に適合したセキュリティ対策の状況の確認・有効性の確認は必要不可欠である.本学では,予算・運用形態等の制約の中で,導入したセキュリティ製品の組織への妥当性を点検する試みを行っている.近年の標的型攻撃に重点を置き,本学のファイアウォールで監視されるメール,またWebからのダウンロードファイルを対象に,サンドボックスによる検知マルウェアに対するセキュリティ製品の対応状況を確認している.本研究では,パターンファイルが新種・亜種に対応するまでの期間を調査して,全学レベルで導入したアンチウイルスソフトおよび他社製品群を対象に,その妥当性の点検作業を支援するシステムを開発した.
著者
岡田 智 小林 玄 辻 義人 鳥居 深雪 飯利 知恵子 田邊 李江
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では,日本版WISC-Ⅳの解釈システムの構築のために,発達障害の子どもにWISC-Ⅳを実施し,検査中の行動観察,日常生活における生態学的情報についても収集した。統計解析と事例研究を用いて分析した結果,ASD及びADHD特性をWISC-Ⅳ測定値で判断することには限界があり,ワーキングメモリー指標がADHDの不注意を反映しにくいことなど解釈上での留意点が明らかになった。また,解釈の際には,WISC-Ⅳの測定値だけでなく,CHCモデルによる分析,また,ASD特性やADHD特性を踏まえた生態学的観点,検査中の行動や課題解決などの質的情報も含めた総合的解釈が重要であることが示唆された。