著者
長谷川 孔明 林 直樹 岡田 美智男
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会論文誌 (ISSN:13447262)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.279-292, 2019-08-25 (Released:2019-08-25)
参考文献数
18

How do we interact with mechanical systems? Users command something, and the systems always accept and react it. In other words, it is a "Leader-follower" relationship. Thinking about a scene where you walk in a park with your friend, on the other hand, there are neither a definite leader nor a follower. They co-adjust the walking direction and the pace by considering each other from implicit body movements. We named the relationship that people co-adjust each other "Side-to-side relationship." In this research, we attempt to construct "Side-to-side relationship" between a human and a robot by utilizing a robot platform "Mako-no-te" that can walk hand in hand with its human partner. We conducted an experiment with three conditions; human leading condition, robot leading condition, and co-adjusting condition. As a result, the robot of the co-adjusting condition was evaluated more favorable, active, and lifelike than one of other conditions.
著者
乾 昭文 小林 恒夫 寺西 常治 池田 正己
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌B(電力・エネルギー部門誌) (ISSN:03854213)
巻号頁・発行日
vol.118, no.5, pp.563-572, 1998-05-01 (Released:2008-12-19)
参考文献数
21

In this paper, the static electrification phenomena on the dielectric materials by SF6 gas flow were investigated. When pure SF6 gas flows on the dielectric materials at high speed up to 25m/sec, no electrification was observed on the dielectric material surfaces. In case of the flow contained dielectric microscopic particles colliding with dielectric materials, it is confirmed that the SF6 gas flow of speeds above 5m/sec causes the electrification on the dielectric surfaces. The faster the SF6 gas flow, the higher the surface potential of the dielectric material is. Such phenomena of static electrification of SF6 gas contaminated with microscopic dielectric particles were explained to be caused by the friction between the dielectric materials and the dielectric microscopic particles in SF6. The polarity and the magnitude of the surface potential of the material, after flowing the SF6 gas contaminated with dielectric particles, are confirmed by the result of a general friction experiment of the two dielectric materials. It is considered that a well-controlled gas insulated transformer not contaminated with microscopic dielectric particles in SF6 can not generate electrification phenomena.
著者
小林 真 大矢 恭久 奥野 健二
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.99-105, 2013-02-05 (Released:2013-03-11)
参考文献数
15

比例計数管と液体シンチレーションカウンタによるトリチウムの実時間定量測定からチタン酸リチウム(Li2TiO3)及びリチウム濃縮したチタン酸リチウム(Li2+xTiO3)中でのトリチウム移行過程を明らかにした.Li2+xTiO3はLi2TiO3とLi4TiO4の混合物であり,トリチウム熱脱離スペクトルにおいて,リチウム濃度が増加するに伴いLi4TiO4起因のトリチウム放出が見られた.また,等温加熱実験の結果を速度論的に解析することで,トリチウム放出の律速段階はLi2TiO3構造中の拡散過程であることが分かった.一方で電子スピン共鳴(ESR)測定によりリチウム濃度の増加に伴い生成する照射欠陥密度が増加することが分かった.Li4TiO4構造に起因した照射欠陥の増加や構造の境界がトリチウム拡散を抑制することが明らかとなった.
著者
小林 正雄 島野 安雄 利部 慎
出版者
公益社団法人 日本地下水学会
雑誌
地下水学会誌 (ISSN:09134182)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.363-375, 2013-11-30 (Released:2014-01-09)
参考文献数
15
被引用文献数
2
著者
長田 謙一 楠見 清 山口 祥平 後小路 雅弘 加藤 薫 三宅 晶子 吉見 俊哉 小林 真理 山本 和弘 鴻野 わか菜 木田 拓也 神野 真吾 藤川 哲 赤塚 若樹 久木元 拓
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

従来プロパガンダと芸術は、全体主義下のキッチュ対自律的芸術としてのモダニズムの対比図式のもとに考えられがちであった。しかし本研究は、両者の関係について以下の様な新たな認識を多面的に開いた:プロパガンダは、「ホワイト・プロパガンダ」をも視野に入れるならば、冷戦期以降の文化システムの中に東西問わず深く位置付いていき、芸術そのもののありようをも変容させる一要因となるに至った;より具体的に言えば、一方における世界各地の大型国際美術展に示されるグローバルなアートワールドと他方におけるクリエイティブ産業としてのコンテンツ産業振興に見られるように、現代社会の中で芸術/アートはプロパガンダ的要因と分かち難い形で展開している;それに対する対抗性格をも帯びた対抗プロパガンダ、アートプロジェクト、参加型アートなどをも含め、芸術・アートは、プロパガンダとの関係において深部からする変容を遂げつつあるのである。
著者
三沢 岳志 小池 秀雄 小林 和人
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第16回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.73-77, 2019 (Released:2019-06-14)

特許出願の件数の推移は、その特許出願が技術的に関連する製品の出荷台数推移や製品のライフサイクルステージと大きな相関を持つことが考えられる。本稿では、明細書にその応用製品が記載された特許出願の件数推移とその将来予測、製品コア技術の特許出願件数推移とその将来予測から、製品の将来の出荷台数を予測することで、製品ライフサイクルステージの特定が可能であることを示す。なお予測の基本方式としては、それぞれの特許出願件数推移にBassモデルによる近似式を適用した。現状では市場の状況の事後的な把握でしか確認することのできない製品ライフサイクルステージを、知的財産の情報に基づいて予測できれば、知的財産戦略の立案にも有効であるとともに、事業戦略の転換時期の決定においても参考にもなるものと考える。
著者
橋本 すみれ 地野 充時 来村 昌紀 王子 剛 小川 恵子 大野 賢二 平崎 能郎 林 克美 笠原 裕司 関矢 信康 並木 隆雄 寺澤 捷年
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋醫學雜誌 = Japanese journal of oriental medicine (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.171-175, 2009-03-20
参考文献数
13
被引用文献数
2

線維筋痛症による全身の疼痛に対し,白虎湯加味方が有効であった症例を経験した。症例は65歳女性。自覚症状として,夏場に,あるいは入浴などで身体が温まると増悪する全身の疼痛および口渇,多飲があり,身熱の甚だしい状態と考えて,白虎湯加味方を使用したところ全身の疼痛が消失した。線維筋痛症に対する漢方治療は,附子剤や柴胡剤が処方される症例が多いが,温熱刺激により全身の疼痛が悪化する症例には白虎湯類が有効である可能性が示唆された。
著者
竹林 一志
出版者
表現学会
雑誌
表現研究 (ISSN:02858347)
巻号頁・発行日
no.73, pp.16-22, 2001-03
著者
鈴木 悦子 長谷 公隆 小林 賢 東海林 淳一 祝 広香
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.BcOF1045, 2011

【目的】片麻痺患者の歩行は、立脚時間・単脚支持時間・歩幅などの運動学的パラメータおよび床反力などの運動力学的パラメータにおいて非対称性を認める。その非対称性は、非麻痺側下肢を優位に使用した歩行パターンとなっている。我々は、片麻痺歩行訓練において、非麻痺側下肢からの感覚入力を減らし、非麻痺側下肢による代償を制限した歩行を実現するために、非麻痺側下肢に模擬義足を適用した理学療法介入を試みている。本研究の目的は、片麻痺患者における模擬義足歩行訓練が歩行パラメータに及ぼす変化を、トレッドミル等による歩行訓練と比較することで検証することである。<BR><BR>【方法】脳卒中発症から6か月以上経過し、独歩可能で明らかな感覚障害・高次脳機能障害を有さない慢性期脳卒中片麻痺患者22名を対象とし、模擬義足歩行訓練群11名(義足群;平均61.8±9.0歳)と対照群11名(平均61.5±11.0歳)に振り分けた。対照群への介入はトレッドミル等を用いたPTの介助による歩行訓練とし、当院での麻痺手治療プログラムのために入院した患者および歩行能力改善を目的に理学療法が処方された患者とした。模擬義足は、膝関節屈曲90度にて装着し、膝継ぎ手は0度固定、足部はロッカーボトムを用いて各患者に作製した。両群ともに、5分間を1セッションとして1日3セッションの歩行訓練を10日前後施行した。評価は、訓練前および最終訓練後24時間以上間隔を開けて歩行分析を行った。歩行分析は、杖を使用せずに、2枚の床反力計(アニマ社製, MG-1090)上を歩行させて10歩行周期以上を記録し、麻痺側および非麻痺側の床反力前後成分、立脚時間、歩幅を計測した。また、10m歩行における最大歩行速度を測定した。床反力前後成分は、立脚期前半の制動期と後半の駆動期に分けて、ピーク値を有する各成分の単位時間当たりの値を体重補正して算出した。また、歩行パターンの変化を同定するために1歩行周期に占める単脚支持時間の割合を算出した。患者特性の差に関する両群間の比較は、Mann-Whitney U検定とX<SUP>2乗検定を用いて行った。各群における訓練前後の各パラメータの変化については、Wilcoxonの符号付き順位和検定を使用し、訓練前後の各パラメータの変化量における義足群と対照群の差についてはMann-Whitney U検定を用い、有意水準をP<0.05にて検定した。<BR><BR>【説明と同意】対象は、理学療法開始前のリハビリテーション医の診察において研究の主旨・目的・方法を十分に説明し、同意が得られた方とした。本研究は当施設倫理審査会の承認を得て実施した。<BR><BR>【結果】年齢・性別・麻痺側および最大歩行速度などの患者特性は両群間に差はなかった。歩行訓練のセッション数は、義足群30.6±1.9回、対照群32.3±3.2回であった(P=0.211)。義足群では、1歩行周期に占める麻痺側単脚支持時間の割合が23.5±7.3%から26.7±4.9%(P<0.01)へ、床反力前後成分の麻痺側推進力が2.61±1.35%BWから3.36±1.27%BW(P<0.005)へ有意に増加した。対照群では麻痺側歩幅が37.7±14.6cmから41.2±4.4cm(P<0.05)へ有意に延長したが、運動力学的パラメータに変化はみられなかった。両群間の変化量については、麻痺側推進力が義足群:0.75±0.44%BW、対照群:0.16±0.76%BWで、義足群で有意に増加した(P<0.05)。また、麻痺側単脚支持時間の割合の変化量は、対照群に比べて義足群で延長する傾向を認めた(P=0.076)。<BR><BR>【考察】義足群では、麻痺側下肢の推進力の増大したことにより運動力学的変化が得られた。この麻痺側下肢の運動力学的変化は、麻痺側下肢単脚支持時間の割合が延長したことからも裏付けられる。一方、対照群でみられた麻痺側歩幅の延長という運動学的な非対称性の改善は、床反力前後成分の有意な変化が認められなかったことから、運動力学的変化を伴っていないと言える。本研究の結果より片麻痺患者における模擬義足歩行訓練はトレッドミル等による歩行訓練とは異なる訓練効果をもたらすことが示唆された。<BR><BR>【理学療法学研究としての意義】片麻痺患者の歩行訓練法についての研究報告では、運動学的変化については多数みられるものの、運動力学的変化が得られるという研究報告は少ない。その意味で模擬義足歩行訓練は、新たな歩行訓練方法として効果および適応についての検討を継続する必要があると考える。
著者
小林, 東山
出版者
須原屋茂兵衛
巻号頁・発行日
vol.[1], 1770
著者
犬塚 貴 木村 暁夫 林 祐一
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.94-98, 2016

<p>Several autoantibodies are associated with autoimmune encephalitis. Some of these antibodies are directed against intracellular neuronal antigens such as Hu and Ma2, which are strongly associated with paraneoplatic syndrome. In the past 10 years, various antibodies were identified that recognize neuronal cell–surface or synaptic proteins in patients associated with or without malignancy. Some of these antibodies are able to directly access receptors of neurotransmitters or channels and are responsible for causing neurological syndromes. Autoimmune encephalopathy with these antibodies generally responds to immunotherapies, such as steroids, plasmapheresis, and intravenous immunoglobulin as well as immunosuppressant and anti–cancer treatments in cases of paraneoplastic syndrome.</p><p>Patients with N–methyl–D–aspartate (NMDA) receptor antibodies, which are the most common in autoimmune encephalopathy, often cause psychiatric manifestation, memory impairment, seizures, dyskinesia, catatonia, autonomic instability and respiratory failures. Although 86% of patients become worse at the stage of mRS5, almost 80% of all patients recover to the stage of less than mRS2 with immunomodulatory therapy and careful management for their general condition. Detection of those antibodies in both serum and CSF using cell–based assays is important for definite diagnosis. Availability of screening systems of antibodies and covering health insurance for immunomodulatory therapy for autoimmune encephalitis are highly expected.</p>
著者
小林 茂樹 広渡 俊哉 黒子 浩
出版者
THE LEPIDOPTEROLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.1-57, 2010-05-31 (Released:2017-08-10)
参考文献数
33

チビガ科Bucculatricidaeは,幼虫が若齢期に葉にもぐる潜葉性の小蛾類である.成虫は開張6-8mmで,世界ではおよそ250種が知られる.中齢期において幼虫は潜孔を脱出し,老熟すると本科に特徴的な縦の隆条をもった舟底形のマユを葉や枝上につくり蛹化する.日本では,アオギリチビガBucculatrix firmianella Kuroko,1982,ナシチビガB.pyrivorella Kuroko,1964,クロツバラチビガB.citima Seksjaeva,1989の3種が知られており,最近筆者らによってハマボウチビガB.hamaboella Kobayashi,Hirowatari&Kuroko,2009,ならびにコナラチビガBucculatrix comporabile Seksjaeva 1989とクリチビガB.demaryella(Duponchel,1840)が追加された(有田他,2009).しかし,本科にはヨモギ属を寄主とするヨモギチビガBucculatrix sp.など,多くの未同定種の報告があり,種の分類・生活史の解明度が低く,種レベルの研究が不十分であった.そこで本研究は,日本産の本科の新種を含む未解明種の形態・生活史を明らかにすることに努め,既知種を含めた本科の分類学的再検討を行った.野外調査とともに大阪府立大学や小木広行氏(札幌市),平野長男氏(松本市),村瀬ますみ氏(和歌山市)などの所蔵標本を用い,日本各地の成虫を調査した.奥(2003)が同定を保留した4種についても,交尾器の形態を確認した.その結果,4新種,11新記録種,2学名未決定種を加えた計23種を確認した.確認された23種を,交尾器の特徴から10種群に分類し,16種の幼虫期の習性をまとめ,3タイプに分類した.幼虫習性は,11種で多くのチビガ科の種でみられる型(1.中齢以降は葉の表面にでて葉を摂食する.2.脱皮マユは2回作る)が見られ,茎潜り,ヨモギにつく3種に見られた脱皮マユを一度しか作らない型は,Baryshnikova(2008)の系統の初期に分化したと考えられるグループに属した.ヤマブキトラチビガとシナノキチビガはシナノキの葉の表と裏側をそれぞれ利用していたが,形態は大きく異なっており,それぞれ,ブナ科とバラ科に潜孔するグループに形態的に近縁と考えられた.また,メス交尾器の受精管が交尾のうの中央に開口することが本科の共有派生形質であることを示唆し,さらに調査した日本産18種でこの形質状態を確認できた. 1.Bucculatrix firmianella Kuroko,1982アオギリチビガ(Plates 1(1),2(1-11),Figs 3A-C,10A)開張6-8mm.前翅は白色に不明瞭な暗褐色条が走り,前翅2/3から翅頂に黒鱗が散在する.雄交尾器のバルバ,ソキウスは丸く,挿入器は細長い.幼虫は6〜10月にアオギリの葉にらせん状の潜孔を作る.住宅の庭木や大学キャンパスなどで発生がみられた.分布:本州,四国,九州.寄主植物:アオギリ(アオギリ科). 2.Bucculatrix hamaboella Kobayashi,Hirowatari&Kuroko,2009ハマボウチビガ(Plates 1(2),2(12-17).Figs 1D,3D-F,10B)開張5.5-8mm.前翅は白色から暗褐色で黒鱗が全体に散在する.雄交尾器のバルバ,ソキウスは長く,バルバの先端に1対の突起がある.幼虫は初夏から11月初旬までみられ,若齢幼虫はハマボウの葉に細長く線状に潜り,その後茎内部に潜る.三重県では,蕾内部に潜孔している幼虫や種子の摂食が観察されている(中野・間野,未発表).分布:本州(三重,和歌山)寄主植物:ハマボウ(アオイ科). 3.Bucculatrix splendida Seksjaeva,1992ハイイロチビガ(新記録種)(Plates 1(3),2(18-20).Figs 1C,3G-I,9E,10C)開張8mm内外.前翅及び冠毛は黒色で,容易に他種と区別できる.本種は,奥(2003)によってBucculatrix sp.4として記録された.幼虫は,夏にみられヨモギの葉の表側表皮を残して薄く剥ぎ,点々と食痕を残す.分布:北海道,本州(岩手,長野);ロシア極東.寄主植物:ヨモギ(キク科). 4.Bucculatrix laciniatell Benander,1931アズサガワチビガ(新称,新記録種)(Plates 1(4).Figs 3J-L)開張9mm.前翅は白色で,前縁から後方に明るい茶色の斜列条が走る.雄交尾器の挿入器は先端が鉤爪状に反り,バルバの先端には細かい棘状の突起がある.平野長男氏採集の長野県梓川産の1♂にもとづいて記録した.ヨーロッパでは,Artemisia laciniata(キク科)を寄主とすることが知られる.分布:本州(長野);ヨーロッパ.寄主植物:日本では未確認. 5.Bucculatrix sp.1(nr.bicinica Seksjaeva,1992)(Fig.9D)本種は,奥(2003)によってBucculatrix sp.3として記録された.雄交尾器は,挿入器の先が大きく反り返り,把握器は長細くなる.沿海州産のB.bicinica Seksjaeva,1992に雄交尾器は似るが,同定を保留した.分布:本州(岩手).寄主植物:不明.6.Bucculatrix maritima Stainton,1851ウラギクチビガ(新称,新記録種)(Plates 1(5),2(21,22).Figs 9A,10D)開張75mm.前翅は濃茶色に白色が混じり,基部に明瞭な白斜条が走る.雄交尾器の把握器は先端が深く切れ込み,雌交尾器の交尾口は,おわん型になる.小木広行氏採集の北海道鹿追産の1♂と山崎一夫氏採集の大阪府大阪市産の1♀にもとづいて記録した.山崎(私信)によると潜孔とマユを大阪市北港処分地で観察している.同様に淀川河口付近のウラギクでも潜孔痕が観察できた.ヨーロッパでは,ウラギクAster tripolium,Artemisia maritima(キク科)を寄主とすることが知られる.分布:北海道,本州(大阪);ヨーロッパ,ロシア.寄主植物:ウラギク(キク科). 7.Bucculatrix notella Seksjaeva,1996ヨモギチビガ(新称,新記録種)(Plate 1(6),2(23-28).Figs 1C,4A-D,10E)開張6-7mm.前翅は乳白色で,茶から暗褐色の斜条が前縁1/2および2/3に走るが,斑紋の変異が大きい.雄交尾器は,テグメンの先端が発達し,雌交尾器の交尾口はカップ状になる.幼虫は,春から秋にかけてみられ,近畿地方では冬にも若齢幼虫がみられた.後齢幼虫はヨモギの葉に小孔を開け,そこから組織を摂食する.北海道では,ハイイロチビガと混棲しているのが観察された.分布:北海道,本州(長野,三重,奈良,大阪,和歌山,兵庫),九州;ロシア極東.寄主植物:ヨモギ(キク科). 8.Bucculatrix nota Seksjaeva,1989イワテヨモギチビガ(改称,新記録種)(Plate 1(7).Figs 1C,4E-G,9B)開張8mm.前翅は乳白色に褐色の斜条が走る.本種は,奥(2003)によってヨモギチビガBucculatrix sp.1として生態情報とともに記録されたが,ヨモギを寄主とするチビガとしては全国的に前種の方が普通に見られるので本種をイワテヨモギチビガとした.形態,生態ともに前種に似るが,雄交尾器のソキウスが長く発達し,挿入器の先端は大きくフック状に反る.分布:本州(岩手,長野);ロシア極東.寄主植物:ヨモギ,オオヨモギ(キク科). 9.Bucculatrix sp.2(nr.varia Seksjaeva,1992)(Fig.9C)本種は,奥(2003)によってBucculatrix sp.2として記録された.雄交尾器は,ソキウスの側面が広がり,把握器は先が指状になる.沿海州産のB.varia Seksjaeva,1992に雄交尾器は似るが,同定を保留した.分布:本州(岩手).寄主植物:不明. 10.Bucculatrix sinevi Seksjaeva,1988シネフチビガ(新称,新記録種)(Plate 1(8).Figs 4H-I,10F)開張7.0-8.0mm.前翅は乳白色で,茶鱗が散在する.雌雄交尾器は,特徴的で雄交尾器のソキウスは小さく,バルバは幅広く先端が尖る.雌交尾器の交尾口の両側には牛角状の突起が伸びる.分布:北海道;ロシア極東.寄主植物:不明. 11.Bucculatrix altera Seksjaeva,1989アムールチビガ(新称,新記録種)(Plate 1(9).Figs 5A-E,11A)開張7.0-8.2mm.前翅は白色で茶〜暗褐鱗が散在する.雄交尾器は,挿入器内に多数の鉤爪状突起がある.雌交尾器は,前種と同様に角状突起を有しアントゥルムは幅広の筒状になる.分布:北海道;ロシア極東.寄主植物:不明. 12.Bucculatrix pyrivorella Kuroko,1964ナシチビガ(Plate 1(10),2(29-32),3(1-7).Figs 1A,2,5E-G,11B)開張7.0-8.0mm.前翅は白色で,不明瞭な明るい茶の斜(View PDF for the rest of the abstract.)
著者
川口 輝太 久保 遼馬 藤田 拓也 前田 竜冶 宇津呂 武仁 小林 彰夫 西崎 博光 河田 容英
雑誌
研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:21888779)
巻号頁・発行日
vol.2019-NL-241, no.22, pp.1-9, 2019-08-22

本論文では,テレビドラマ視聴者がドラマ視聴後にウェブ上で行うドラマ関連関心動向 ・感想 ・レビュー類の情報探索過程を支援することを目的として,ブログ ・ドラマ関連サイト等のウェブページからの情報収集 ・集約を行うウェブマイニング技術を提案する.具体的には,本論文では,BERT および Wikipedia を用いて,文単位での当該ドラマ関連判定および主観情報判定を行うとともに,文単位での判定結果に基づいて,ウェブページ単位での当該ドラマ関連判定および主観情報判定を行う手法,および,その評価結果について述べる.
著者
平山 裕子 井元 清隆 鈴木 伸一 内田 敬二 小林 健介 伊達 康一郎 郷田 素彦 初音 俊樹 沖山 信 加藤 真
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.60-64, 2008-01-15 (Released:2009-09-11)
参考文献数
27
被引用文献数
2 2

症例は76歳,女性.両下肢浮腫と呼吸困難を主訴に来院した.経胸壁心エコーで右房内に可動性に富む腫瘤を認め,心不全を伴う右房内腫瘤と診断し手術を施行した.術中の経食道心エコーで右房内腫瘤が下大静脈内へ連続していることを確認したが原発巣は不明なため,心腔内腫瘤摘除にとどめ,残存腫瘍断端はクリップでマーキングした.術直後のCTで子宮筋腫から下大静脈内へ連続する構造物の中にクリップを認め,さらに摘出標本の病理所見からintravenous leiomyomatosis(IVL)と診断した.術後半年のCTでクリップは下大静脈から子宮に連続する静脈内に移動しており,腫瘍は退縮傾向であると考えたが,今後も厳重なる経過観察が必要である.
著者
中田 航平 平林 真実 小林 孝浩
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2018論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.234-236, 2018-09-06

ライブコーディングは音楽表現に用いられることが一般的だが、近年映像表現に用いられることが増えている。現状のライブコーディングによって提示されるものは操作される画面の情報のみであり、演者自身の動きまでは提示されない。本稿では、LeapMotionを用いて演者の手の動きを取得し演出に取り入れたライブコーディングによる映像表現を試みた。本稿で試験的に行ったパフォーマンスの映像構成と演出では、演者の手の動きとの関連をすぐに認識するまでには至らず、手を表現するオブジェクトの多様化を始めとした表現の工夫等、今後の改善が望まれる。
著者
小林 良清
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.65, no.10, pp.615-620, 2018-10-15 (Released:2018-10-31)
参考文献数
11

目的 2015年の都道府県別生命表において長野県男性の平均寿命が滋賀県男性の平均寿命に準じて全国2位に後退したが,20歳以上の平均余命がいずれも全国1位であることから,20歳未満の年齢層における死亡率が2位後退に大きく影響していると考え,既存の統計資料等を活用してその状況を明らかにする。方法 政府統計から都道府県別生命表を入手し,長野県,滋賀県,全国における男性のそれぞれの年齢別死亡率を確認した。そして,平均寿命の計算式を作成し,仮の年齢別死亡率における長野県男性の平均寿命を試算した。さらに,長野県の衛生統計から男性の年齢階級別死因別死亡数を入手し,死因の状況を確認した。結果 2015年長野県男性の年齢別死亡率は,9歳から13歳において2010年長野県男性の年齢別死亡率より2倍以上高く,9歳から14歳において2015年滋賀県男性の年齢別死亡率より2倍以上高くなっていた。そして,平均寿命の計算式を用い,9歳から13歳における2015年長野県男性の年齢別死亡率が2010年長野県男性の年齢別死亡率と同じだったと仮定して平均寿命を試算すると81.77885歳となり,2015年滋賀県男性で試算される平均寿命81.77882歳を上回った。また,9歳から14歳における2015年長野県男性の年齢別死亡率が2010年長野県男性の年齢別死亡率と同じだったと仮定すると,平均寿命が81.78154歳となった。10歳から14歳において2015年長野県男性の死亡数は,2010年長野県男性の死亡数に比べて2.4倍に増えており,死因別死亡数がわかっている2014年から2015年を2010年と比較すると,「傷病および死亡の外因」に含まれるもの,含まれないものがともに増えていた。結論 平均寿命は,すべての年齢の死亡状況が反映された一つの数字であり,その値から課題を抽出するためには年齢に着目した分析が不可欠である。今回の分析により,2015年長野県男性の平均寿命が2015年滋賀県男性の平均寿命に準じて全国2位に後退したのは,10代前半の死亡数・率の増加が大きく影響していたものと推測された。